
映画『リー・ミラー』。ケイト・ウィンスレットはひっきりなしに煙草を吸うが、この不敵なツラ構えに惹かれる。
8月15日 (金)。
午後「川越スカラ座」へ、Sさんの運転でエレン・クラス監督の『リー・ミラー 〜 彼女の瞳が映す世界』を見にいく。スカラ座近くのパーキングはどこも満車で少し離れたところへ停める。
脊柱管狭窄症で映画館までの距離を歩けるか案じられたが、7〜8分をノンストップで到着できた。症状が回復傾向にあるのかもしれない。
暑い。カンカン照り──Sさんは丸くツバのある帽子を被り、わたしは日傘をさして歩いた。
それでも川越の町を歩く観光客の数は、けっこう多い。
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2分38秒の予告編。
ケイト・ウィンスレットが主演・製作を務め、トップモデルから20世紀を代表する報道写真家へと転身した実在の女性リー・ミラーの数奇な人生を映画化した作品。
(「映画.com」)
酷い光景に目を覆いたくなる。
戦争の終結。
ナチスが残した惨状の跡──ひどい死臭と、骨と皮に痩せこけた死体の山。
報道カメラマンのリー・ミラーは、強制収容所の中を、囚人列車の中を、カメラにおさめる。
戦争の真実を伝えるために。
しかし彼女のカメラが捉えた「戦争の真実」は、人心に与える影響を考慮し、雑誌への掲載を見送られる。
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序盤は「ケイト・ウィンスレットが太ったなぁ」と、それに目がいってしまう。モデルの体型からはほど遠い。
大ヒット作『タイタニック』(ジェームズ・キャメロン監督。1997年公開)以来、飛び飛びだけど彼女の出演作を見ている。年齢を重ねるに連れてケイト・ウィンスレットのからだは、どんどん逞しくなっていく。
ふしぎなのは、体重の増加と比例するように、役者としての存在感が、演技者としての魅力が増していくこと。
この映画のケイト・ウィンスレットは男性よりも逞しいからだをしている。そしてひっきりなしに煙草を咥える。
そんな彼女から目が離せない。
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夏になると日本でも戦争映画が公開される。しかし予告編を見ると、被害者意識が強調され、情緒的に「泣かせ」を押しつけられる。
が、『リー・ミラー』には「泣かせ」の入る隙間がない。
戦争は「人間の尊厳」を破壊する。栄光も名誉もない。ただただ無惨で空虚なだけ──そんなことを思いながら映画館を出る。