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是枝裕和著『花よりもなほ』


花よりもなほ (角川文庫)
tougyouさんのこちらのブログを読んだのが、原作の小説を読むきっかけになりました。


父の「仇討ち」ができないほど、武道のダメな武士が、「仇討ち」などどうでもよくなり、新たに自分の生きる幸せを発見していく、というような物語ですが、映画同様、小説もおもしろかったです。


ぼくは、このテーマじたいが好きです。


山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』は、好きな映画ですが、唯一の不満をいえば、結局この主人公は武道に優れていることで、そのことで観客に対して、「汚名挽回」というか、ケリをつけている・・・と、いうことです。


ところが、『花よりもなほ』の主人公は、武力では、とうてい汚名を挽回しようがないほど非力。町人よりケンカに弱い(笑)。


<仇討ちがしたくても、討てないものは討てない。それでは、自分の人生は無意味なのだろうか>という、弱者の立場から、自己放下から、新しい価値観を自問します。


そこに独創があるとおもいました。



脇役人物のひとりひとりにも魅力があって、これを描き分ける是枝裕和という小説家の才能も強く感じます。


特に、落語の与太郎に相当するのでしょうが、孫三郎(映画では、木村祐一)が、抜群に魅力的で、こういう人物をちゃんと描ける作家はいいよなあ、とつくづく感心してしまいました。




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