RAPTGO Bridge

こんにちは。今回は「RAPTGO Bridge」です。2BA+2DD+PZT(圧電)ドライバーという独特のドライバー構成に3種類のノズルフィルターと2種類のスイッチコントロールを備えた非常に個性的なモデルですね。音質面では同社らしいバランスの良さを確保しつつPZTらしい解像感を実現しています。さらにフルレンジPZTドライバーはダイナミックドライバーのひとつ(空気伝導ドライバー)を経由して、実は「あの技術」を使って出力されているなど、ギミック好きなら是非とも注目していただきたい製品に仕上がっています。

■ 製品の概要について

「RAPTGO」は音響分野での長年の実績のあるメーカーが立ち上げた中国の新しいブランドです。同社がリリースした平面駆動ドライバーとPZT(圧電)ドライバーのハイブリッドモデル「HOOK-X」は非常に高い評価を得て、同社の知名度を一気に向上させました。

今回リリースした「RAPTGO Bridge」は10mmサイズの12層PZT(圧電)ドライバーに加え2基のBAドライバー、10mmと6mmのダイナミックドライバーによる、2BA+2DD+PZTという独特のドライバー構成を採用します。さらに3種類の交換式ノズルフィルターと2系統のスイッチコントロールを備えるなど、他に類を見ない高いカスタマイズ性を持つイヤホンとして登場しました。
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RAPTGO Bridge」が搭載する2基の高域用バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーは微細なディテールを含め自然かつ明瞭な高音を実現し、6mmサイズの空気伝導ダイナミックコイルドライバーが高域および中高域に豊かさを加え一貫性を提供します。そして10mmカスタムダイナミックドライバーは総合的な深みと厚みを与え、インパクトのある低音と豊かな中低域を実現しています。そのうえで、10mm 両面12層 PZT(圧電)ドライバーはフルレンジで稼働し、解像感および質感を効果的に向上させ、軽快かつ立体的なサウンドステージをもたらします。これら片側5基のドライバーは4Wayクロスオーバー回路を使用して結合され調整が行われています。
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また「RAPTGO Bridge」が搭載する10mm 両面12層 PZT(圧電)ドライバーは、特許技術の「SSCE」(Sound Superposition Compensation Effect)により、PZTドライバーの出力を空気伝導ドライバーと連携させ骨伝導により出力を増幅します。この仕組みによりPZTドライバーの出力を全体のサウンドに効果的に寄与します。
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また「RAPTGO Bridge」は2系統のスイッチコントロールと交換可能な3種類のノズルフィルターによる柔軟なカスタマイズに対応します。2系統のスイッチはそれぞれ、「スイッチ1」は高域の出力を調整し、「スイッチ2」は全体のゲインを調整します。「スイッチ2」の切替では「Standard Mode(105dB SPL/mW)」および「High Gain Mode(109dB SPL/mW)」の感度に調整します。本体側でゲイン調整を行えるため、あらゆる出力ソースで最適なサウンドを実現します。
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また交換可能な金属製ノズルフィルターは、3種類の異なるサウンド プロファイルを提供します。「ブラック(標準)」フィルターに対し、「ゴールド(エンハンスド)」フィルターは高域を強調し、「シルバー(バランス)」フィルターはバランスモードを提供します。ノズルフィルターとスイッチコントロールの組み合わせにより、非常に柔軟なカスタマイズに対応し、「RAPTGO Bridge」はユーザーの好みに応じたサウンドを設定することが可能です。

購入はLinsoul(linsoul.com)またはAliExpressの「DD-Audio」、アマゾンの「LINSOUL-JP」にて。
カラーバリエーションは「ブルー」「グリーン」「パープル」の3色から選択可能。
RAPTGO Bridge」の価格は 159ドル、アマゾンでは 22,780円です。
Linsoul(linsoul.com): RAPTGO Bridge
AliExpress(DD-Audio Store): RAPTGO Bridge
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP):RAPTGO Bridge


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

RAPTGO Bridge」のパッケージは製品写真を掲載したコンパクトな黒箱で、箱の中には本体デザインを模した樹脂製のハードケースが収納されています。かなりしっかりしたハードケースで透明な部分からパッケージ内容が確認出来る仕様になっています。
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パッケージ内容は、本体、ケーブル(装着済み)、ノズルフィルター(固定プレート付き)、スイッチ切替用ピン、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース、説明書。今回は「グリーン」のタイプが届きました。
シェルは金属製でShureやWestoneのような収まりの良いユニバーサルイヤーモニター型の形状を採用しています。ただそれらの機種の中ではサイズは結構大きめで、やや角張ったデザインとノズルフィルターを備えるため結構太めのステムノズルのため装着性は若干合う・合わないがあります。フェイス部分のメッシュパーツの裏面は塞がれておらずPZT(圧電)ドライバー(の固定化部品)と接する構造になっているようで、ベント(空気孔)として多少の音漏れがあります。通常の利用ではまず気になりませんが静かな部屋で大音量で鳴らすとそれなれに外からも聞こえそうですね。
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また本体の背面には円形の開口部がありメッシュ加工がされています。これは製品説明にある6mm空気伝導ドライバーの出力部となっているようです。通常ベントはフェイス部分のように通常は内圧を調整するための空気抜けとして存在するものですが、「RAPTGO Bridge」の背面の開口部は、6mmドライバーからの音声出力を直接出しています。製品説明では「SSCE」という特許技術により、PZTドライバーから空気伝導ドライバーに伝達し、「骨伝導で」出力されるとあります。つまり「RAPTGO Bridge」は特徴として強調されていないものの「BQEYZ Winter」のような骨伝導ハイブリッドでもあったわけです(驚)。たしかに「BQEYZ Winter」の骨伝導の出力部も背面のちょうどこの位置でしたね・・・

このような製品の特徴上、背面の開口部がしっかり耳にフィットするように装着することが望ましいため、イヤーピースのサイズや形状をいろいろ試してもっともしっくりくる位置を確認した方が良いでしょう。イヤーピースは軸部分の開口部の大きいタイプ(白色)と一般的なタイプ(軸が水色)の2タイプのシリコンイヤーピースが付属します。付属品のほか、フィット感を高めるため定番の「スパイラルドット」や「SednaEarfit」シリーズ、SpinFit「CP100+」、TRN「T-Eartips」などを合わせるのも良いでしょう。
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金属製のノズルフィルターはメッシュ部分の裏面にフィルター材が貼られており、その密度で傾向を調整するタイプ。標準のブラックが中間で、ゴールドがフィルターが粗く、シルバーが濃くなっているのが分かります。交換フィルターは金属製のプレートに固定でき紛失防止となっています。このプレート裏面にマグネットがあり、スイッチコントロール用のピンを固定できたりもします。
ケーブルはTPE樹脂素材の被膜で覆われており、やや弾力があり絡まりやすいのが難点ですが取り回し自体は良好です。また0.78mm 2pin仕様ですのでリケーブルも可能です。
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付属のハードケースは本体のフェイスデザインを模したデザインで透明なふた部分から内容が確認できる仕様。またケースの底面はラバー系の素材で滑り止め加工をされているなど、非常にしっかりした作りになっています。このケースはイヤホン保存用としてそのまま使用するのはもちろん有りですが、内側の仕切り部分は取り外しが出来るため、単純に小物入れ的に再利用することも出来そうです。


■ サウンドインプレッション

RAPTGO BridgeRAPTGO Bridge」の音質傾向はバランスの良いニュートラル寄りの弱ドンシャリ傾向、あるいはU字寄りの傾向。やや低域(特に重低音)が軽めに感じるものの、同社の「HOOK-X」などにも通じるチューニングで同様な音作りを目指していることが伺えます。「HOOK-X」はメインで駆動する大口径の平面駆動ドライバーにより歪みの非常に少なく自然な空間表現を持った低域から中低域の質感が印象的でしたが、「RAPTGO Bridge」では複数のドライバーの組み合わと細かく調整されたクロスオーバー処理によりハイブリッドらしさをあまり感じさせないつながりの良さを実現し、音抜けをよくすることで広い音場感を実現しています。
またフルレンジで駆動するPZT(圧電)ドライバーはしっかりと耳にフィットして装着することで全体の解像感を高め、1音1音を精緻に伝達することでより分離感を感じやすくしてくれます。「BQEYZ Winter」が中高域~高域の質感を高めるためにPZTドライバーを直接骨伝導で出力していたのに対し、「RAPTGO Bridge」ではフルレンジで駆動し、さらにいったん空気伝導ドライバーを経由して中高域を中心に伝達することで、全く異なる作用で骨伝導を利用していることが確認出来ます。

RAPTGO Bridge」の高域は解像度の高い明瞭で伸びのある音を鳴らします。印象としてはBAらしい硬質さも感じますが適度に聴きやすくコントロールされています。
中音域は癖の無い音を鳴らしつつボーカル帯域へフォーカスした印象も感じさせます。フェイス部分のベントによる開放型の構造から音抜けは良く、音場は広くスッキリした印象もあります。「RAPTGO Bridge」も「HOOK-X」のバランスに近くニュートラルなサウンドで、ある程度○○ターゲット的なものを意識したチューニングと考えられますね。
RAPTGO BridgeまたPZTドライバーおよび空気伝導ドライバーにより中高域に適度な厚みを持たせつつ非常に明瞭かつ高い解像感と分離感を実現しているのも特徴的で、いっぽうで低価格中華ハイブリッドのような人工的な硬質感はほぼ無く、きっちりフォーカスを合わせたリアルな音像を精緻に描写している感じです。そのため希薄さはないものの重厚感と言うか厚みや艶感といった要素は多少トレードオフされています。この点は「シルバー」フィルターを組み合わせることで多少改善することが出来ます。
低域は適度な量感とともにミッドベースを中心に力強さがあり、バランスの良い音を鳴らします。重低音も深く沈み込みますが、量的には「HOOK-X」ほどではないかも知れませんね。この辺はドライバーの特性の違いといったところでしょう。抜けの良い空間表現のためややあっさりした印象にはなりますが、力強さもあるため多くの場合不足を感じることは少ないでしょう。ただし、それでも低域の質感の高いイヤホンと比較するとライブ的な臨場感や迫力、重量感などの要素はやや控えめに感じそうです。


■ 交換式フィルターとスイッチコントロール

RAPTGO Bridgeそして、「RAPTGO Bridge」が搭載する交換式のフィルターとスイッチコントロールはより柔軟なカスタマイズ性を与えています。標準の「ブラック」フィルターは片側5基のドライバーの特徴を活かしつつ自然かつ明瞭さを持ったサウンドを楽しめるように調整されています。
ここでフィルター材を少し減らした(よりダイレクトに近い)「ゴールド」フィルターに交換すると、(おそらく「標準」でフィルターされていた)中高域付近のアクセントがやや強くなります。ボーカルのハイトーン部分など耳につきやすい音域が強調されるため、中低域部分が相対的に抑えられボーカル域はより近く音場は狭くなります。
逆によりフィルター材が多い「シルバー」フィルターを使用すると中低域寄りにドンシャリ傾向が強くなります。音場が広くなり臨場感が増しますが、ボーカル域は相応に凹みます。あえて「低域強調」ではなく「バランス」フィルターと記載されている理由は、○○ターゲット的な傾向に寄せた「RAPTGO Bridge」の「標準」フィルターに対して、よりトラディショナルなリスニングサウンドに近い傾向、という意図も感じられます。

RAPTGO Bridgeまた2系統のスイッチコントロールは「スイッチ1」「スイッチ2」で全く意味の異なる機能が割り当てられており、基本は個別に調整します。「スイッチ1」はネットワーク回路の抵抗を調整し、高域がやや強めに出力されます。具体的にはステムノズルに最も近くに配置された2基のBAユニットの存在がより強調されますが、実際に聴いた印象では、どちらかというと中低域~低域をやや抑える印象で作用します。上記の「ゴールド」フィルターとは異なり、音場感への影響が少なく、バランスの良さを維持したままよりスッキリしたサウンドを楽しめます。多くのJ-POPやアニソンなどは「スイッチ1」をONにしたほうが合う印象で、日本のユーザーは「ON」にたほうが好感されることが多そうです。

これに対し、「スイッチ2」は「Standard Mode」と「High Gain Mode」を切り替えるスイッチで、「Standard Mode」ではインピーダンス17Ω、感度105dB/mWから「High Gain Mode」にすることでインピーダンス34Ω、感度109dB/mWに変化します。つまり「High Gain Mode」では感度を高めて鳴らしやすくするのと同時にインピーダンス(抵抗)を標準的なレベルにすることで電流の流量もコントロールされます。また、色々なイヤホンを所有している方ならお気づきかと思いますが、「High Gain Mode」でのスペックは一般的に「スマホ等でも鳴らしやすい」と説明に記載されている製品に多い値に寄せていることが分かります。つまり、スマートフォンや小型DAPなど駆動力および出力の小さい再生環境でも「出力」と「音量」を確保出来るようにしているわけです。またホワイトノイズの抑制効果もありますね。

RAPTGO Bridgeしかし、十分に駆動力がありノイズ耐性の高い再生環境であれば感度の違いは限定的ですし、低いインピーダンスでも十分に流量を確保しノイズを抑えることで情報量を確保出来るため「Standard Mode」のほうが確実に有利であることが想像できます。実際小型のオーディオアダプターなのでは結構違いを感じた両方のモードですが、「Shanling H7」のような駆動力のある再生環境では「スイッチ2」での音量の変化はごく僅かで、「High Gain Mode」はより元気さを感じる反面、ダイナミックレンジが若干狭くなることで抑揚の僅かに抑えられ、少し粗い音になったような変化もあります。「スイッチ2」は、再生環境の影響でOFFの状態ではやや淡泊に感じられる場合などにのみ「ON」にするほうが良さそうです。


■ まとめ

というわけで、「RAPTGO Bridge」はバランスの良いサウンドチューニングの2BA+1DDハイブリッド構成をベースに、フルレンジ動作の大口径PZTドライバーと(実は骨伝導で出力される)空気伝導ダイナミックドライバーを組み合わせ2BA+2DD+PZTという特殊な構成とすることで、非常に高い解像感と分離感を手に入れ、さらに交換式フィルターとスイッチコントロールで他に類を見ないカスタマイズ性を実現しました。
いっぽうでケーブルは「HOOK-X」のようなプラグ交換ギミックは採用していない点も実は「こだわり」を感じます。プラグ交換ギミックでバランス化するメリットは「バランス化で駆動力を稼ぐ」のと「(上流の)左右分離により解像感・分離・SNを向上させる」ことですが、もともと「RAPTGO Bridge」はフルレンジPZTと空気伝導ドライバーにより解像感や分離を向上させるアプローチを取っており、さらにゲイン切り替えスイッチで「High Gain Mode」を選べることで駆動力が足りない環境でもシングルエンドで出力を確保する仕組みを提供しています。つまり「バランス化は必要ない」というメッセージとも受け取れるわけです。このようにRAPTGOらしい技術力に裏付けらた「こだわり」の数々と入念に調整されたサウンドを楽しめるという点で「RAPTGO Bridge」はギミック好きのマニアなら購入必至のイヤホンだと思いました。お勧めですよ(^^)。


タグ :
#RAPTGO
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A100USD~)
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#構成:2BA+2DD+1PZT
#ドライバー:PZT(圧電)
#有線イヤホン:2万円台