
こんにちは。7月に入っていろいろ多忙につきレビューがすっかり滞っております(すみません)。例によって色々な製品が届いていますし購入したイヤホンも結構ありますので、8月にかけて復活して行けたらと思っています。
さて、今回は 「Binary Dynaquattro」です。3種類のダイナミックドライバーと1基のパッシブラジエーターによる4ドライバー構成のミドルグレード製品です。
■ 製品概要と購入方法について
「BINARY Acoustics」は中国のイヤホンブランドで、2017年頃から本格的に製品をリリースしています。2017年にリリースされた「BINARY EP1」など日本ではややマイナーながら評価の高い製品をリリースしています。最近では「Gizaudio」とコラボした「Gizaudio × Binary Chopin」が非常に好評だったのが記憶に新しいですね。
さて今回の「Binary Dynaquattro」は10mm、8mm、6.8mmの3種類のダイナミックドライバーと1基の6mm パッシブラジエーターを備えた4ドライバー構成のイヤホンです。3Wayクロスオーバーによる広範なダイナミックレンジとパワフルでクリアなサウンドを楽しめるミドルグレード製品です。
CNC加工されたアルミニウム合金によるフェイスプレートと高精細3Dプリントによるシェルによる高級感のあるデザインが特徴的です。


搭載されるドライバーユニットは、高域用の「6.8mm 高剛性アルミニウム平面振動板ダイナミックドライバー」はユニット全体がアルミニウムで構成され明瞭で詳細な高周波帯域を提供。中音域用の「8mm セラミックダイナミックドライバー」は高速なトランジェントと詳細なディテールを実現。
そして低域用の「デュアル振動板ダイナミックドライバー」は10mmサイズのチタンドーム+シリコン振動板ダイナミックドライバーと6mmペーパーコーン振動板パッシブラジエーターにより構成され、鮮明で洗練された低音域と豊かなディテールが実現されます。


「Binary Dynaquattro」ではこの3種類どドライバーユニットを3Dプリントによる精密なシェルデザインにより3Wayの物理クロスオーバーを正確に設計。空気圧バランス及びフィルターによりドライバー間の歪みを極限まで抑え、豊かで繊細、かつ階層化されたサウンドを生み出します。


「Binary Dynaquattro」の購入はの購入はHiFiGoの直営店またはアマゾンの店舗にて。
価格は259.99ドル、アマゾンでは44,068円です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして HiFiGo より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージデザインはフェイスプレートと同様のギア(歯車)をモチーフにしたデザインで、シンプルながらこだわりを感じさせます。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換プラグ(3.5mm/4.4mm)、イヤーピースは2種類でそれぞれS/M/Lサイズ(ケース入り)、ハードケース、説明書。ケースは密閉型の樹脂ケースが付属します。


本体は3ユニット、4ドライバーのダイナミックドライバーを搭載するためやや大きめ。3Dプリントによる樹脂製のシェルとアルミニウム合金製のフェイスプレートによる構成です。3Dプリントによるシェルデザインは「Moondrop Variation」あたりに結構近いサイズ感ですね。ギアデザインのフェイスプレートは非常に個性的でクールな印象を与えます。


ステムノズルも「Variation」同様に結構太めで、付属イヤーピースも太いノズルに合わせた軸穴の大きいタイプが付属します。そのためイヤーピースを交換する場合はスパイラルドットなど軸が太めのもので試して見るのが良さそうですね。ステム部分が長いためシェルサイズは大きいですがイヤーピースをしっかり合わせれば装着性はそれほど困ることはないでしょう。


ケーブルは3.5mmと4.4mmの交換可能なプラグを備えたOFC銀メッキ線の4芯ケーブル。硬めの被膜ですが4芯撚り線のための取り回しは比較的良好です。プラグはネジ式でしっかり固定できるため交換式ですが強度的にも問題ない印象です。
■ サウンドインプレッション
「Binary Dynaquattro」の音質傾向は非常にバランスの良い、いわゆる○○ターゲット的な弱ドンシャリ。4種類のドライバーによるコンビネーションは非常に上手く機能しており、適度に聴きやすく、広い音場感と深みのあるサウンドを楽しむことが出来ます。ちなみに、この手の傾向のイヤホンは昨今非常に多く、最近では最も一般的な音作りと言えなくもありませんが、このようなニュートラル寄りのリスニングサウンドは僅かなチューニングの違いやドライバーの質感で粗さが出やすく、安定して優れた印象を持つ製品は実はそれほど多くはありません。具体的にはSIMGOTやKiwi Earsの高評価の製品などが挙げられるでしょう。「Binary Dynaquattro」についてはサイズの異なる3種類のダイナミックドライバーと、さらに低域用ドライバーとシャーシを共有するパッシブラジエーターという、より複雑な構成を採用しているためこれらの製品より多少高額な設定となっていますが、それに見合うバランスの良さがあり、さらにハイブリッドのように方式の異なるドライバーではないため、より一体感があり、パワーと深みを感じさせるサウンドに仕上がっています。
マルチドライバー故に、というかパッシブラジエーターが本気を出すためには結構駆動力のあるDAPやアンプなどの再生環境が必要で、オーディオアダプター等では低域の深みがあまり得られない点や、高域が少し大人しめに感じる点を除けば、非常に広く深さのある音場感と豊かな表現力とニュートラルなバランスの良さを両立した手堅い印象のリスニングイヤホンだと感じます。「Binary Dynaquattro」の高域は僅かに温かみを感じさせつつ全体としてバランスが良く明瞭な音を鳴らします。明るすぎず暗すぎず、適度に聴きやすく自然な印象の高域です。小型のオーディオアダプタなどでは中低域に比べて主張が控えめに感じる場合がありますが、ある程度駆動力のある再生環境で特にバランス接続では明瞭感が向上します。歯擦音などはありませんが刺激を感じやすい帯域に少しアクセントがあります。そのため解像感も自然な範囲で確保されています。
中音域は凹むことなく適度な主張を持ちつつニュートラルで癖の無い音を鳴らします。色彩豊かで僅かに温かみがあり、同時にボーカル域を中心に明瞭さがあり解像感も優れています。また音場は幅および奥行きとも広く立体感があります。若干寒色寄りですがハイブリッドのような派手さはなくスピード感やキレの良さより自然な空間表現を楽しむ印象。ボーカル域は女性ボーカルの高音などの中高域にアクセントがあり男性ボーカルは豊かさと深さがあります。定位も自然ですが、ハイブリッドほどメリハリがあるわけではないため、再生環境によってはもう少し分離感が欲しいと感じる場合があります。余裕のあるゲインコントロールができノイズ特性の高いDAPやアンプを使用し、バランス接続で聴くことで分離感が向上し、より微細なディテールを実感出来るでしょう。低域はパンチ力があり直線的で締まりの良い印象に加え、非常に深くエネルギーのある重低音に分離の良さと高い質感を実感させます。ただししっかり鳴らすためには上流にパワーが必要です。
十分に駆動力のある再生環境では、10mmのチタンドーム+シリコン振動板ユニットは非常にパワフルかつキレのある印象で、ミッドベースは強調感は無いものの心地よいインパクトと締まりの良さがあります。またハイブリッドのようなクロスオーバー部分での谷のような箇所はなく、シングルドライバーのような自然なつながりの良さも感じさせます。さらにパッシブラジエーターの効果もあり重低音は非常に深くエネルギーがあり、重量感のある音を鳴らします。同時にレスポンスも良好な印象です。
■ まとめ
というわけで、「Binary Dynaquattro」は3種類のダイナミックドライバーと1基のパッシブラジエーター構成を採用した250ドルオーバーのミドルグレード級のモデルでしたが、特にボーカル曲を中心にバランスの良さと低域の質感、そして臨場感のある音場表現を楽しみたい方には十分に価格に見合う品質をもったイヤホンという印象でした。
とはいえ低域モリモリというわけではないので、メリハリ重視よりはあくまでもニュートラル方向のリスニングサウンドとしてのイヤホンとして楽しめる印象です。最近は200ドル~300ドル級の製品も非常に増えてきており、どれも高い技術による相応のサウンドを実現しているためなかなか選択が難しいところですが(音質傾向がハーマン寄りにまとまっているという理由もありますね)、製品それぞれの特徴もしっかりあるため、自身の好みと照らし合わせていくか、いっそ全部揃えるか(笑)みたいな感じになるかもしれません。なかなか悩ましいところですね(^^;)。