
こんにちは。購入済み未レビュー製品を紹介する「棚からレビュー」ですが、今回はイヤホンでは無く据置きのSACDプレーヤー兼USB-DACの「SHANLING SCD1.3」です。昨年の6月の国内発売時に購入している製品ですが気がつけば冬もあと少しで終わってしまうので、また寒波がやってくるこのタイミングで仕上げることにしました。冬といえば「WHITE ALBUM2」、「WA2」といえばSACDなのです(なんのこっちゃ)。
■ 製品概要と購入方法について
ポータブルオーディオの世界で高い実績により確固たるポジションを築きあげている「Shanling」ブランドですが、同社が中国では据置きの製品も含めて結構老舗のオーディオブランドであることはマニアの間では周知のことでしょう。グローバルブランドとして定着してからここ数年は据置き型の製品のラインナップも大きく拡充しており、同社ならではの魅力的な製品が数多くリリースされています。
「SHANLING SCD1.3」は2024年春にリリースされ日本でも同年6月下旬に販売開始された、SACDに対応したハイグレードなCDプレーヤー製品で、AKM社フラッグシップDACチップセット「AK4191EQ + AK4499EX」を採用することでUSB-DACとしても利用可能なモデルです。ちなみに日本では未発売ですが、同様の筐体形状でMQA-CDに対応した「MCD1.3」やネットワークプレーヤーの「SM1.3」というモデルもリリースされており、今後日本でも購入可能になるかもしれないですね。
「SHANLING SCD1.3」はSACD(Super Audio CD)とCDの再生に対応。MediaTek ME1389EEプレーヤーシステムおよびSanyo HD870ピックアップレーザーを搭載したトレイ型ドライブを採用しています。SACDパッケージでは一般的なハイブリッドディスク(SACD層とCD層の2層構成のディスク)では専用スイッチにより再生層を切替え(青:SACD、赤:CD)ができます。
プレーヤーのD/A回路にはAKM社のフラッグシップセパレートDACシステム「AK4499EX + AK4191」を搭載。Shanlingの高性能DAP(デジタルオーディオプレーヤー)製品の「M9 Plus」をベースに開発・設計されたD/A回路を採用しました。またクロック・アルゴリズムにアップグレードされたKDS(大真空)社の90MHz & 98MHz水晶発振器と自社開発第4世代FPGAを搭載。全てのオーディオデータのデコードの際に、より優れた精度と高品質なパフォーマンスを提供することが可能です。
そして「SHANLING SCD1.3」はプリアンプに「MUSES8920」を採用し、高品位なプリアウトを備えることで、シンプルで高品位な2チャンネルスピーカーシステムを構築可能。ヘッドホンアンプには「TPA6120」を搭載し、最大1100mW(@32Ω)の出力に対応します。
本体背面には豊富なインターフェースを備えており、USB-DACとしてはUSB、SPDIF(同軸および光)入力、出力ではRCA、XLR、SPDIF(同軸および光)、そしてI2Sに対応します。


さらに、「SHANLING SCD1.3」はSACD/CDプレーヤーとしてはもちろん、32bit/768kHz PCM、DSD512に対応したUSB-DACとしても利用可能です。またBluetooth 5.0レシーバー機能(LDAC、aptX HD対応)、Wi-Fiレシーバー(AirPlay、DLNA、NAS)にも対応します。これらの機能はIngenic X2000プラットフォームによりMTouchタッチスクリーンおよびリモコン、アプリ等での操作が可能です。
アプリは専用アプリケーション「Eddict Player」をインストールすることで「SyncLink」機能によるリモートコントロールに対応します。


「SHANLING SCD1.3」のカラーバリエーションは「シルバー」と「ブラック」の2色。
価格は227,000円です。
Amazon.co.jp(MUSIN直営店): SHANLING SCD1.3
免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで「SHANLING SCD1.3」です。SACD関係というと2024年の2月頃にHDMIからI2S出力できるコンバーターをUSB-DACにつなぎ、SACDをDSD再生しよう、というネタ記事を書いています。
→ 過去記事:【ネタ記事】 HDMIからI2S出力できるオーディオスプリッタを見つけたので、さっそくSACDをI2S対応USB-DACで高音質DSD再生してみました。
しかし、実際のところは、この記事を投稿後しばらくして、この方法ではほぼ使わなくなりました。
その4ヶ月後に「SHANLING SCD1.3」を予約購入したからですね(^^;)。
つわけでSHANLING SCD1.3を購入しました。最終的にはどれかのアンプにつなげるつもりですが、とりあえずは電源投入して、と。至福ですね(^^ pic.twitter.com/B4HZ2E77TK
— bisonicr (@bisonicr) June 28, 2024
購入時点で、そのうちレビューも書こうかなと思っていたのですが、油断するとほんとうに時の経つのは早いですねぇ(しみじみ)。据置きのネタだと思わずじじぃぽくなってしまいますね(汗)。
閑話休題、「SHANLING SCD1.3」のパッケージですが、本体、リモコン、電源ケーブル、USBケーブル、説明書などが同梱されていました。私は「ブラック」を購入しています。


「SHANLING SCD1.3」はいわゆるミニコンポサイズの筐体を採用したオーディオシステムです。ミニコンポといっても昭和世代じゃないとピンとこないかも、という感じもありますが(汗)、現行の国内製品で言うとマランツの売れ筋ネットワークCDプレーヤー「M-CR612」と同じ横幅のサイズ感だと思って頂けると分かりやすいですね。顧客ターゲットととしても本来は「M-CR612」あたりとほぼ同じ、あるいは多少マニア度が高い程度を想定していると思われます。
最近ではSACDというとそれだけでマニア度がぐっと上がるのですが、実際はLuxmanとかのプレーヤーを使ってる層より相当カジュアルで、わりとホームユースなオーディオファイル向け、みたいな位置づけになるのでしょうね。ようするに「私」とかです(^^;)。


じっくり腰を据えた本格的なオーディオマニアの方々からすると、そもそも中華オーディオ自体がキワモノ扱いではあったと思うのですが、中華オーディオは背負ってるものが無いか少ない分、製品としても機能や内部仕様(チップ等)にしても新陳代謝が激しく、次々と新たな製品が投入されるため、ハスに構えつつ無視できない、みたいな感じでは無いかなと思ったり。本レビューではその辺には基本的に触れず(ここ大事)、普段ポータブルオーディオのレビュー書いてるヲタのおっさんがアクアプラスのSACD聴くため(笑)に購入した、という内容になっております。まあ私は「わきまえて」ますので(何を)。
というわけで、何を言っているのかよくわかりませんが、機能的なことは上記の説明部分に書いてあるとおりです。インターフェースがいろいろあって、同社の「EH3」なみのUSB-DACとしても使えそうなのは便利ですね。ただI2Sについては、「EH3」のようなUSB-DAC製品のI2S「入力」と異なり、「SHANLING SCD1.3」のI2S/LVS端子は「出力」ですので、基本はより高性能なDACなどにデジタル接続するイメージとなります。もっとも、これより上のレイヤーだといよいよガチ勢になりそうですし、通常のUSB-DACとしての用途であればまず問題ないでしょう。
■ 操作性およびサウンドについて
「SHANLING SCD1.3」の操作はフロントパネルのタッチスクリーン操作、リモコン、スマートフォンでの「Eddict Player」によるリモート操作、の3種類の方法があります。内部の制御系には「H7」や「EH3」など同社のポータブル/据置きのUSB-DAC等で採用されている「Ingenic X2000」プラットフォームが搭載され、タッチスクリーンは同社の独自OS仕様のDAPと同じ「MTouch」が採用されています。
そのため、操作感覚はDAP感覚で、据置き型の製品にはちょっと珍しいタッチセンサーによる「画面の上下スクロール」があります。というのも、大抵の場合、据置き製品では普段の操作はリモコンを想定していることが多く画面や本体ボタンは補助的な役割が多いためでしょうね。同様の事はSMSLのネットワークプレーヤー製品などでも言えるのですが、「SHANLING SCD1.3」も基本的にはデスクトップ、あるいはニアフィールドでの利用をメインに想定しているのだと思います。実際、「SHANLING SCD1.3」の持つさまざまな機能を利用しようと思うと画面の小さいフォントを近くで観る必要があり、それならリモコンよりタッチスクリーン操作のほうが合理的、というのはあります。
出力は据置きオーディオとしては当然ですがRCA(シングルエンド)、XLR(バランス)での音質がもっとも最適化されています。「SHANLING SCD1.3」はプリアンプに「MUSES8920」を採用しています。これに対しヘッドホンアンプは「TPA6120」を採用し(省電力)高パワー重視の設計になっています。
なお、同社の据置きUSB-DACの「EH3」ではオペアンプ・ヘッドホンアンプに「OPA1612」をクアッドで採用しており、よりオーディオ的な質感重視の「SHANLING SCD1.3」に対して、明瞭さや解像感、分離性などを重視し、ヘッドホンアンプとしての特性を高めた「EH3」みたいなアプローチの違いがみえて興味深いですね。アンプ部はヘッドホンアンプとしてほぼ完結している「EH3」に対して、「SHANLING SCD1.3」の場合は、電源コードを含め電源周りをクリーン化し、出力先をより本格化していくことでオーディオ的によりポテンシャルを引き出せる要素を持った設計ということのようです。
実際、RCAおよびXLR出力のサウンドは素晴らしく、いかにも中華オーディオ的なソリッドさは若干感じるものの音像の正確さ、鮮やかさ、空間表現はとても良く感じました。これに対しヘッドホン端子からの出力も音質的には非常に良く、またパワーもあるもののRCA/XLRと比較すると補助的な印象も感じさせます。
これらの要素を踏まえ、私の場合は「SHANLING SCD1.3」はニアフィールド用でデスクトップに配置し、アンプにはRCAで接続、XLRバランスには別途用意したヘッドホンアンプ「SMSL H300」を接続しました。RCAおよびXLRはラインアウトおよびプリアウトの両方に対応しており、私の場合はプリアウトで「SHANLING SCD1.3」側で音量調節を行うことにしました。
ちなみに、SACD(Super Audio CD)はCD(WAV 44.1kHz音源)とは容量の異なる独自層に音源はDSD64(2.8MHz)フォーマットで記録されています。このSACD層を読むためには専用のドライブが必要でフォーマットも専用であることからそれ自体が一種のコピープロテクトとして機能しており、DSDファイルの抽出(リッピング)などは違法とみなされます。いっぽうでSACDでリリースされている音源の中には少なくとも日本ではDSD形式での配信が行われていない楽曲も結構あって、「あえてSACDで楽しむ」メリットのひとつともいえます。
いっぽうでこれらのプレーヤー製品やUSB-DAC製品に搭載されるD/A回路、つまりDACチップはPCMと併せてDSDのネイティブデコードをサポートすることが多いですが、ことSACDプレーヤーについてはメーカー側のアプローチにより、DSDのままアナログへデコードする場合と、いったん88.2kHzのPCMに変換してからデコードする場合があります。そして、あくまで個人的な印象ですがSACDプレーヤーにおいてはDACのDSDデコードを使わずに、いったん88.2kHz PCMに変換してからハイレゾPCMの一種として再生する製品のほうが圧倒的に多い気がします。これはDAC以外の部分との相関関係で、圧倒的にサンプリングレートが高いDSDをそのままアナログ化するより24bit化して現実的なレートに変換した方がデコード時にノイズが減りクリアなサウンドになるという事なのだと思います。実際「SHANLING SCD1.3」においてもI2S出力で外部DACに接続し、SACDを再生すると、「88.2kHz PCM」でDAC側に出力されており、DSDからPCM変換を行っていることが確認出来ます。これがもの凄く高級なプレーヤーとかでは別の考え方を採用していることもありそうですので、「SHANLING SCD1.3」についてはデジタルとして現実的なアプローチをとっている製品、と捉えることができそうです。
なお、USB-DAC機能や「Eddict Player」アプリによる「SyncLink」でのリモートコントロールなどの機能については基本的には同社の「EH3」などの製品を踏襲していますので、よろしければそちらのレビューもん参照いただければと思います(^^;)。
→ 過去記事:「SHANLING EH3」 最新ES9039PRO搭載、USB等に加えBluetooth/WiFiおよびローカル再生も可能なハイエンド級マルチファンクションDAC/AMP【レビュー】
■ まとめ
というわけで「SHANLING SCD1.3」ですが、20万円オーバーの中華CDプレーヤーとかいうと友人知人はだいたい目を丸くしますが、個人的には非常に良い買い物でした。
昨年くらいからSHANLINGも新しいCDプレーヤー製品を次々と発売しており、配信メインの時代でも「あえてCDを楽しむ」というオーディオライフのスタイルも再評価されてきていますね。実際マランツのネットワークCDプレーヤーは最初の「M-CR610」の頃から現在の「M-CR612」までずっと人気商品ですし、現在はよその子になった某ONKYOのCRシリーズも個人的には大好きでした。そこから「ちょっとだけマニアに振った製品(笑)」と考えれば、それほど違和感はないのかもしれませんね。
私の場合、既に十数年ほど福井の自宅と東京の仕事場の2拠点生活をしてますが、最初に東京で仕事場に借りたマンションはとても狭かったため、オーディオはマランツの「M-CR610」とDALIの「ZENSOR1」による当時の定番セットを置きました。現在なら良い感じで鳴ってくれるブックシェルフのアクティブスピーカーも色々ありますので、「SHANLING SCD1.3」を組み合わせれば、SACDも含めてより豊富なコンテンツを高音質で楽しめるようになりますね。もっとも最近ではさらにターンテーブルが欲しくなったりもするので、結局はコンパクトにならない、というオチはあるわけですが。それはさておき、いまとなってはSACDの新譜はほぼ無く、今後はMQA-CDの新譜のほうがまだリリースの確率は高そうですし、ドライブを製造しているメーカーも限られていますので、既にお気に入りのSACDを何枚か持っている方であれば「SHANLING SCD1.3」を「今のうちに」検討してみるのもよいと思います。おそらく今後は「MCD1.3」なども控えていると思いますので(^^;)。またいわゆる「ガチ勢」の方も、中華オーディオも色々試しているアグレッシュブなマニアさんにぜひとも聴いてもらいたいですね。音質面について、製品としては良く出来ていると思いますので、高級オーディオとの組み合わせでどの程度ポテンシャルを引き出せるのかとても興味があります。