
※オプションケーブル「ITM-IKKOFFL」の情報ほか一部追記しました。
※国内販売(IC-CONNECT)情報を追記しました。
こんにちは。今回は「IKKO Zerda ITM01」ポータブルオーディオアダプターです。中国のポータブルオーディオブランド「ikko Audio(アイコーオーディオ)」の新しいプロダクトで、優れた超低ノイズ
と高出力を実現するESS製カスタムDACチップ「ES9298」を搭載し、利用シーンに合わせた3つの動作モード設定に対応。独自のマグネット接続によるケーブルの交換に対応するなど、興味深い仕様に対応した製品です。


個性的なイヤホン製品を相次いでリリースしている中華イヤホンのブランドとしてマニアの間でも人気が高まっている「ikko Audio」ですが、オーディオアダプター製品にも精力的に取り組んでいる側面もあります。私のレビューでもこれまで小型アダプターの「ITM03」、スマートフォンと一体化して利用できる「ITM05」を紹介しています。
→過去記事(一覧): 「ikko Audio」製イヤホン/オーディオアダプターのレビュー
そして、今回リリースされた「IKKO Zerda ITM01」は各種ストリーミングでの利用シーンに柔軟に対応できる新しいアダプター製品です。ベースとなるDACチップにはESS製カスタムDACチップ「ESS ES9298」を搭載。この型番は現在のところ「IKKO Zerda ITM01」以外での採用はみられず、ESS Technology社のサイトにも記載が見当たらないことから、「カスタムDACチップ」という記載の通りこの製品専用のものかもしれませんね。内容的には最近のオーディオアダプターで採用されている「ES9280A/ES9281A」のようにESS製DACを中心にヘッドホンアンプなど複数の機能を集積したシステムチップと思われます。
また「IKKO Zerda ITM01」は3つの動作モードを選択でき、利用するシーンに応じて「MUSIC」「GAME」「MOVIE」を切り替えることが出来ます。各モードは動作中の側面のLEDのカラーで確認することが出来ます。


そして、「IKKO Zerda ITM01」のもうひとつの特徴が接続ケーブルをマグネット式にしている点。ちょっと以前のMacBookのMagaSafeみたいな楕円形のコネクタで脱着が出来ます。断線のリスク回避のほか、コネクタ部分の接触ノイズの軽減にも役に立つ仕組みのようです。専用ケーブルは、PC等に接続するUSB-Aタイプが標準で付属し、スマートフォン用としては「USB Type-C」と「Lightning」を購入時に選択できます。


またikko Audioからは「IKKO Zerda ITM01」用の交換用アップグレードケーブルが別売りでリリース予定となっており、こちらには「USB Type-C」と「Lightning」の両方のケーブルが付属します。まずはよく使うほうのコネクタで「IKKO Zerda ITM01」を購入し、あとからオプションケーブルを追加するのも良さそうですね。


「IKKO Zerda ITM01」の海外版はikko Audio直営店価格で59ドルとなっています。
また国内代理店のIC-CONNECTより10月29日より国内版がリリースされる予定です。
国内版の購入はアマゾンなどのIC-CONNECT直営店または各専門店にて。販売価格は8,500円です。
Amazon.co.jp(IC-CONNECT): IKKO Zerda ITM01
また「ikko Audio」の直営店がAliExpressにオープンしました。各種セールで特価などもありますので、興味のある方は併せてご覧頂くことをオススメします(^^)。
■ アルミ製の軽量設計。マグネット接続ケーブルはしっかりと固定され安定した接続。
「IKKO Zerda ITM01」はシンプルなクリアケースで届きました。内容は本体、Type-CまたはLightning仕様のケーブル(どちらか)、PC接続用USBケーブル、説明書、保証登録書。なお、付属するマニュアルに記載の仕様でPCMが「16bit/384kHz」となっていますがこれは記載ミスで、実際はサイト記載の「32bit/384kHz」が正しいとのことです(メーカーより訂正をいただきました。ご了承ください)。


本体は最近の各社のオーディオアダプターより少し大きめですが、長さ58mm、幅22mm、厚さ11mmで重量も実測でケーブル込み19g程度とShanling UA2(同17g)とさほど変わらない印象。本体はアルミ製でLED点灯する側面部分が樹脂製のパーツで覆われています。


マグネットのケーブル部分はかなりがっちりと張り付き、使用中に不意に外れるようなことはまず無いでしょう。それでも横方向で引っ張られるとちゃんと外れるので断線防止にはなります。モード切替は中央の「○」ボタンの長押しで切り替える度にいったん接続が切れて再接続となるようです。
■ 癖の無いニュートラルで解像度の高いサウンド。3つの動作モードでは分かりやすい変化を実感。
実際にAndroidスマートフォン(Oppo Find X3 Pro)およびMacBook Proに接続してしばらく使用してみました。「IKKO Zerda ITM01」の傾向(「MUSIC」モード)は非常にニュートラルでダイナミックレンジの広い明瞭なサウンド。ESS製のカスタムチップということで、同社DACらしい少しエッジの効いた特徴が比較的分かりやすく反映されておりポータブルアダプタとしては解像感のあるサウンドを楽しめます。また「SNR 118dB(32Ω)」とノイズ特性もシングルエンドのオーディオアダプタとしては非常に高く、実際にオーケストラ演奏の音源などでもクリアでダイナミックレンジの広さを感じました。シングルエンドのみでバランスは非対応ながら、この実力で8千円台と手頃な価格設定はかなり意欲的な製品といえるのではと思います。
ちなみに、ウィークポイントとしてひとつは音量ボタンがAndroidスマートフォンの場合は本体ボリュームに連動する点。できれば個別動作でより細かい音量調整ができたほうが有り難いですね。もっともこの手の小型オーディオアダプタはほとんどの製品ではそもそも音量ボタンが付いていないため、むしろ音量ボタンがあること自体をメリットと捉える方が良いかもしれません。あとはWindows用のASIOドライバーも現時点では提供されていないようです。スマートフォンの他、MacBookなどのUSB Audio Class 2.0対応デバイス、「GAME」モードではNintendo Switchなどの対応ゲーム機に接続する上では全く問題は無いため、ここはスマートデバイス専用のアダプタと考えた方がよいでしょう。
また各モードの違いも結構分かりやすい変化があります。まず標準の「MUSIC」モード(黄色)は最も定位も近くアダプタ本来のサウンドが楽しめます。これを「MOVIE」モード(青色)にすると少し定位が下がり、より空間を感じやすくなります。また中低域がやや派手めになり臨場感がアップします。そして「GAME」モード(紫)が一気に後ろにさがり、音量も小さくなります。低域の過度な響きや高域の刺激などは抑えられ、よりプレイ集中しやすくするモード、という印象です。


なお、「GAME」モードでは「Nintendo Switch」などのデバイスに対応するためUSB接続状態の変更も行われるため、モード切替時にいったんUSB接続が切断され、1.5秒~2秒程度で再起動がおこなわれます(「GAME」モードから「MUSIC」モードに戻るときも同様です)。それぞれのモードのサウンドの違いはかなりハッキリしているため、用途に応じて使い分けるのが良いでしょう。
また出力は2V(125mW@32Ω)で、ポータブルアダプタの中では高出力な「Shanling UA2」と同等レベルの出力を確保しています。さらに、実際の駆動力でもikko Audioのハイエンドモデルのイヤホン「IKKO Musikv OH7」はインピーダンス90Ωとイヤホンとしてはかなり鳴らしにくい製品になりますが、さすがに自社製品である「IKKO Zerda ITM01」では「IKKO Musikv OH7」をかなり余裕で鳴らせる印象でした。特にMacBook Proにつないでみると音量調整もより柔軟にできるため、このようなイヤホンでも快適に使えました。仕様としては16Ωから600Ωまでのインピーダンスのイヤホンおよびヘッドホンが使用可能で、ある程度鳴らしにくいイヤホンやヘッドホンにも十分に対応出来そうですね。(追記)オプションケーブル「ITM-IKKOFFL」が届きました。
ikko Audioより、追加で発売されたITM01用オプションケーブル「IKKO ITM-IKKOFFL Magnetic Upgraded Cable」(39ドル)が届きました。オプションケーブルはUSB Type-C、Lightning、PC用のUSB-Aの各ケーブルが付属します。それぞれ12コアシルバーコート仕様の線材が採用されており、音質面でのアップグレードも行われています。
AliExpress(IKKO Official Store):IKKO Arc FFL010 Magnetic Upgraded Cable


新しいケーブルは「IKKO OH1S」に付属するケーブルとよく似た弾力のある被膜に覆われた線材で、とても滑らかな手触りです。付属ケーブルより情報量および歪み特性に優れており、私が試した限りでは音質変化は実感できなかったものの、音量を上げた場合や鳴らしにくい環境では違いを感じやすくなるかも。こちらもいろいろ試してみたいところですね。


というわけで、「IKKO Zerda ITM01」は1万円以下で購入できるオーディオアダプターとしては完成度の高いサウンドで、多様なモードを搭載するなど実用性のうえでも優れた製品だと感じました。10月29日より国内でも手軽に購入できるようになりますので、この手のアダプターに興味のある方は挑戦してみるのも良いと思います。結構オススメですよ(^^)。