
こんにちは。今回は 「Shanling M0Pro」です。最近ではすっかりポータブルオーディオの定番ブランドとなった「Shanling」のなかでも最もコンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)製品です。その最大の特徴はなんといっても「とにかく小さくて、軽い」という点ですが、既存の「M0」から大きくアップグレードした今回の「Shanling M0Pro」では音質面が劇的に向上し、超小型ポータブルアンプ、ワイヤレスアンプとしてもより本格的に楽しめる、新のオールラウンド製品に成長しました。
■ 製品の概要について
ハイレゾオーディオの分野ですっかり人気ブランドとして定着した感のある「Shanling」ですが、同社のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のなかでも特にコンパクトな多機能モデルとして高い人気を持っていたのが「M0」でした。私のブログでも海外発売時にいち早く紹介をしています。
→ 過去記事: Shanling M0 のレビュー(2018年掲載)
「M0」の登場から約5年というタイミングで性能面、音質面、そして機能的にも大きくグレードアップした最新モデルが登場しました。それが今回紹介する「Shanling M0Pro」です。
小型オーディオアダプター製品と多く変わらないコンパクトさでデュアルタッチスクリーン操作が可能で、音質的にもデュアルDACチップを搭載し、ハイレゾ、DSDのネイティブ再生に対応。また変換ケーブルを併用することでバランス接続にも対応。さらにLDAC等のコーデックにも対応する「双方向」Bluetooth再生、USB-DAC機能、そしてSyncLinkによるリモート再生にも対応する「フルスペック仕様」の機能を搭載します。


「Shanling M0Pro」は43.8×45×13.8mm、36.8gというApple Watch並のコンパクトサイズを実現。この小さな本体にDAC/AMPチップに多くのDAPなどでも採用されるESS製の複合チップセット「ES9219C」をデュアルで搭載。32bit/384kHz PCM、DSD128までのハイレゾ音源のネイティブ再生に対応します。Ingenic社製省電力マイクロプロセッサーと独自の「MTouch OS」により、1.54インチの小型タッチスクリーンでスマートウォッチのようなシンプルで直観的な操作が可能です。


また「Shanling M0Pro」はBluetooth 5.0での「双方向」のワイヤレス接続に対応。まず「送信」ではワイヤレスヘッドホンやイヤホンに対してハイレゾ対応の「LDAC」、高音質高圧縮の「aptX」「AAC」コーデックなどでの接続に対応。また、「受信」ではスマートフォンから「LDAC」「AAC」などでの接続により各種音楽配信サービスや動画などを高音質で楽しむことができます。


同時に、「Shanling M0Pro」をスマートフォンやPC/MacなどにOTGケーブル等で接続することで高性能のUSB-DAC/ポータブルヘッドホンアンプとして利用することも可能です。既存の「M0」は3.5mmのシングルエンドのみの対応でしたが、「Shanling M0Pro」ではバランス接続にも対応し、「4.4mm変換アダプター」(別売)を併用することで4.4mmバランスケーブルでの接続も可能となります。出力も超コンパクトサイズながら最大236mW(2.75V@32Ω)、S/N119dB@32Ω(どちらもバランス接続時)という高出力・低ノイズを実現しています。


そして、「Shanling M0Pro」も最新のShanling製DAPおよびアンプ製品が対応を始めている「SyncLink」でもリモート接続に対応。Android製スマートフォンにて「Eddict Player」アプリをインストールすることでアプリから「Shanling M0Pro」をリモートコントロールすることが可能です。
「Shanling M0Pro」のカラーバリエーションは「ブラック」「レッド」「グリーン」の3色。3月24日国内販売と同時にオプションの専用レザーケースと4.4mm変換アダプターも発売されています。
購入は主要専門店、または国内販売元MUSIN直営店「Hey Listen」にて。価格は19,800円前後です。
Amazon.co.jp(Hey Listenショップ): Shanling M0Pro
MUSINダイレクトショップ(heylisten.jp): Shanling M0Pro


またオプションの専用レザーケースと4.4mmバランス接続用アダプターも一緒に届きました。レザーケースは本体カラーに合わせたものを選択可能で、バランス用アダプタは3.5mmプラグに挿すことで4.4mmのケーブルが利用可能になる変換ケーブルですね。なお本体接続部のプラグは5極タイプで、一部メーカーのDAPやDACで搭載される4極TRRSの3.5mmバランスとは異なる独自仕様となります。


「Shanling M0Pro」は既存の「M0」と比較して僅かに大きくなっていますが実際のサイズ感としてはほぼ同様な印象。この若干のサイズ変更により、「M0」では側面にあったmicroSDスロットは下部にUSBおよび3.5mmジャックとまとめられました。


いっぽうで側面ダイアルは少し大きくなったものの、本体の中により埋め込まれているデザインとなり、全体としてはスッキリまとまった印象になりますね。コンパクトな設計ながら最大14.5時間の連続再生が可能な仕様で長時間の利用が可能な設計なのは有り難いですね。


最近のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)はハイレゾ対応の音楽配信サービスの利用を想定してAndroid系のOSを搭載するモデルが一般的となりましたが、「Shanling M0Pro」のような専用OSを搭載した機種は一瞬で起動し、必要な機能にダイレクトにアクセスでき、より長い稼働時間が使えるなど、microSDに音源データを入れて使用するDAP本来の使用方法ではより高い利便性があります。
「Shanling M0Pro」はダイヤルボタンを長押しして電源を入れると起動画面が表示され、数秒程度で起動します。初回のみ言語選択の画面が出ますので日本語を選択すればすぐに使用可能です。タッチスクリーンを横にスワイプして選ぶ操作性は「M0」を踏襲していますね。


microSDにコピーした音楽データは「システム設定」の「マイミュージック」で「更新」することでライブラリに登録されます。以降は「自動更新」にしておけば変更があった際に自動で更新されます。
また「再生設定」では「ゲイン」「EQ」「再生モード」「最大音量」「ギャップレス再生の有無」などのほか、「プレイ再開時設定」(いわゆるレジューム設定)、「アーティストリスト」(アルバムアーティスト表示にするか)やゲインリプレイ(トラックやアルバムでのゲイン値のリプレイ)などの細かい設定もできます。


実際の曲データへのアクセスは「マイミュージック」や「ファイル一覧」から参照します。私は結構指が太い方なのですが小さいスクリーンでも操作性は快適でアクセスはそれほど難しくはありません。慣れれば本体だけでも十分に活用できると思います。


とはいえ画面が小さいことによるウィークポイントももちろんあります。特に曲データにフォルダアクセスする場合、フォルダ名や曲ファイルを長く付けている場合先頭部分しか表示されないため内容を全く把握できない、ということがあります。ライブラリを更新し、アーティスト名やアルバム名でアクセスすれば多くの場合問題はありませんが、日常的にフォルダアクセスで利用している方にはやはり不便だろうと思われます。
そのような場合はコピーする曲データおよびフォルダ名を短くしておくほか、後述の「SynkLink」機能を活用する方法もあります。また「Shanling M0Pro」もShanling製の他のDAP製品同様にあらかじめPC等でm3uプレイリストを作成して曲データと一緒にコピーすることもできますので、お気に入りのプレイリストを作成しておく方法もあります(「m3uプレイリスト」については古い記事ですが2017年に作成方法を紹介しています。→ 「私のDAPの音楽ライブラリ管理方法について」)。
■ サウンドインプレッション
「Shanling M0Pro」は音質面において従来の「M0」と比較しても劇的に向上しています。それもそのはずで、内部性能は同社の高音質ワイヤレスポータブルアンプの「Shanling UP5」にほぼ匹敵する性能を持っています。搭載するDAC/AMPチップは「UP5」と同じデュアル構成の「ES9219C」で、出力の236mW、SNR118dBといった値は「UP5」の240mW、120dBとほぼ肉薄するものです。実際に聴いてみた印象も特にバランス接続においては、より高い分離性とともに明瞭な出力を体験できます。
3.5mmのシングルエンドではShanling らしい癖の無いニュートラルな印象ながらミッドレンジへのフォーカスがあり、聴きやすくまとまっている印象です。小型のDAPやオーディオアダプターの場合、メリハリ重視で結構派手めにエッジを効かせるケースも少なくありませんが、「Shanling M0Pro」については比較的自然な印象にまとめられています。
また、シングルエンドでは出力自体はそれほど高くはないものの、安定した出力で低ノイズ性能を実現している点がポイントで、特にCIEMやマルチBAイヤホンなど反応が敏感でホワイトノイズが乗りやすいイヤホンを使用した場合にノイズレスで透明感のあるサウンドを楽しむことができ、スマートフォンなどとの違いを特に実感すると思います。
いっぽう3.5mmではより駆動力を必要とする、いわゆるちょっと鳴らしにくいイヤホンやヘッドホンの場合で音量を高めにすると、低域が強めに出たり、高域がキツめになることがあるかもしれません。
これは「Shanling M0Pro」に限らず、DACチップ内蔵のアンプを使用するタイプの製品では、特性として多少二次曲線的なゲインの上がり方ををするため、一定以上の音量に上げると高域や低域が強くなる場合があります。超小型DAPの「Shanling M0Pro」についてもシングルエンドでは似たような傾向を感じるケースもあるため、そのような場合はリケーブルやバランス接続を検討するのも良いかも知れませんね。
なんといっても超小型でポータビリティの高さが特徴の機種ですから、個人的にはそれほど音量は上げずに気軽に音楽を持ち出して楽しむような使い方が正解だと思います。「Shanling M0Pro」のシングルエンドは低音量でもボーカル域が聴きやすく適度な甘さと温かさがあり心地よいので良いと思いますよ。
これに対し、バランス接続では「Shanling UP5」や場合によっては上位モデルの「Shanling M3X」などを彷彿とさせるようなパワフルさがあり、同時に高い分離性を実現します。最大出力もシングルエンドの2倍以上となり駆動力も一気に向上しますので、シングルエンドでは鳴らしにくかったイヤホンやヘッドホンもそれほど音量を上げずに楽しむことが可能になります。もちろん反応の良いイヤホンでもより詳細な音量調整とノイズの少なさは十分に反映されますのでより明瞭かつ快適に利用できます。「Shanling M0Pro」を購入する際はバランス接続用アダプタも一緒に入手されることを強くオススメします。
■ 「双方向」でLDACコーデックに対応したワイヤレス機能
「Shanling M0Pro」の特徴のひとつとして最も注目される機能のひとつに「双方向」のワイヤレス性能があるようです。これは「Bluetoothレシーバー」と「Bluetooth対応プレーヤー」の両方を持っているということです。まずプレーヤーとしてはBluetooth 5.0接続でハイレゾ対応の「LDAC」、高音質高圧縮の「aptX」およびiPhoneなど幅広い製品がサポートする「AAC」、そして標準の「SBC」の4種類のコーデックに対応します。これらのコーデックに対応したさまざまやワイヤレスイヤホン、ヘッドホン、スピーカーに接続してプレーヤーとして利用できます。「aptX」や「LDAC」対応のイヤホンやヘッドホンで高音質を楽しみたい方に有り難い機能ですね。「Bluetooth」機能は「システム設定」の「Bluetooth」をONにしたうえで、「デバイスの検索」でペアリングを行います。
そして、「Bluetoothレシーバー」は「Shanling M0Pro」が「Shanling UP4/UP5」のようなワイヤレスポータブルアンプとして活用できる機能です。こちらは「Bluetooth」が有効になっていれば送信側のデバイスで「Shanling M0Pro」とペアリングすれば利用できるようになります。ただし、レシーバーとしてして接続時は後述の「SynkLink」はOFFにしておくことが必要です。


Bluetoothレシーバー機能自体は既存の「M0」でも搭載していましたが、音質面で大きく向上したことでアンプとしての実用性が増したことと、やはり音楽配信サービスの普及で、「M0」の発売当時より格段にニーズが高まっているという点があります。音質的にはmicroSDの音源を再生する場合と比べてハイレゾ対応のLDACでも転送のための圧縮・展開を行う家庭が入るため解像感や空気感(曲によっては薄い空気の膜を挟んだような輪郭の緩み)みたいなものを感じますが、それでも高音質イヤホンを「Shanling M0Pro」に接続して聴いた印象は多くのワイヤレスイヤホンを大きく凌駕しており、AppleMusicやAmazonMusicのハイレゾ音源を楽しむ手法としては十分に実用的といえるでしょう。
■ USB-DAC機能とUSBトランスポート機能
これも「M0」から搭載していた機能ですが、「Shanling M0Pro」はUSB接続についても「双方向」に対応しています。つまり「USB-DAC」機能と「USBトランスポート(出力)」機能です。最近では専用OSを搭載する多くのDAP製品でトランスポートにも対応していますが、Shanlingは「M2s」くらいの時代から低価格モデルでこの機能を搭載しています。「Shanling M0Pro」では「システム設定」の「USBモード」で設定を行います。ここで「USB-AUDIO」にすると「USBトランスポート」機能が有効になります。今回も「Shanling M0Pro」と先日レビューした「Shanling H7」を組み合わせて見ましたが問題なく利用できました。


そういえば、「Shanling M0Pro」の「裏技」的として、「Shanling M0Pro」とLDACやaptX対応イヤホンをペアリングしたうえで、iPhoneとOTGケーブルで接続することでiPhoneを擬似的にaptXやLDAC対応にする、みたいなのをネット上でよく見かけますが、この逆パターン、つまり「Bluetoothレシーバー」と「USBトランスポート」の同時利用も可能で、ワイヤレス接続に未対応のUSB-DACへトランスポーターとして「Shanling M0Pro」を接続し、AndroidスマートフォンなどからLDACコーデックでワイヤレスで曲を送るという使い方も問題なく利用できます。この機能は既存の「M0」から対応しており、私のブログでは「ネタ記事」として「M0」に自作クレードルを組み合わせた「似非MojoPoly」というのを載せていたりします(笑)。
→過去記事:「似非MojoPolyてきな何か」【ネタ記事】
USB-DACとして接続する場合は、「システム設定」の「USBモード」を「USB-DAC」に設定の上で、スマートフォンの場合はType-C仕様のOTGケーブルを使用します。またiPhoneの場合もLightning仕様のOTGケーブルを使用すれば問題なく接続が出来ると思います。PCおよびMacの場合も同様にType-CのOTGケーブルまたはType-AのUSBケーブルを使用します。


なお、前述の通り「裏技」としてネット上ではワイヤレスイヤホンをペアリングの上でiPhoneとLightning OTGケーブルで接続して「擬似的にiPhoneでLDAC/aptX使う」という方法が紹介されています。音量調整をイヤホン側で行う必要があるなどの点を除けば確かに可能だとは思います。しかし実際やってみると使い勝手は決して良いものではありませんし、あくまで「やろうと思えば出来る」という「ネタ扱い」だと思った方が良いでしょう。間違ってもこの方法を「目的」で「Shanling M0Pro」を検討するというのはやらない方が良いです。そういった意味では過度にこの点を誇張して動画などで説明するのも誤解を招きやすく、ちょっとどうかな、と思ったりしています(あくまで私個人の見解です)。


Macの場合は「USB Audio Class 2.0」準拠によりドライバー無しで利用が可能です。Windowsの場合もWindows 10以降の場合ドライバー無しでも利用できると思いますが高音質で利用するためには専用のASIOドライバーをダウンロードしインストールします。ドライバーはMUSINのサポートページで入手できます(Shanling M0Pro用Windowsドライバー)。
■ 「SynkLink」によるリモート再生
とにかく多機能なため、ついつい長くなってしまったレビューを締めくくるのは「SyncLink」によるリモート再生機能です。先日レビューした「Shanling H7」でも搭載しており、スマートフォンによるリモート再生が可能です。なお「M0」のときはHibyLinkというHiby社のアプリと連携する似た機能を実装していましたが、現在はShanling製プレーヤーアプリの「Eddict Player」を使用し独自機能として提供しています。
ただし、先日「神アップデート」を果たした「Shanling H7」と比べると、「Shanling M0Pro」の「SynkLink」機能はまだまだこれから、という状態で「Android版アプリでしか接続できない」「カバーアート未対応」「まだまだ不安定」と、今後のアップデートが待たれる状況ではあります。今後のアップデートに期待しつつ、ここでは簡単な紹介だけを行います。
「システム設定」で「Bluetooth」と「SynkLink」の両方を有効にした状態で、Androidスマートフォンにインストールした「Eddict Player」アプリで「SynkLink」のペアリングを行います。ペアリングが完了すると、「Shanling M0Pro」のライブラリおよびフォルダ内容を「Eddict Player」から参照でき、リモート再生が可能になります。「Shanling M0Pro」はポケットに入れたまま、スマートフォンの操作で聴きたい曲を聴けるわけですね。画面の小ささにより曲名やフォルダ名がよくわからない、といった事も無くスムーズな操作が可能になります。


レビュー時点では使用中に接続が切れるなどの不安定な部分もありましたし、「カバーアート」や「iPhone版のEddict Playerには未対応」などの状態もありますが、今後のアップデート次第では結構メインで活躍する環境になりそうな気がしますね。
■ まとめ
というわけで、おもいのほか長くなってしまいましたが、「Shanling M0 Pro」の機能についてざっと紹介してみました。これだけ多機能なプレーヤーが税込み2万円程度という価格設定には本当に驚くばかりです。
従来エントリークラスのDAP製品というのは「入門用」、あるいはスマホ直挿しからのステップアップ的なアイテムでした。しかし、「Shanling M0 Pro」についてはこのようなライトユーザー層もしっかり対応出来る使い勝手と性能を実現しつつ、機能面ではかなりディープなマニア層をねらったような要素を数多く搭載しているが非常に特徴的です。
ここ数年で世間のポータブルオーディオの環境は激変し、音源も高音質な音楽配信サービスの利用がむしろ「主流」となってきました。そうなると従来型の音源データをDAP内に入れて再生する、という使い方のほうが少なくなっているかも知れません。しかし「Shanling M0 Pro」はエントリーグレードのDAPという役割をもちながら、ストリーミングが中心の時代のさまざまな用途にも柔軟に対応出来るマルチオーディオアダプターとして、幅広い層のニーズに対応しようとしています。興味のある方は再入荷したら是非とも購入してみてくださいね(^^)。
ハイレゾオーディオの分野ですっかり人気ブランドとして定着した感のある「Shanling」ですが、同社のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)のなかでも特にコンパクトな多機能モデルとして高い人気を持っていたのが「M0」でした。私のブログでも海外発売時にいち早く紹介をしています。
→ 過去記事: Shanling M0 のレビュー(2018年掲載)
「M0」の登場から約5年というタイミングで性能面、音質面、そして機能的にも大きくグレードアップした最新モデルが登場しました。それが今回紹介する「Shanling M0Pro」です。
小型オーディオアダプター製品と多く変わらないコンパクトさでデュアルタッチスクリーン操作が可能で、音質的にもデュアルDACチップを搭載し、ハイレゾ、DSDのネイティブ再生に対応。また変換ケーブルを併用することでバランス接続にも対応。さらにLDAC等のコーデックにも対応する「双方向」Bluetooth再生、USB-DAC機能、そしてSyncLinkによるリモート再生にも対応する「フルスペック仕様」の機能を搭載します。


「Shanling M0Pro」は43.8×45×13.8mm、36.8gというApple Watch並のコンパクトサイズを実現。この小さな本体にDAC/AMPチップに多くのDAPなどでも採用されるESS製の複合チップセット「ES9219C」をデュアルで搭載。32bit/384kHz PCM、DSD128までのハイレゾ音源のネイティブ再生に対応します。Ingenic社製省電力マイクロプロセッサーと独自の「MTouch OS」により、1.54インチの小型タッチスクリーンでスマートウォッチのようなシンプルで直観的な操作が可能です。


また「Shanling M0Pro」はBluetooth 5.0での「双方向」のワイヤレス接続に対応。まず「送信」ではワイヤレスヘッドホンやイヤホンに対してハイレゾ対応の「LDAC」、高音質高圧縮の「aptX」「AAC」コーデックなどでの接続に対応。また、「受信」ではスマートフォンから「LDAC」「AAC」などでの接続により各種音楽配信サービスや動画などを高音質で楽しむことができます。


同時に、「Shanling M0Pro」をスマートフォンやPC/MacなどにOTGケーブル等で接続することで高性能のUSB-DAC/ポータブルヘッドホンアンプとして利用することも可能です。既存の「M0」は3.5mmのシングルエンドのみの対応でしたが、「Shanling M0Pro」ではバランス接続にも対応し、「4.4mm変換アダプター」(別売)を併用することで4.4mmバランスケーブルでの接続も可能となります。出力も超コンパクトサイズながら最大236mW(2.75V@32Ω)、S/N119dB@32Ω(どちらもバランス接続時)という高出力・低ノイズを実現しています。


そして、「Shanling M0Pro」も最新のShanling製DAPおよびアンプ製品が対応を始めている「SyncLink」でもリモート接続に対応。Android製スマートフォンにて「Eddict Player」アプリをインストールすることでアプリから「Shanling M0Pro」をリモートコントロールすることが可能です。
「Shanling M0Pro」のカラーバリエーションは「ブラック」「レッド」「グリーン」の3色。3月24日国内販売と同時にオプションの専用レザーケースと4.4mm変換アダプターも発売されています。
購入は主要専門店、または国内販売元MUSIN直営店「Hey Listen」にて。価格は19,800円前後です。
Amazon.co.jp(Hey Listenショップ): Shanling M0Pro
MUSINダイレクトショップ(heylisten.jp): Shanling M0Pro
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで、今回も3月24日の国内版のリリースに合せて届いていたのですが年度末シーズンということもありレビューの掲載が遅れてしまいました(汗)。非常に注目度の高い製品と言うことで発売後すぐに初回入荷分は完売、そろそろ次回入荷分が届くかな、というタイミングかと思います。というか今回もすぐに売り切れちゃいそうですね(^^;)。カラーはグリーンを選択しました。


パッケージ内容は、本体、充電用USBケーブル、予備の保護フィルム(標準でも貼付済)、説明書、保証書ほか。


パッケージ内容は、本体、充電用USBケーブル、予備の保護フィルム(標準でも貼付済)、説明書、保証書ほか。


またオプションの専用レザーケースと4.4mmバランス接続用アダプターも一緒に届きました。レザーケースは本体カラーに合わせたものを選択可能で、バランス用アダプタは3.5mmプラグに挿すことで4.4mmのケーブルが利用可能になる変換ケーブルですね。なお本体接続部のプラグは5極タイプで、一部メーカーのDAPやDACで搭載される4極TRRSの3.5mmバランスとは異なる独自仕様となります。


「Shanling M0Pro」は既存の「M0」と比較して僅かに大きくなっていますが実際のサイズ感としてはほぼ同様な印象。この若干のサイズ変更により、「M0」では側面にあったmicroSDスロットは下部にUSBおよび3.5mmジャックとまとめられました。


いっぽうで側面ダイアルは少し大きくなったものの、本体の中により埋め込まれているデザインとなり、全体としてはスッキリまとまった印象になりますね。コンパクトな設計ながら最大14.5時間の連続再生が可能な仕様で長時間の利用が可能な設計なのは有り難いですね。


最近のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)はハイレゾ対応の音楽配信サービスの利用を想定してAndroid系のOSを搭載するモデルが一般的となりましたが、「Shanling M0Pro」のような専用OSを搭載した機種は一瞬で起動し、必要な機能にダイレクトにアクセスでき、より長い稼働時間が使えるなど、microSDに音源データを入れて使用するDAP本来の使用方法ではより高い利便性があります。
■ 製品の基本操作について
「Shanling M0Pro」はダイヤルボタンを長押しして電源を入れると起動画面が表示され、数秒程度で起動します。初回のみ言語選択の画面が出ますので日本語を選択すればすぐに使用可能です。タッチスクリーンを横にスワイプして選ぶ操作性は「M0」を踏襲していますね。


microSDにコピーした音楽データは「システム設定」の「マイミュージック」で「更新」することでライブラリに登録されます。以降は「自動更新」にしておけば変更があった際に自動で更新されます。
また「再生設定」では「ゲイン」「EQ」「再生モード」「最大音量」「ギャップレス再生の有無」などのほか、「プレイ再開時設定」(いわゆるレジューム設定)、「アーティストリスト」(アルバムアーティスト表示にするか)やゲインリプレイ(トラックやアルバムでのゲイン値のリプレイ)などの細かい設定もできます。


実際の曲データへのアクセスは「マイミュージック」や「ファイル一覧」から参照します。私は結構指が太い方なのですが小さいスクリーンでも操作性は快適でアクセスはそれほど難しくはありません。慣れれば本体だけでも十分に活用できると思います。


とはいえ画面が小さいことによるウィークポイントももちろんあります。特に曲データにフォルダアクセスする場合、フォルダ名や曲ファイルを長く付けている場合先頭部分しか表示されないため内容を全く把握できない、ということがあります。ライブラリを更新し、アーティスト名やアルバム名でアクセスすれば多くの場合問題はありませんが、日常的にフォルダアクセスで利用している方にはやはり不便だろうと思われます。
そのような場合はコピーする曲データおよびフォルダ名を短くしておくほか、後述の「SynkLink」機能を活用する方法もあります。また「Shanling M0Pro」もShanling製の他のDAP製品同様にあらかじめPC等でm3uプレイリストを作成して曲データと一緒にコピーすることもできますので、お気に入りのプレイリストを作成しておく方法もあります(「m3uプレイリスト」については古い記事ですが2017年に作成方法を紹介しています。→ 「私のDAPの音楽ライブラリ管理方法について」)。
■ サウンドインプレッション
「Shanling M0Pro」は音質面において従来の「M0」と比較しても劇的に向上しています。それもそのはずで、内部性能は同社の高音質ワイヤレスポータブルアンプの「Shanling UP5」にほぼ匹敵する性能を持っています。搭載するDAC/AMPチップは「UP5」と同じデュアル構成の「ES9219C」で、出力の236mW、SNR118dBといった値は「UP5」の240mW、120dBとほぼ肉薄するものです。実際に聴いてみた印象も特にバランス接続においては、より高い分離性とともに明瞭な出力を体験できます。
3.5mmのシングルエンドではShanling らしい癖の無いニュートラルな印象ながらミッドレンジへのフォーカスがあり、聴きやすくまとまっている印象です。小型のDAPやオーディオアダプターの場合、メリハリ重視で結構派手めにエッジを効かせるケースも少なくありませんが、「Shanling M0Pro」については比較的自然な印象にまとめられています。また、シングルエンドでは出力自体はそれほど高くはないものの、安定した出力で低ノイズ性能を実現している点がポイントで、特にCIEMやマルチBAイヤホンなど反応が敏感でホワイトノイズが乗りやすいイヤホンを使用した場合にノイズレスで透明感のあるサウンドを楽しむことができ、スマートフォンなどとの違いを特に実感すると思います。
いっぽう3.5mmではより駆動力を必要とする、いわゆるちょっと鳴らしにくいイヤホンやヘッドホンの場合で音量を高めにすると、低域が強めに出たり、高域がキツめになることがあるかもしれません。
これは「Shanling M0Pro」に限らず、DACチップ内蔵のアンプを使用するタイプの製品では、特性として多少二次曲線的なゲインの上がり方ををするため、一定以上の音量に上げると高域や低域が強くなる場合があります。超小型DAPの「Shanling M0Pro」についてもシングルエンドでは似たような傾向を感じるケースもあるため、そのような場合はリケーブルやバランス接続を検討するのも良いかも知れませんね。なんといっても超小型でポータビリティの高さが特徴の機種ですから、個人的にはそれほど音量は上げずに気軽に音楽を持ち出して楽しむような使い方が正解だと思います。「Shanling M0Pro」のシングルエンドは低音量でもボーカル域が聴きやすく適度な甘さと温かさがあり心地よいので良いと思いますよ。
これに対し、バランス接続では「Shanling UP5」や場合によっては上位モデルの「Shanling M3X」などを彷彿とさせるようなパワフルさがあり、同時に高い分離性を実現します。最大出力もシングルエンドの2倍以上となり駆動力も一気に向上しますので、シングルエンドでは鳴らしにくかったイヤホンやヘッドホンもそれほど音量を上げずに楽しむことが可能になります。もちろん反応の良いイヤホンでもより詳細な音量調整とノイズの少なさは十分に反映されますのでより明瞭かつ快適に利用できます。「Shanling M0Pro」を購入する際はバランス接続用アダプタも一緒に入手されることを強くオススメします。■ 「双方向」でLDACコーデックに対応したワイヤレス機能
「Shanling M0Pro」の特徴のひとつとして最も注目される機能のひとつに「双方向」のワイヤレス性能があるようです。これは「Bluetoothレシーバー」と「Bluetooth対応プレーヤー」の両方を持っているということです。まずプレーヤーとしてはBluetooth 5.0接続でハイレゾ対応の「LDAC」、高音質高圧縮の「aptX」およびiPhoneなど幅広い製品がサポートする「AAC」、そして標準の「SBC」の4種類のコーデックに対応します。これらのコーデックに対応したさまざまやワイヤレスイヤホン、ヘッドホン、スピーカーに接続してプレーヤーとして利用できます。「aptX」や「LDAC」対応のイヤホンやヘッドホンで高音質を楽しみたい方に有り難い機能ですね。「Bluetooth」機能は「システム設定」の「Bluetooth」をONにしたうえで、「デバイスの検索」でペアリングを行います。そして、「Bluetoothレシーバー」は「Shanling M0Pro」が「Shanling UP4/UP5」のようなワイヤレスポータブルアンプとして活用できる機能です。こちらは「Bluetooth」が有効になっていれば送信側のデバイスで「Shanling M0Pro」とペアリングすれば利用できるようになります。ただし、レシーバーとしてして接続時は後述の「SynkLink」はOFFにしておくことが必要です。


Bluetoothレシーバー機能自体は既存の「M0」でも搭載していましたが、音質面で大きく向上したことでアンプとしての実用性が増したことと、やはり音楽配信サービスの普及で、「M0」の発売当時より格段にニーズが高まっているという点があります。音質的にはmicroSDの音源を再生する場合と比べてハイレゾ対応のLDACでも転送のための圧縮・展開を行う家庭が入るため解像感や空気感(曲によっては薄い空気の膜を挟んだような輪郭の緩み)みたいなものを感じますが、それでも高音質イヤホンを「Shanling M0Pro」に接続して聴いた印象は多くのワイヤレスイヤホンを大きく凌駕しており、AppleMusicやAmazonMusicのハイレゾ音源を楽しむ手法としては十分に実用的といえるでしょう。
■ USB-DAC機能とUSBトランスポート機能
これも「M0」から搭載していた機能ですが、「Shanling M0Pro」はUSB接続についても「双方向」に対応しています。つまり「USB-DAC」機能と「USBトランスポート(出力)」機能です。最近では専用OSを搭載する多くのDAP製品でトランスポートにも対応していますが、Shanlingは「M2s」くらいの時代から低価格モデルでこの機能を搭載しています。「Shanling M0Pro」では「システム設定」の「USBモード」で設定を行います。ここで「USB-AUDIO」にすると「USBトランスポート」機能が有効になります。今回も「Shanling M0Pro」と先日レビューした「Shanling H7」を組み合わせて見ましたが問題なく利用できました。


そういえば、「Shanling M0Pro」の「裏技」的として、「Shanling M0Pro」とLDACやaptX対応イヤホンをペアリングしたうえで、iPhoneとOTGケーブルで接続することでiPhoneを擬似的にaptXやLDAC対応にする、みたいなのをネット上でよく見かけますが、この逆パターン、つまり「Bluetoothレシーバー」と「USBトランスポート」の同時利用も可能で、ワイヤレス接続に未対応のUSB-DACへトランスポーターとして「Shanling M0Pro」を接続し、AndroidスマートフォンなどからLDACコーデックでワイヤレスで曲を送るという使い方も問題なく利用できます。この機能は既存の「M0」から対応しており、私のブログでは「ネタ記事」として「M0」に自作クレードルを組み合わせた「似非MojoPoly」というのを載せていたりします(笑)。
→過去記事:「似非MojoPolyてきな何か」【ネタ記事】
USB-DACとして接続する場合は、「システム設定」の「USBモード」を「USB-DAC」に設定の上で、スマートフォンの場合はType-C仕様のOTGケーブルを使用します。またiPhoneの場合もLightning仕様のOTGケーブルを使用すれば問題なく接続が出来ると思います。PCおよびMacの場合も同様にType-CのOTGケーブルまたはType-AのUSBケーブルを使用します。


なお、前述の通り「裏技」としてネット上ではワイヤレスイヤホンをペアリングの上でiPhoneとLightning OTGケーブルで接続して「擬似的にiPhoneでLDAC/aptX使う」という方法が紹介されています。音量調整をイヤホン側で行う必要があるなどの点を除けば確かに可能だとは思います。しかし実際やってみると使い勝手は決して良いものではありませんし、あくまで「やろうと思えば出来る」という「ネタ扱い」だと思った方が良いでしょう。間違ってもこの方法を「目的」で「Shanling M0Pro」を検討するというのはやらない方が良いです。そういった意味では過度にこの点を誇張して動画などで説明するのも誤解を招きやすく、ちょっとどうかな、と思ったりしています(あくまで私個人の見解です)。


Macの場合は「USB Audio Class 2.0」準拠によりドライバー無しで利用が可能です。Windowsの場合もWindows 10以降の場合ドライバー無しでも利用できると思いますが高音質で利用するためには専用のASIOドライバーをダウンロードしインストールします。ドライバーはMUSINのサポートページで入手できます(Shanling M0Pro用Windowsドライバー)。
■ 「SynkLink」によるリモート再生
とにかく多機能なため、ついつい長くなってしまったレビューを締めくくるのは「SyncLink」によるリモート再生機能です。先日レビューした「Shanling H7」でも搭載しており、スマートフォンによるリモート再生が可能です。なお「M0」のときはHibyLinkというHiby社のアプリと連携する似た機能を実装していましたが、現在はShanling製プレーヤーアプリの「Eddict Player」を使用し独自機能として提供しています。
ただし、先日「神アップデート」を果たした「Shanling H7」と比べると、「Shanling M0Pro」の「SynkLink」機能はまだまだこれから、という状態で「Android版アプリでしか接続できない」「カバーアート未対応」「まだまだ不安定」と、今後のアップデートが待たれる状況ではあります。今後のアップデートに期待しつつ、ここでは簡単な紹介だけを行います。「システム設定」で「Bluetooth」と「SynkLink」の両方を有効にした状態で、Androidスマートフォンにインストールした「Eddict Player」アプリで「SynkLink」のペアリングを行います。ペアリングが完了すると、「Shanling M0Pro」のライブラリおよびフォルダ内容を「Eddict Player」から参照でき、リモート再生が可能になります。「Shanling M0Pro」はポケットに入れたまま、スマートフォンの操作で聴きたい曲を聴けるわけですね。画面の小ささにより曲名やフォルダ名がよくわからない、といった事も無くスムーズな操作が可能になります。


レビュー時点では使用中に接続が切れるなどの不安定な部分もありましたし、「カバーアート」や「iPhone版のEddict Playerには未対応」などの状態もありますが、今後のアップデート次第では結構メインで活躍する環境になりそうな気がしますね。
■ まとめ
というわけで、おもいのほか長くなってしまいましたが、「Shanling M0 Pro」の機能についてざっと紹介してみました。これだけ多機能なプレーヤーが税込み2万円程度という価格設定には本当に驚くばかりです。
従来エントリークラスのDAP製品というのは「入門用」、あるいはスマホ直挿しからのステップアップ的なアイテムでした。しかし、「Shanling M0 Pro」についてはこのようなライトユーザー層もしっかり対応出来る使い勝手と性能を実現しつつ、機能面ではかなりディープなマニア層をねらったような要素を数多く搭載しているが非常に特徴的です。
ここ数年で世間のポータブルオーディオの環境は激変し、音源も高音質な音楽配信サービスの利用がむしろ「主流」となってきました。そうなると従来型の音源データをDAP内に入れて再生する、という使い方のほうが少なくなっているかも知れません。しかし「Shanling M0 Pro」はエントリーグレードのDAPという役割をもちながら、ストリーミングが中心の時代のさまざまな用途にも柔軟に対応出来るマルチオーディオアダプターとして、幅広い層のニーズに対応しようとしています。興味のある方は再入荷したら是非とも購入してみてくださいね(^^)。