SUPERTFZ FORCE KING

こんにちは。今回は「SUPERTFZ FORCE KING」です。購入したのは結構前ですがずっと書きかけのまま放置状態でした。さすがにそろそろ仕上げないとお蔵入りしそうだったのでこのタイミングでの公開となりました。たぶん日本では誰も買ってないし日本でも出るかどうか微妙な感じの製品ですが、内容的にはかつての「T2 Galaxy」のプラットホームを大幅にアップデートし、「EXCLUSIVE KING」をイメージさせるサウンド仕上がった先祖返りみたいなイヤホンです(^^;)。

■ 製品の概要について

中国のイヤホンブランド「TFZ」はつい最近までは日本でも多くのファンを持つ有名ブランドのひとつでした。しかしブランド開始当初から「思いつき」「企画倒れ」感のあるネタ的な製品もかなり多く、またメインのラインも「グレードの違いがよくわからん」とマニアですら困惑するラインナップの迷走ぶりで人気モデルはあっても固定ファンは付きにくいという側面があったのも事実のようです。
私のブログではそれでも結構頑張ってTFZを追いかけていたほうだと思いますが、気がつけば「今でもしつこくTFZのレビュー書いてる変なヤツ」状態になっているような(滝汗)。
過去記事(一覧): TFZ製品のレビュー
過去記事(まとめ): TFZ製品の変遷とまとめ 変遷図その①その②その③

そして最近の状況は、以前レビューした「SUPERTFZ FORCE 1」の「音質以前の問題」で結構コアなマニアも離れてしまった感もあります。ようするに「J○みたいなロゴ」問題です。デザインも明らかにパ○ってますが「○Hが女性の天使に対してこっちはおっさん天使」という感じも微妙ですね。
SUPERTFZ FORCE 1まあTFZは最近でも「LIVE X」で「ブル○リですか」みたいな謎の輪っかがフェイスプレートにデザインされていたり、全体的なデザインイメージもハイブランドへの憧れを如実に感じる風潮がありました。しかし、例のロゴに対しては「同じイヤホン業界の欧米ブランド」のパ○リということで、比較的オマージュに寛容な中華イヤホンのマニアの間でも嫌悪感を抱く方が少なくなかったようです。これが日本だけなのか、海外でも同様なのかはあまりよくわかりませんが、現在発売されている超個性的デザインの上位モデル「SUPERTFZ FORCE 5」も今回レビューする「SUPERTFZ FORCE KING」もレビュー掲載時点ではネット上で購入している方は全然見かけませんね。うーーん。

そんなネガティブイメージ先行の「SUPERTFZ」ですが(「TFZ」から「SUPERTFZ」への変遷などは「FORCE 1」のレビューも参照ください)、「SUPERTFZ FORCE KING」は現在販売されている第4世代ドライバー搭載の「KING RS」などの系統とは異なり、初代の「EXCLUSIVE KING」からのブラッシュアップモデルといったイメージに近いでしょう。
SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING

ドライバーにはグラフェン振動板の11.4mm 二重磁気回路ダイナミックドライバーを搭載。世代としては第2世代(あるいは2.5世代)ベースと考えられ、最近で言うと「TFZ MY LOVE 4」や「TFZ T2 PRO」で搭載されたユニットに近いかもしれません。ただし、これらの機種はインピーダンスが48Ω程度と高く、やや鳴らしにくいチューニングだったのに対し、「SUPERTFZ FORCE KING」では16Ω、感度113dB/mWと、かつての「EXCLUSIVE KING」を彷彿とさせる仕様となっています。ちなみに仕様に記載される「5年連続VGP受賞のユニット」とは「T2 Galaxy(T2G)」搭載の第2世代ドライバーのことを指します。
SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING

メーカーの説明によると「SUPERTFZ FORCE KING」のサウンドチューニングでは
「20人以上のバンドシンガーとサウンドエンジニアが参加し、プロ仕様のリアルモニター サウンドと色付けのない高い再現性と、ライブパフォーマンスやミキシング作成・録音時に優れたサウンドサポートが可能なように、連携した綿密なチューニングが行われました」とのことです。

SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING

SUPERTFZ FORCE KING」のカラーバリエーションは「シルバー」「ブラック」「ゴールド」の3
色。購入はAliExpressの各セラーやPenon Audioなどにて。価格は129ドルです。
AliExpress(The Fragrant Zither Official Store):  SUPERTFZ FORCE KING
Penon Audio: SUPERTFZ FORCE KING

※5月26日より国内版も販売を開始しました。参考小売価格は22,000円(税込)です。
楽天市場(国内正規品): SUPERTFZ FORCE KING


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

SUPERTFZ FORCE KING」のパッケージは「FORCE 1」同様にタワー型のボックスで、デザイン性を意識したものです。内箱は底上げになっていて実際には上半分くらいが実際の中身。なお底上げされた下半分もたぶんボール紙か何かが詰まっているらしくそれなりに重量感はあります。
SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピースが2種類でS/M/Lサイズ、布製ポーチ、説明書。内容そのものは従来のTFZとほぼ同じですね。
SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING
本体は樹脂製のシェルに合金製の金属フェイスプレート、と形状も含め既存のTFZ製イヤホンを踏襲しています。フラットなフェイス面に「例のロゴ」と「Super TFZ」のロゴがプリントされています。フラットな金属パネルのフェイスデザインは「SERIES 4」や「T2 Galaxy」を踏襲しています。フェイス下部にベント(空気孔)がありますが、例えば「T2 Galaxy」や「T2 PRO」より大きい穴で赤/青のリング状のカバーが付けられているのも特徴的ですね。
TFZ / SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING
付属ケーブルは「FORCE 1」と同様のもので柔らかい銀メッキ線タイプですがプラグ部分とケーブル分岐部分がクローム処理された四角い金属パーツを採用しています。従来のTFZ製ケーブルとは異なるSUPERTFZ専用の意匠になっていますね。イヤーピースは従来とほぼ同じものが付属します。付属品のほか、よりフィット感を高めるために定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」、より密着感の強いタイプではSpinFit「CP100+」などに交換するのもお勧めです。


■ サウンドインプレッション

SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING」のサウンドバランスはキレの良さを感じるドンシャリ傾向。方向性としてはまさに初代KING、つまり「EXCLUSIVE KING」のブラッシュアップです。また製品としてはかつての人気モデル「T2 Galaxy」のアップグレードと考えても良いでしょう。初代「KING」はTFZ最初期の上位グレード「SERIES 5」とその後の限定モデル「SERIES 5S」の流れを汲むモデルで、ドライバーが第2世代となり、特に中高域から高域の解像感が改良された製品でした。「SUPERTFZ FORCE KING」では「T2 Galaxy」のプラットフォームをベースにドライバーを最新バージョンにアップデートし、サウンドチューニングを最適化したイヤホンと考えられます。
つまり、おそらく同じドライバーを搭載している「TFZ T2 PRO」がインピーダンスを高く設定し「MY LOVE 4」と同様に「KING PRO」寄りのニュートラルサウンドにチューニングされているのに対し、「SUPERTFZ FORCE KING」ではかつての「T2 Galaxy」の傾向を踏襲し、全体的に解像感を高め、さらに「EXCLUSIVE KING」のようなさらに伸びのある高域を手に入れた製品というイメージです。
個人的にこれがスタジオモニターとして成立するのかはちょっとよく分からないですが、キレのある音で各音域をしっかり分離して各楽器の音は捉えやすいことから、ライブモニターとしては使えるのかもしれません(King Gunがブレイク前に撮影した「白日」のPVで「KZ AS06」を使っていたのは有名ですが当時のビデオを見てると他のメンバーも「KZ ZS10」とかを使ってたりしますし、モニターがフラット傾向である必要は実際はあまり無いのかもしれませんね)。

TFZ / SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING」の高域は、明るく開放感がある伸びの良い音を鳴らします。また解像感も高く、スッキリとした見通しの良さとキレのある印象。「T2 Galaxy」より主張は強く「EXCLUSIVE KING」のどこまでも伸びていく高域を彷彿とさせます。それでも歯擦音などは無くシャリ付きも少ない印象。適度な鋭さが有り個人的には好印象です。ただし刺さりやすい帯域の刺激も少し多いため、再生環境によっては鋭すぎると感じる方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ付属ケーブルでは多少高域は過激さを抑えた聴きやすい印象になるため、敏感な方にも配慮されているといえるかもしれません。本気を引き出したい方はより情報量が多いケーブルへのリケーブルがおすすめです。

中音域は明瞭さの中に濃厚さを感じる主張の強いサウンド。適度な広さと奥行きのある音場感と、明瞭で少し前に出るボーカルのバランスが優れています。特に女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り、高音も明瞭に抜けます。中低域もスッキリしており音数が多くても分離の良さがあります。演奏もそれぞれの音を捉えやすく、力強くはっきりとした輪郭のある音です。「FORCE 1」よりキレ重視のサウンドで硬質かつドライな印象はありますが、極端に人工的にはならずにまとめられているあたりで低価格イヤホンとの違いを感じます。なお、付属ケーブルではドライバーのキレの良さを多少柔らかく抑えている印象があるため、やはりリケーブルがおすすめです。かつての「TFZはリケーブルが必須」という感がまた復活しましたね(汗)。リケーブルにより本来のポテンシャルが発揮され明瞭感と音場感が増すのが感じられるでしょう。ただしキレ重視のサウンドのため聴き疲れしやすい、という側面もあります。

TFZ / SUPERTFZ FORCE KING低域もパワフルでパンチのあるサウンドで、「そうそうTFZの低域てこうだよね」と往年のファンに思わせるアタックの早さとキレの良い音を鳴らします。量的には「FORCE 1」ほど多くは無くバランスとしてはニュートラルですが、十分な存在感と重さがあり、他の音域同様にタイトさがあるドライな印象です。ミッドベースは締まりが有り直線的で、スピード感のある曲でもしっかり分離しつつ、力強い音を鳴らします。重低音は解像感を保ちつつ、厚みと深さがあり、エネルギッシュな印象です。中高域との分離ははっきりしています。


■ まとめ

SUPERTFZ FORCE KINGSUPERTFZ FORCE KING」は一言でいえば「EXCLUSIVE KING」と「T2 Galaxy」を改めてブラッシュアップした製品です。解像感やキレが良く後期は良く延び低域は重くタイト。ボーカルは近く、いっぽうで音場は窮屈にならず各楽器の分離も優れている。さらに付属ケーブルではやや柔らかく輪郭の緩くなるものの刺激を抑え聴きやすい印象になり、リケーブルによりしっかり本気を出すこともできる。このようにドンシャリ傾向のイヤホンとして非常に使いやすく成熟した良い製品だと思います。新しいドライバーや技術を投入するなどの目新しさはありませんが、既存の製品での改良点をひとつずつ丁寧に解消し、仕上げたら思ったよりコストがかかった、みたいな感じかも知れません。
しかし、2017年時点で99ドルの「EXCLUSIVE KING」と2018年時点で59ドルの「T2 Galaxy」。そのアップデートが129ドルというのが納得できるか。またTFZには「LIVE 1」のように、より低価格で似たアプローチの製品があることも気になる点です。冒頭に挙げた「SUPERTFZ」「例のロゴ」問題を敢えて無視しても「SUPERTFZ FORCE KING」についてはまずこれらの点を理解する必要があります。まあ結構売上が伸び悩んでいるのもこの辺が理由かもしれませんね。とはいえ、これらを承知した上で考えれば「SUPERTFZ FORCE KING」は価格にある程度見合った良質のイヤホンだと思います。興味があり、「例のロゴ」が許容できる方は挑戦してみてくださいね(^^)。


タグ :
#TFZ
#構成:1DD
#リケーブル:TFZ/中華2pin/CIEM-2pin
#コネクタ:中華2pin(TFZ/NX7)
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A100USD~)