XENNS Mangird Top

こんにちは。今回は 「XENNS Mangird Top」です。KnowlesおよびSonion製BAとベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーによる 8BA+1DD構成で500ドルオーバーというマルチドライバー構成のハイスペックなハイブリッドイヤホンです。「Mangrid」というと「Mangrid Tea」やアップグレードした後継の「Tea 2」などのモデルで知られるブランドですが、今回は最新のアッパーグレードモデルの位置づけになります。個人的に「Tea」は持っていますがこの製品も同社らしいニュートラルで非常に透明度が高く滑らかなサウンドで、かつ各ドライバーユニットの良さもしっかり感じられる完成度の高さを感じました。

■ 製品の概要について

「Mangird」(現「XENNS」)は、少数の若いエンジニアによって設立されたオーディオブランドで、ニュートラルなサウンドで好評を得た6BA+1DD構成の「Tea」と後継でアップグレード版の「Tea 2」などのアッパーグレードの製品で知られていますね。同社はESTドライバーを搭載したハイブリッドモデル「XENNS UP」で「XENNS」という名称をブランド名として取り入れており、「Tea 2」以降は「Mangird」はシリーズ名という位置づけになったようです。そして今回レビューする「XENNS Mangird Top」は8BA+1DD構成を採用した「Mangird」シリーズの最新アッパーグレードモデルになります。
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XENNS Mangird Top」は超高域にKnowles「TO-32406」2BAユニット、高域にSonion「E50D」2BAユニット×2基、中高域用にSonion「2600シリーズ」BAユニット×2基、そして低域用に「10mm ベリリウムコート振動板ダイナミックドライバー」を搭載し、8BA+1DDのハイブリッド構成を採用します。これらのドライバーを入念にチューニングすることで各周波数帯域はクリアでありながら正確で優れた雰囲気と広い音場を実現します。高域は空気のように滑らかで感情の詳細な変化がとてもスリリングで感動的です。低域は非常にダイナミックで柔軟かつ力強さがあります。
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XENNS Mangird Top」のシェルはドイツの医療グレードのUVレジンを使用し、フェイスプレートも含めハンドメイドで作られています。さらにケーブルは2pinコネクタを採用し、高純度の6N OCC 銅単結晶銀メッキ線を採用し、3.5mm、4.4mm、および 2.5mmの各プラグへの交換が可能です。このケーブルは、より洗練された透明感のあるサウンドを実現するために最適化されています。
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XENNS Mangird Top」の購入はLinsoul(linsou.com)またはアマゾンのLINSOUL-JPにて。
価格は530ドル、アマゾンでは78,420円です。
Linsoul(linsoul.com): XENNS Mangird Top
Amazon.co.jp(LINSOUL-JP): XENNS Mangird Top


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

XENNS Mangird Top」のパッケージは大きめの黒箱の上から夜空を描かれた化粧カバーで覆われています。以前購入した「Mangrid Tea」は同じサイズの黒箱のみでしたので、ちょっと製品の内容がわかるようになりましたね。
XENNS Mangird TopXENNS Mangird Top

パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピースはシリコンタイプが2種類でそれぞれS/M/Lサイズ、ウレタンタイプが2サイズ、交換プラグ、6.3mm変換コネクタ、航空機用変換コネクタ、本体保護用の布製ポーチ、ハードケース、キーホルダー、説明書、保証カードなど。この価格帯のイヤホンらしい充実した内容ですね。
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本体は手作業でひとつひとつ成形されたUVレジン製。ドイツ製のレジンを使用しているとのことで質感は良く手触りや装着感も良好です。ステムノズルは金属製で太め。コネクタは0.78mm 2pin仕様で、上部側面にベント(空気孔)があります。
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手持ちの「Mangrid Tea」と比べると、ドライバー構成は6BA+1DDの「Tea」より増えているものの8BA+1DDの「XENNS Mangird Top」のほうがシェイプされた形状でより耳に馴染みやすくなっているのがわかります。実際に装着性もより向上しています。
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ケーブルは6N OCC銀メッキ線の4芯ケーブルで「Tea」に付属する8芯ケーブルより細く被膜も柔らかく仕上げられています。取り回しも良く使いやすい印象。またハイグレードなイヤホンでは増えているプラグ交換のギミックもついており、標準の3.5mmのほか、4.4mm/2.5mmのバランス仕様に交換して利用することも可能です。
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イヤーピースは2種類のシリコンと1種類のウレタンで各サイズが付属します。ただ一般的なものですので、耳のサイズに合わせて交換するのも良いでしょう。定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」および「AEX07」のほか、ラディウス「ディープマウント」、「Softears U.C」などより高いフィット感を得られるものを選ぶのが良いでしょう。


■ サウンドインプレッション

XENNS Mangird TopXENNS Mangird Top」の音質傾向はバランスの良いU字または弱ドンシャリ方向のサウンド。各音域の透明感が高く、いわゆる多ドライヤホンにありがちなクロスオーバーによる籠もり感は皆無です。癖が無くニュートラルなボーカル域に対して、非常に印象的で深みのある低域と、マルチBAらしい情報量の多さとともに伸びの良さと滑らかさのある高域が印象的なサウンドです。
同社の「Tea」がマルチドライバーを徹底的にコントロールし非常に滑らかなフラットサウンドを生み出していたのに対し、「XENNS Mangird Top」ではその滑らかさは踏襲しつつも、各音域でBAらしさ、ベリリウムらしさを感じさせるポイントが存在するなどアクセントの効いた音作りが印象的です。これらは「ハイブリッドらしさ」と言える要素ですが同時にハイブリッド構成にありがちな不自然なメリハリ感や人工的な印象は完全にコントロールされており、ハイグレードモデルに相応しい上質感も併せ持っています。

「Mangrid」にとって最初の人気モデルとなった「Tea」は高い評価を得つつも「フラットすぎる」傾向から好みが分かれる要素もありました。これに対し「Tea 2」では主に中高域および高域のバランスを変更し、ニュートラルながらより鮮明さを得たようです。
XENNS Mangird Topいっぽうで今回の「XENNS Mangird Top」ではベリリウムコート振動板ダイナミックドライバーによる低域の存在感を一気に増やし、高域もKnowlesとSonionのユニットにより4BAを割り当て「Tea」よりさらに存在感を増しました。「Tea」「Tea 2」と比べてよりV字方向、つまりドンシャリ寄りにチューニングされている「XENNS Mangird Top」ですが、「Tea」は多くの製品と比較しても非常にフラット(すぎる)チューニングだったため、実際は多少U字寄りながら「ニュートラル」と表現しても差し支えない範囲のバランスにまとまっています。価格は200ドルほどアップしてますがそれに見合ったリスニングサウンドに仕上がっています。

XENNS Mangird Top」の高域は、明瞭かつ伸びのある音を鳴らします。やや暗めといわれた「Tea」に対して、「XENNS Mangird Top」ではKnowles製の超高域用ツイーター2BAとSonion製高域用2BAの4基のBAユニットを割り当てることでBAらしいキラキラ感のある詳細な音色を持ちつつ、歪みを押え、伸びのあるサウンドを実現しています。分離の良さと解像感の高さから優れた透明感を持っており、綺麗な高音を実現しています。

XENNS Mangird Top中音域はニュートラルで癖の無い音を鳴らします。U字寄りのバランスですが凹むことはなく、広く立体的な音場感のなかで複数のBAが奏でる早い立ち上がりと繊細さのある細部の表現が印象的です。印象としては明るいチューニングで音色は鮮やかさがあります。それでも人工的な印象にはならず、なめらかなクロスオーバーを実現しているのは同社らしい音作りと言えるでしょう。高域同様に分離は良く滑らかさをもちつつ明瞭な輪郭で透明感があり見通しの良い音でボーカルと演奏を美しく際立たせます。密度感のあるサウンドですが細部もしっかり描写されているのは好印象です。中音域および高域については、シングルダイナミックのニュートラルさとは明らかに異なり、やや過剰気味な微細におよぶディテールの表現は上質なCIEMに近い(マルチBA的な)印象ですが、明らかにリスニングチューニングな深く濃厚な低域とのバランスにより臨場感のある空間表現と相まって適度な温度感を持って楽しませてくれます。

XENNS Mangird Top低域は量感のある非常に濃密な音を鳴らします。ベリリウムらしい分離感とスピード感があり、これだけ力強く濃い音を鳴らしても籠もることは無く、中高域とも明瞭に分離します。またハイブリッドながら中低域も滑らかに繋がっているクロスオーバー処理により音域の断絶感は無く自然な印象も持っています。ミッドベースは直線的ですが「Tea」と比べてもキックは強めのインパクトがありエネルギーを感じます。重低音は非常に深く、大口径のサブウーファーで鳴らしているような重厚感があります。それでも優れた解像感とスピード感により音数の多い曲でも籠もることは無く、高い質感を与えます。


■ まとめ

XENNS Mangird Top」はハイグレードなハイブリッドイヤホンですが、CIEMメーカーのUnique Melodyやqdcのハイブリッドモデルのようにモニター的では無く、Empire Earsのような個性的な音とも異なります。あくまでニュートラルなサウンドバランスをベースにしつつ、ハイブリッドらしさを活かし、各ドライバーの個性を活かした臨場感のあるリスニングサウンドを実現しています。
XENNS Mangird Topそのため、同価格帯の「DUNU SA6」のようなマルチBAのリスニングイヤホンとも分かりやすく棲み分けが出来るでしょう。このクラスになると「いかに自分の琴線に触れるか」という好みの世界ですので良し悪しについてはあまり意味がありません。視聴可能なこれらのハイエンド製品を聴いて、シングルダイナミックよりマルチドライバー製品のディテール感に共感しつつ、より質の良い低域を求める方なら「XENNS Mangird Top」も挑戦する価値があると思います。少なくとも500ドルオーバーの価格設定に見合う優れたイヤホンであることについては間違いないと思いますよ(^^)。


タグ :
#XENNS
#Mangird
#構成:8BA+1DD
#価格帯/グレード:ミドル&ハイグレード
#コネクタ:中華2pin(フラット/中華)
#リケーブル:中華2pin/CIEM-2pin
#有線イヤホン:ミドルグレード以上(5万円前後~)