SIMGOT EA1000 (Fermat)

こんにちは。前回に引き続き購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」企画で、4回に分けて「SIMGOT」製イヤホンのレビュー紹介しています。今回は結構以前から書きかけのままになっていた「SIMGOT EA1000 (Fermat)」です。10mmドライバーに6mパッシブラジエーターを加えた仕様のミドルグレードモデルですね。

■ 製品概要と購入方法について

「SIMGOT」は主にミドルグレードの高音質モデルを得意とする中華イヤホンブランドで、かつての代表的なモデル「EN700」シリーズは中華イヤホンを枠を超えた人気モデルとして幅広いユーザーを獲得していました。その後、数年間は100ドル前後の比較的エントリークラスの製品が多かったものの、2022年秋頃から「EN700」系を受け継ぐ「EN1000」、ハイグレードモデルの「EA2000」、と普及モデルの「EA500」を相次いで発売し再び大きな注目を浴びました。今回の「EA1000」と次回掲載予定の「EA500 LM」はEAシリーズで2023年以降追加されたモデルです。
→ 過去記事(一覧): SIMGOT製イヤホンのレビュー

今回の「SIMGOT EA1000」は過去にレビューした「EA2000」と同様にパッシブラジエーターを備えた「1DD+1PR」構成のモデルです。10mm フルレンジ ダイナミック ドライバーと 6mm 軽量複合振動板のパッシブラジエーターを組み合わせることで、応答性が高く安定性と駆動性をもったサウンドを実現しています。
本体はガラスフェイスプレートと高精度CNC加工された合金製の金属シェルを採用し鏡面処理により仕上げられています。チャンバー内面に独特で微妙な凹凸つけることで定常波を抑えピュアサウンドを実現しています。
SIMGOT EA1000SIMGOT EA1000

既存の「EA2000」では12mmサイズのダイナミックドライバーを搭載していましたが、「SIMGOT EA1000」では10mmサイズの「第2世代DMDC™ ダイナミック ドライバー」を採用。振動板にはSIMGOTが3年かけ開発した「SDPGD™スパッタリング蒸着パープルゴールド振動板」を採用。従来のチタンやベリリウム振動板とは異なり、パープルゴールド振動板は、特殊なベースフィルム上に透明でカスタムターゲットの多層スパッタリングによる蒸着により、高剛性、高硬度、軽量、そして深みのある低音に必要な弾力性など、注目すべき特性を持っています。さらに「第2世代のDMDC™」では「EA2000」よりアップデートされたデュアルマグネット&デュアルキャビティ構造を採用。「SIMGOT EA1000」では高周波制御も大幅に改善され、ダイナミック レンジ、過渡応答が向上し、周波数範囲が拡大されています。
SIMGOT EA1000SIMGOT EA1000
そして「SIMGOT EA1000」でも「EA2000」で高い評価を得た6mmサイズのパッシブラジエーターを搭載。空気の膨張および圧縮に合わせて発生する音により低域の量感が増し、より深みのあるサウンドを実現します。
またステム部には交換可能なノズルフィルターを採用。ステンレス製ノズル2種類、真鍮製ノズル1種類の3種類のノズルフィルターが付属し、変更によりチューニングスタイルを変更し、製品好みの音質に調整が可能です。
SIMGOT EA1000SIMGOT EA1000

SIMGOT EA1000」の価格は219.99ドル、日本では税込み39,600円で販売されています。
Amazon.co.jp(国内正規品): SIMGOT EA1000


Linsoul(linsoul.com): SIMGOT EA1000 (Fermat)


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは製品ロゴを記載したシンプルなデザイン。SIMGOT製品は製品ごとにパッケージの化粧カバーのデザインを変えているのが面白いですね。
SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000 (Fermat)
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換ノズルフィルター、交換用リング、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズ)レザーケース、説明書など。
SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000 (Fermat)

本体は金属製のシェルで、ガラスコートされたフェイスプレートが高級感があります。装着面(フロントキャビティ)にはパッシブラジエーターが出力するベントがあるのが特徴的ですね。コネクタは0.78mm 2pin仕様で僅かに窪んでいますが浅く、中華2pinタイプのケーブルでも利用可能です。
SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000 (Fermat)
フェイスデザインは上位モデルの「EA2000」のデザインを踏襲しています。サイズ的には「SIMGOT EA1000」のほうがひとまわり小さく、多少の重量感はあるものの耳に収まりやすくなっています。
SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000 (Fermat)
ケーブルにはリッツ構造による銀メッキ高純度無酸素銅ケーブルが付属します。左右2芯の撚り線タイプである程度の太さがありますが取り回しは良い印象です。

SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000 (Fermat)
また「SIMGOT EA1000」では「EA500」のようなフィルターノズル方式になりました。「EA2000」「EN1000」がケーブルプラグで傾向を変える方式でしたが、やはり一般的なプラグ交換式の法がリケーブルなどでの利用もできるため便利ですね。
SIMGOT EA1000 (Fermat)フィルターノズルの違いにより、SIMGOTの伝統的なサウンドバランスである「SIMGOT-Golden 2023」ターゲット準拠の「クラシック」(真鍮製ゴールドノズル/白色リング)、ハーマンターゲット(H-2019)準拠の「ポップ」(ステンレス製シルバーノズル/赤色リング)、正確な定位で楽器音や女性ボーカル向けの「インストゥルメンタル」(ステンレス製シルバーノズル/黒色リング)の3種類のチューニングスタイルに変更することが可能。ステンレスノズル/黒色リングのみフィルター材が詰まっているのが特徴的です。


■ サウンドインプレッション

というわけで、次回の「EA500 LM」と併せて購入後してから結構経ってる今回の「SIMGOT EA1000」ですが(^^;)、2023年の発売ながら、2025年現在の最新の製品と比較しても全く色褪せない、非常に優れたバランスのイヤホンです。
SIMGOT EA1000 (Fermat)SIMGOT EA1000」の音質傾向でベースとなるのは「ポップ」フィルター(ステンレス製/赤リング)での組み合わせで、チューニングとしてはハーマンターゲットカーブ(H-2019)準拠のチューニングです。
ドライバーのサイズは「EA2000」の12mmより少し小さく一般的な10mmサイズになっていますが、金蒸着の振動板と高度な磁気回路により低歪み性能およびレスポンスは非常に高く、解像感、分離、音像表現、空間表現のどれをとっても200ドル級のイヤホンのトップレベルに位置するものです。また「EA2000」でも採用されているパッシブラジエーターにより10mmドライバーの低域の質感を維持したまま綺麗にブーストしており一貫した質感と滑らかな連続性を維持したままインパクトと存在感をもたらしています。

標準のステンレス製赤リングの「ポップ」フィルターは、前述の通りバランスとしてはH-2019のハーマンターゲットカーブに準拠してチューニングされており、バランスが良く僅かにW字傾向の弱ドンシャリで再生されます。女性ボーカルの高音などの中高域にアクセントがあり、男性ボーカルにも厚みがあるため、ボーカル域は若干前傾して感じるのもこの傾向の特徴ですね。
SIMGOT EA1000」においてもボーカル域に鮮明な存在感があり、同時に非常に高い解像感と見通しの良さから演奏と綺麗に分離します。

SIMGOT EA1000 (Fermat)高域は非常に伸びやかで見通しの良い音を鳴らします。解像感は高くしっかり煌めきも感じさせる非常に綺麗な音です。透明感も高く、鋭い音は鋭く明瞭に鳴りますが、歯擦音はほぼ無く、刺さりもギリギリのところでコントロールされている印象。
中音域は僅かに凹みますがボーカル域が前傾することで演奏と綺麗に分離し、心地よいレイヤー感で空間を表現します。音場も適切な広さもあり、適度に温かみと余韻のある自然な印象ながらスピード感のある音色で聴き応えのあるサウンドを提供します。
低域はパッシブラジエーターにより、ダイナミックドライバーの低域を適度にブーストしており、中音域同様のレスポンスの良さと滑らかさを持ちつつしっかり分離し存在感を感じさせます。突出して低域が強調しているわけでは無いため低域好きの方向けのサウンドではありませんが、力強さとともに解像感の高さがミッドベースおよび重低音であり、さまざまなジャンルの曲で適切に下支えする印象です。

SIMGOT EA1000 (Fermat)また真鍮製の「クラシック」(ゴールドノズル/白色リング)ノズルは「EN700 Pro」などSIMGOTのかつての代表的なモデルで採用されていた伝統的なターゲットカーブをアップデートした「SIMGOT-Golden 2023」に準拠してチューニングされています。3種類のノズルの中でもっとも近く、ボーカル域はより温かく甘さがあり、高域は煌びやかがあります。個人的にはこのチューニングは非常に好みで、フィルター名としては「クラシック」と記載されていますが、アニソンなどのボーカル曲とはもっとも相性が良いかもしれませんね。

そしてステンレス製で黒リングの「インストゥルメンタル」(シルバーノズル/黒色リング)は、他の2種類のフィルターと比較して最もニュートラルでフラット方向に近いサウンドバランスになります。SIMGOT EA1000 (Fermat)そのためボーカル域が前傾することは無く、自然な距離感で定位するため、フィルター名として「インストゥルメンタル」と名付けられているのでしょう。しかし実際はあらゆるジャンルでバランス良く表現でき、より音源に忠実なサウンドを好まれる方には最適です。またニュートラルなバランスのため「SIMGOT EA1000」の持つ中高域から高域にかけての美音系ともいえる表現の美しさが際立ち、女性ボーカルやピアノなどの表現をより楽しみたい場合にも最適です。音場は最も広く表現されますが、低域の量感はニュートラル的で最も大人しく感じるかも知れません。

3種類のフィルターとも、他の製品でよく見られる単なる高域強化や低域強化などあまり意味の無いフィルターとは異なり、それぞれのフィルターで特徴があり、好みや用途に応じて使い分けられるのが好印象ですね。またフィルターノズルをある程度頻繁に交換することを見越してリングパーツを予備で多く同梱しているのも有り難いですね。


■ まとめ

SIMGOT EA1000 (Fermat)というわけで、書きかけのまま仕事が立て込んでいたり、依頼のレビューを優先したりで、相当長いこと未公開のままになっていた「SIMGOT EA1000」のレビューですが、仕上げるに当たって改めてじっくり聴いてみて、やはりその完成度の高さを実感しました。
個人的には上位モデルの「EA2000」も結構好きなイヤホンですが、より元気でハキハキした印象ながら適度に余韻もあってバランスも良い、という印象の「SIMGOT EA1000」はオールラウンダーとしての使い勝手の良さでやはり優れていると感じます。ニュートラル系の美音イヤホンで、リスニング的な楽しさもしっかり堪能したい方には現在も有力な選択肢のひとつだと思いますよ。


タグ :
#SIMGOT
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#中華イヤホン(A200USD~)
#価格帯/グレード:200-399USD
#有線イヤホン:3万円台・4万円台
#構成:1DD+1Passive