
こんにちは。 今回は購入済み未レビューのイヤホンをレビューする「棚からレビュー」です。レビューするのは昨年後半に日本でもリリースされている「FiiO JH5」です。旧「Jade Audio」ラインを踏襲するハイブリッドの「JH」系の4BA+1DD構成のモデルですね。
■ 製品概要と購入方法について
「FiiO JH5」は、4BA+1DD構成のハイブリッドモデルです。専用にカスタマイズ設計された4基のバランスドアーマチュア(BA)ドライバーと10mm カーボンベース振動板ダイナミックドライバーを1基搭載したハイブリッド構成のモデルです。
ハイブリッド構成を余すことなく引き出す音響設計と、DLP-3D印刷方式により精密に作り出されたシェルデザインなど「FH9」や「FH7」などの上位モデルのノウハウが注ぎ込まれています。
ハイブリッド構成を余すことなく引き出す音響設計と、DLP-3D印刷方式により精密に作り出されたシェルデザインなど「FH9」や「FH7」などの上位モデルのノウハウが注ぎ込まれています。


「FiiO JH5」のドライバーには、「FH5」や「FF5」と同様のカーボンベース振動板を採用した10mmダイナミックドライバーを搭載。非常に軽量かつ剛性に優れ、歯切れ良くクリアーなサウンド再生を実現します。また形状の異なるN52マグネットをドライバーの内側および外側に設置する磁気回路の採用でより強力な駆動が可能になり低歪みで力強いサウンドを実現します。またダブルチャンバー構造のドライバーハウジングの採用により、空気圧を適切に制御します。
さらに専用にカスタマイズ設計されたBAドライバー4基搭載。中高音域用の2基のBAおよびノズル付近に配置された超高域用の2基のBAの組み合わせと1基のダイナミックドライバーを最適化されたクロスオーバー設計で制御しています。


それぞれのドライバーは独立した音導管設計でDLP-3Dプリントにより精密出力されたシェルに格納され、滑らかな周波数特性を実現し高音域の損失が少なく、よりクリアで鮮明感のあるサウンドを表現します。
さらに「FiiO JH5」ではより深い低音を実現するため、ネガティブ・フィードバックベースエンハンサーを搭載。ドライバの後方に放射される振動を有効に前方に誘導し調和させることにより、耳に伝わる空気圧を最適化。低音域による心地よく豊かな音場表現を実現します。


カラーバリエーションは「シルバー」と「ブラック」の2色が選択可能。
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで「FiiO JH5」です。購入したのは昨年末くらいだったかな、と思います。旧Jade Audio系のラインも現在でもコンスタントに製品をアップデートしているのも興味深いですね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースはシリコンタイプ2種類(それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース、説明書など。Jade Audio系らしくFD/FH系より付属品はシンプルです。レゴブロック状の新しいプラスチックケースは複数持ってると棚みたいに使えてちょっとうれしいです(^^)。


本体はDLP-3Dプリントによるレジン製シェルと亜鉛合金製フェイスプレート。フェイスプレートはダイキャスト(亜鉛合金の鋳造)で、鏡面処理によりシンプルながら美しいデザインに仕上げられています。
3Dプリントによるレジンシェルは音導管も含めて成形されており、内部充填されたシェル内で各ドライバーはしっかり固定されています。側面に金属製のメッシュプレートで覆われたベント(空気孔)があります。


シェル形状は耳にフィットしやすく装着感は良好です。すこし小さめのイヤーピースで耳奥までしっかり挿入して装着する方が良いようです。イヤーピースは2種類のタイプが付属しますが、今回私はSpinfit CP100+に交換しました。


ケーブルは0.78mm 2pin仕様で銀メッキ銅線の4芯タイプが付属します。適度な弾力のある透明な被膜で覆われたグレーのワイヤー色のケーブルで、取り回しは良い印象です。
■ サウンドインプレッション
「FiiO JH5」の音質傾向はU字方向の弱ドンシャリで、ニュートラル方向の中音域と心地よくブーストされた中音域、明瞭ながら適度に聴きやすく調整された高域がバランス良く配置されており、FiiOらしいニュートラルさを維持しつつ、若干中低域寄りにシフトした心地よいリスニングサウンドに仕上げられています。FiiOのハイブリッドやマルチBAではお馴染みのKnowles製BAを採用せずカスタムユニットを使用することで全体のコストを大幅に下げつつ、音質面に置いては同社らしさを維持しており、アンダー100ドル級のハイブリッドとしては他社と比較してもかなちよくまとまっていると思います。インピーダンス13Ω、感度111dB/mWという仕様で音量は取りやすいものの、ある程度駆動力のあるDAP等で聴く方が印象は良くなります。リケーブル効果も相応に得やすいため、いろいろ変化を楽しむのも良いと思います。付属ケーブルでも繊細になりすぎない範囲で解像感も優れており、パワフルな低域による豊かな音場感と、前傾し伸びの良さと心地よい主張のあるボーカル域、刺激を抑え聴きやすい高域を実感出来ます。
「FiiO JH5」の高域は刺激を抑えつつ伸びの良い音を鳴らします。明るく適度な明瞭感が有り高高域の見通しも良い印象。シンバル音はBAらしい金属質で硬質な印象もありますが、高高域、高域でそれぞれ2基のBAを割り当て並列で鳴らし1基あたりの出力を下げることで、Knowles製と比較した低価格BAの差を補い、歪みを抑えた高域を実現しているようです。そのためある程度駆動力のある再生環境やリケーブルなどでゲインが上がってもほぼ歪むことは無く聴きやすさを維持します。いっぽうでボーカル域を中心とした全体のバランスを考慮した音作りのため、高域好きの方にはやや物足りなく感じる場合もあります。
中音域は凹むこと無く再生され、全体的にニュートラルな印象ですが、U字方向の傾向によりボーカル域は若干前傾しており、心地よい主張があります。ボーカル域は過度に寒色系にならず、十分な解像感と分離を持ちつつ、自然な音像表現と鮮やかな音色があります。
女性ボーカルの高音などの中高域にアクセントがあり伸びの良さを感じさせるのはU字傾向の多くのイヤホンと同様ですが、歯擦音を感じやすい音域がより強めに調整されている印象で、J-POPやアニソンなどでの高音ボーカルでの刺激をより聴きやすくまとめている印象があります。高域同様にこの辺の音作りに物足りなさを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、多くの場合、より刺激を抑えボーカルが聴きやすくポジティブに感じると思います。男性ボーカルも豊かな厚みがあります。音場は心地よい広さと深さがあります。分離は自然で演奏も自然な音色で再生されますが、ボーカル域がやや前傾するため、ドンシャリ的なレイヤー感は控えめ。広さを持ちつつある程度正確さのある自然な空間表現という感じです。
低域はミッドベース、重低音ともニュートラルな範囲内ではあるものの多少ブーストされており、カーボンファイバーの振動板によるダイナミックドライバーはパンチ力とスピード感のある心地よい質感で低域を鳴らします。ミッドベースがより強調されており、過度な響きや膨らみを抑えつつも僅かに温かく、自然な締まりの良さで、自然な余韻と臨場感を演出します。キレ重視の低域ではありませんが、籠もることは無く中高域との分離は良好です。重低音の沈み込みも良く、ある程度の重量感もあり質感も良好です。低域メインの音作りではありませんが、自然な臨場感もあり、分離も良く音数の多い曲でも窮屈さはないため様々なジャンルの音源でリスニングを楽しめそうです。■ まとめ
というわけで、「FiiO JH5」はアンダー100ドル級としても、国内版の1.5万円程度の価格設定で考慮しても、ビルドクオリティや音質面でかなりお買い得さを感じる仕上がりのイヤホンだと思いました。ニュートラル系でU字のバランスながら、低域を少しブーストした中低域寄りのサウンドで、ボーカル曲を中心に多くの音源で非常に心地よく楽しいリスニングが楽しめます。
同様な傾向の多くのイヤホンより、高域の刺激を感じやすい音域をより強めに調整しているため、高域好きの方には少し物足りなく感じる可能性がありますが、このチューニングによりFiiOでは定番のKnowles製BAを搭載しなくても一定のクオリティを維持しており、コスト面も含めて一石二鳥のアプローチともいえます。それでも高域、高高行きで2BAずつ割り当て、BA部分の質感を維持する事で、いわゆる低価格ハイブリッド的なギラつきを抑制する配慮もしているなどFiiOらしいこだわりも感じますね。敢えてウィークポイントを挙げるとすると、付属のプラケースは小物入れとしてはとても便利ですが、イヤホンケースとしてはちょっと使いにくいので、別途ケース等を用意した方が良いことくらいでしょうか。ただ個人的には近所の100均でもちょっと大きめのイヤホンケースが110円(税込み)で購入できるので、さほど全然デメリットとは思っていないわけですが(^^;)。