SIMGOT SuperMix 4

こんにちは。今回から購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」企画で、ずっと書きかけのままになっていた「SIMGOT」製イヤホンのレビューを4機種ほど紹介しようと思っています。今回は昨年発売された「SIMGOT SuperMix 4」です。

■ 製品概要と購入方法について

「SIMGOT」は主にミドルグレードの高音質モデルを得意とする中華イヤホンブランドで、かつての代表的なモデル「EN700」シリーズは中華イヤホンを枠を超えた人気モデルとして幅広いユーザーを獲得していました。現在はハイブリッド構成の「EM」シリーズに加えて、かつてのメインラインだった「EN」系を引き継ぐ「EA」シリーズや低価格ラインの「EW」シリーズなどのラインナップを展開されています。
→ 過去記事(一覧): SIMGOT製イヤホンのレビュー

今回の 「SIMGOT SuperMix 4」は「EM」ラインとは異なる新しいハイブリッドモデルで、4つの異なる原理のドライバーの組み合わせ、同社の革新的な音響フレームワークと科学的なチューニング技術により製品化された意欲作です。入念に調整された「4-in-1マトリックス音響アーキテクチャ」により、正確な周波数応答と全体的な優れたバランスを実現しています。
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SIMGOT SuperMix 4」のドライバーにはダイナミックドライバー、BAドライバー、平面駆動ドライバー、ピエゾドライバーを各1基ずつ搭載。低域用の10mmダイナミックドライバーはリッチで没入型の低音により全体的なリスニング体験を向上させ、中音域のBAドライバーは高密度で洗練されたディテールを備えた豊かで滑らかなサウンドを提供。さらにマイクロ平面ドライバーにより低歪みと広い帯域幅で高周波をカバーし、豊かなディテールと自然なトーン品質を提供します。そして多層セラミックコーティングと銅基板を備えたピエゾ(PZT圧電)トランスデューサーは高域および高高域を補完し、風通しと解像度を向上させます。
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SIMGOT SuperMix 4」は高度なチューニング技術を採用しており、独立したサウンドパスと4Wayクロスオーバーを組み合わせています。 この設計により、ドライバー間の不整合と歪みが最小限に抑えられ、スムーズで連続的な周波数応答を実現。
シェルは精密な3Dプリントによる樹脂ハウジングとCNC機械加工されたフェイスプレートを採用。さらに各ドライバーの正確なサウンド制御のため個別に音響ダクトが設計されています。 
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SIMGOT SuperMix 4」の価格は149.99ドル、日本国内では29,700円前後で販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): SIMGOT SuperMix 4


HiFiGo(hifigo.com): SIMGOT SuperMix 4


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SIMGOT SuperMix 4」のパッケージはグリーンを基調として製品画像を掲載した化粧カバーで覆われています。4種類のドライバーを前面に出したイメージですね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ケース、説明書等。
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本体は3Dプリントによる樹脂製のハウジングと金属製のプレートで構成されます。フェイス形状はTFZあたりの製品にも似た「よくあるタイプ」のカナル型風ですが、装着するフロントキャビティ部(ハウジング部)は3Dプリントらしく、より耳にフィットしやすい形状で成形されています。
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4種類のドライバーを搭載し少し大きめのシェルサイズになったものの、金属製の「EA」シリーズなどと比べるとかなり軽量で、装着性もまずまず良好です。イヤーピースは付属品のほかよりフィット感を得られるものに交換するのも良いでしょう。私は例によって「TRN T-Eartips」を選択しました。
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ケーブルは無酸素銅銀メッキ線材を使用したリッツ構造のケーブルによる4芯タイプ。シルバーとダークシルバーの線材を1対して撚り線でまとめて被膜で覆っており、さらに左右で2本で撚り線にしています。適度な太さで透明な被膜は弾力があり、取り回しも良い印象です。


■ サウンドインプレッション

SIMGOT SuperMix 4SIMGOT SuperMix 4」の音質傾向は伸びの良い高域と力強い低域を持つバランスの良いサウンド。f値的には最近のハーマンターゲットカーブ(H-2019v2)にほぼ準拠したチューニングが行われているらしく、U字に近いバランスになっているとのこと。しかし実際に聴いてみると非常に伸びやかでスッキリした高域とパワフルな低域により、思ったよりV字方向でドンシャリ的な印象を感じやすいサウンドですね。
特にマイクロ平面ドライバーと大きめのサイズのピエゾトランスデューサーのコンボによる高域はスッキリして非常に伸びやかで、高域好きの心を確実にわしづかみにするような印象です。低域もパン知力がありとてもエネルギッシュな印象ですが、開封直後よりある程度鳴らし込んでからのほうが傾向がはっきりした印象があります。ある程度エージングを行うのが良さそうですね。またボーカル域は多少前傾しているものの高域と低域の主張により中音域自体は少し凹む印象があります。

仕様としてはインピーダンス7.2Ω±15%、感度120dB/mWと、音量はやや取りにくく、また4種類のドライバーをしっかり駆動させるためにある程度の電流量を必要とします。そのため十分にパワーのあるアンプやプレーヤーを組み合わせる方が印象は向上します。小型のオーディオアダプターで多少物足りなく感じる場合、リケーブルによるバランス化などで駆動力を稼ぐ方法もありますが意図せずバランスが崩れることもありそうですので、何種類かのケーブルで再生環境に合せて試してみる方が良いでしょう。

SIMGOT SuperMix 4SIMGOT SuperMix 4」の高域は直線的でスッキリした伸びの良さがあり、ある程度主張を持った明瞭な音を鳴らします。マイクロ平面ドライバーとピエゾトランスデューサーと組み合わせは非常に強力な高域をもたらしていますね。硬質な印象ながら金属質なギラつきは無く、解像感および分離の高いスッキリした音で、高高域までまっすぐ見通せる透明感があります。いっぽうで歯擦音は抑制され、ささりなどはほぼ感じないチューニングで、伸びやかな高域を存分に堪能できる印象です。

中音域はニュートラルで癖の無い音を鳴らしますが、高域と低域の主張により曲によってやや凹みます。ボーカル域は女性ボーカルの高音や男性ボーカルは適度な温かみと厚さがあり、主張としてはやや前傾しますが、定位は自然な距離を保っており近すぎることはありません。
SIMGOT SuperMix 4いわゆるミッドセントリックなボーカル主体の音作りとは異なりますが、ボーカル曲も不満なく再生できる印象です。
中音域も硬質でスッキリした印象ですが、中高域からの各ドライバーのとつながりは滑らかでハイブリッドにありがちな人工的な印象は最小限に調整されています。また高域同様に解像感は高く演奏とボーカルとの分離も自然かつ明瞭です。透明感が高く見通しの良い音場で心地よいレイヤー感を感じさせます。音場は適切な広さがありと奥行きがあり、付属ケーブルでも立体感のある空間表現を実感出来ます。

SIMGOT SuperMix 4低域は直線的な印象ながらパワフルでスピード感と締まりのある音を鳴らします。ハーマンターゲット準拠のバランスの良いサウンドのため、再生環境によって少し軽めに感じる場合もありますが、エージングによって厚みに多少の変化があるようです。ミッドベースは過度のブースト感は無く原音に忠実に刻む印象ですが、1音1音に力強さがあり、また締まりの良さがある直線的な鳴り方のため存在感も感じやすく、質感も良好です。重低音は適度に沈み、またキレの良さがあります。他の音域のドライバー同様に低域用のダイナミックドライバーも品質の高さを感じさせます。


■ まとめ

SIMGOT SuperMix 4というわけで、「SIMGOT SuperMix 4」は4種類のドライバーを組み合わせたハイブリッドという、結構「イロモノ」感もあるモデルですが、そこはSIMGOTというか、実に手堅く、ドライバーの特性を活かした音作りをしている点に改めて感心しました。
特に150ドルほどのイヤホンでこの高域の質感を持ちつつ、聴きやすく、全体のバランスも非常に良いというイヤホンは他にはなかなか見つからないのでは、と感じさせます。スペック的にも音質的にもかなりディスカウントな印象です。
ちょっと再生環境を選んだりリケーブルの相性が少し難しかったりする側面はありますが、マニアであれば持っていて損はない非常に良いイヤホンだと思います。あ、あと見た目が「EAシリーズ」あたりの機種より地味なのはスペックとのトレードオフということで(^^;)。
次回も「棚からレビュー」でSIMGOTのちょっと前の機種になる予定です。


タグ :
#SIMGOT
#構成:1BA+1DD+1PZT+1Planar
#ドライバー:平面駆動
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A100USD~)
#ドライバー:PZT(圧電)
#有線イヤホン:2万円台