
こんにちは。今回は「TRI Starsea」です。美しくカラフルなフェイスが印象的なレジンシェルに内部的にも「TRI Audio」らしい「こだわり」も感じさせる、2BA+1DD構成のハイブリッド中華イヤホンです。製品名称の「Starsea」は上位モデルとなる800ドル級のハイグレードモデル「TRI Starlight」からのシリーズ扱いということでしょう。サウンドはフラット寄り弱ドンシャリ傾向の「TRI i4」や「TRI i3」の傾向を踏襲しつつもより中高域の印象が強いバランスになっています。またスイッチによりチューニングを変更することが可能で、自分の好みに合ったサウンドに微調整ができる点も良いですね。
「TRI Audio」は中国のイヤホンセラー「Easy Earphones」などが中心に取り扱う新しい中華イヤホンブランドで、同じく同社が扱う「KBEAR」より多少プレミアム感があり、より個性的な製品が特徴。音質面でも非常に評価の高いイヤホンを相次いでリリースしています。今回の「TRI Starsea」は美しいレジン製シェルに2BA+1DDのハイブリッド構成を収めたイヤホンですが、そのデザインはもちろん、仕様的にもこだわりのある充実した内容となっています。


「2BA+1DD」構成のイヤホンというと、通常は高・中・低の各帯域をメインとするドライバーをそれぞれ配置するケースが多いと思いますが、「TRI Starsea」はシングルBAイヤホンでも多く採用される定番バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーユニット「Knowles ED-29689」を3つの帯域(高域/中音域/低域)で配置し、高域〜超高域用のTRI独自の「TRI-HI-A」BAユニットと低域用のダイナミックドライバーが補完する構成となっています。ダイナミックドライバーは8mmサイズの「silicon crystal biological」複合振動版を採用とのこと。これらの独自ドライバーがどのような影響をもたらすのか興味深いところですが、説明からも「TRI Starsea」が従来の2BA+1DDハイブリッドとは異なる意気込みで作られた製品であることは感じられます。


また美しいドイツ製レジンを使用したシェルの側面にはサウンドバランスを変更するスイッチがついています。Easy系ではKinboofiのイヤホンで搭載されていたものと同様の仕様で、2つのスイッチの切替により4種類のチューニングに変更することができます。標準では両方とも「OFF」の「Exquisite pure tone」、より原音寄りのチューニングのモードになっています。さらにスイッチを変更すると両方とも「ON」の状態がバランス(≓ドンシャリ寄り)モードの「Balanced tuning」となり、スイッチ1が「OFF」・スイッチ2が「ON」でボーカル向けの「Beautiful vocals」、逆にスイッチ1が「ON」・スイッチ2が「OFF」で低域強調の「Amazing bass」と、それぞれチューニングが変化します。おそらず実質的にフルレンジで鳴っている「ED-29689」の出力をスイッチにより変化させ、他の2種類のドライバーとのクロスオーバーを調整しているものと思われます。


「TRI Audio」からはこれまでも「FiiO FH1」や「IKKO OH1/OH10」を彷彿とさせるドライバー構成と質の高いサウンドを1万円以下の価格帯で実現した「TRI i4」、ハイブリッド構成にさらに珍しい大口径の平面磁界ドライバーを組み合わせ、2万円以下の価格帯で現在もマニアから非常に高い評価を得ている「TRI i3」など、同じ価格帯の中華イヤホンと比べて多少リッチな製品づくりを行っていますが、「TRI Starsea」も100ドル前後の価格帯としてはドライバー数だけではないこだわりで非常に充実した内容を感じさせます。


「TRI Starsea」の購入はAliExpressのEasy Earphonesなどの各セラー、またはアマゾンの「WTSUN Audio」「Kinboofi」にて。価格は AliExpressが129ドル、アマゾンが15,320円です。※Amazonではどちらのセラーでも2,000円OFFクーポンが配布されているため、実質13,320円で購入できます。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): TRI Starsea
Amazon.co.jp(Kinboofi): TRI Starsea
またAliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): TRI Starsea
■ 美しく高級感のあるシェルデザイン。スイッチコントロールによる音質調整
「TRI Starsea」のパッケージは、従来モデルより豪華タイプのボックス仕様。これは800ドル級の静電ドライバー搭載モデル「TRI Starlight」のパッケージを踏襲しているようです。ブルーノ写真入りのパッケージがブラックの内箱を覆っています。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(2pinタイプ、8芯銀メッキ線)、標準のイヤーピース(ブラックのシリコン製がS/M/Lサイズ、ウレタン製がブラックとレッドの2色)、オマケのイヤーピース(グレーで芯が赤いタイプと緑のタイプ、それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース、クリーニングクロス、説明書。まず目に付くグレーのハードケースを含め、付属品も非常に充実していますね。


「TRI Starsea」の本体はパープルのクリアカラーのレジン製シェルを採用。ステムノズルのみ金属製です。「Starsea」のイメージを表現したフェイスプレートはカラフルなラメが流し込まれており、ひとつひとつ異なる模様が楽しめます。コネクタは「TRI Starlight」から採用された2pin仕様で「TRI i4」「TRI i3」のMMCX仕様から変更になっています。ベント(空気孔)は側面、2pinコネクタの横に小さく1カ所確認できます。


また、丁寧に作られている印象で質感は良好です。サイズ的にはやや大きめのハウジングですが、装着性は良く、遮音性も一般的です。金属製とレジン製という違いもあり、「TRI i4」「TRI i3」との外観での類似点は全く無く、どちらかというとKinboofiの「KBF MK」「KBF MX」シリーズのほうが近い印象がありますね。ただ「KBF MK/MX」シリーズは高域用にBellsing製BAを採用し、通常のマルチBAやハイブリッド同様に比較的音域ごとにドライバーを配置しているのに対し、「TRI Starsea」では中音域のKnowles製「ED-29689」で高域もある程度カバーさせ、さらにTRI独自のカスタムBAでクロスオーバーした高域と超高域を対応させるなど、相応の違いもみられます。


ただMKおよびMXシリーズ(「KBF MK4」を除く)と似た大きさで充填ではなく空洞のあるレジンシェルで、MXシリーズ同様の側面からの金属パイプによるベント(空気孔)やステム部分の金属パーツ、アサインは異なるものの同様のスイッチコントロールなど類似点もあります。同じファクトリーかは判別できませんが、製品づくりのアプローチ自体はかなり共通しているのかもしれませんね。


付属品について、まず目に付くのはグレーのハードケースでしょう。サイズもかなり大きくなり、ケーブルおよび付属品も余裕で収納できます。ケーブルはTRIロゴがプリントされた8芯タイプの銀メッキ線ケーブルで、プラグ等のパーツ形状および線材から「KBEAR KBF4833」と同等品と思われます。もちろんリケーブルで音の変化を楽しむのも良いですが、付属ケーブルと同じサウンドでバランス化したいという場合には、同等品の2.5mm/4極または4.4mm/5極のバランスケーブルが簡単に入手できるのは結構有り難いですね。


イヤーピースはオマケも色々付いていますが基本は付属のブラックのシリコンタイプで、それ以外は今ひとつのようです。ただ例によって私の耳には今ひとつフィットしなかったので、お馴染みJVCの「スパイラルドット」を併せています。他にも定番のAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。ただし後述の通り、中高域の主張が多少強めのイヤホンのため、この辺が気になる方は開口部が小さく、より低域寄りの傾向になるAcoustuneの「AET08」、「final Eタイプ」やソニーの「ハイブリッドイヤーピース」なども良さそうです。
■ キレのある中高域と締まりのある低域。KBF MK/MXシリーズを彷彿とさせる完成度
「TRI Starsea」の音質傾向は弱ドンシャリで、よりフラットな印象のある「TRI i3」より中高域の主張を感じるサウンドです。明瞭で伸びのある高域と、しっかりとした主張のあるボーカル帯域、やや硬質で締まりある低域が印象的です。そのため癖のない音質傾向ながら「TRI i3」などと比べてドンシャリぽく感じる傾向です。パワフルな低域がありますが、それ以上に高域および中音域の主張が強いため、全体のバランスとしては中高域寄りといっても良いかもしれませんね。
この中高域の抜けの良さや音場感などは予想通り「KBF MX」シリーズと似た印象も感じられます。実際、同じく2BA+1DD構成の「KBF MX3」は構成面で「TRI Starsea」と同様にミッドのKnowles「ED-29689」を中心に高域用BAと低域用ダイナミックドライバー(10mm)で補完するなど、特に類似点の多いイヤホンです。サウンドチューニングも「KBF MX3」のほうが低域のパワフルさなど多少派手めながら類似しており、印象としては「KBF MX3」からドライバーをグレードアップし、人気4BAモデル「KBF MK4」方向のサウンドに進化させたイヤホンが「TRI Starsea」だと考えても良いのではと思います。そのためKinboofiの「MK/MX」シリーズのサウンドが好みの方には気に入りやすいサウンドといえるでしょう。
「TRI Starsea」の高域は伸びのある見通しの良い印象で、いっぽうで中華ハイブリッドにありがちな派手さを適度に抑えた綺麗な音を鳴らします。明瞭で高音の主張も適度にありますが、刺さりやすい帯域はコントロールされており、聴きやすい高音です。この辺は「KBF MK4」あたりの定評のあるモデルのチューニングを踏襲している印象で、TRIのカスタムBAドライバーにより、少ないドライバー数で鮮やかさと自然なバランスを両立しているようです。「KBF MX3」では多少粗さも感じた高域ですが「TRI Starsea」では確実に質の向上を実現できていると思います。
なお、「TRI Starsea」では側面のスイッチによるサウンドコントロールが可能ですが、個人的には標準の「Exquisite pure tone」モードが最も好印象でした。ここで両方のスイッチともONの「Balanced tuning」モードに変更すると、高域の主張自体は大きく変化しないものの全体的によりドンシャリ傾向のバランスに変化し、多少派手さを感じるサウンドになります。いわゆる中華ハイブリッドのサウンドに近いため馴染みのある方も多いと思いますが、個人的には「TRI Starsea」でわざわざこのモードにする必要もないかな、と感じました。
中音域は癖のない聴きやすい音で、定評ある「ED-29689」らしい忠実さを感じさせつつ、明瞭で伸びやかな音で鳴らしてくれる印象です。やや寒色系で「TRI i4」と比べると解像度は高いものの自然なサウンドで、適度に光沢があります。ボーカル帯域は比較的近く定位し、こちらも多少艶を感じる聴き応えのある音を鳴らします。ボーカルやギターなどは余韻も含めてとても楽しく聴くことができるサウンドだと思います。音場は普通から曲によってはやや広め。新しい8mmサイズのダイナミックドライバーによる下支えにより全体的にタイトながら十分な空間表現ができている点は興味深いところです。
ちなみに、標準の「Exquisite pure tone」モードからボーカル中心の「Beautiful vocals」モードにスイッチを変更すると、中低域の厚みが増す印象に変化します。ポップス曲などではボーカル帯域の主張がより向上し聴きやすくなりますが、高域の抜けの良さが多少失われる感じもあり、個人的にはあまり好みのモードではありませんでした。
このように、「TRI Starsea」は明瞭さとキレの良さがありつつ、自然なバランスで軽快なサウンドを楽しめるイヤホンで、ロック、ポップスなどのボーカル曲からインストゥルメンタルまで基本的にはあらゆるジャンルで楽しめるイヤホンですが、やはりアップテンポで元気な曲との相性が良いでしょう。いっぽうで、バラードやゆったりとした印象の曲では多少サッパリした印象に感じるかも知れませんね。刺さりなど高域の刺激は良くコントロールされており低価格中華ハイブリッドのような人工的な印象はないため、明瞭ながら聴きやすいサウンドはKZなどの製品とは一線を画するものでしょう。
ただし、中高域の主張が強く、基本的には高域好きの方のほうが好まれやすい傾向のサウンドのため、低音の厚みや臨場感を楽しみたい方には合わないだろうという側面もあります。その辺を考慮した上で、「TRI Starsea」は美しく高いビルドクオリティを実現し、自分好みの微調整も可能な締まりのあるサウンドを楽しめるイヤホンとして、コストパフォーマンスは非常に高く、「好みに合う方には」かなりお勧めできる製品だと感じました。


「2BA+1DD」構成のイヤホンというと、通常は高・中・低の各帯域をメインとするドライバーをそれぞれ配置するケースが多いと思いますが、「TRI Starsea」はシングルBAイヤホンでも多く採用される定番バランスド・アーマチュア型(BA)ドライバーユニット「Knowles ED-29689」を3つの帯域(高域/中音域/低域)で配置し、高域〜超高域用のTRI独自の「TRI-HI-A」BAユニットと低域用のダイナミックドライバーが補完する構成となっています。ダイナミックドライバーは8mmサイズの「silicon crystal biological」複合振動版を採用とのこと。これらの独自ドライバーがどのような影響をもたらすのか興味深いところですが、説明からも「TRI Starsea」が従来の2BA+1DDハイブリッドとは異なる意気込みで作られた製品であることは感じられます。


また美しいドイツ製レジンを使用したシェルの側面にはサウンドバランスを変更するスイッチがついています。Easy系ではKinboofiのイヤホンで搭載されていたものと同様の仕様で、2つのスイッチの切替により4種類のチューニングに変更することができます。標準では両方とも「OFF」の「Exquisite pure tone」、より原音寄りのチューニングのモードになっています。さらにスイッチを変更すると両方とも「ON」の状態がバランス(≓ドンシャリ寄り)モードの「Balanced tuning」となり、スイッチ1が「OFF」・スイッチ2が「ON」でボーカル向けの「Beautiful vocals」、逆にスイッチ1が「ON」・スイッチ2が「OFF」で低域強調の「Amazing bass」と、それぞれチューニングが変化します。おそらず実質的にフルレンジで鳴っている「ED-29689」の出力をスイッチにより変化させ、他の2種類のドライバーとのクロスオーバーを調整しているものと思われます。


「TRI Audio」からはこれまでも「FiiO FH1」や「IKKO OH1/OH10」を彷彿とさせるドライバー構成と質の高いサウンドを1万円以下の価格帯で実現した「TRI i4」、ハイブリッド構成にさらに珍しい大口径の平面磁界ドライバーを組み合わせ、2万円以下の価格帯で現在もマニアから非常に高い評価を得ている「TRI i3」など、同じ価格帯の中華イヤホンと比べて多少リッチな製品づくりを行っていますが、「TRI Starsea」も100ドル前後の価格帯としてはドライバー数だけではないこだわりで非常に充実した内容を感じさせます。


「TRI Starsea」の購入はAliExpressのEasy Earphonesなどの各セラー、またはアマゾンの「WTSUN Audio」「Kinboofi」にて。価格は AliExpressが129ドル、アマゾンが15,320円です。※Amazonではどちらのセラーでも2,000円OFFクーポンが配布されているため、実質13,320円で購入できます。
Amazon.co.jp(WTSUN Audio): TRI Starsea
Amazon.co.jp(Kinboofi): TRI Starsea
またAliExpressでの購入方法はこちらを参照ください。
AliExpress(Easy Earphones): TRI Starsea
■ 美しく高級感のあるシェルデザイン。スイッチコントロールによる音質調整
「TRI Starsea」のパッケージは、従来モデルより豪華タイプのボックス仕様。これは800ドル級の静電ドライバー搭載モデル「TRI Starlight」のパッケージを踏襲しているようです。ブルーノ写真入りのパッケージがブラックの内箱を覆っています。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(2pinタイプ、8芯銀メッキ線)、標準のイヤーピース(ブラックのシリコン製がS/M/Lサイズ、ウレタン製がブラックとレッドの2色)、オマケのイヤーピース(グレーで芯が赤いタイプと緑のタイプ、それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース、クリーニングクロス、説明書。まず目に付くグレーのハードケースを含め、付属品も非常に充実していますね。


「TRI Starsea」の本体はパープルのクリアカラーのレジン製シェルを採用。ステムノズルのみ金属製です。「Starsea」のイメージを表現したフェイスプレートはカラフルなラメが流し込まれており、ひとつひとつ異なる模様が楽しめます。コネクタは「TRI Starlight」から採用された2pin仕様で「TRI i4」「TRI i3」のMMCX仕様から変更になっています。ベント(空気孔)は側面、2pinコネクタの横に小さく1カ所確認できます。


また、丁寧に作られている印象で質感は良好です。サイズ的にはやや大きめのハウジングですが、装着性は良く、遮音性も一般的です。金属製とレジン製という違いもあり、「TRI i4」「TRI i3」との外観での類似点は全く無く、どちらかというとKinboofiの「KBF MK」「KBF MX」シリーズのほうが近い印象がありますね。ただ「KBF MK/MX」シリーズは高域用にBellsing製BAを採用し、通常のマルチBAやハイブリッド同様に比較的音域ごとにドライバーを配置しているのに対し、「TRI Starsea」では中音域のKnowles製「ED-29689」で高域もある程度カバーさせ、さらにTRI独自のカスタムBAでクロスオーバーした高域と超高域を対応させるなど、相応の違いもみられます。


ただMKおよびMXシリーズ(「KBF MK4」を除く)と似た大きさで充填ではなく空洞のあるレジンシェルで、MXシリーズ同様の側面からの金属パイプによるベント(空気孔)やステム部分の金属パーツ、アサインは異なるものの同様のスイッチコントロールなど類似点もあります。同じファクトリーかは判別できませんが、製品づくりのアプローチ自体はかなり共通しているのかもしれませんね。


付属品について、まず目に付くのはグレーのハードケースでしょう。サイズもかなり大きくなり、ケーブルおよび付属品も余裕で収納できます。ケーブルはTRIロゴがプリントされた8芯タイプの銀メッキ線ケーブルで、プラグ等のパーツ形状および線材から「KBEAR KBF4833」と同等品と思われます。もちろんリケーブルで音の変化を楽しむのも良いですが、付属ケーブルと同じサウンドでバランス化したいという場合には、同等品の2.5mm/4極または4.4mm/5極のバランスケーブルが簡単に入手できるのは結構有り難いですね。


イヤーピースはオマケも色々付いていますが基本は付属のブラックのシリコンタイプで、それ以外は今ひとつのようです。ただ例によって私の耳には今ひとつフィットしなかったので、お馴染みJVCの「スパイラルドット」を併せています。他にも定番のAcoustuneの「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が広く、耳にフィットするタイプのイヤーピースがお勧めです。ただし後述の通り、中高域の主張が多少強めのイヤホンのため、この辺が気になる方は開口部が小さく、より低域寄りの傾向になるAcoustuneの「AET08」、「final Eタイプ」やソニーの「ハイブリッドイヤーピース」なども良さそうです。
■ キレのある中高域と締まりのある低域。KBF MK/MXシリーズを彷彿とさせる完成度
「TRI Starsea」の音質傾向は弱ドンシャリで、よりフラットな印象のある「TRI i3」より中高域の主張を感じるサウンドです。明瞭で伸びのある高域と、しっかりとした主張のあるボーカル帯域、やや硬質で締まりある低域が印象的です。そのため癖のない音質傾向ながら「TRI i3」などと比べてドンシャリぽく感じる傾向です。パワフルな低域がありますが、それ以上に高域および中音域の主張が強いため、全体のバランスとしては中高域寄りといっても良いかもしれませんね。
この中高域の抜けの良さや音場感などは予想通り「KBF MX」シリーズと似た印象も感じられます。実際、同じく2BA+1DD構成の「KBF MX3」は構成面で「TRI Starsea」と同様にミッドのKnowles「ED-29689」を中心に高域用BAと低域用ダイナミックドライバー(10mm)で補完するなど、特に類似点の多いイヤホンです。サウンドチューニングも「KBF MX3」のほうが低域のパワフルさなど多少派手めながら類似しており、印象としては「KBF MX3」からドライバーをグレードアップし、人気4BAモデル「KBF MK4」方向のサウンドに進化させたイヤホンが「TRI Starsea」だと考えても良いのではと思います。そのためKinboofiの「MK/MX」シリーズのサウンドが好みの方には気に入りやすいサウンドといえるでしょう。「TRI Starsea」の高域は伸びのある見通しの良い印象で、いっぽうで中華ハイブリッドにありがちな派手さを適度に抑えた綺麗な音を鳴らします。明瞭で高音の主張も適度にありますが、刺さりやすい帯域はコントロールされており、聴きやすい高音です。この辺は「KBF MK4」あたりの定評のあるモデルのチューニングを踏襲している印象で、TRIのカスタムBAドライバーにより、少ないドライバー数で鮮やかさと自然なバランスを両立しているようです。「KBF MX3」では多少粗さも感じた高域ですが「TRI Starsea」では確実に質の向上を実現できていると思います。
なお、「TRI Starsea」では側面のスイッチによるサウンドコントロールが可能ですが、個人的には標準の「Exquisite pure tone」モードが最も好印象でした。ここで両方のスイッチともONの「Balanced tuning」モードに変更すると、高域の主張自体は大きく変化しないものの全体的によりドンシャリ傾向のバランスに変化し、多少派手さを感じるサウンドになります。いわゆる中華ハイブリッドのサウンドに近いため馴染みのある方も多いと思いますが、個人的には「TRI Starsea」でわざわざこのモードにする必要もないかな、と感じました。
中音域は癖のない聴きやすい音で、定評ある「ED-29689」らしい忠実さを感じさせつつ、明瞭で伸びやかな音で鳴らしてくれる印象です。やや寒色系で「TRI i4」と比べると解像度は高いものの自然なサウンドで、適度に光沢があります。ボーカル帯域は比較的近く定位し、こちらも多少艶を感じる聴き応えのある音を鳴らします。ボーカルやギターなどは余韻も含めてとても楽しく聴くことができるサウンドだと思います。音場は普通から曲によってはやや広め。新しい8mmサイズのダイナミックドライバーによる下支えにより全体的にタイトながら十分な空間表現ができている点は興味深いところです。ちなみに、標準の「Exquisite pure tone」モードからボーカル中心の「Beautiful vocals」モードにスイッチを変更すると、中低域の厚みが増す印象に変化します。ポップス曲などではボーカル帯域の主張がより向上し聴きやすくなりますが、高域の抜けの良さが多少失われる感じもあり、個人的にはあまり好みのモードではありませんでした。
低音域はキレの良いよりタイトで締まりのある音を鳴らします。中高域との分離も良く、軽快な印象のため量的にはやや控えめな印象を受ける場合もありますが、アタックは力強さもあり、重低音の沈み込みも良好です。標準の「Exquisite pure tone」モードでは、あまり低域を強調するタイプではないものの適度に重低音は重みが有り、かつ締まりの良い明るくキレの良い低音を鳴らしてくれます。「Amazing bass」モードでは中高域の印象を維持したまま、低域の主張がアップし、より力強さを感じる低音となります。このモードでは音の抜けは良く、過度に膨らむことのない弾むような音でなるため、軽快さをしっかり維持しているのは良いですね。
このように、「TRI Starsea」は明瞭さとキレの良さがありつつ、自然なバランスで軽快なサウンドを楽しめるイヤホンで、ロック、ポップスなどのボーカル曲からインストゥルメンタルまで基本的にはあらゆるジャンルで楽しめるイヤホンですが、やはりアップテンポで元気な曲との相性が良いでしょう。いっぽうで、バラードやゆったりとした印象の曲では多少サッパリした印象に感じるかも知れませんね。刺さりなど高域の刺激は良くコントロールされており低価格中華ハイブリッドのような人工的な印象はないため、明瞭ながら聴きやすいサウンドはKZなどの製品とは一線を画するものでしょう。ただし、中高域の主張が強く、基本的には高域好きの方のほうが好まれやすい傾向のサウンドのため、低音の厚みや臨場感を楽しみたい方には合わないだろうという側面もあります。その辺を考慮した上で、「TRI Starsea」は美しく高いビルドクオリティを実現し、自分好みの微調整も可能な締まりのあるサウンドを楽しめるイヤホンとして、コストパフォーマンスは非常に高く、「好みに合う方には」かなりお勧めできる製品だと感じました。