TINHIFI T5

こんにちは。今回は「TINHIFI T5」です。マニア人気の高い中国のイヤホンブランド「TINHIFI」の最新モデルですね。初代「T2」から始まり、「T3」「T4」とグレードアップし、リニューアルした「T2 PLUS」も人気モデルとして定着してきました。そして今回の「TINHIFI T5」では新たにDOC(DLC overcoat)振動板を採用した独自10mmダイナミックドライバーをシングルで搭載。デザインをさらに一新しアルミニウム合金をより装着性に優れたデザインに成形しコネクタ形状も従来のMMCXタイプからCIEM 2pin仕様にするなど大きく進化しました。
過去記事(一覧): TINHIFI(TIN Audio)製イヤホンのレビュー
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そして「TINHIFI T5」では新たに「DOC振動板」を採用したダイナミックドライバーをシングルで搭載。これは既に高音質ドライバーの振動板として定着しつつあるDLC(Diamond Like Carbon)をさらに進化させ、より高度な定着技術で振動板をコーティングした「DOC(Diamond-like-carbon overcoat)」技術を採用しています。DOCでは黒鉛素材をアルゴンと水素の混合ガス内でDCマグネトロンスパッタリングすることによって振動板に定着されます。マグネトロンスパッタ技術はプラズマ化して強力な磁石の力で効率的に定着させる仕組みで、先日レビューした「TFZ KING RS」のドライバーで採用されている「ナノゴールドスパッタリング振動版」でも材料は異なりますが、同様の定着手法が取られています。
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TINHIFI T5」の10mm DOC振動板ダイナミックドライバーは、従来のDLC振動板に比べて60%の強度と剛性を持ちながら、より薄くすることに成功しています。さらに、炭素原子がお互いに接近しているため、DOCドライバーは一般的なセラミック振動板の5倍の硬度を持っています。また経年変化のない高い耐久性も特徴です。
これらの物理特性により、完全な直線的な周波数特性を実現することができ、詳細で優れた広帯域と高速なレスポンスと表現力を実現しているとのこと。また人間の耳にとって理想的な周波数特性を実現し、位相ズレ最小限に抑えながら歪みのない高い質感と透明性を持っています。このようにDOCドライバーは、業界をリードする革新的な技術であると同時に、聴き応えのあるサウンドを実現する重要な要素になっているようです。
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TINHIFI T5」の購入はAliExpressやHiFiGoなどの海外セラーおよびアマゾンにて。価格は 129ドルです。AliExpressでの購入方法はこちらをご覧ください。
AliExpress(Easy Earphones): TINHIFI T5
HiFiGo: TINHIFI T5 ※HiFiGoでは日本向けの優先配送便で発送されます。

アマゾンでは13,980円で販売されています。プライム扱いでアマゾン倉庫出庫のショップもありますので、通常はこちらで購入した方が良いかもしれませんね。
Amazon.co.jp(SHENZHENAUDIO): TINHIFI T5
Amazon.co.jp(L.S オーディオ): TINHIFI T5


■ 従来モデルからデザインを一新し装着性が大幅に向上。ケーブルもCIEM 2pin仕様に。

私は6月上旬に購入し、2週間ほどで届いています。パッケージはシンプルな白箱デザインの少し大きめのボックスです。全体的によりグレードアンプした感じがありますね。特にレザーケースは新しいデザインで、より大きいサイズとなりました。
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TINHIFI T5」のパッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピースは黒色タイプとソニー風タイプがそれぞれS/M/Lサイズ、白色のウレタンタイプが1ペア、ステムノズルの交換用メッシュパーツと交換用ピンセット、清掃用ブラシ、レザーケース、説明書および保証書など。
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アルミニウム合金製の金属ハウジングは従来のTシリーズから大きく一新し、いわゆるIEMタイプの形状になりました。耳にフィットしやすいデザインでフェイス部分に表面処理でTINHIFIのロゴがうっすらと描かれています。イヤーピースは2種類のシリコン製およびウレタン製が付属し、そのまま使用しても十分な装着製が得られますが、よりフィット感の高いものを組み合わせるのも良いでしょう。具体的には定番のJVC「スパイラルドット」やAcoustune「AET07」よりフィット感の強いタイプでは「AZLA SednaEarfit XELASTEC」や「SpinFit CP100+」など、自分の耳に合う最適なイヤピースを選択するのが良いですね。
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ハウジングは従来の「T4」あたりと比べるとかなり大きく、ドライバーは10mmサイズのためハウジング内は結構大きめの空洞がありそうですね。背面および側面に小さなベント(空気孔)があるものの、より高いフィット感から音漏れも無く、遮音性も高い印象です。
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また「T4」だけでなく「T2」シリーズの後継モデルとしてデザインが一新した「T2 PLUS」と比較しても「TINHIFI T5」のシェルサイズの大きさが際立ちますね。それでも装着感はかなり向上しており、金属製ハウジングながらほとんどの方がしっかり装着できると思います。
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ケーブルは銀メッキ線の撚り線タイプで、コネクタは初めて埋め込みタイプのCIEM 2pin仕様となりました。そのためリケーブルの際は同様のタイプを使用します。いわゆる中華2pinのような埋め込みが浅いタイプは使用できないため注意が必要です。
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レザーケースは白色の新しいデザインでサイズは従来より大きめとなりました。見た目の美しさはもちろん、より空間も広いため清掃ブラシなどの付属品に加えて、リケーブルなどで多少かさばっても問題なく収納できるのはうれしいところですね。


■ TINHIFIらしい高域とともに厚みを増した低域でより完成度の高いリスニングイヤホンに。

TINHIFI T5TINHIFI T5」は「T3」「T4」の発展系としてさらに高次元の質の高さを実現しており、味付けのないニュートラルなサウンドバランスを継承しつつ、より透明感のある明瞭さと、中低域の存在感や空間表現など、さらにリスニング的要素が増し聴きやすくスッキリした印象に仕上げられています。従来の「T3」「T4」と比べて、装着性が格段に向上したことにより、しっかりフィットするイヤーピースを選択すれば高域ののびの良さや低域の量感もしっかり感じることができます。バランスの良さ、1音1音の質の高さという点では100ドルクラスの製品としては突出した印象があり、TINHIFIサウンドの着実な進化を実感できるものです。いっぽうでキレの良さなどの派手さや低域の力強さなどで臨場感を楽しむタイプではなく、多少あっさりした印象に感じる方も多いかもしれません。ボーカル帯域を含めた中高域の質の高さのある「TINHIFIらしさ」を感じつつ、よりリスニング寄りの聴きやすいサウンドバランスと優れた空間表現を実現したイヤホンといえると思います。

TINHIFI T5」の高域はTINHIFIらしい、伸びが良くスッキリした明瞭な音を鳴らします。シンバル音は華やかさがあり煌めきと適度な主張を感じます。そのため、かつての「T2 PRO」ほどではないものの、刺さりやすい曲は適度な鋭さを持ち、いっぽうで強い刺激を感じる少し手前くらいでコントロールされています。それでも中華ハイブリッドにありがちな過度に金属質で人工的にも感じるギラつきのような印象は無く、直線的で質の良さを感じます。最近の「T2 PLUS」はボーカル帯域に寄せたチューニングを行うことで、高域はより抑制された印象で明瞭さや抜けの良さが多少犠牲になっているようにも感じました。これに対し「TINHIFI T5」はより見通しの良い伸びのある高域にチューニングされています。それでも「TINHIFI T5」の高域のほうがより自然な印象で、むしろ「T2 PLUS」のほうが金属質だったりするのは興味深いですね。

TINHIFI T5中音域は曲によってはわずかに凹みますが味付けのないニュートラルなサウンド。分離の良さとともに適度な主張があり、聴きやすい印象です。音場の広さと正確性のある豊かな空間表現が印象的で、それぞれの演奏およびボーカル帯域が自然に定位しているのを実感できます。十分な解像感をもちつつも、モニター系イヤホンのような1音1音をより精緻に聴かせるというより自然なリスニング体験を提供するような印象です。また多少あっさりした鳴りかたで音源のありのままの音をそのまま表現している印象もあるため、よりメリハリのあるサウンドを好まれる方には少し淡泊に感じるかもしれません。個人的にはさまざまなジャンルの曲を心地よくリスニングできるバランスの良さや、立体的な音場とともに音源の質感を実感しやすいという点はとても好感が持てます。

低域は従来の「T3」「T4」より厚みが増しており、より量感を感じやすいバランスになっています。十分な存在感があり、中高域との分離も良く過度に響くこと無く直線的に鳴るため、全体として心地よく聴ける印象です。もともとTINHIFIは中高域が得意なメーカーとして知られており、低域の表現については多少割り切った印象が多かったのも事実ですが、「TINHIFI T5」は全体のバランスからよりニュートラルに感じられるようにチューニングされており、過不足を感じることは少ないでしょう。ただ低域の解像感や重低音の質感などについては低域好きの方には少し気になるポイントかもしれませんね。一般的により強く解像感のある低域が好まれる傾向にある海外レビューなどでは「TINHIFI T5」のウィークポイントにあげられることが多い点です。しかし下位モデルの「T2 PLUS」はもちろん、「T4」と比較しても優れた表現力を持っており、個人的にも全体のバランスとしては良く仕上がっていると思います。

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このように「TINHIFI T5」は非常に自然でスッキリしたサウンドを実現しており、ロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲をはじめさまざまなジャンルの曲でTINHIFIらしい質の良いサウンドを楽しめます。さらにリケーブルについては付属ケーブルとの組み合わせが多少あっさりした印象でまとまっているため、よりイヤホンの性格を引き出す「濃いめ」の変化のあるケーブルとの相性が良いようです。具体的には「NICEHCK BlueComet」や「JSHiFi RB8」などで、どちらも2pin仕様は埋め込みタイプに対応したCIEM 2pin仕様ですのでそのまま組み合わせることができます。これらのケーブルでは各音域の主張が高まり、全体的にメリハリのあるサウンドが楽しめます。

というわけで、Tシリーズの製品は毎回構成や内容を大きく変化させつつ、着実な進化を遂げているのが実感できます。そして「TINHIFI T5」は「T3」「T4」と比べて外観は全く別物のイヤホンになりましたが、サウンドは同社らしさもしっかり継承しつつ、より「T4」の方向性をブラッシュアップした完成度の高いイヤホンに仕上がっています。価格も比較的手頃ですし、オールラウンドに使えるイヤホンのひとつとして十分におすすめできると感じました。


タグ :
#TINHIFI
#構成:1DD
#価格帯/グレード:100-200USD
#中華イヤホン(A100USD~)
#コネクタ:CIEM-2pin(埋め込み)
#リケーブル:CIEM-2pin(埋め込み)
#ドライバー:DLC/DOC
#有線イヤホン:1万円台