
こんにちは。今回は 「SIMGOT EW300 (Standard Edition)」です。SIMGOTが2024年後半にリリースした低価格ラインの「EW」シリーズのアップグレードモデルですね。10mmダイナミックドライバー+6mm平面駆動ドライバー+ピエゾドライバーの3ドライバーハイブリッドながら標準モデルは70ドル程度、DSPケーブル付きでも80ドル以下という低価格を実現し、解像感の高さとバランスの良さで驚かせる、なんかちょっと楽しくて凄いかもなイヤホンです。
■ 製品概要と購入方法について
「SIMGOT」は主にミドルグレードの高音質モデルを得意とする中華イヤホンブランドで、かつての代表的なモデル「EN700」シリーズは幅広いユーザーを獲得。現在はラインナップをさらに拡充し、ハイブリッド構成の「EM」シリーズに加えて、かつてのメインラインだった「EN」系を引き継ぐ「EA」シリーズ、そして低価格ラインの「EW」シリーズなど幅広く製品を展開しています。
今回の「SIMGOT EW300」は、アンダー100ドル級の「EW」シリーズながら、ダイナミックドライバー、平面駆動ドライバー、圧電(ピエゾ)セラミックドライバーを搭載する、トリプルドライバーハイブリッドモデルです。3種類のドライバーの音響特性のバランスをとるため広範な選定および調整を経て完成した「トライマトリックス音響アーキテクチャ」を採用しています。また本体は精密CNC成形による高密度合金製で高い耐久性を実現。鏡面処理により美しく仕上げられています。


「SIMGOT EW300」が搭載する10mm セラミックライク振動板ダイナミック ドライバーは、力強く詳細な低音と豊かなボーカルを実現し、6mm 小型平面磁気ドライバーとカスタム圧電(PZT)ドライバーは高周波を強化します。


また、「SIMGOT EW300」は、交換可能な2種類のチューニングノズルを採用。各ノズルには、独自のチューニングを採用し、それぞれ「SIMGOT-Golden2023」および「ハーマンターゲット(H-2019)」に基づくチューニングを提供します。どちらのノズルもバランスの取れたサウンドを実現し、豊かで高解像度のボーカルと、高音の空気感が強化された Hi-Fi 体験が提供されます。


「SIMGOT EW300」はゲーミングなどの用途にも最適な3.5mmプラグによる高純度銀メッキOFCケーブルが付属。さらに本体カラーがマットブラックの加工がされ、専用パッケージに収容された「HBB限定版(HBB Edition)」と、USB Type-C端子と専用DACチップを搭載した専用ケーブルが付属し、同様にマットブラックの本体カラーの「DSP Edition」が選択可能です。


「SIMGOT EW300」の構成および価格は「Standard Edition」(69.99ドル)、USB Type-CのDSPケーブルが付属する「DSP Edition」(79.99ドル)、HBB氏コラボによるブラックカラーの「HBB Edition」(75.99ドル)から選択可能です。
Linsoul(linsoul.com): SIMGOT EW300
「SIMGOT EW300」の国内正規品は2025年3月21日に発売になりました。
通常版が12,800円~、DSP版(マイクつき)が13,800円~となっているようです。
楽天市場(検索結果): SIMGOT EW300
「SIMGOT EW300」の国内正規品は2025年3月21日に発売になりました。
通常版が12,800円~、DSP版(マイクつき)が13,800円~となっているようです。
楽天市場(検索結果): SIMGOT EW300
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「SIMGOT EW300」のパッケージはゲーミング用途を意識したアイコンをイメージしたデザイン。3種類のモデルによってパッケージのカラーリングが異なります。今回は最もベーシックなスタンダード版を購入しています。


パッケージ内容は、本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、交換ノズル、よびシリコンリング、スポンジフィルター、ケース、説明書。


本体は金属合金製で、シェルデザインは「EW200」を踏襲し、アップデートされています。ゲームギアを意識したボタン風のフェイスデザインが特徴的ですね。


「スタンダード版」はメッキによる鏡面処理が行われており、「DSP版」と「HBB版」はマットブラックの仕上げになっています。シングルドライバー構成の「EW200」とほぼ同じ大きさのコンパクトなシェルですが「SIMGOT EW300」ではピエゾドライバーと6mm平面ドライバーが格納されている、というのは驚きですね。


「スタンダード版」および「HBB版」に付属するケーブルは0.78mm 2pin仕様の高純度無酸素銅銀メッキ線ケーブルで、「EA500 LM」に付属するものと同様ですね。ゴールドと黒の撚り線を透明な被膜で覆い左右2芯の撚り線にしているタイプ。やや細いですが使いやすい印象のケーブルです。
なお、各バージョンは「標準版」と「HBB版」は本体カラーの違い、「DSP版」は「HBB版」の同様のカラーの本体にDSPケーブルが付属、という点が異なるのみで、本体の傾向は同じなようです。


ノズルフィルターは標準のシルバーカラー(レッドリング)と、ゴールドカラー(パープルリング)の2種類のフィルターが付属します。標準のフィルターは「SIMGOT-Golden2023」に準拠してチューニングされており、ゴールドフィルターはハーマンターゲットカーブ(H-2019)を意識しつつ、ゲーミング用途に特化してチューニングされているとのこと。実際メーカーによるf値グラフを見ると中低域付近から低域にかけてH-2019よりかなりブーストされているのがわかります。さらに高域の刺激を抑制するためにスポンジフィルターも同梱されており、シルバー、ゴールド、どちらのノズルも挿入して使うことができます。
■ サウンドインプレッション
「SIMGOT EW300」の音質傾向はキレの良い明瞭感で楽しめる印象でバランスとしてはU字寄りの弱ドンシャリ。標準のシルバー(レッドリング)フィルターは、よりリスニング寄りのバランスで非常に心地よく鳴ってくれます。これに対し、ゴールド(パープルリング)フィルターは、バランスとしては低域の量感が若干増すものの全体的にメリハリを抑えニュートラルな方向の印象に変化します。
好みの違いもあるとは思いますが、「SIMGOT EW300」自体は結構主張のはっきりした解像感重視の音作りのため、リスニング目的であれば、ニュートラル傾向のゴールド(パープルリング)フィルターより、標準のシルバー(レッドリング)フィルターのほうがイヤホンの傾向とは合致しており、非常に心地よく思わず少し音量をアップして楽しみたくなる印象となります。いっぽうで、ゲーミング用途の場合は、ゴールドフィルターのほうがより正確な定位をもった音場表現で音の抑揚を明確に捉えるため、「SIMGOT EW300」の解像度が高く粒立ちの良い音作りは背後での微細な音も聞き逃さず、重要な局面で非常に有効に働く可能性があります。
また「SIMGOT EW300」が搭載する3種類のドライバーの組み合わせによるポテンシャルは非常に高く、特に情報量が多く純度の高いケーブルによるリケーブル効果は非常に高い印象。何種類かのケーブルを試しましたが、(イヤホン本体の価格より大幅に高額なケーブルも含めて)それなりにグレードの高いケーブルでもケーブルごとの違いをしっかり実感出来る実力を持っています。ただ、解像感や分離感を引き上げるタイプのケーブルでは相応に大きな変化が得られる反面、音数の多い曲などでは、より微細な音まではっきりとした主張で描写するため聴き疲れしやすくなる場合があります。
なお「標準版」「HBB版」の付属ケーブルは解像感や分離感という点では「SIMGOT EW300」の実力を引き出しているとは言えないですが、適度に聴きやすくまとめており、2種類のフィルターのどちらでも特徴をよく実感出来るという意味でバランスは良いと思います。また「DSP版」はある程度メリハリのある出力を搭載するDACが持つことで、「SIMGOT EW300」の実力を相応に引き出していると考えられますね。このような理由から「ゲーミング用途」では「標準版」または「HBB版」、リケーブル前提なら最も低価格な「標準版」かDSPケーブルも使い分けられるという意味で「DSP版」を選ぶのが良いかなと感じました。「SIMGOT EW300」の高域は明瞭で伸びのある音を鳴らします。「SuperMix 4」や最上位モデルの「EM10」でも搭載される大口径のPZT(ピエゾ)ユニットはピエゾドライバーが持つ人工的な印象を抑えつつ非常に直線的で伸びのある高高域を提供し、6mmの小口径平面駆動ドライバーは高域の歪みを抑え美しく伸びやかに再生させます。ハイハットなども鮮明でエネルギーがあり、また非常に優れた分離感によりより高い解像感で詳細に表現します。いっぽうで硬質になりすぎず、クリーンな印象のまま見通しの良い空間表現を行ってくれる点は特筆すべきでしょう。高域の表現については上位モデルの「SuperMix 4」にも匹敵しており、同価格帯の多くの製品を圧倒しているかもしれません。同時に、ゲーミング用途を想定したゴールドフィルターでは多少抑揚は減るものの刺激を抑え聴きやすさを増し、さらにライトに聴きやすさを求めるユーザーのために高域を抑制するスポンジフィルターを同梱するなど80ドル以下の価格帯故の配慮を忘れていない点も興味深いですね。
中音域はU字傾向のバランスらしく多少前傾しつつ、解像度が高く、優れた分離感を提供します。標準ケーブルではより温かみがあり、シルバーの標準フィルターではより鮮やかな音色を実感出来ます。前述の通りドライバーのポテンシャルは非常に高く、セラミックライク振動板は硬質ながら金属質にならず、ピエゾユニットとほぼ同様な質感のまま非常に解像感の高いクリーンな音を鳴らします。ケーブルや再生環境により大きく変化するため、「DSP版」の利用や、より情報量が多い銀メッキ線などのバランスケーブルの利用で大きく変化を実感出来るでしょう。音場は左右や上下は自然な広さがあり、よりニュートラルな印象のゴールドフィルターではリスニング的には無味無臭ですが正確な定位を実感出来るでしょう。標準のシルバーフィルターの場合、付属ケーブルではボーカル域が前傾し音場はやや狭く感じる場合もありますが、情報量が多く純度や(リッツ構造などで)ノイズ特性の高いケーブルへのリケーブルにより奥行きが一気に向上し、非常に深い空間表現を実感出来ます。
低域は量的にはニュートラルですが、非常にキレが良く力強さと存在感のある音を鳴らします。特に「SIMGOT-Golden2023」に準拠した標準のシルバーフィルターはドンシャリ的なパンチ力とエネルギーを感じる心地よく楽しい低音を鳴らします。前述の通り情報量の多いケーブルへの変更や、より駆動力がある再生環境では、思わず音量を少し上げてそのパワフルなサウンドを楽しみたくなります。ミッドベースは直線的で締まりがあるキレの良い音を鳴らしますが、非常にエネルギッシュで存在感があります。キレが良くスピード感がありますが同時に寒色になりすぎず自然な温かみで心地よさも感じます。重低音は重みがあり深く沈みつつ、解像感をしっかりもっています。そのためJ-POPやアニソンなどの中音域を中心としたボーカル曲でも心地よく低域で下支えするのはもちろん、低域を聴かせたハードロックやEDMも鮮明に描写され、インストゥルメンタルもとても心地よく感じます。ただ、標準ケーブルの場合、出力が不足するとやや物足りない低域になる場合があります。■ まとめ
というわけで、「SIMGOT EW300」は「やっぱりSIMGOTは音作りが上手いよね」という毎回書いてるみたいな感想に落ち着きつつも、上位モデルとははっきりと異なる明瞭さとバランスの良さの活かし方をしたイヤホンだと感じました。
リスニング的な正解かどうかはよくわかりませんが(^^;)、ゴールドフィルターではゲーミング用途で非常に強力なアイテムになる可能性がありますし、シルバーフィルターでは、ケーブルの組み合わせによりどの程度明瞭さを引き出すかによって多くのリスニング用途に対応出来る懐の深さを感じます。個人的には結構太めのケーブルにリケーブルして、あまりポータブルオーディオに詳しくない知人に聴かせたりして(普段聴いているイヤホンとの)違いに驚かせる、みたいな使い方ができて楽しそう、と思ったりしています(笑)。最近の売れ筋のTWS製品のように聴きやすくバランスは良いけど「SIMGOT EW300」の解像感とは真逆なイヤホンになれている「オーディオファンじゃない層」には結構衝撃的かもしれませんね。とりあえず時々出てくる「コスパってのはこーゆーときに使うんだよ」系イヤホンであることは間違いないと思いますよ(^^)。