TZT HDMI/MHL Digital Interface

こんにちは。今回はたまに発作的にやる系のネタ回です(^^;)。11月末くらいに書きかけて放置していた記事になります(気がつけば年を越して春も近づいていますね)。
内容は、AliExpressで何気なく見つけた「HDMIオーディオ入力→I2S(IIS)出力」に対応したデジタルオーディオスプリッターを購入し、「SACDを高音質DACでDSD再生してみた」という極めて一部の方にしか刺さらなさそうなネタとなっています(^^;)。なんというか、冬と言えばSACDの季節なんですよ(何が)

■ というわけで、この辺から11月末くらいに書いた内容です→

こんにちは。冬はやはりSACDを聴く季節です(しつこい)。雪をみれば「WHITE ALBUM2」のSACD聴きたくなる、これはある特定のオタクにとっては当然の「現象」といえるのでないでしょうか。
・・・と、ワケの分からない事を書きつつ、AliExpressで妙なものをみつけたので、早速購入してみました。今回購入したアイテムはこちらです。

AliExpress(TZT Direct Official Store): TZT HDMI/MHL Digital Interface Separate Extract Audio I2S/Optic Fiber/Coaxial HDMI To I2S/IIS Assembled


ちょうど2023年の11.11のセールに向けてAliExpressでいろいろ物色しているときにたまたま見つけたアイテムですね。「I2S(IIS)出力」ができるデジタルオーディオコンバーターとしては、以前USB入力でI2Sを含むデジタル出力が可能な「Douk Audio U2 PRO」という製品を購入して紹介しました。
過去記事: 【雑記】 「Douk Audio U2 PRO」 1万円以下で購入できるI2S出力端子つきUSB-DDCを試してみました(簡易レビュー)

今回はHDMI入力からオーディオ部分を分離させるデジタルスプリッタの類いの製品ですが、Amazon などで販売されているHDMIスプリッタがSPDIFとアナログ出力なのに対し、上記の「TZT HDMI/MHL Digital Interface」では「I2S(IIS)」出力を持っています。そのためSPDIFより高いビットレートはもちろん「DSDもそのままI2Sで転送できるはず」と考えられます。そうなると「I2S入力のあるUSB-DACでSACDを高音質再生できるのでは?」という期待がもてるわけです。

TZT HDMI/MHL Digital InterfaceTZT HDMI/MHL Digital Interface

SACDに対応している比較的入手しやすいプレーヤー製品はソニーのブルーレイプレーヤー「UBPシリーズ」の「UBP-X700」(44,000円)、「UBP-X800M2」(66,000円)でしょう。どちらもSACD対応では現在唯一生産されているパイオニア製Blu-rayドライブユニットを搭載し、通常のHDMI出力とは別に「オーディオ出力専用のHDMIポート」を持つなど「TZT HDMI/MHL Digital Interface」と組み合わせるのには最適です。ちょうど私も「UBP-X700」を2台ほど所有していますので早速「TZT HDMI/MHL Digital Interface」をオーダーして試して見ることにしました。というわけで、今回のゴールは「高性能DACのI2S入力を使って、SACDをDSD再生しよう」となりますね。


■ SACD(Super Audio CD)について(補足というか蛇足)

ところで、私のブログをご覧の方であれば、あるいはこの記事にたどり着いた方であれば「SACD」(Super Audio CD)については説明は不要だと思いますが、参考までに振り返っておきます。
「SACD」(Super Audio CD)はCD音質を超えた音源をCDパッケージに収めるアプローチとして以前からある定番の手法で、通常のCD層とSACD層の2層ハイブリッド仕様で販売されており、SACD層の再生には対応したプレーヤーが必要になります。SACDで収録されている音源は2.8MHz DSD(DSD64)で、対応するプレーヤーはSACD層の読み込み可能なドライブとSACD内のDSDをデコードできる仕組みが必要となります。この仕組みのなかに電子透かしや複製防止の技術が導入されているため、SACDからDSD音源を抽出(リッピング)することは違法となるようです(過去時事参照)。

最近ではMQA技術で44.1kHzのPCMフォーマットの中により高音質のビット音源を収録した「MQA-CD」での新譜が増えており、対応するプレーヤー製品やMQA-CD対応のMQAデコーダー搭載USB-DACが相次いで販売されているため「SACDはオワコン」のようなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんね。実際SACDのドライブユニットの生産を継続しているメーカーが無くなってきていますし、ソニーはデコードに必要なチップの新規供給を終了しているという話もありますので、緩やかに収束していく流れは確実でしょう。とはいえ「SACD」のパッケージは現在も多く流通しており、それなりにコレクションしているマニアも結構多いと思います。
SMSL PL200 HiFi MQA CD Player ARCAM CDS50
なお、多くのオーディオグレードのSACDプレーヤーはプレーヤー内のD/AコンバーターでDSDをデコードしてアナログ出力(シングルエンドまたはバランス)するのが通常の構成のため、プレーヤーの内部構造および性能が音質に反映されます(そのため価格も数十万~100万円以上とかなり高額な製品もわりとあります)。これに対してHDMI出力ではDSD信号も含めてデジタルで出力可能ですが、実際にどのフォーマットで出力されるかは接続するAVアンプなどの性能に依存します。私が使用しているマランツのAVアンプ製品などではHDMIでもDSDではなく変換されたPCM信号で入力されます。また「UBP-X700」のSPDIF出力でもSACD再生時は44.1kHz PCMに変換されます。他にもパイオニアのブルーレイプレーヤーではSACDもRCAからアナログ出力が可能な代わりにSPDIFからはSACDの場合は出力されない仕様になっています。このようにコストを抑えつつSACDの実力を活かして再生するのは結構大変なわけです。
※最近Shanlingが海外でSACD対応の万能プレーヤー的な製品「SHANLING SCD1.3」を出して個人的にはかなり心を揺さぶられております。なかなかのお値段ですが、国内版出たら買うかも知れないっすね(^^;)。


■ I2S(IIS)インターフェース搭載のUSB-DAC

据置き型のUSB-DAC製品のなかでも特に中華系ブランドの一定以上のグレードではIIS(I2S)の入力端子を備えています。正確には「I2S to LVDS」または「I2S/LVDS」と呼ばれるインターフェースで、コネクタ形状はHDMIと同じです。そのため入出力とも「I2S/LVDS」の場合はHDMIケーブルをI2Sケーブルとして代用することが可能です。RCAケーブルをSPDIFのコアキシャルで使えるのと同じような感じですね。
SHANLING EH3SHANLING EH3
私が本記事の掲載時点で所有している「I2S/LVDS」入力のあるUSB-DACは、「SMSL M400」「Sabaj D5」「Topping DX7 Pro」、そして「Shanling EH3」の4機種です。SabajはSMSLの系列ブランドですのでI2Sを使用した場合の挙動はほぼ同じです。また「Shanling EH3」はI2S(IIS)の設定で同社の純正CDトランスポーター「Shanling ET3」(CDプレーヤーの「EC3」とは別モデル)を接続するためのモードがあります。個人的には「ET3」がSACDに対応していれば即購入だったのですが、惜しいですね(^^;)。まあ世間的には高音質CDはSACDからMQA-CDに移行する流れなのでやむを得ないとは思います。

I2S Mode (SMSL)I2S/LVDSインターフェースのピンアサインにはいくつかのモードがあり、「Shanling ET3」では「ET3」モードの他に4種類のモード設定が可能です。I2S/LVDSでは、HDMIコネクタと同形状の19個のピンで「DATA/DSDR」の#1と#3のどちらが「-」または「+」に割り当てられ、DSD信号の送信(#14と#15)が主な確認事項になります。
一般的には「Shanling ET3」でDSD信号をONの状態で「Mode 1」が「Normal」、「Model 2」が「Reverse」というモードが該当します。


■ というわけでI2Sインターフェースをつないでみた

届いた「TZT HDMI/MHL Digital Interface」は特にパッケージなどは無く、本体のみを梱包して送られてきました。当然説明書などもありません。まあAliExpressの写真と同じですね。
TZT HDMI/MHL Digital InterfaceTZT HDMI/MHL Digital Interface
この製品の本来の用途はHDMIのオーディオスプリッタですので、出力側は入力用のHDMIのほか、パススルーする出力用のHDMIも搭載しています。「AUDIO PATH」スイッチではオーディオ信号を映像と一緒に出す(セパレートしない)、「AMP」(セパレートして出力からは映像のみ)、「DOU」(セパレートして双方から出力)の3種類が選べます。今回は「AMP」または「DOU」で出力すれば問題無さそうです。また本体には5VのACコネクタがあり、原則として外部ACアダプタを必要とするようです。AliExpressでのコメントをみると5V/1A以上のACアダプタがあれば問題無さそうです。今回は手持ちも「5V/1.2A」と「5V/2A」のACアダプタを使用してみましたが、どちらでも問題なく利用できました。I2SはHDMIタイプの「I2S/LVDS」とラズパイ等で利用できるピンコネクタの2種類を備えています。

というわけで、ACアダプタを用意し、早速つないでみます。
今回の接続方法は以下の通り。

UBP-X700→Audio HDMI→TZT Interface→I2S/LVDS→ USB-DAC


UBP-X700」はあらかじめ「設定」メニューで次のように設定しておきます。
  • 「音声設定」>「デジタル音声出力」:「自動」
  • 「音声設定」>「DSD Outputモード」: 「自動」
  • 「ミュージック設定」>「Super Audio CD再生層」: 「Super Audio CD」
  • 「ミュージック設定」>「Super Audio CD再生チャンネル」: 「DSD 2ch」
  • 「本体設定」>「HDMI音声出力」: 「HDMI2」
USB-DAC側の「I2S設定」は基本的に「Normal」(Shanlingの場合は「Mode 1」)を設定。そのうえで、「UBP-X700」にSACDを挿入し、さっそく再生してみます。結論から言うとあっさりと「成功」しましたが、メーカーによっていろいろ癖がありました。

「Sabaj D5」「SMSL M400」での再生:
問題なく再生に成功。SACDをDSD64モードでネイティブ再生しました。
停止、チャプター変更、SACDの入れ替えなどでも特にトラブルは無く高音質化に成功。
「SMSL」と同系列の子会社である「Sabaj」でSACDでの設定や挙動はほぼ同じでした。

TZT HDMI/MHL Digital InterfaceSACD to SHANLING EH3

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「Shanling EH3」での再生:

問題なく再生できますが、おそらくコンバーターとの同期の関係で多少の癖があります。
いったん「EH3」で「IIS」モードに変更し、「UBP-X700」にSACDメディアを挿入してから「EH3」の電源OFF/ONを行いタイミング同期を取って再生すれば問題なし。メディア交換時も同様の対応で再生が可能になります(これをしないとSACDをDSD64と認識しますが音が出ません)。今後のファームウェアアップデートでの改善に期待ですね。

×「Topping DX7 Pro」で再生:
音は出ましたが派手にノイズが入りちょっと聴けない状態になりました。おそらくモードの違いと思われますが、最適解が設定できなかったため、とりあえずNGということにします。他のモデルやファームウェアなどで変化がある可能性もあります。


というわけで今のところ「TZT HDMI/MHL Digital Interface」が私の環境で快適に利用できているのは「SMSL M400」と「Sabj D5」の2機種でしたが、個人的には問題ないため、年明けにもう1台買い増しました。これでしばらくは冬のSACDもしっかり楽しめそうです。
もしSACDコレクションの再生環境で悩んでいるという方がいらっしゃいましたら、よろしければ試して見てはいかがでしょうか。USB-DACでの相性情報などもお教え頂けると幸いでございます(^^)。