Truthear ZERO:RED

こんにちは。今回は 「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」です。海外版のリリース後購入し7月頃には届いていましたので、3ヶ月近く未レビューのままになっていた製品ですね(^^;)。「TRUTHEAR」製品も最近ではこの「RED」も含め国内版も一斉にリリースしているため寄り入手しやすくなっていると思います。オリジナルの「ZERO」よりスッキリしたチューニングに10Ωアッテネーター付属など興味深いバージョンに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

「TRUTHEAR」は2022年に登場した深圳の新しい中華イヤホンブランドです。高度な音響設計技術と、DLP 3Dプリンティングによる高精度シェルにより、低価格ながら高品質のイヤホンを相次いでリリースしています。MoondropやSoftearsなどと関係がある企業との情報もあり、同社は科学的で「成熟した」音作りについてのノウハウにより低コストの製品作りを得意としているようです。
まず最初に同社がリリースした「ZERO」は有名レビュアーのCrinacle氏とコラボした2DDモデルで、そのコストパフォーマンスの高さからいきなりマニアの間でも大きく話題になりました。現在までに同社では3BA+1DDの「HEXA」、そして2023年に入り、1DD構成の「HOLA」をリリースしています。
→過去記事(一覧): TRUTHEARブランド製品のレビュー

今回の「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」は同社の最大の人気モデル「ZERO」の新バージョンとなります。DLP 3Dプリンティングシェルに10mm+7.8mmの2種類のダイナミックドライバーを搭載する2DD仕様という「ZERO」の構成を踏襲。この異なるサイズの2DD構成は「ZERO」以降、他社も追随する製品を相次いでリリースし、中華イヤホン界隈での大きなトレンドになりました。また新たな内部構造とチューニングを採用するにあたり、今回も有名レビュアーのCrinacle氏がコラボで参加しています。
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TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」のドライバー構成は「ZERO」同様に、低域用の10mmダイナミックドライバーと、中高域用の7.8mmダイナミックドライバーを搭載。同社のモデルで多く使用されるPU(ポリウレタン)サスペンションとLCP(液晶ポリマー)ドームによる複合振動板およびN52マグネットと独自CCAWボイスコイルを採用し、2基のドライバーの組み合わせにより、臨場感のある低域から中域と風通しの良い高域を実現しています。
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本体は高精細のDLP 3Dプリンティングのシェルを採用。シェルはフィルター部分を同時に成形しており、正確に計算された出力により2つのドライバーが最適なパフォーマンスを提供。HRTF特性をベースにCrinacle氏のターゲットカーブを取り入れた調整を実施。レッドカラーのフェイスプレートと、オリジナルの「ZERO」リリース後のユーザーの意見なども反映し、新たなサウンドチューニングを行っています。
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TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」の価格は54.99ドル、アマゾンでは7,920円です。
AliExpress(Truthear Official Store): TRUTHEAR x Crinacle ZERO: RED
AliExpress(Shenzhenaudio Store): TRUTHEAR x Crinacle ZERO: RED
Amazon.co.jp(LEAUDIO-JP): TRUTHEAR x Crinacle ZERO: RED
※「LEAUDIO-JP」は「シンセンオーディオ」から名称変更した同一店舗のようです。

また国内代理店扱いによる国内版は税込8,000円前後にて販売されています。
楽天市場(国内正規品): TRUTHEAR x Crinacle ZERO: RED


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

私は海外版のリリース後に購入しており7月頃に届いています。レビュー時点で3ヶ月間近く使用していますね(^^;)。
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パッケージ内容は本体、ケーブル、10Ωアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)、イヤーピースはシリコンタイプが2種類でS/M/Lサイズ、ウレタンが1ペア、交換用ノズルメッシュ、レザーポーチ、説明書ほか。
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従来の「TRUTHEAR」製品同様に説明書の入った薄い箱はパッケージアートのスタンドとしても使える仕様。コストをかけずにオマケを付けるという意味で(要る人にも要らない人にも)良い方法だなと思っていたりします。

TRUTHEAR ZERO:RED」の本体は従来の「ZERO」と全く同じ形状で、外観の相違点はフェイス部分のカラーおよび模様のみです。実際スペックも同じ(インピーダンス17.5Ω±15%、感度117.5dB)で実質的にはチューニング変更版、という解釈で合っていると思います。
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DLP 3Dプリンタによるレジン製シェルで、サイズ違いの2種類のダイナミックドライバーを並列で配置する構造のため結構大きめ。それでも長いステムノズルの設計と開口部の広いイヤーピースの採用でイヤーピースさえ合えばしっかり耳奥まで装着できると思います。ステムノズルは結構太めのため、イヤーピースもこの太さに合わせたものが付属します。同社のイヤーピースは使いやすく質感も良い印象です。しかし耳に合わず、別のイヤーピースを使用する場合は最適解にちょっと悩むことになるかも知れませんね。
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ケーブルはCIEMに付属するケーブルのようなしなやかな手触りの撚り線でコネクタは2pinタイプ。多少絡まりやすいですが取り回しは良いです。本体部分の埋め込みも浅いため、リケーブルは中華2pinタイプでも問題なく利用できます。また、10Ωのアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)が付属します。このアッテネーターを使用することで多くの場合低域強化の効果があります。また再生環境よって派手めに変化する場合は組み合わせることでよりニュートラル方向の印象になります。


■ サウンドインプレッション

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:REDTRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」の音質傾向はニュートラル傾向ながらパワフルな低域と伸びのある高域を持ち、バランスとしては適度なU字方向。
「ZERO」との相違点は「TRUTHEAR ZERO:RED」のほうがニュートラル感がまし、全体として見通しの向上やスッキリした印象になっています。「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」のほうが「ZERO」の特徴的なミッドベースの盛り上がりが抑制され中低域付近がスッキリとして、相対的にボーカル域にフォーカスした印象になります。ただオリジナルの「ZERO」のほうがメリハリや低域のパワフルさなどは高いため、全体としては「ZERO」のほうが僅かに鮮やかに感じる場合もあります。
ここで「10Ωのアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)」を使用することで低域が増強され、オリジナルに近いバランスになりますが、それ以上に再生環境によっては派手めになりがちな印象を適度に聴きやすくコントロールする効果があります。

ちなみに、オリジナルの「ZERO」はリリース当時、特に海外のレビュアーの間で非常に高い評価となったポイントとして「ほぼ完璧なハーマンターゲット準拠」ということがありました。しかし、実際に聴いてみると再生環境での変化が大きく、場合によっては中音域のフラットさ以上に高域や低域の派手さが目立った印象になったりします。本体特性が極めてニュートラルで再生環境での変化が大きいということは、同時にリケーブルやEQなどで自分好みに変化させやすいという側面もあるため、この手のアレンジを好む海外レビュアーの評価が高くなるのは納得できます。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED今回の「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」では、本体のチューニングはミッドベースをやや抑えてボーカル域の明瞭感を高めていますが、オリジナル「ZERO」同様に再生環境によってはやや派手めに鳴ったりもします。
TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」で付属の「10Ωのアッテネーター(インピーダンス増幅プラグ)」を装着して聴いてみると、多少鳴らしにくくすることで低域増強というよりニュートラルで聴きやすい印象に変化させる効果のほうを実感しました。実際、無しの場合にやや派手めに鳴る据置きアンプなどの再生環境でもよりニュートラルな印象のバランスで聴くことができました。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」の高域は伸びが良く、透明感が高い印象。前述の通り再生環境での変化は大きいもののポテンシャルは高く、しっかりと駆動力を与えることではっきりとした主張が増し、鋭い音も相応の鋭さを持ちます。高域のバランス自体はオリジナルの「ZERO」と大きな違いはありませんが、ピークは「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」のほうが高く、より強い主張を感じます。

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED中音域はフラットかつ見通しの良い音を鳴らします。適度な主張がありハーマンターゲットカーブ準拠の低価格イヤホンにありがちな「粗さ」をほぼ感じさせない音作りはオリジナルの「ZERO」を踏襲しています。解像感はそれなりで僅かにウォームですが、「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」では中低域~低域付近のバランスが変更されたことでより見通しの良さが改善され、特にボーカル域の透明感が増したような印象もあります。音場などは同様で標準からやや狭い印象ですが、ボーカル中心であればモニター的に聴くことも出来る正確さもあります。

低域はオリジナルの「ZERO」の特徴的なミッドベース付近の盛り上がりが多少抑えられ、より直線的な印象になっています。そのため低域の厚みやメリハリ感より、適度に締まりのあるスッキリした印象に調整されています。それでも適度な力強さは健在で不足感はありません。また重低音も深く沈み存在感があります。アッテネーターを使用することで全体的に低域の量感が増しますが、多少鳴らしにくくなり全体としてよりニュートラル方向の印象となります。


■ まとめ

TRUTHEAR x Crinacle ZERO:REDというわけで、「TRUTHEAR x Crinacle ZERO:RED」はオリジナルの「ZERO」の別バージョン、という位置づけを非常に分かりやすく提示した製品だと感じました。特徴としてはミッドベースがより直線的で高域のピークが高く、よりスッキリとして透明感の高い印象に変化しました。しかし、全体として正確なハーマンターゲットカーブ準拠と、ミッドセントリックで正確さのあるボーカル表現を持つと同時に、再生環境による変化が大きく、リケーブルを含めさまざまな利用方法を楽しめるマニア向けの製品である、という点は完全に踏襲しています。まあアッテネーターを付属することで、通常の環境でも選択肢を提供しているという部分はありますが、リケーブル前提の方にはあまり関係の無い要素かも知れませんね。いろいろ分かっているマニア諸氏、特にいろいろ自分好みに追い込んでみたい方には、別の選択肢として最適なイヤホンのひとつだと思います。


タグ :
#Truthear
#構成:2DD
#ドライバー:PU+LCP
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#価格帯/グレード:50-100USD
#中華イヤホン(100USD未満)
#Crinacle
#有線イヤホン:5000円以上(1万円未満)