SIMGOT EA500

こんにちは。購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」で、今回は 「SIMGOT EA500」です。「SIMGOT」の最新イヤホンもいよいよ3モデル目ですね。先行してリリースされた「EA2000」「EN1000」に続いて登場したのが今回の「SIMGOT EA500」で、「EA2000」の技術をベースにより低価格を実現したモデルになります。1万円程度の手頃な価格と完成度の高さでユーザーの評価も非常に高い印象です。私自身はSIMGOTは最初の「EN700」から個人的に好きなブランドと言うことで、3機種とも「衝動買い」でのレビューとなります(^^;)。

■ 製品の概要について

「SIMGOT」は主にミドルグレードの高音質モデルを得意とする中華イヤホンブランドで、かつての代表的なモデル「EN700」シリーズは中華イヤホンを枠を超えた人気モデルとして幅広いユーザーを獲得していました。その後、数年間は100ドル前後の比較的エントリークラスの製品が多かったものの、2022年秋は「EN700」シリーズを受け継ぐ「EN1000」と、ハイグレードモデルの「EA2000」を相次いでリリース。そして「EA2000」の技術を応用したエントリーモデルの「EA500」も登場しました。
過去記事(一覧): SIMGOT製イヤホンのレビュー

というわけで今回紹介するのは新シリーズのなかでは最後発のエントリーモデル「SIMGOT EA500」です。アンダー100ドル級の低価格ながら「EA2000」の技術を受け継いだ設計で優れた音質を実現し、美しい金属シェルの外観もあわせて発売以降各方面で高評価を受けているモデルですね。
SIMGOT EA500」の本体はCNC精密加工により成形され、鏡面仕上げメッキ加工で仕上げられています。またケーブルはリケーブル可能な高品質無酸素銅銀メッキケーブルが付属します。
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SIMGOT EA500」は、10mmサイズの「第4世代DLC複合振動板・デュアル磁気回路・デュアルチャンバーダイナミックドライバー」をシングルで搭載。ハイグレードモデル「EA2000」の開発で蓄積してきた技術や経験を活かした設計で、内外の二重磁気回路にN52マグネットを採用しより高い磁束密度を実現。ダイナミックレンジとトランジェント性能を大幅に向上し、広帯域化、低歪化を可能にしています。
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また第4世代の複合振動板を採用。メインとなるDLC(Diamond Like Carbon)を使用し、軽量かつ高剛性でダンパー計数が高い特性を活かし高域特性に影響するドーム部で採用。中低域に影響するエッジ部はより弾性係数の高い複合材料を使用しています。最適化されたチューニングにより、パワフルで自然な低域と高密度で解像度が高い中音域、伸びやかで滑らかな高域を持つサウンドを実現しています。
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また「SIMGOT EA500」ではステム部分で交換可能なチューニングノズルを採用。赤色リングの「ノズル1」は様々な音楽ジャンルに適応し、より穏やかで豊かなサウンドを実現。黒色リングの「ノズル2」は同様に正確な定位と明確な音像表現を実現しつつ、より女性ボーカルや楽器の音を美しく、分離感を向上させます。解像度が高く繊細な音の表現にも優れます。

SIMGOT EA500」の購入は主要専門店などで。価格は11,901円(国内正規品) です。
Amazon.co.jp(国内正規品): SIMGOT EA500 

またLinsoul(linsoul.com)でも取扱いを開始しました。価格は92ドルです。
Linsoul(linsoul.com): SIMGOT EA500


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SIMGOT EA500」のパッケージは製品画像が描かれたシンプルながら高級感のあるもの。「EA2000」および「EN1000」よりコンパクトなサイズです。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、チューニングノズル(「ノズル1」「ノズル2」)、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、交換用リング、レザーケース、説明書など。
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SIMGOT EA500」の本体は鏡面仕上げの金属製でシンプルながら美しいミニマルなデザインでまとめらています。背面部が円形のドライバー形状に合わせた突起に鳴っている点やフィルターを備えたベントを採用している点など、「EA2000」的な意匠を感じる要素もありますね。
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シェル形状の全体的なシルエットは「EA2000」に近いイメージがありますが、大きさは「SIMGOT EA500」のほうがひとまわり小さく、より耳に収まりやすい印象です。イヤーピースは「AET07」風のシリコンタイプが3サイズ付属します。しかし、今回のSIMGOTの3製品はどれもイヤーピースのフィット感による変化が非常におおきいため、標準にこだわらず、確実に耳にフィットできるものを選択することをお勧めします。定番の定番の「スパイラルドット」や、フィット感の強いタイプでは「SpinFit CP100+」や「AZLA SednaEarfit Crystal」、そして最近人気が高まっている「TRN T-Eartips」や「TRI Clarion」など、自分の耳に合う最適なイヤピースに交換するのも良いでしょう。
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ケーブルは銀メッキOFC線の2芯タイプで柔らかく取り回しの良い印象。コネクタは0.78mm 2pinタイプで、窪みは少ないため、リケーブルはCIEM 2pinのほか中華2pin仕様でも問題なく利用できそうです。

そして、「SIMGOT EA500」では交換式のフィルターノズルが付属します。「EA2000」および「EN1000」はケーブルプラグの入力側で電気的に調整するちょっと独特の仕様でしたが、「SIMGOT EA500」ではこの手のタイプでは一般的なノズル先端のメッシュ部分のフィルターで調整する方法を採用しています。赤黒の樹脂製リングで締め付ける方式のため、リング部分が摩耗すると締め付けが緩くなるため、リングの予備部品が大量に付属します(^^;)。
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2種類のフィルターノズルの外観を比べてみると、赤フィルターはノズル先端のメッシュの裏面に濃いめのフィルターシートが貼り付けられており、黒フィルターは、ノズル全体にスポンジ状のフィルター材を埋めています。赤フィルターは高域を中心に抑制し、黒フィルターは全体の流れをコントロールしている印象でしょうか。興味深いですね。


■ サウンドインプレッション

SIMGOT EA500SIMGOT EA500」はニュートラルで滑らかさを感じるサウンド。バランスは標準の「ノズル1」(赤フィルター)ではフラット方向からややU字寄り。
いわゆるハーマンターゲットなサウンドですが、ややボーカル域の主張が強く、若干温かく穏やかな印象のチューニングにまとめられることで、同様のチューニングのアンダー100ドル機と比較してもまとまりが良く、スッキリしつつ滑らかさを感じる仕上がりになっています。付属ケーブルを使用した場合は粗さも出にくいため、多くの方がバランスが整った聴きやすいサウンドと感じると思います。
メーカーサイトでも「ノズル1」(赤フィルター)の傾向について、「適応性が高い万能チューニング」といった内容の記述がありますが、要するに傾向や方向性に特化することなく、1万円程度で買える「全方位での最適解」、あるいは「最大公約数」的な合格点を目指していることを明記しているわけですね。そういった意味では「SIMGOT EA500」の「ノズル1」(赤フィルター)によるサウンドは目論見通りであり、「万人向けの高音質イヤホン」として非常に優れた製品であると思います。

SIMGOT EA500このように記述すると「マニア向けではないのか」というようにも取れると思いますが、「ノズル2」(黒フィルター)ではバランスの良さを維持しつつ全く異なる表情を見せます。また黒フィルターは上流での違いが大きく、しっかり駆動力のある再生環境ではV字方向にはっきりと変化し、より明瞭で聴き応えのあるサウンドを実感しました。
やはり「SIMGOT EA500」もSIMGOT製品らしくドライバー自体のポテンシャルは非常に高い印象で、標準フィルターなどで万人受けなチューニングとして仕上げつつ、別フィルターでの変化のほか、イヤーピースやリケーブル、そして再生環境の違いで「化ける」要素を多く持ち合わせています。

ちなみにSIMGOTサイトに記載されたf値でも「ノズル1」(赤フィルター)がハーマンターゲットカーブ(H2016)にほぼ準拠した傾向、「ノズル2」(黒フィルター)がSIMGOTの「SIMGOT Classic Target」準拠となるようにチューニングされているらしいことが確認出来ます。「SIMGOT Classic Target」は「EN700 Pro」など、同社のよりトラディショナルな製品が目指したチューニングかなと思われます。

SIMGOT EA500」の高域はスッキリとしつつ滑らかさを感じる音を鳴らします。複合振動板のDLCによるドーム部分はMoondropのような透明感と柔らかさを持っており、「ノズル1」(赤フィルター)でより刺激を抑え聴きやすくまとめられています。「ノズル2」(黒フィルター)ではノズル全体にフィルター材が詰められるため、より駆動力が必要になりますが、しっかり鳴らせばより煌めきや鋭さが増した明瞭な音に変化します。どちらのフィルターでも100ドル以下の製品としては解像感は高くしっかり合わせたイヤーピースとS/Nの高い再生環境により見通しの良さと分離感もしっかり楽しめます。

SIMGOT EA500中音域はフィルターによってやや温かさに違いがありますが、ボーカル域に適度な主張があり、広い音場感で自然に定位します。
「ノズル1」(赤フィルター)はハーマンターゲット的なニュートラルさで癖の無い印象ですが、解像感より滑らかさを重視した印象で若干温かみを感じる音で鳴らすことで粗さを感じにくく、適度な聴きやすさを実現しています。とはいえこのチューニングはより高価格帯の製品と比較されやすい上に、最近では「猫も杓子も」感があって「逆につまらない」と思うマニアの人も増えているため、「難しいことは抜きで聴きやすくバランスの良いサウンドを楽しみたい方向け」と捉えるのが良いでしょう。そろそろ海外での極端な「○○ターゲット」推しの風潮も収まってきているような気がするので、「わざわざ寄せる」みたいなチューニングも今後は減るかもですね。
「ノズル2」(黒フィルター)はバランスとしては若干凹みますが、やはりボーカル域の主張はあるため小型DAPやオーディオアダプター等ではW字寄りに感じる場合もありそう。ただ不自然な違和感はなく、癖の無い非常にスッキリと明瞭な音を鳴らします。演奏との分離も良く定位も正確さがあります。個人的には「ノズル2」(黒フィルター)でイヤピースをフィット感の強いものに交換した方が好みでした。

低域は直線的でスッキリしており、小気味よく鳴る印象です。量的にはどちらのフィルターも同じくらいのはずですが「ノズル1」(赤フィルター)のほうが少なめで、「ノズル2」(黒フィルター)のほうがミッドベースのパワフルさが増します。付属のケーブルは全体としてフラット方向のバランスにまとめるものの、やや低域が細る傾向があるため、より厚みのあるほうが好みの方は情報量の多いケーブルにリケーブルすることを推奨。リケーブル後も中高域との分離は良くスッキリ感は維持されます。重低音は重量感は控えめながら沈み込みは深さがあり、アコースティックなインストルメンタルもしっかりとならしてくれます。


■ まとめ

SIMGOT EA500というわけで、SIMGOTの新しい3機種を購入し、レビューしてみました。どのモデルもグレードの違いだけでなくそれぞれの個性があり、非常に興味深く感じました。ケーブルプラグの電気的な抵抗等によりチューニングを行う「EA2000」「EN1000」がプラグによって比較的穏やかな変化をするのに対して「SIMGOT EA500」のフィルターによる変化は結構アグレッシブなのも興味深いですね。また標準の「ノズル1」(赤フィルター)が「ハーマンターゲット」準拠で、もうひとつの「ノズル2」(黒フィルター)が「クラシックSIMGOT」準拠、と明記しているあたりも「SIMGOT的な正解は黒だけど、世間的な正解に合わせて赤を標準にしておいた」と言ってるみたいで、マニア的に見ると世間の「ハーマンターゲット偏重」の風潮に対して思うところも感じなくもないですね(^^;)。位置づけとしては「EA2000」と「EN1000」でちょっと傾向が異なるのに対し、「SIMGOT EA500」はやはり両者のエントリーという感じもありました。とはいえ、ポテンシャルは高くリケーブルなどで変化を楽しむ余地も広いことから、より多くの方に向けて、1万円程度のイヤホンのなかでもトップクラスにお勧めできる製品のひとつだと思いますよ。


タグ :
#SIMGOT
#構成:1DD
#ドライバー:DLC/DOC
#価格帯/グレード:50-100USD
#中華イヤホン(100USD未満)
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#有線イヤホン:1万円台