
こんにちは。今回は 「Yanyin Canon Pro」です。(ヤンイン・カノン・プロ)です。300ドルオーバーながら大人気モデルとなった「CANON」および低域強化型の「CANON II」に続き、ドライバー構成を6BA+1DDにアップグレードした上位モデルです。上位グレードらしく音質を向上させつつ今回も非常に完成度を実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
比較的新しい中華イヤホンブランドである「Yanyin」ですが、同社はアンダー1000ドル級のマルチドライバー製品でこれまでに複数の製品をリリースしています。なかでも「CANON」および「CANON II」はその独創的な設計と卓越したオーディオデザインもあって人気のモデルとなりました。ちなみに「CANON」はカノン、と呼びます。日本の某光学機器メーカーではなく、音楽用語の「カノン進行」などで知られる方の「カノン」ですね。
→ 過去記事: 「Yanyin CANON II」 大人気ミドルグレード4BA+1DDハイブリッドの第2弾。デザインを一新、低域を質・量ともに強化した高音質中華イヤホン【レビュー】今回の「Yanyin Canon Pro」はドライバー構成を「6BA+1DD」にアップグレード。新しいダイナミックドライバー深みと力強さのある安定した鼓動のような低音を、高周波BAユニットを2基追加することで高域の鮮明度が増し、全体的な音場感と明瞭度が向上しました。


CANONシリーズの長年のチューニングの専門知識を活かし、ドライバー構成をアップグレード。搭載するダイナミックドライバーは液体シリコンサスペンションエッジと LCPドーム振動板を採用し、深みと力強さのある安定した鼓動のような低音を再生し、メロディーに爽快なエネルギーを吹き込みます。バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは高域用ツィーターを2基追加した6BA構成とし、ドライバー数の増加により音圧と音密度が向上。充実した中音域と鮮明な高域を実現します。さらに確立されたチューニングの基盤に基づいて構築された「Yanyin Canon Pro」は各音域がシームレスに統合され、優れた没入感を実現しています。


「Yanyin Canon Pro」も2系統のスイッチコントロールを搭載しています。このスイッチは低音のコントロール用に設計されており、電子クロスオーバー方式を採用することで歪み無くバランスを変更できます。標準値のインピーダンスに対し、高周波モードはより高く、ポップモードは低いインピーダンスに変化します。


ケーブルは高純度単結晶銅線の4芯ケーブルが付属。140本の22AWGの高純度銅線を使用した撚り線タイプです。プラグは3.5mmのほか、2.5mmまたは4.4mmを購入時に選択可能です。
「Yanyin Canon Pro」の価格は399ドル、アマゾンでは68,280円です。
AliExpress(Linsoul Audio Store): Yanyin Canon Pro
※3月26日までセール価格339.99ドル+AliExpressクーポンで最大60ドル引き(最終価格279ドル)
Linsoul(linsoul.com): Yanyin Canon Pro
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): Yanyin Canon Pro
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージはシンプルな白箱タイプ。今回は3.5mm仕様で届きました。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(通常タイプおよび液体シリコンタイプ、それぞれS/M/Lサイズ)、スイッチ切替用ピン、レザーケース、説明書、保証書など。


本体はカナル型のデザインとしてはやや大きめで、存在感のあるデザイン。ブラックのシェルに複数のカラーリングによる複雑なデザインが施されており、これまでの「CANON」シリーズより高級感がアップしています。


「Yanyin Canon Pro」のサイズ感は「CANON II」とほぼ同じで、最初の「CANON」と比べるとひとまわり大きい印象。このクラスの多ドラ仕様のイヤホンとしては一般的な大きさで装着性もまずまずです。


「Yanyin Canon Pro」の側面のスイッチは2系統で低域を調整するためという仕様。「CANON II」のスイッチと同様のアプローチを踏襲しています。スイッチは標準では「10」(ON-OFF)で、「00」(OFF-OFF)が最も低域が少なく、「11」(ON-ON)が最も低域が強い組み合わせで、この仕様も「CANON II」と同様です。


ケーブルは太さのある4芯タイプの高純度銅線ケーブル。プラグは0.78mm 2pin仕様でリケーブルはしやすい仕様ですね。太くちょっと重いケーブルのため気軽に使う感じではないかもですが、取り回しは比較的良好です。


イヤーピースは軸部分の開口部がステムノズルの形状にあわせてやや大きいタイプが付属します。また「Yanyin Canon Pro」では従来タイプのイヤーピースに加え、透明な液体シリコン製のタイプも付属しています。もともと同様の「Softears U.C.」は良い組み合わせでしたので最初から付属するのは有り難いですね。
■ サウンドインプレッション
「Yanyin Canon Pro」の音質傾向はCANONシリーズ特有の濃いめのドンシャリ感を踏襲しつつ、よりW字方向のバランスに調整された印象。先日の「CANON II」でも低域をブーストしつつ全体のバランスも初期の「CANON」のアグレッシブな印象より結構自然な印象に調整されていましたが、「Yanyin Canon Pro」ではさらにニュートラルな方向にチューニングされ、リスニングイヤホンとしての質感をより楽しめるサウンドに進化しています。BAの追加により中高域から高域にかけての情報量や密度感も増した印象。「Yanyin Canon Pro」では全体として既存モデルと比較しメリハリより滑らかさを感じる印象に変化していますが、同時に「濃密さ」もしっかり持つことで「CANON」らしさも感じるサウンドになっています。また新しいダイナミックドライバーの採用などにより、これまでやや狭い印象だった音場感も多少広がり、空間表現を感じやすくなっています。
そして、側面のスイッチによる各モードでの変化が大きいのもCANONシリーズの特徴のひとつですが、「Yanyin Canon Pro」でも同様で、単なる低域の量感の変化だけで無く、再生インピーダンスの変化により再生環境によっては傾向そのものが異なってくる変化を実感出来ます。ただし、インピーダンス18Ω、感度104dB/mWという仕様ですが比較的鳴らしやすく、再生環境やリケーブルでの変化も大きい印象。パワーのある環境ではどのモードでもV字方向に変化するため、このような環境ではモードによる違いが少なく感じるケースもあります。ベースとなっている「10」(ON-OFF)では非常にパワフルな低域を持ちつつも各音域がバランス良く主張する印象で、分かりやすいW字方向の傾向で再生されます。「CANON II」でブーストされた低域に加えて中音域から中高域かけても底上げされ、よりパワーが増した印象。それでも同時に滑らかさを感じるチューニングで仕上げられているのが印象的です。高域は明瞭ですが刺激は抑えられています。
高域強調、または低域抑制の「00」(OFF-OFF)では、よりニュートラル方向の印象になりますが、いわゆるハーマンターゲット的なバランスと言うよりW字でややカマボコ寄りになっている感じかも。女性ボーカルなどをスッキリとした印象で聴きたい場合や、再生環境によって低域過多になりそうな場合に向いているモードです。そして低域強化モードの「11」(ON-ON)では「10」よりさらに低域がブーストされます。駆動力の小さめの再生環境ではこれくらいの低域のほうが厚みがあって豊かな音場感が生まれる印象と鳴りますが、ある程度パワーのある環境やリケーブルをしている場合は中低域を若干マスクする場合があります。「10」モードでも十分にパワフルな低域を持っているため、再生環境や好みに応じて補助的に使う感じかなと思いました。
「Yanyin Canon Pro」の高域は、明瞭感を持ちつつも刺激を抑え聴きやすくまとめられています。高域用BAの追加により情報量が増しており、明瞭感を維持しつつより滑らかで伸びの良い印象になっています。おそらく高域については最初の「CANON」の高域を強調したモードが最もメリハリがあり、「CANON II」、そして「Yanyin Canon Pro」と進化する過程でより聴きやすく、滑らかな印象になっています。そのためキレのある寒色系の高域を好む方にはやや穏やかに感じるかもしれませんね。それでも情報量は多く煌びやかさや伸びの良さもあるため、多くの方にとって満足できる高域だと思います。中音域は凹むことなく鳴り、ボーカル域はやや前傾しつつより滑らかな印象で再生されます。女性ボーカルの高音など中高域に自然なアクセントがあり、存在感の伸びの良さを感じさせます。男性ボーカルは「CANON II」より若干凹みを感じるものの、定位は女性ボーカル同様に近く自然な厚みがあります。「Yanyin Canon Pro」では演奏との分離感は確実に向上しており、解像感はアップしている印象。またこれまではやや狭かった左右の音場も自然な広がりがあり、音数の多い曲も心地よく感じさせます。いっぽうでドンシャリ傾向特有の前後のレイヤー感は少し減っており、全体として自然な定位感になっています。
いっぽうで音色は濃さがあり、淡泊にならずにしっかりとした鮮やかさを感じるのはCANONシリーズらしさと言えるでしょう。「Yanyin Canon Pro」はリスニングサウンドとして個人的には好きですが、ニュートラル傾向を好まれる方には少しわざとらしく感じる場合もあるかもしれません。低域は「CANON II」同様にパワフルな印象を踏襲しつつ「Yanyin Canon Pro」ではさらに質感が向上させています。中低域は締まりがあり、分離に優れたサウンドで非常に高い質感があります。重低音も深く締まりつつ、中高域とキレイに分離し、全体的に明瞭な印象で鳴ります。低域好きの方はもちろん、臨場感とともに質感もしっかり感じたい高にも十分に満足させられる実力を感じさせます。
■ まとめ
というわけで「Yanyin Canon Pro」は、これまでの「CANON」シリーズで好評だった、ミドルグレードらしい音質を持ちつつも「濃密さのあるドンシャリサウンド」と、「スイッチコントロールによる分かりやすい変化」を楽しめるイヤホンとして、より高いレベルに進化した印象のイヤホンでした。6BA+1DD構成にアップグレードし、ダイナミックドライバーもアップグレードすることで、全体的な情報量及び解像感、そして音場感が改善され、全体としてはより滑らかさを感じるW字方向のバランスにチューニングされています。
分かりやすくメリハリのあるサウンドを持ちつつ何故かどのモードでも結構楽しい最初の「CANON」および低域を強化して弱ドンシャリ方向のリスニングバランスに進化した「CANON II」も引き続き魅力的な個性を持っており、「Yanyin Canon Pro」が単なるアップデートとはなっていない点はとても興味深く感じます。既に「CANON」シリーズの製品を持っている方でも新たなアプローチとして「Yanyin Canon Pro」も合せて検討してみるのも良いと思いますよ。