
こんにちは。今回は「NICEHCK NX7 Pro」の紹介です。中国のイヤホンセラー「NICEHCK」のオリジナルイヤホン「NICEHCK NX7」の上位モデルの位置づけで、ドライバー構成などに変更はないものの、新たにステムノズル部分に交換式のフィルターが搭載され、フェイス部分も3色のプレートを自分で交換可能になりました。また付属ケーブルもミドルグレードの16芯高純度銅線タイプとなり、文字通りの「豪華仕様バージョン」となっています。


「NICEHCK NX7 Pro」(および「NX7」)は、4基のバランスド・アーマチュア型ドライバー(4BA)、カーボンナノチューブ・ダイヤフラム(振動板)の複合デュアルダイナミックドライバー(2DD)、そしてピエゾセラミックドライバーの組み合わせによる「7ドライバー・ハイブリッド仕様」イヤホンです。HCKのオリジナルイヤホンというと、とにかくディープなマニア向けに全振りしたような「変態スペック」が特徴的ですが、この「NICEHCK NX7 Pro」「NICEHCK NX7」はそのキャラクターを特に感じさせるモデルといえるでしょう。さらに以前レビューした「NICEHCK NX7」はアマゾンでも8千円程度という価格を実現しており、豪華仕様となった「NICEHCK NX7 Pro」でも1万円そこそこの価格設定と、プライス面でも「非常識さ」を強く感じる内容になっています。


「NICEHCK NX7 Pro」では上記の通り「NX7」からさまざまな拡張が行われています。見た目のうえでは交換用フェイスプレートが付属した点でしょう。標準の「シルバー」以外に「レッド」と「ブルー」のフェイスプレートと、予備のネジ、交換用のT5ドライバーが同梱されました。
そして、音質面で大きく影響するのがフィルター交換式にした点です。ちなみに、元のモデルから「Pro」という名称でフィルター交換式に仕様変更してヒットした製品としては「MaGaosi K3 Pro」が思い出されます。「NICEHCK NX7」も驚異的なスペックとコストパフォーマンスの高さはともかく、ピエゾセラミックのツィーターを中心に結構な中高域寄りでサウンドバランスもちょっと変態仕様、というか一般受けしにくい側面も正直ありました。


そこで、「NICEHCK NX7 Pro」では「NX7」相当(インピーダンス58Ω、感度108dB/mW)は最も高域が強い「レッド」フィルターに設定し、低域寄り(105dB)の「ブルー」と、中間に位置する(107dB)の「シルバー」フィルターという、より高域を抑えた2種類のフィルターを追加した構成になっています。標準は中間のシルバーフィルターを採用し、7ドライバー・ハイブリッドの特徴を活かしつつ、より聴きやすいチューニングをメインにしたのが「NICEHCK NX7 Pro」といえるでしょう。さらに、付属ケーブルも16芯高純度銅線タイプとなり、「NX7」の付属ケーブルと比べて情報量が大幅に向上し、イヤホン本体のポテンシャルを発揮できる仕様になりました。


「NICEHCK NX7 Pro」の購入はAliExpressまたはアマゾンのNICEHCKにて。価格はAliExpressが 95.04ドル~、アマゾンが 11,399円 となっています。AliExpressでは従来のセラーショップ「NiceHCK Audio Store」に加えて、「NICEHCKブランド製品」を公式店舗にあたる「NICEHCK Offical Store」もオープンしました(価格はどちらも同じです)。AliExpessのショップでオーダーする場合のみプラグ形状でバランス仕様(2.5mmまたは3.5mm/4極、または4.4mm/5極)を選択することができます。AliExpressでの購入方法などはこちらを御覧ください。
AliExpress(NICEHCK Offical Store): NICEHCK NX7 Pro
AliExpress(NiceHCK Audio Store): NICEHCK NX7 Pro
アマゾンではプライム扱い(国内アマゾン倉庫発送)ですぐに手元に製品が届きますし、実質価格ではほぼ違いはありませんので、AliExpressのセール時以外はアマゾン購入の方がよさそうです。
Amazon.co.jp(NICEHCK): NICEHCK NX7 Pro
■ ハイスペック&ハイコスパ製品で、さらに「豪華仕様」になった。
届いた「NICEHCK NX7 Pro」は「NX7」のシンプルな白箱タイプからしっかりとした豪華版パッケージになりました。内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(白色S/M/Lサイズ、黒色1サイズ、ダブルフランジ1サイズ)、交換用フェイスプレート2種類(装着済み合わせて3種類)、フィルター2種類(装着済み合わせて3種類)、フェイスプレート用予備ネジ(1セット)、フェイスプレート交換用ドライバー(T5サイズ)、ケーブルタイ、イヤホンケース、説明書。こうやって列記してみるとなかなか充実した内容であることが改めて分かりますね。




「NICEHCK NX7 Pro」の本体は、透明な樹脂製シェル+アルミ合金製フェイスプレートとなり、「NX7」のブラックまたはシアンカラーのクリアーシェルより精悍な印象となりました。「NX7」との形状的な相違点は金属製ステムノズル部分がフィルター交換式のタイプに変わった点のみです。「KZ ZS10 Pro」あたりを連想させるデザインですが、比較すると樹脂製のシェル自体の厚みは少なく、実際にはかなりコンパクトな印象を受けます。


アルミ合金製のステムパーツもこれらのKZのモデルより小さい印象です。0.78mm 2pinコネクタの突起部はTFZ製イヤホンと同じでケーブルカバー部分も同じため、ケーブル仕様は「NX7用/TFZ用」が引き続き使用できます(もちろん0.78mm 中華2pinタイプも問題なく利用できます)。「NICEHCK NX7 Pro」では新たに16芯高純度銅線タイプのケーブルが付属しました。このケーブルは線材やコネクタおよびプラグ等の部品はミドルグレード16芯タイプの「NICEHCK C16-3」と同一のものです。ただし、「NICEHCK NX7 Pro」付属ケーブルは耳掛け部分が樹脂加工された専用タイプとなっています。「NX7」はレビューでも「リケーブル必須」と書きましたが、必要十分なグレードのケーブルがあらかじめ付属しているのはとても有り難いですね。


そして、目をひく交換可能な3色のフェイスプレートですが、こちらは実際のところ「NICEHCK NX7 Pro」が交換式に変わったというより、「NX7」と同じ仕様ながら交換用パーツと工具が付属した「だけ」というのがポイント(^^;)。つまり、「NICEHCK NX7 Pro」と「NX7」の両方を持っていれば、「Pro」のフェイスプレートを「NX7」に付け替えることも、またその逆も可能です。このような分解しての交換は、実際にできるかどうかはともかく、普通は(分解した時点で)保証対象外になるのが当然というなかで、あえて分解させるというDIY仕様にしてしまう発想自体がいかにもHCKというか、中華イヤホンというか。まあ、流石ですね(笑)。


そして「NICEHCK NX7 Pro」の最大の変更点は3種類の交換式フィルターですが、要するに最も高域の「レッド」が「NX7」と同じフィルター処理のないメッシュ部品で、「シルバー」「ブルー」は裏面に貼り付けられたフィルター材の厚みが異なる内容となっています。この内容からもベースの「NX7」に相当する赤色フィルターから徐々に高域を抑えて中低域に厚みを持たせるチューニングであることが分かりますね。
装着感や遮音性については、7基のドライバーがびっしり詰まっているものの本体の厚みはKZ製ハイブリッドより小さく樹脂製で思ったより軽量のため、装着性は比較的良好です。また遮音性についてもイヤーピースをしっかり合わせれば十分に確保できるようです。付属のイヤーピース以外にも、定番のJVCの「スパイラルドット」、Acoustune「AET07」、AZLA「SednaEarfit Light」「SednaEarfit Light Short」など開口部が大きいタイプの製品を利用することでよりフィット感が向上し後述の通り低域など音質面での改善も期待できます。
■ サウンドフィルター&高品質16芯ケーブルで、サウンドバランスが大きく向上
「NICEHCK NX7 Pro」の音質傾向はベースの「NX7」同様に中高域に特徴のあるフラット寄りの印象ですが、特に「シルバー」と「ブルー」のフィルターでは「NX7」より高域のがやや抑えられ聴きやすいバランスにチューニングされました。ピエゾセラミックのツィーターに加え4BA、複合2DDを搭載する7ドライバー・ハイブリッド構成ということもあり、インピーダンス58Ω、感度105dB(ブルー)、107dB(シルバー)、108dB(レッド)と、かなり駆動力を必要とする仕様である点も「NX7」と同様です。


そのため、再生にはそれなりの出力やS/Nが確保できるDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やポータブルアンプが必須となります。特に「NICEHCK NX7 Pro」では標準で非常に情報量の多い16芯ケーブルが付属しているため、スマートフォン等ではさらに駆動力不足による歪みが発生しやすくなります。また「NX7」ではセラーが長時間のエージングを推奨していましたが、こちらも同様で「NICEHCK NX7 Pro」も約100時間程度のエージングにより全体的なバランスが向上し低域の厚みもかなり増してきます。
個人的には中間の「シルバー」のフィルターが最も好印象でした。より中高域寄りでスッキリ感を強調したい場合は「レッド」、より高域の刺激を抑えて相対的に低域を強くしたい場合は「ブルー」のフィルターを組み合わせると良いと思います。
「NICEHCK NX7 Pro」の高域はピエゾセラミックのスーパーツィーターの恩恵もあり、非常に解像度の高い、硬質かつスッキリした音で、伸びの良さ、高さと抜けるような見通しの良さが印象的です。最近のKZのマルチBAモデルのような派手な鳴り方とは全く異なる、とても丁寧な描写を感じます。「NX7」では付属ケーブルの情報量不足もあり、かなり駆動力のある環境で鳴らさないと刺激は強いわりに多少線が細い印象もあったのですが、「NICEHCK NX7 Pro」の「シルバー」フィルターでは、16芯ケーブルの恩恵もあり、刺さりやすい周波数の刺激を適度に抑えつつ、しっかりとした主張で存在感のある鳴り方をしてくれます。この改良により、ピエゾドライバーのツィーターによる正確なアタックもより実感できます。より超高域を含めて高音好きの方は「レッド」フィルターを、いっぽうで高域の刺激があまり得意では無い方は「ブルー」フィルターを選択することで刺さり等をコントロールできるとおもいます。「シルバー」「ブルー」どちらもこの手のフィルターにありがちな籠りはなく、スッキリした印象が損なわれない点は好印象です。
中音域は高域同様に存在感のある音で、スッキリした抜けの良さと、味付けの無いフラット寄りの描写が印象的です。「NX7」同様に非常にキレが良く分離に優れているため、明瞭な印象を受けますが、「シルバー」フィルターではよりボーカル帯域の主張が強くなり濃さを感じる鳴り方をします。そのためKZなどの中華ハイブリッドを聴き慣れた方にも比較的馴染みやすい印象に変化しているかもしれませんね。中高域も非常に伸びが良い音で女性ボーカルのハイトーンなども気持ちよく抜けていきます。もっともハイブリッドらしいメリハリも感じる音ですので、シングルダイナミックなどの自然なつながりを好む方には合わない可能性もありますね。音場は普通~曲によってはやや狭い印象で、分離のよさから奥行きはそれほぼ深くありませんが定位も良好です。
低音域は16芯高純度銅線ケーブルの恩恵もあり、特に「シルバー」フィルターの組み合わせでは、「NX7」のやや腰高な雰囲気は解消され、一定時間のエージングによりかなり良いバランスで鳴ってくれます。中高域同様に非常に分離の良い、硬質で解像度の高い低音を鳴らします。また沈み込みも非常に深く、しっかりと深く厚みのある重低音を実感できると思います。「NX7」と比較すると、低域の存在感が大幅に向上することで、ベースラインなどの輪郭がより明瞭となり、解像度の高さとソリッドながら音場感のある響きを実感します。


「NICEHCK NX7 Pro」は標準でミドルグレードの16芯高純度銅線ケーブルが付属するため、基本的にリケーブルは不要ですが、バランス接続に変更したい場合は前述の通り「NICEHCK C16-3」が同じ線材タイプのケーブルになります。それ以外では多少低域を抑え気味にしたい場合は銀メッキ線ケーブル「NICEHCK C16-1」「NICEHCK C16-4」、より中低域を濃いめの音に変化させたい場合はミックス線タイプの「NICEHCK C16-2」「NICEHCK C16-5」へのリケーブルが良いでしょう。なお「C16-4」「C16-5」はカラーの違いのほか、付属ケーブル同様に耳掛けの加工が施されています。またコネクタは「NX7用」(または「TFZ用」)以外にも通常の中華2pinコネクタでも問題なく使用できます。


というわけで、「NICEHCK NX7 Pro」は、「NICEHCK NX7」の「良いところを活かし」つつ、より魅力的な製品に変貌させるためのさまざまな仕様追加をおこなった豪華バージョンのイヤホンでした。見た目にもカラーバリエーションの選べるフェイスプレートはもちろん、透明シェルになったことで、「KZぽさ」はかなり払拭され、それほど安っぽく感じなくなった点も好感できます。ハードロック、ポップス、アニソンなどのボーカル曲に加えて、低域が物足りなく感じたEDM等でもかなり楽しめるイヤホンとなり、お勧めできる利用範囲もかなり広がったと感じます。少し割高にはなりますが、それでも驚異的なコストパフォーマンスの製品ですので、「マニアならば」とてもお勧めできるイヤホンだと思いますよ(^^)。