SIMGOT EM6L

こんにちは。今回は 「SIMGOT EM6L (Phoenix)」です。海外版で購入しているため実は1ヶ月以上前に届いていたのですが、このタイミングでレビューとなります。110ドル前後、2万円以下で購入可能な4BA+1DD構成のハイブリッドで、ニュートラル方向に非常に優れたサウンドバランスと上品な音色、そして実在感がエグい音場感など個人的にもかなり気に入っているイヤホンです。

■ 製品概要と購入方法について

「SIMGOT」は主にミドルグレードの高音質モデルを得意とする中華イヤホンブランドで、かつての代表的なモデル「EN700」シリーズは中華イヤホンを枠を超えた人気モデルとして幅広いユーザーを獲得していました。その後、数年間は100ドル前後の比較的エントリークラスの製品が多かったものの、2022年秋頃から「EN700」系を受け継ぐ「EN1000」、ハイグレードモデルの「EA2000」、と普及モデルの「EA500」を相次いで発売し再び大きな注目を浴びました。また最近では低価格帯でも「EW100P」や「EW200」といった製品をリリースしています。
→ 過去記事(一覧): SIMGOT製イヤホンのレビュー

というわけで今回紹介するのは100ドル級の4BA+1DD構成のハイブリッドモデル「SIMGOT EM6L (Phoenix)」です。2年以上の開発期間を経て製品化。高精度3Dプリンティングによる樹脂製のハウジングとブラック鏡面仕上げのメタルフェイスプレートによるシェルデザインを採用し、シミュレーションと検証の繰り返しにより広いダイナミックレンジとトランジェント特性、全体域での低歪み、中低域の豊かな質感、高域のきめ細かさと滑らかさを実現しています。
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SIMGOT EM6L (Phoenix)」のドライバー構成は高域用と中音域用の2種類のデュアル・バランスド・アーマチュアドライバー(2BA)ユニットと低域用の8mm特殊ポリマー振動板ダイナミックドライバーによる3Way構成を採用。
それぞれの2BAユニットのクロスオーバーを制御するフィルターと電子回路による出力制御、そして高精密3Dプリンティングによる干渉を抑制した独立音導管と正確なシェルないでのドライバーの正確な配置を実現。よりスムーズな周波数特性を持ち、安定して一致性の高い位相により、自然なつながりと全体域での低歪みを実現しています。
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そして「SIMGOT EM6L (Phoenix)」はハーマンターゲットカーブ(H-2019)に準拠したサウンドチューニングを実施。バランスよく自然な透明感や、ディテールの豊かさ、広い音場感など、優れた原音忠実(Hi-Fi)性能を持ち、さまざまな音源に対する高い適応性から「モニター向け」としての特徴を融合しています。またハーマンターゲットカーブの特性に加え、伝統的で実績のある「SIMGOT-Classic」チューニングも踏襲しており、女性ボーカルやインストゥルメンタルにも適応し、オールラウンドな利用性があります。
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SIMGOT EM6L (Phoenix)」の価格は109.99ドル、国内正規品は税込17,550円前後です。
Amazon.co.jp(国内正規品): SIMGOT EM6L
Linsoul(linsou.com): SIMGOT EM6L


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SIMGOT EM6L (Phoenix)」のパッケージは同価格帯の「EA500」の同様のサイズ感のブラックのボックス。中央に描かれたイメージ画像としてフェニックスが描かれています。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、交換用リング、レザーケース、説明書など。ケースも「EA500」と同じものが付属します。
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本体はハウジング部分が3Dプリントによる樹脂製、フェイスプレートが金属製で光沢のあるブラック仕上げ。ステムノズルはシルバーの金属製です。コネクタ形状は「EA500」がフラットな2pinタイプだったのに対し、「SIMGOT EM6L」ではカバー形状がqdc互換の0.78mm 2pinタイプとなっています。
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4BA+1DDのハイブリッド構成で樹脂製ハウジングということもあり、ハウジング部はやや丸みのあるデザインになっていますが、シェルサイズは「EA500」同様に非常にコンパクトで、耳に収まりやすい形状です。装着感も良好な印象です。また樹脂製のシェルのため「EA500」に比べるとかなり軽量なため、重量で耳から落ちる心配も無いでしょう。
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ケーブルは高純度無酸素銅銀メッキ線ケーブルでブラックの本体カラーに合わせてかブラックとゴールドの2色タイプになっています。被膜はやや硬いものの使いやすく取り回しも良い印象です。
イヤーピースは黒い芯のシリコンタイプで「AET07」にちょっと近いタイプ。従来のSIMGOT製品の標準タイプのイヤーピースと同様のものです。付属品のほか定番の「スパイラルドット」や「SpinFit CP100+」、個人的にオススメの「TRN T-Eartips」など自分にあったイヤーピースに交換するのも良いでしょう。


■ サウンドインプレッション

SIMGOT EM6L (Phoenix)」の音質傾向はニュートラルな印象で滑らかな弱ドンシャリ。緩やかなV字を描くバランスの良いサウンドで、非常に自然な描写とともに付属ケーブルでも高い解像感と分離感、そして広く立体的な音場感が印象的です。特に決して広がりを強調しているわけではないものの、左右そして奥行きとも十分な広さのある音場感と正確な定位はこのグレードの製品としては特筆すべきものです。
SIMGOT EM6高域は十分な伸びの良さを持ちつつ聴きやすく、ボーカルは自然な距離で定位しつつ前傾で質感が高く充実感があります。低域は重低音の量感は控えめですがミッドベースを中心に十分な厚みがあり、締まりとスピード感のある音を鳴らします。ハイブリッド構成ながら各音域のつながりは非常に良く、自然な滑らかさをもちつつ、各音域の主張はハッキリしており、マルチドライバーのメリットもしっかり享受しています。100ドル前後のイヤホンとしてはトップクラスの完成度といえるでしょう。オールラウンダーとして幅広いユーザーにお勧めできる製品です。

SIMGOT EM6L」の高域は明瞭で伸びの良さを保ちながら驚くほど滑らかで聴きやすい印象を受けます。煌びやかさやスッキリした明瞭感を感じさせる音域は同時に刺さりやすさなども感じやすい部分でもあり、ある程度の主張があり明瞭な高音を鳴らす場合、ある程度の刺激はどうしても発生するものです。しかし「SIMGOT EM6L」はハイブリッドらしい硬質感や鮮やかさ、そして十分な主張を持ちつつ、刺さるちょっと手前くらいで調整されています。また存在感を感じさせつつ過度なメリハリは無く、滑らかで質感の良い高域にまとめられています。

SIMGOT EM6中音域は僅かに凹みますがニューラルで自然な音を圧倒的なリアリティを持って鳴らします。高い透明感を持ちつつ僅かに暖かく自然で、ハイブリッド的、つまりやや人工的なメリハリ感は皆無な印象。また非常に滑らかな質感ですが、解像感は高く癖の無い音でモニター的な正確さも感じさせます。
音場は広く、大ホールで演奏されるオーケストラも余すこと無く表現できそうな立体的な空間表現が得られます。またスタジオレコーディングのインストゥルメンタルはその奥行き感と見通しの良さで、細やかなディテールも詳細に表現し、1音1音、粒立ちの良い音を鳴らします。ボーカルも自然な距離感で定位するものの、やや前傾した主張があり、エネルギーをもってアプローチします。女性ボーカルは瑞々しく伸びやかで、男性ボーカルの余韻も豊かです。ボーカルの入ったジャズセッションなどは耳が幸せになる感覚があります。

SIMGOT EM6低域はニュートラルな印象ながら適度な量感を持ち、締まりのある音を鳴らします。よりフラット方向の「EA500」や上位モデルの「EA2000」などと比べると多少ドンシャリ傾向のチューニングで、ミッドベースはより存在感を増し、全体的な臨場感を高めています。8mmのダイナミックドライバーはアタックはスピード感が有り、締まりも良い印象。重低音の沈み込みも良好です。ただしより深く重い低域を好まれる方にはもう少しエネルギーをある音を好まれるかも知れませんね。V字カーブを描きつつ、ハーマンターゲット的なニュートラル方向のサウンドに仕上げられているため、メリハリやキレ重視のサウンドやいわゆる低音イヤホンとは性質が異なるイヤホンです。


■ まとめ

というわけで、「SIMGOT EM6L」は100ドル級の価格帯のなかでも「さすがSIMGOT」と思わせる完成度の高さで、日本で購入できる2万円以下のイヤホンのなかでもトップクラスにお勧めできる製品だと感じます。いわゆるハイブリッド的なメリハリ重視のサウンドと比べるとかなり「上品」な音作りですが、たとえば「AFUL Performer 5」のような滑らかさとはまた異なる、各ドライバーの特徴をしっかり反映させ、広い音場のなかで腕の良い演奏家が奏でる美しいアンサンブルのような調和を感じさせるサウンドです。
SIMGOT EM6SIMGOT EM6L (Phoenix)
再生環境も比較的選ばないものの、上流を変えることでしっかり応えるポテンシャルの高さも魅力的です。そういった意味でウィークポイントとしては、ケーブルや付属品などが本体のこだわりに対してやや控えめな点。つまりこの製品だけで完結するわけではなく、イヤーピースやケーブルなどいろいろ替えてみることで、よりその質の高さを楽しめるイヤホンであるとも言えます。派手さはありませんが、マニア向けのイヤホンとして、興味のある方は是非とも挑戦してみてください。個人的にはこの音質でこの価格なら「相当にディスカウント」な製品だと感じました(^^)。


タグ :
#SIMGOT
#構成:4BA+1DD
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A100USD~)
#コネクタ:qdc-2pin(CIEM極性)/KZタイプC
#リケーブル:qdc/中華2pin
#有線イヤホン:1万円台