
※2021年7月追記:
「KZ SK10」のリリースに合わせて、既存モデルの「KZ SKS」および「KZ SA08」「KZ Z1 Pro」も一括で技適認証を取得したようです。これにあわせて本文中で技適認証番号を追記しました。該当の認証情報はこちら(総務省サイト)となります。
こんにちは。今回は「KZ SKS」です。低価格中華イヤホンの代表的ブランド「KZ Audio」のTWS(完全ワイヤレス)製品も有線イヤホン同様にほぼ網羅してきている私のブログですが、内容的には新しい世代の仕様を取り入れた製品が登場してきました。ドライバー構成は1BA+1DDのハイブリッド構成ながら今回はQualcommの「QCC3040」チップセットを採用。Bluetooth 5.2に対応し、あまり積極的な記載はないものの「aptX」コーデックにもようやく対応しました。本体の再生時間も3時間を改めて確保し、機種によっては90分程度しか使えない状態から少しだけ改善されました。価格的にも機能的にも、そして音質的にも現時点で最も「実用的な」KZ製TWSだろうと思います。


ちなみにKZ製TWSは最も初期のワイヤレス部分を外部ODMでテスト的に製品化した「KZ T1」からレビューしていますが、「やりすぎ」で地雷化した「KZ E10」を経て、その次の1BA+1DD構成の「KZ S1」以降は、「ワイヤレス部分は無理せず、ドライバー構成と音質だけで勝負する」という方向性が定着しました。その後KZはさまざまなドライバー構成のTWS製品を精力的にリリースしつつも、ワイヤレス部分はAAC/SBCコーデックのみ対応で、音質面はともかく、どんどん短くなる再生時間がいよいよ本格的にネックになってきました。
このような状況を受けて、新世代モデルともいえる「KZ SKS」では新たにQualcommの「QCC3040」チップセットを採用。Bluetooth 5.2に対応し、「QCC3020」同様に「aptX」コーデックが利用できるようになりました。Bluetooth 5.2は現時点では対応デバイスが少なく本領発揮とは行かないもののKZの既存モデルのチップセットより接続性が向上し、電波効率が改善されるため、結果的にバッテリーの消費も多少抑えられると思われます。


「KZ SKS」のドライバーは10mmサイズのポリマー樹脂複合振動版 二重磁気回路ダイナミックドライバーと高域用「KZ 30019」バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーの組み合わせ。ダイナミックドライバーは「KZ S1」以降で採用されているTWS用10mmユニットだと思われますが、BAが既存モデルで多く採用されている「KZ 30095」ツィーターではなく、TWSでは「CCA CX4」、有線イヤホンでは「KZ ZAX」といった多ドラ仕様の製品で採用されている「KZ 30019」を使用している点がポイントで、より広いレンジをBAがカバーするチューニングとなっていると思われます。


「KZ SKS」のワイヤレス性能としては前述の「aptX」コーデック対応に加え、Qualcommチップセット採用により「TWS+」による左右接続と片側のみの再生にも対応。また通話時の音声ノイズ軽減も同様に対応します。さらに「KZ S1」以降で搭載されいているハイパフォーマンスモード(低遅延モード)も引き続き搭載されます。
| 搭載ドライバー | 1BA(30019)+10mm 二重磁気DD |
|---|---|
| チップセット | Qualcomm QCC3040 |
| Bluetooth | 5.2 |
| コーデック | aptX / AAC / SBC |
| 再生モード | 通常 / 低遅延モード |
| バッテリ容量 | 400mAh (ケース) |
| 再生時間 | 本体約3時間 / ケース充電約8回 |
| 充電コネクタ | USB Type-C |
| 重量 | (片側) 5.2g、(ケース) 45g |
| 技適認証番号 | 210-160781 |
価格はAliExpressが 32.87ドル~、Amazonが3,500円~3,900円です。
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■ QCC3040搭載でaptXに対応とともにバッテリ稼働時間も向上
「KZ SKS」のパッケージは姉妹ブランド「CCA」の「CCA CX4」と同様の横向きデザインのイラストタイプ。両者を並べるとあらためて姉妹ブランドの製品という感じがしますね。パッケージ内容はイヤホン本体、充電ケース、イヤーピース(S/M/L)、充電ケーブル、説明書など。




「KZ SKS」イヤホン本体のハウジング形状は「KZ Z1」と同一で、フェイスにプリントされたデザインとカラーリング、またステムノズルがシルバーカラーである点が相違点です。イヤーピースは例によってコシの無い柔らかいタイプですが、充電ケース側のスペースが小さいため、イヤーピースを交換する場合は収納可能かあらかじめ確認する必要があります。


また充電ケースが「KZ SA8」と同じ円形タイプとなり、充電コネクタがUSB Type-Cになっています。耳にフィットしやすいデザインのため装着性は非常に良好です。


「KZ SKS」をペアリングするとAndroidなどではちゃんと「aptX」でペアリングできました。混雑した環境でのテストはもう少し必要ですが(コロナ禍のタイミング的に今回はあまりテスト出来ていません)、接続性は従来モデルより良くなっている印象はありますね。


タッチセンサーのコントロールは従来のKZ製イヤホンと互換性があります。タッチセンサーでの音量調整はありませんが、曲送り/戻しに対応するほかゲームや動画視聴に最適なハイパフォーマンスモード(低遅延モード)の切替ができます。
| 再生/停止 | 1回タッチ(左右どちらか) |
|---|---|
| 曲戻し | 左側 2回タッチ |
| 曲送り | 右側 2回タッチ |
| 受話・終話 | 着信時1回タッチ(左右どちらか) |
| 着信拒否 | 着信時長押し(左右どちらか) |
| 音声アシスタント | 左右どちらかを2秒長押し |
| 低遅延モード | 3回タッチ(左右どちらか) |
| 手動オン/オフ | 3秒(ON) / 6秒(OFF) 長押し |
| 電源オン/オフ | 充電ケースから出す/戻す |
■ KZらしさを踏襲しつつ質を向上させたハイブリッドサウンド
「KZ SKS」の音質傾向は中低域寄りのパワフルなドンシャリで重く深さを感じる低域が印象的です。同じ1BA+1DD構成の「CCA CX4」のほうが多少腰高で、スッキリ感は強いもの金属質なシャリ付きを感じやすいサウンドだったのに対し、「KZ SKS」はボーカル帯域を中心に癖のないニュートラルなサウンドで、厚みのある低域もありR&B系のポップスやEDMなどが非常に心地良いサウンドです。高域もKZらしいスッキリした印象で適度に硬質な明瞭感のある音を鳴らします。全体としてKZらしさを感じる派手めのハイブリッドサウンドですが明瞭さと聴きやすさのバランスに優れており、他のTWS製品とは一線を画したキレのあるサウンドを楽しめます。またQCC3040を採用しaptXに対応したことでノイズも非常に軽減され、「CCA CX4」では再生時に感じたホワイトノイズがほぼ無くなりました。結果的に全体の見通しが向上しより輪郭のハッキリしたサウンドが楽しめます。「KZ SKS」の高域は硬質さのあるKZらしい明瞭な音を鳴らします。最近のKZの有線イヤホンなどに見られる聴きやすい音に比べると多少派手さはありますが、煌めきを感じつつ刺さる手前でコントロールされている印象。こちらも「CCA CX4」が曲によってはかなり刺さるのに対してより濃さをかんじる音です。印象としては最近のKZより「TRN V90S」などのサウンドが合う人には最適なチューニングといえるかもしれませんね。
中音域は凹むこと無く鳴り、癖のない広がりのある印象。「CCA CX4」と比較すると多少ウォームでボーカル帯域は適度に厚みがあり聴きやすい印象。特に味付けは無くニュートラルな音色で伸びもこのクラスのTWSとしてはかなり良好。女性ボーカルやピアノの高音は明瞭感があり、男性ボーカルの低音は重さがある。音場は広めで臨場感がありゲームや動画視聴でも定位を掴みやすい印象。いっぽう分離はそれなりで分析的に聴くのにはあまり向いていません。低音域はパワフルで量感があり、深い響きのある音を鳴らします。中高域との分離は良好で籠もることはありません。重低音は重く、深さを感じます。いっぽうでスピード感などは「CCA CX4」のほうが高く、キレの良さや解像感を重視するか、臨場感や迫力を重視するかが選択のポイントになるかもしれませんね。個人的には派手さのより強い「CCA CX4」より「KZ SKS」の低域のほうが好みです。
というわけで、「KZ SKS」は「QCC3040」チップセットを採用することで、定評のあった音質面にもより磨きがかかり、機能的にもバッテリ稼働時間以外は3千円台のTWS製品としては頭ひとつ抜けた製品に仕上がったと思います。比較的こまめに付け外しを行うような使い方をされる方、お風呂などの防水性能をあまり重視しない方であれば十分にお勧めできる製品といえるでしょう。低価格TWSも定番ブランドが固定化しはじめてはいますが、ちょっとキワモノ感のあるKZも楽しいですよ(^^)。