IKKO Gems OH1S

こんにちは。今回は「IKKO Gems OH1S」です。中国のポータブルオーディオブランド「ikko Audio」の最新ハイブリッドモデルです。個人的にも同社のサウンドには共感することが多く、店頭試聴で即買いした「OH10 Obsidian」以降、イヤホン、ケーブル、オーディオアダプターなど、ほぼ全ての製品を購入しています。
過去記事(一覧): ikko Audioのイヤホンおよびオーディオアダプター製品のレビュー

今回の「IKKO Gems OH1S」では、アルミ合金と樹脂を組み合わせたコンパクトなシェルデザインを採用し、素材の違いを設計に反映し三次元の音響デザインを行った「ikko Audio」独自構造のSVAS(Separating Vector Acoustics System)や、ハイエンドモデル「Musikv OH7」と同様の振動版を使用するダイナミックドライバーの搭載など、さまざまな技術を投入した次世代ハイブリッドモデルに位置づけられるイヤホンです。
サウンドについては従来の「OH10 Obsidian」や「Musikv OH7」とは方向性の異なる、キレが良くスピード感のある明瞭な印象。同社の高いポテンシャルとともに新しい方向性を感じさせる仕上がりで、2万円クラスのイヤホンのなかでもかなりお勧めできる製品のひとつです。 
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「ikko Audio」には既存モデルで「OH1 Meteor」という同社にとって最初の製品があり(現在は生産終了/在庫のみ)、ネーミングの上では「IKKO Gems OH1S」はその後継モデルにあたります。ただ、実際にはOH1ブラッシュアップしたアッパーグレードモデルの「OH10 Obsidian」が高い評価を受ける人気製品となっており、「IKKO Gems OH1S」はこれとは別系統の上位モデルと考えた方が良いでしょう。

IKKO Gems OH1S」は、航空グレードのアルミニウム合金と樹脂素材を仕様した複合ハウジングを採用。ドライバー性能を最大限に活かすため容積、反射、拡散の角度など、高精度な三次元音響を考慮したデザインとなっています。

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搭載ドライバーには、同社ハイエンドモデルの「Musikv OH7」で採用された「高密度ナノカーボン振動版」の技術を採用した10mmダイナミックドライバーとKnowles「RAD-33518」バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載したハイブリッドモデル。新たに音響設計として同社独自の SVAS(Separating Vector Acoustics System)を採用し、2種類のドライバーの相互干渉を最小減に抑えることでより高いサウンドクオリティを実現。ダイナミックドライバーは中低域の表現に適している樹脂素材の経路を、BAドライバーはアルミ合金の経路により高域部分の鮮やかな響きを持たせるなど、素材の違いを活かした設計としている点もポイントです。このように同社の独自技術をふんだんに採用することで、「IKKO Gems OH1S」はOH1およびOH10よりもワンランク上のサウンドを実現したとのことです。

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また、「IKKO Gems OH1S」では人間工学に基づいたエルゴノミクスデザインを採用。より小型・軽量化することで耳への負担を軽減。耳道にフィットしやすい楕円形のイヤーピースや同社の「i-Planet」ウレタンイヤーピースにより高い装着性の環境ノイズの軽減を実現しています。また本体コネクタはMMCXを採用しリケーブルに対応。付属ケーブルはリケーブル製品「CTU-01」をベースに、1芯あたり0.127mmの素線を7本使用した銀メッキ単結晶銅による4芯構造をL/R側それぞれの線材で採用しています。また、被膜には「CTU-01」同様にPE/PVC素材を採用し、タッチノイズを抑えた構造になっています。

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IKKO Gems OH1S」のカラーバリエーションは「Star blue」(ブルー)と「Midnight purple」(ブラック/パープル)の2色を選択可能。価格は 199ドル、国内正規品(IC-CONNECT)は22,980円(税込)となっています。
Amazon.co.jp(IC-CONNECT): IKKO Gems OH1S

また「ikko Audio」の直営店がAliExpressにオープンしました。各種セールで特価などもありますので、興味のある方は併せてご覧頂くことをオススメします(^^)。
AliExpress(IKKO Official Store):IKKO Gems OH1S


■ アルミ合金+樹脂製の軽量コンパクトシェル。イヤーピースや付属品も充実したパッケージ。

今回はikko Audioからのメーカーサンプルの提供を受けました。これまでは購入レビューまたは試聴機レビュー(レビュー後に購入)みたいなパターンでしたので、同社製品での提供は初めてだったりします。どのみち購入するつもりでしたので有り難いですね(Twitterやブログをご覧の方はご存じかと思いますがなにしろ普段から散財しまくっているもので^^;)。カラーは「Star blue」を選んだのですが、よく考えたら「Midnight purple」もとても格好良いですし他のレビュアーでもあまり見かけないですし、こっちにすればよかったかな、と少し思ったり(もう1個買うフラグじゃないですよ^^;)。

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今回も「OH10」あたりと同様のちょっとファンシーさを感じるイラストパッケージ、と思いきや、カバーを外すと、今度はクールなデザインのパッケージが。サウンド面からすると内箱のほうがイヤホンのキャラクターに合っているのかも、という気もしますが、シリーズとしての一貫性も持たせるなど、なかなか凝ったアプローチです。
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パッケージ内容も非常に充実しており、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは楕円形タイプが4サイズ合計6ペア、「i-Planet」ウレタンイヤーピース3サイズが付属、またメタルバッジ、レザーケース、交換用ステムメッシュパーツとMMCXリムーバー(写真には写ってないですがレザーケース内に収容)、説明書、保証登録カードが同梱されます。
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IKKO Gems OH1S」の本体は非常に小型・軽量なシェルデザインが特徴的です。どちらかといえば大きく、かなり重量級だった「OH10 Obsidian」とは全く異なる印象ですね。ステムノズルは楕円形でメッシュパーツの材質は異なるもののハイグレードの「Musikv OH7」に近いデザインになっています。またコネクタもMMCX仕様になりましたね。サイズ感としては「Musikv OH7」より僅かに大きいくらいで、耳の小さいかたでもすっぽり収まる装着性を実現しています。
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また楕円形のステムノズルにあわせて、付属のシリコンイヤーピースも耳のシルエットにあわせた楕円形のものが付属します。このイヤーピースも「Musikv OH7」と同様のもので、「大」と「中」が2ペア、「中より少し大きいサイズ」と「小」が1ペア付属します。また単独で販売されているウレタンイヤーピースの「i-Planet」相当品もS/M/Lサイズが付属します。このほかにももちろん市販のイヤーピースに交換するのも良いでしょう。
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レザーケースは質感の良い本革仕様で、革製バンドで巻き付けるタイプ。ケースの中には交換用のメッシュパーツとMMCXコネクタのリムーバーが同梱されていました。リムーバーは定番のfinal製のものほどの使い勝手はないものの、MMCXケーブルを安全に取り外すのには十分な機能を持っています。

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付属ケーブルはオプションケーブルの「CTU-01」と同様の3色の線材をグレーの被膜で覆ったタイプですが、「CTU-01」がまとめて被膜に覆われていたのに対し、「IKKO Gems OH1S」ではL/Rのそれぞれの線を撚り線にしたタイプです。被膜は適度な硬さと弾力がありますがケーブルの取り回しは良く、ちょっと絡まりやすかった「OH10」「OH1」のケーブルより質も使い勝手も向上していますね。


■ 既存モデルとは一線を画する、明瞭で質の良い高域が特徴的な高解像度サウンド。

IKKO Gems OH1SIKKO Gems OH1S」の音質傾向は中高域寄りの弱ドンシャリで明瞭かつクールな音を鳴らします。同社の人気モデル「OH10 Obsidian」が中低域寄りでハイブリッドらしいメリハリとともに厚みのある低域が印象的だったことと比べると、今回はかなり方向性の違うサウンドに仕上げられています。「IKKO Gems OH1S」で採用されている「SVAS」構造の影響もあってか、特に中高域から高域にかけての分離に優れ、非常に伸びのある見通しの良い高音が印象的です。ツィーターに「RAD-33518」BAを採用したイヤホンは一定グレード以上の製品では結構増えてきていますが、こんなに鮮やかな高域が出るのか、とちょっと驚きを感じてしまいました。
また低域は「OH10 Obsidian」が分かりやすく厚みがあり丹銅製の重量感のあるメタルハウジングを活かした深い重低音が印象的だったのに対し、「IKKO Gems OH1S」ではより硬く極薄のコーティングによる振動版によるキレとレスポンスの良さに加えハウジングの樹脂製部分に装着されたことで、よりスピード感のある印象になりました。さらに重低音の解像感や締まりの良さは「IKKO Gems OH1S」のほうが向上しており、全体として高解像度でキレとスピード感重視のチューニングとして非常に高レベルのサウンドにまとまっていると思います。

IKKO Gems OH1SIKKO Gems OH1S」の高域は、非常に見通しの良い、鮮やかで明瞭な音を鳴らします。多少ハイゲインで鳴らしても歪むことは無く、光沢のある煌びやかな印象を維持します。高域のレスポンスや解像感、そして忠実さを求める方には、この価格帯のイヤホンとしてはかなり正解に近いサウンドではと思います。もちろん忠実であるが故に鋭い音は相当に鋭く、刺激のある音も音源をしっかり再現します。その点で多少キツいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ個人的には他の音域の力強さとバランスの良さにより、キツめの音源でも「結構聴ける」と感じました。実際のところ「刺さりやすい」製品は金属質なギラつき、つまり一種の歪みが原因である場合も多く、それに対して「IKKO Gems OH1S」はより直線的でありのままに鳴らしている、という点でより高価格帯のイヤホンに近い高域だと思います。

中音域は凹むことなく透明感のある描写が印象的です。ボーカル帯域も非常に鮮明で、解像度が高く、クールな印象ながら派手になりすぎず滑らかさがあります。音場は標準的ですが分離の良さから定位は比較的正確で、ありのままの音を明瞭に鳴らす印象です。
IKKO Gems OH1Sまた、女性ボーカルやピアノのハイトーンなど中高域の主張は強さがあります。通常はこの帯域に反響音などを感じやすいのですが、非常にスッキリしており、見通しが良い直線的な伸びを感じます。中低域も締まりがありますが輪郭は自然で適度な響きによる余韻もしっかり表現できています。
全体的にクールでタイトさを感じる音ですが、適度に光沢があり、派手めのハイブリッドにありがちな人工的でドライなサウンドとは異なる印象。そのためジャズなども思いのほか楽しめたりしますね。

低域は相対的に少なめに感じますが、実際は力強さと深さがあります。中高域に対して下がること無く主張し、しっかりとした音を刻みます。ミッドベースはキレと締まりがあり膨らむこと無く直線的に鳴ります。重低音も深く響きや厚みは「OH10 Obsidian」とは異なるものの、解像感などはより優れています。スピード感のある曲の表現力も高く、相性の良さがありますね。
なお、「IKKO Gems OH1S」はインピーダンス32Ω、感度109dB/mWと音量は比較的取りやすいものの、再生環境による違いはそれなりにあり小型DAPなどではやや高域が派手めに鳴り、相対的に低域が抑えめに感じるようです。ノイズ特性に優れ十分な出力のあるDAPやアンプでハイゲインで鳴らすことでより、少ないボリュームで十分な音量が得られるためより力強さと深さを実感できると思います。
IKKO Gems OH1Sもちろん「IKKO Gems OH1S」はMMCXコネクタを採用していますので、対応するケーブルへのリケーブルも可能です。太さのある単結晶銅線ケーブルなどで低域をより引き出すのも良いと思いますが、個人的には「IKKO Gems OH1S」の完成度の高さ活かし、伸ばす方向が良いと思います。そうなると候補に挙がるのはやはり純正の「CTU-01」で、バランス化したい場合の選択しても良いと思います。この組み合わせでは同じ傾向ながら情報量が増加するため、より駆動力を稼ぐ手段としても有効でしょう。いろいろ試して自分の好みを見つけてみるのも楽しいですね。

というわけで、「IKKO Gems OH1S」は、同社の従来製品とは異なる方向性ながら、高い技術力を意欲的に投入した、非常に魅力的なイヤホンでした。個人的には、「IKKO Gems OH1S」と「OH10 Obsidian」および「Musikv OH7」のキャラクターの違いが非常に鮮明なこともあり、使い分けがしやすくて良いなぁと思っていたり。200ドル前後の製品は強力なライバルが多く、6月に発売以降も人気モデルとなるまでには至っていないようですが、特に質の良い高域のあるリスニングイヤホンを希望されている方にはかなりお勧めな選択肢になると思いますよ(^^)。


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#ikko
#構成:1BA+1DD
#価格帯/グレード:200-399USD
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A200USD~)
#コネクタ:MMCX
#リケーブル:MMCX
#有線イヤホン:2万円台