CCA CRA+

こんにちは。今回は「CCA CRA+」 です。中国の低価格イヤホンブランド「KZ ACOUSTICS」のサブブランドとしてスタートした「CCA」ですが、色々あって最近はオーディオアマニア向けのメインがこっち、という感じもあるかもしれません。今回の「CCA CRA+」でも採用される「複合ポリマーの極薄振動板を採用した新しいダイナミックドライバー」はKZ/CCAによって昨年までの多ドラモデル中心から、高性能なシングルドライバー構成への以降を目指す軸となる技術と言えるでしょう。ベースとなった「CRA」の完成度も比較的高かったですが、さらにブラッシュアップした「CCA CRA+」は久々にKZ/CCAブランドでもお勧め度の高い製品に仕上がっているようです。

■ 製品の概要について

CCA CRA+」は製品名の通り、ベースに「CCA CRA」があり、そのアッパーグレードモデルとしてリリースされました。実は無印「CRA」も今年の初め頃にオーダーしていたのですが、ちょうど他のKZ製品が届いたタイミングでちょっと周辺が騒がしかったこともあって、結局未レビューのままになっています。ただ、先日レビューした「KZ EDA」の比較として「CCA CRA」についても触れていますので、よろしければ併せて参照いただければと思います。
過去記事(一覧): KZ/CCA製品のレビュー

「CCA CRA+「CCA CRA」「KZ EDA」そして今回の「CCA CRA+」の3種類のシングルダイナミック構成のモデルは、既存KZ/CCAの「ハイブリッド構成のモデルからBA部分を除いた廉価モデル」みたいなアプローチではなく、最初から「シングルダイナミック構成を前提にドライバーから開発された」という点が根本から異なっています。もともと「KZ ZSTX」などの代表的なKZ/CCAの低価格ハイブリッド製品はダイナミックドライバーをベースにハウジングなどでコントロールできない音域についてBAを追加することで音域を補完するアプローチを取ってきました。

これはより低価格のイヤホンを作るという過程で、ダイナミックドライバー側で幅広いダイナミックレンジで質の高い音を鳴らす音質を実現させるより、歩留まりを重視しある程度の音域で十分なパフォーマンスが出れば、補完する音域は低価格の中華BAを大量に購入することでコストを下げる方が効率的と考えたのでしょう。つい数年前まで、特に50ドル以下の低価格中華イヤホンの大半がKZ同様のハイブリッド構成を取っていたのはこのような考え方に基づくものでした。

しかし中華イヤホンがよりグローバルで認知され市場が底上げされることで、より高性能なダイナミックドライバーユニットを供給するサプライヤーも数多く登場し、またKZやTRNによる多ドラ競争が市場で飽きられ始めていた2020年頃になると、より評価の高い1DD構成のイヤホンも低価格帯に数多く見られるようになりました。KZも2021年以降になるとベースとなるダイナミックドライバーは維持したまま、高域を小口径のダイナミックドライバーや、中華ESTドライバー(正確には「静磁ドライバー」というほうが近い模様)を採用するなど、少しずつ「多ドラ構成の一辺倒」から脱却しようとしていたのが伺えます。

そして、従来のハイブリッドをリプレースする新たなシングルダイナミックドライバー構成の「CCA CRA」「KZ EDA」および「CCA CRA+」では、従来の二重磁気回路ドライバーをベースに振動板に特許取得済みの「極薄」複合ポリマー振動板を採用。「KZ EDA」が4.8μm、「CCA CRA」および今回の「CCA CRA+」では3.8μmの極薄振動板を採用しています(KZの以前のドライバーは6~12μm)。

CCA CRA+CCA CRA+

さらに「CCA CRA+」では「CRA」をベースに「低域の強さと透明感の向上」「スピーカー構造の変更によりフォルマント周波数のF1の改善を実施」「周波数応答、音場、高域および低域の忠実度の向上」といった3つのチューニング強化を実施しています。
CCA CRA+CCA CRA+

CCA CRA+」の購入は主要な海外セラー、アマゾンにて。
価格は海外が37ドル前後(セール価格にて21ドル前後)、アマゾンが4,773円です(6/28現在)。
HiFiGo: CCA CRA+
Amazon.co.jp(HiFiGo): CCA CRA+ 


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージはいつもの白箱タイプ・・・なのですが、「CCA CRA」や「KZ ZES」など、最近のモデルからパッケージの簡易包装がより進みましたね。まあもともと低価格なイヤホンですのでパッケージにかけるコストを最小限にするのは特に問題はないでしょう。内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/L)サイズ、説明書。イヤーピースが今回また新しいタイプになりました。
CCA CRA+CCA CRA+

CCA CRA+」の外観は「CCA CRA」とほぼ同じで違いはフェイス部分の金属プレートのカラーがゴールドである点のみ。シェル形状は「KZ ZSTX」など従来モデルのハウジング形状を踏襲しており、樹脂と金属パーツの組み合わせによるフェイスパネル部分のデザインのみが特徴です。
CCA CRA+CCA CRA+
極薄振動板のシングルダイナミック構成でも「KZ EDA」はよりコンパクトな新しいシェルデザインを採用していましたが、新しいドライバーに対し、シェルなどではできる限り既存のリソースを活用するアプローチは過去にもあり、CCAブランドの位置づけを伺わせますね。なお「CCA CRA+」および「CCA CRA」のフェイスの樹脂部分にはスリット状のベント(空気孔)があり、単にデザイン的な意匠だけではなく意味を持ったデザインのようですね。
「CCA CRA+「CCA CRA+
ケーブルは最近のKZ/CCAで採用されている被膜が硬めの銀メッキ線タイプ。コネクタはタイプC仕様です。イヤーピースは今回新しいタイプが採用されました。最近の極端に柔らかいタイプに近いですが芯の部分は多少厚みがあり、フジツボ型の既存タイプとの中間くらいの柔らかさですね。これはこれで悪くはないと思いますが、例によって私は今ひとつ合わなかったので、適当に交換して使用しています。定番と言えばAcoustune「AET07」やJVC「スパイラルドット」などですが、価格的に手頃なソニー「ハイブリッドイヤーピース」なども結構オススメです。


■ サウンドインプレッション

CCA CRA+」の音質傾向は中低域寄りのドンシャリ。過去のKZ/CCAによる中華ハイブリッドの金属質な派手でギラギラしたサウンドからは完全に離別し、よりニュートラルでまとまりのあるサウンドを手に入れました。ベースとなった「CCA CRA」では「EDX PRO」などの従来型のドライバーを搭載した低価格1DDモデルの傾向を踏襲しつつ中高域の伸びの良さが格段に向上。確かにシングルダイナミック構成を前提とした(=高域にBAなど別のドライバーを組み合わせない)製品として最初から音作りを行っていることを実感させました。
CCA CRA+CCA CRA+
そして「CCA CRA+」では主に低域の強化が行われているようですが、併せて全体的によりニュートラルさを感じるチューニングを実感します。力強く直線的なミッドベースとより深く確実なレスポンスで反応する重低音は非常に心地よく、より音場は広く立体的です。また高域は「CCA CRA」と比べて明るさは若干抑えられているものの、より自然な印象で綺麗に伸び、見通しの良さを感じます。結果として、まだまだKZらしい派手さ(≓メリハリ重視感)があった「CCA CRA」に対し、「CCA CRA+」では細かい部分の表現をしっかり追い込むことで、例えば「DUNU TITAN S」などの100ドル近い価格設定の製品と比較しても十分に楽しめる質感を持ったサウンドに「醸成」された印象です。

CCA CRA+CCA CRA+」の高域は、自然な音色ながら明瞭さと伸びの良さがあり、シンバル音なども歪むこと無く綺麗に鳴ります。伸びの良さに対し粗さもあった「CRA」に対し、若干派手さを抑えつつ、透明感などを向上させることでよりニュートラルで見通しの良いサウンドを手に入れた印象です。
中音域は曲によっては僅かに凹みます。過度にボーカル帯域を誇張するようなアプローチはありませんが女性ボーカルなど中高域にアクセントがあり、「CCA CRA」より前面に出るような印象を持ちます。また高域同様により自然に感じる細かなチューニングが有り、「CCA CRA」が従来のKZのような派手さも少し感じるのに対し、よりハイグレードなイヤホンと比較しても遜色ないような癖を抑えたバランスの良さがあります。音場はやや広く、ある程度の分離の良さもあり付属ケーブルでも奥行きを感じます。
そして低域は「CCA CRA+」で最も強化された部分で、「CRA」より確実に優れています。特に重低音の質感は非常に良く、十分な解像感と分離性を維持しつつ、あくまで自然な音色で低域を過度に誇張すること無く鳴ってくれます。ミッドベースは直線的で力強さを持ちつつ過度に響くことはありません。キレやスピード感より全体のバランス重視のチューニングのようです。

相性の良いの音源はロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲のほか、特にアコースティックや音源やライブ感のあるインストルメンタルも非常に相性が良いです。また従来のKZ製品と比べてクラシックやジャズなども結構聴かせどころがあり楽しめそうです。いっぽうでスピード感やキレ重視の音源、音数が置くBPMが早い打ち込み系の曲ではちょっと大人しく感じるかもしれません。この辺は情報量の多いバランスケーブルなどにリケーブルすることで分離が向上し、締まりが増すためある程度は対応出来るかもしれませんね。


■ まとめ

CCA CRA+というわけで、「CCA CRA+」はKZ/CCAブランドのメーカーとしての実力を改めて感じさせる製品でした。これまでは、ともすると多ドラ系の中華ハイブリッドに代表されるような派手でメリハリの強いサウンド(私のブログでは時折「下品さ」のある音と記載)が、上品なサウンドのハイグレードイヤホンに対して「味が濃いジャンクフードのような魅力」として紹介をしてきました。ただ、そういう製品も繰り返し作りすぎれば「飽き」が来ますし、他のメーカーの製品が例えばハーマンターゲットカーブを意識した音作りなどよりニュートラルな方向性に向かうなか、多少逆行しているイメージも感じ始めていました。しかし、「CCA CRA」で(ハイブリッド構成が不要の)シングルドライバーでの音作りに成功すると、今回の「CCA CRA+」ではそういった「下品なメリハリ」は完全に鳴りを潜め確実に質感は向上させることに成功しました。「俺たちだって作ろうと思えばちゃんとできるのよ」と言わんばかりの印象ですね(^^;)。今後の同社の製品展開がどのように向かうのかやはり期待と興味は尽きないところです。


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#構成:1DD
#中華イヤホン(低価格/50USD以下)
#コネクタ:qdc-2pin(CIEM極性)/KZタイプC
#リケーブル:qdc/中華2pin
#有線イヤホン:低価格(35USDor5000円以下)