
こんにちは。今回は 「QKZ x HBB Hades」です。怪しい低価格中華ブランドとして数年前から台頭してきている「QKZ」とお馴染みHBB氏コラボの第3弾。今回はLCP振動板の9mmダイナミックドライバーを2基並列配置し、極端なまでの低域押しの変態サウンドで仕上がった、マニア向けの50ドル級イヤホンです(^^;)。
■ 製品概要と購入方法について
「QKZ」はここ数年AliExpressを中心に、どこかで見たことがあるような、ちょっと怪しい激安中華イヤホンを数多くリリースしてることでコアなマニアではお馴染みになっているブランドですが、実は結構実績のあるOEMメーカーらしいという情報もあります。そんな同社が最近では結構お馴染みの「HBB(hawaiibadboy)」氏とのコラボによるイヤホンを相次いでリリースしており、私のブログでも紹介しています。今回の「QKZ x HBB Hades」は、その第3弾となる2DD構成モデルです。


前回のコラボモデル「Khan」も2DD仕様でしたが、「Khan」は7.8mmと10mmのドライバーの組み合わせだったのに対し、今回の「QKZ x HBB Hades」では2基の9mm LCP振動板ダイナミックドライバーを並列で組み合わせる構成を採用しています。2基のドライバーにはそれぞれの守備範囲が割り当てられており周波数スペクトルを分割することでLCP振動板の高い剛性と応答性を活かした適切なチューニングを実現。全高調波歪みを最小限に抑えながら、周波数スペクトル全体での出力を最適化しています。


本体はDLP 3Dプリンティングにより成形されており、2基のドライバー間をつなぐ音導管設計によりクロスオーバーを最適化。サウンドチューニングはHBB氏とのコラボによりコミュニティの意見を取り入れ最適化しています。


「QKZ x HBB Hades」の購入はLinsoul(linsoul.com)またはアマゾンのLINSOUL-JPにて。
価格は50.99ドル、アマゾンでは7,380円です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージはアメコミ風にコマ割りされた背景に製品画像を載せたポップなイラストパッケージの化粧カバーで覆われています。裏面には製品仕様等が詳細に記載されています。内箱もしっかりしていますね。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ゴールドからのメダルとメダルケース、プラスチック製のイヤホンケース。メダルは「Khan」に付属していたものと同じで、結構巨大です。そしてこの手のオマケの有り難みが相変わらず分からない私であります(汗)。


本体は3Dプリントによる樹脂製で、見た目的には「Truthear ZERO」ぽさもありますが、「QKZ x HBB Hades」はステムノズルは同様に太いもののシェルサイズ自体はより耳に収まりやすい形状です。


ドライバーが9mm×2基となったことで多少収まりはよくなったのかも、という気もしますが、透けて見えるドライバーは結構ギチギチにはいっているのが伺えますね。イヤーピースは太めのノズルにあわせた軸部分が大きいタイプが付属します。


ケーブルは「Khan」と同じOFCの撚り線タイプ。コネクタは中華2pinのため、適時リケーブルするのもよいでしょう。
■ サウンドインプレッション
「QKZ x HBB Hades」の音質傾向は、うーん、低音ズンドコ系?(笑)。バランスとしてはQKZとHBBの最初のコラボの「QKZ × HBB」のゴリゴリ低音推しドンシャリの傾向を踏襲しており、その傾向を「過剰なまでに」ブースとした印象。中音域の下の方からミッドベース、そして重低音に至る低域を極端にブーストするいっぽうで谷は結構深く中高域からはむしろ強めに伸びるため、極端に強い低域ながら籠もることは無くそれなりに分離しているのが特徴的です。低域はかなり前面に定位するためボーカル域より上の帯域は後方で鳴る印象となりますが、結果として高域は相対的に聴きやすく、やや暗めに感じるもののある程度の主張をもってしっかり伸びる印象になっています。いっぽうで歯擦音などを感じやすい帯域はその距離感のため刺激にならず、シャリつくような派手な印象にはなっていないのが興味深いですね。
かなり極端なチューニングのため、好み以前にこのサウンドを「面白がれるかどうか」くらいの存在ですが、逆にここまで振り切ると、マニアであればこういう製品をひとつ持っていてもいいかな、と思わせる程度にはまとまっています。個人的には前回の「Khan」より好印象でした(別に良いとは言ってないですが)。前回の「Khan」では構成的に似ている(というかパ○ってる?)「Truthear ZERO」に近いサウンドバランスながら実際はドライバー間のつながりを完全に放棄しているような、2種類のドライバーがそれぞれ違う音色で鳴ってて、雰囲気でまとまってる、みたいな方向の「変態イヤホン」でしたが、今回の「QKZ x HBB Hades」は全体のバランスからして明らかな「変態」サウンドで、むしろ積極的に狙いに来ている感じがとても面白いです。そして後述しますが、このサウンドが絶妙に合う音源もあったりするのがまた非常に面白いところです。
「QKZ x HBB Hades」の高域は全体としては暗めで、中音域同様に後方で定位します。しかし女性ボーカルの高音のような中高域付近からハイハットくらいまでの主要な音域について、実際は明瞭かつ強めの主張があり、あまりに強すぎる低音に対しても埋もれること無く存在感を感じさせます。それでも全体のバランスとして歯擦音などの刺激は感じさせず聴きやすい(?)かもしれません。
中音域は高域同様に後方に定位し、かなり大きく凹みます。低域との間にハッキリとした谷があるため女性ボーカルなどが籠もるような印象はありませんが、中音域の分離などは良くはありません。それでも中高域から高域付近の主張のおかげで伸び感や抜け感はある程度確保されることで違和感無く聴ける、といった印象です。逆に中低音は非常に厚みがあり滑らかです。そのため定位として正確では無いものの音場は広がりがありドンシャリ的なレイヤー感も感じさせます。一般的なポップスやアニソンなどでは低音が強すぎてボーカルが下がるためあまり良い印象にはなりませんが、Blue Note系のオールドジャズなどはちょっと驚くほどの相性の良さがあります。Miles Davisとかスルメのように味わい深くついつい聴き入ってしまいます(^^;)。
低域は繰り返し記載しているとおりこのイヤホンのキモであり、おそらく2基のドライバーのうちの1基はこの低域のためだけに存在しているような鳴り方をしていそうです。ミッドベースは特にパワフルで存在感がありかなり前面に出てインパクトのある音を鳴らします。また重低音もドライバーのサイズ的に決して余裕のある解像感や深さというわけではないのですがとにかく強さがあり、全体としてブーミーな鳴り方です。一般的なボーカル曲ではこの過剰な低音はちょっとストレスに感じる場合もあるかもしれない、というくらいの鳴り方ですが、前述のようにジャズなどのアコースティックな音源や、ヒップホップ、EDM、そしてビートボックスなど得意とするジャンルを多く聴く方には魅力的なサウンドに感じることも多いでしょう。■ まとめ
というわけで、「QKZ x HBB Hades」は、HBB氏コラボのQKZの中でも「突出した変態さ」をもった低音イヤホンに仕上がっていました。HBB氏と同氏のコミュニティも少なくともQKZというメーカーを相手にした場合は、普通のイヤホンにしようという意識が皆無であることが改めて確認出来ました(笑)。よく言えばメーカーの強みを伸ばす、みたいなことだと思いますが、まあ割り切り感がえげつないですね(褒め言葉)。確かに、少なくともQKZ製品でのコスト感でドライバーにポテンシャルの高さを求めるような音作りは無理だとは思いますが、だったら思い切り変態イヤホンにしよう、というのはコラボ製品ではなかなか勇気がいるのではと、小心者の私は思ってしまいます。そういった意味でも非常に稀有なマニア向けイヤホンとして、一見さんお断りでオススメしたいと思います(^^)