
こんにちは。今回は 「SHANLING MG100」です。Shanling製イヤホンのなかでもシングルダイナミック仕様で比較的ハイグレードの製品が多かった「MG」シリーズでより購入しやすいグレードとして登場しました。ハイグレード製品にも採用されるセラミック振動板ダイナミックドライバーを搭載し、2種類の材質の異なるフィルターにより異なる印象のサウンドを楽しめる興味深い仕上がりになっています。
■ 製品概要と購入方法について
数々の高音質DAP(デジタルオーディオプレーヤー)やオーディオアダプター製品で日本でもお馴染みになっているオーディオメーカー「Shanling」のイヤホン製品のうちシングルダイナミック仕様の「MG」シリーズの新モデルが今回の「SHANLING MG100」です。「MG」シリーズではこれまで600ドル級の「MG600」、900ドル級の「MG800」とハイグレード仕様の製品が中心でしたが、「SHANLING MG100」ではハイグレード製品にも採用される高精度セラミック振動板ダイナミックドライバーを搭載しつつアンダー200ドル級、3万円以下の購入しやすい価格を実現。さらに高性能マグネットと、その磁束にも適応するHCCAWボイスコイルを組み合わせ、磁気漏れを低減する金メッキシェルカバーの採用など高音質設計を採用しています。


「SHANLING MG100」が採用するセラミック振動板ダイナミックドライバーは一般的な樹脂振動板より50%高硬度、5倍以上の耐熱性を保有。また金属振動板より30%軽量化しており、安定性とともに伝達効率と応答速度を大幅に向上します。またムービングコイル設計のウルトラリニア二重磁気回路を採用。さらに磁気漏れを防ぐ金メッキシェルカバーに高張力銅クラッドアルミ線によるHCCAWボイスコイルを採用し、ノイズレスで優れた解像度と、歪みのない高品位なサウンドを実現しています。
付属ケーブルは古河電工製の高純度単結晶銅線をリッツ線組した線材を採用。同軸二層構造で4芯線に仕上げています。またプラグは3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスに交換が可能です。


そして「SHANLING MG100」はステンレス製(アンビエンス)と真鍮製(スタンダード)の2種類のノズルを付属。真鍮製フィルター(スタンダード)は全帯域のバランスに優れ、あらゆるタイプの音楽に対応できる、オールラウンドなサウンドで調整されており、ステンレス製フィルター(アンビエンス)は低域をブーストし、高域の明るさを少し抑えたサウンドを楽しむことができます。


「SHANLING MG100」のシェルは5軸CNC加工による航空グレードのアルミニウム合金で成型されており、本体重量はわずか片側5.6gに抑えられています。本体コネクタはMMCXを採用しています。
詳細な製品説明についてはMUSINサイトを参照ください。→ 「SHANLING MG100」製品説明
「SHANLING MG100」(国内正規品)の参考価格は28,710円(税込み)です。
購入はアマゾンなどのMUSIN直営店または主要な専門店にて。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「SHANLING MG100」のパッケージは本体画像を掲載したシンプルなボックスデザイン。


パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、イヤーピースはシリコンタイプが3種類、それぞれS/M/Lサイズ、ウレタンタイプが1ペア、クリーニング用クロス、レザーケース、説明書、保証書。


本体形状は先日レビューした「SONO」に近いフェイスデザインですが、より軽量なアルミ合金製でコネクタは「MG600」などと同様にMMCXを採用しています。ベント(空気孔)は本体側面とフィルターノズルにそれぞれ1カ所ずつあります。


スタビライズウッド製の「MG600」と比較するとフェイス部分は若干大きいものの厚さを抑え、耳にフィットしやすいデザインです。交換用フィルターの関係でステムノズルがやや太いものの、耳への収まりは良い印象ですね。


交換用フィルターはステムノズル部のネジ止め式ですが、緩み防止のためのシリコンリングで色分けされています。開封時はシルバーのステンレス製フィルター(アンビエンス)が装着されていました。ゴールドの真鍮製フィルター(スタンダード)との違いはノズルの材質によるもので、メッシュ部分のフィルター材などの違いは外観上はほぼ無いようです。


ケーブルは古河電工製の高純度単結晶導線の同軸構成のリッツ線組で仕上げられた4芯線タイプ。シルバーカラーの線材ですが銀メッキ線ではないようですね。しっかり編み込まれており、樹脂製の被膜も適度な弾力があり取り回しは良好です。交換式プラグはネジ止め式でしっかりと固定できます。


イヤーピースは黒色タイプのMサイズが本体装着済みで、ほかに黒軸白色タイプと赤軸グレーの3種類とウレタンタイプが1ペア付属します。耳にすっぽり収まるコンパクトなシェルのため、装着感はイヤーピースで固定するイメージになります。そのため、付属のイヤーピースのほか、定番の「スパイラルドット」や「AET07」(互換品を含む)、「SpinFit CP100+」「TRN T-Eartips」など、しっかり固定できる自分の耳に合うイヤピースを選択するのが良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「SHANLING MG100」の音質傾向は癖の無いニュートルな印象でバランスとしてはハーマンターゲット的なU字方向で弱ドンシャリの傾向。標準で付属していたステンレス製の「アンビエント」フィルターは全体として若干の中低域寄りでウォームな印象のサウンドで鳴らし、真鍮製の「スタンダード」フィルターでは中高域はより硬質かつドライな方向に変化し、スッキリとした鮮やかさが向上します。女性ボーカルなどを中心により抜けの良い明瞭サウンドを好まれる方は真鍮製の「スタンダード」フィルターを使用する方が良いでしょう。ただ「スタンダード」フィルターでも高域はある程度コントロールされているものの、煌めきや鋭さはしっかり表現されるため刺激が苦手な場合やより低域に厚みがあり聴きやすい印象のサウンドを好まれる方はステンレス製の「アンビエント」フィルターが好感されると思います。
個人的には上位モデルの「MG600」の方向性に近い「スタンダード」フィルターのほうが好印象でした。
インピーダンス32Ω、感度113dB(±3dB)と仕様としては小型オーディオアダプターからDAP/アンプまで様々な再生環境で鳴らしやすく、ケーブルの品質も高いため利用環境で困ることは少ないでしょう。ただバランス接続のほうがハッキリした輪郭になり明瞭感が増す印象となるほか、再生環境によっては「スタンダード」フィルターで刺激が増す場合があります。この場合は3.5mmのシングルエンドで鳴らすことで「スタンダード」フィルターの鮮やかさを実感しつつ適度に聴きやすくなるかもしれませんね。また低域についてはよりフィット感のあるイヤーピースを利用することで存在感が増しますので、いろいろなイヤーピースを試してみるのも良いでしょう。「SHANLING MG100」の高域は、2種類のフィルターによってかなり印象が異なるものの、セラミック振動板によるドライで解像感のある音を鳴らします。より明るく明瞭感があるのは真鍮製の「スタンダード」フィルターを使用した場合で、硬質感が増し直線的な伸びのあるスッキリした音を鳴らします。
ただ再生環境によってはある程度鋭さが増すため高域成分の多い曲では刺さり等が気になる場合もあるかもしれません。いっぽうで標準のステンレス製の「アンビエント」フィルターでは刺激を抑え聴きやすい印象で調整されますが、若干のウォーム方向となり明瞭さと鮮明さは多少失われます。2種類のフィルターでは結構大きな違いを感じる場合もあるため、特に店頭などで「アンビエント」フィルターのみが試聴できる場合は実際フィルターを変えるとイメージが違った、という場合もありそうですね。中音域は癖の無い音を鳴らしますが、「アンビエント」ではより空気が多く、「スタンダード」では硬質感が増すことで1音1音の粒立ちが向上します。そのため、より明瞭感のあるサウンドを好まれる方は真鍮製の「スタンダード」フィルターのほうが輪郭がハッキリしており鮮明かつクリアな印象に感じると思います。ボーカル域は比較的近くに定位しますが、音場は自然な広さがあり定位も正確さを感じます。
どちらのフィルターでもセラミックフィルターらしく解像感は高く、バランス接続では分離感もしっかり感じられますが、「スタンダード」フィルターの方が真鍮らしい硬質な響きがありキレを感じる鳴り方をします。女性ボーカルの伸び感やブラスやピアノなどはより鮮やかさを感じるでしょう。これに対し、ステンレス製の「アンビエント」フィルターでは硬質な響きが抑制され、ドライバーがもつ僅かな温かみや、中低域の豊かな厚みを感じやすくなります。全体としてメリハリを抑えており聴きやすい印象となっているため、男性ボーカルの厚みを実感しやすく、バラードなどと相性も良いでしょう。このフィルターでも解像感は維持していますが、中低域から低域にかけての厚みが増すため、再生環境によっては見通しの良さや透明感が多少失われる場合があります。低域は全体としてニュートラルなバランスを維持しつつ、十分な量感と力強いアタックを感じる音を鳴らします。2種類のフィルターでは、ミッドベースを中心としたキレの良さを感じる「スタンダード」フィルターと、自然な締まり感のあるミッドベースに対してより深くインパクトのある重低音を鳴らす「アンビエント」フィルターで、それぞれの特徴があります。ただ、多くの方にとっては「アンビエント」フィルターによる低域はより好感しやすい可能性があり、標準でこのフィルターが装着されているのもこの辺に理由がありそうです。どちらのフィルターも中高域との分離は良く、質感も良好です。
■ まとめ
というわけで、「SHANLING MG100」は中華イヤホンとしては比較的高価格帯の製品を中心に展開していた「MG」シリーズのエントリー機として、クラスとしてはアンダー200ドル級、3万円以下のミドルグレードの製品として手堅くまとめつつ、2種類のフィルターでかなり異なる印象でまとめられているのがとても興味深いイヤホンでした。高性能なセラミック振動板ダイナミックドライバーは高い解像感と表現力を持っていますが、フィルターにより、セラミックの硬質感を活かしたキレのある明瞭サウンドと、より聴きやすく自然な厚みのあるサウンドを選べるのはとても楽しいですね。同価格帯のミドルグレードのイヤホンにはスペック的にも目立つ強力な競合製品も多く存在しますが、さまざまな再生環境での使いやすさも含め、興味のある方は選択肢として検討されるのも良いと思いますよ(^^)。