採用広報の飯野です。
2026年1月14日、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」で、商品を海外に販売できる新機能「かんたん海外販売」の提供が始まりました。
この機能は、その名の通り「BASE」を利用するショップオーナーさんが、商品を海外に向けて簡単に販売できるというものです。
大きなニーズがある一方で、さまざまな問題が複雑に絡み合う難易度の高い市場であるという越境ECの現実。2024年8月に越境EC事業「want.jp」を手がけるwant.jp株式会社がBASEグループへ参画したことを皮切りに、本プロジェクトが本格的に始動しました。
「BASE」が挑戦し続ける「難しいことを、かんたんに」。その技量が試された本プロジェクトでのチャレンジについて社内のプロダクトマネージャーに取材しました。

かんたん海外販売とは
かんたん海外販売は、個人やスモールチームが簡単に海外で商品を販売することができる新機能です。買い物の体験が非常にシームレスで、販売者も購入者も国内で商品を売買するときと同じような感覚で買い物をすることができます。

5年で15倍のニーズ。なぜ今「越境EC」なのか
近年、SNSの普及により「商品を見つける」という行動はボーダレス化しました。InstagramやXでおしゃれな海外ブランドを見つけるのが当たり前になったように、海外の購入者が日本のショップを見つける機会も爆発的に増えています。
事実、海外の購入者が「BASE」を利用するショップから注文した金額は、2024年までの5年間で約15倍急増しています(※1)。

経済産業省によると、2025年から2034年の年平均成長率は約23.1%と推計されており、越境ECの市場規模は今後も拡大し続けていくと見られています(※2)。 このように大きなニーズがある一方で、以下のような越境ECの難易度が高いとされる壁も存在していました。
・関税:都度更新される国・地域ごとの複雑な関税ルール、規制対応、通関書類の作成
・配送:商品のサイズや重量・配送先地域などに応じた海外送料設定、最適な配送会社の比較検討、海外用の梱包
これらを個人やスモールチームが商品ごとにすべて把握し設定するのは負担が伴います。
「価値あるモノを作っている個人が、国境を問わず自由に売れる世界を作りたい」
時代の流れやニーズ、課題を踏まえたうえで、「BASE」の強い想いがプロジェクトの原動力となり、2023年頃から越境EC領域に注力し始めました。2024年1月には、外部の代行業者と連携する拡張機能として「海外販売代行 App」をリリース。そして2024年8月に、越境EC事業を手がけるwant.jpがBASEグループへジョインしたことをきっかけに、現在の「かんたん海外販売」というよりシームレスな新機能が誕生しました。
(※1)「BASE」ご利用の全ショップ合計。購入者情報あるいは発送先情報が海外住所である注文の注文金額合計値
(※2)経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf
多くの問題が複雑に絡み合う「越境EC」を「かんたん」にできるのか

このプロジェクトの難しさは、国境を越えてモノを売買する際に発生する複雑で数多の問題点を、いかにして解決し、ショップオーナーさんや購入者さんがシンプルに使えるよう機能として実現させるかという点にあるといいます。
そのため関係者は、プロダクト開発、法務、事業企画、want.jpのメンバーなど、職種・グループを横断して総勢30名以上にも及びました。「誰でも、何も意識をせずに国境を越えてモノを売買できる」を実現するために裏側では緻密な設計がおこなわれました。
具体的にどのような点が難しかったのか、社内のプロダクトマネージャーに聞きました。
1. 複雑なロジックの自動化
海外発送で最も高いハードルのひとつが「送料設定」です。商品の重量、サイズ、配送先、さらには国ごとによる関税の違いなど。これらをショップオーナーさん自身に計算してもらうことは非常に困難です。そこで「BASE」はシステム側で自動的に送料設定をする仕組みを構築しました。
そのうえで、どのようなデザインにするか、どの情報をどこで接続させるのか、法的な観点で問題はないのかなど、さまざまな論点を考え抜き、最も良いと思われるバランスで機能を実現させました。
2.法規制への対応
越境ECにおいて避けて通れないのが、各国の法規制です。たとえば、ヨーロッパのGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)への対応。安全性の確保は非常に重要ですが、利便性を損なえばコンバージョンが下がってしまいます。法律の専門家の力を借りながら議論を重ね、落としどころを徹底的に追求しました。
3.want.jpのオペレーションとの同期
今回のプロジェクトはBASE側とwant.jp側のシステム接続から検証が必要だったこともあり、3段階にわけてリリースをおこないました。一人のPdMが全体を網羅的に見ることができないため、密に情報を連携しないと仕様漏れなどの大きなトラブルが発生してしまいます。
そのため、倉庫の配送オペレーションまでを一つのプロダクトとして設計し、注文単価や出荷個数などのデータを緻密にトラッキングし、現場の負荷をコントロールしながら段階的にリリースを進めるという、極めて難易度の高い進行管理がおこなわれました。
4.「ショップの世界観を表現したまま売る」を叶える
「BASE」では、ショップごとに商品やお店のイメージにあったデザインや見せ方をしていますが、さまざまな論点があるなかで、一番シンプルに越境ECを叶える方法を考えると、ショップの世界観は反映せず、単一のUIで商品情報だけを外に展開する形が実現しやすい形ではありました。
しかし、「BASE」を利用するショップの世界観や表現の自由を大切にしたまま販売できることが「BASE」の重要な価値でもあります。
そのため、さまざまな手段を検討し「BASE」の魅力を守りながら実現可能な方法を模索していきました。

まだ誰もやっていない「不確実性」を楽しむ
今回の機能開発は新規性が非常に高く、いわば不確実性の高いプロジェクト。何が売れるか、ショップオーナーさんや購入者さんが何に対して喜んでくれるか、事業の成長曲線も予測困難です。
このプロジェクトのおもしろさは、「正解のない領域にチャレンジすること」だと、プロダクトマネージャーは語ります。そして、実際にショップオーナーさんが想像以上の機能に驚き、喜んでくれたことが大きなやりがいへと繋がっているといいます。
ビッグプロジェクトであり、多くの関係者がいるなかで、実現することができたキーポイントは「全員がBASEが目指す未来を信じている」ということ。
プロジェクトメンバーはもちろん、BASEにいるメンバーはみな、個人やスモールチームが価値あるモノをつくったときに、組織の大小に関わらず、世界中の人と価値交換できる未来が来ること、そういった未来を作れることを信じています。
そのようなプロジェクトの共通のゴールを見たうえで、各分野のプロフェッショナルが、事業計画・プロダクト要件・デザイン・開発見積など具体的な成果物に落とし込むことによって、一丸となって進むことができたとお話されていました。
「世界中が繋がる」を作るフロントランナーに「BASE」がいる
約1年半、構想期間を入れるとさらに長期となった「かんたん海外販売」プロジェクト。リリース後は、最初の商品が売れる瞬間をメンバー全員で見届けたそうです。
提供開始を経て、プロダクトマネージャーは「世界が繋がっていくことにワクワクしていますね」と話していました。そして同時に「かんたん海外販売」のリリースは、ゴールではなく新しい世界の入口であると話します。
かつては、一定のリソースや専門知識が求められていた越境ECに、個人やスモールチームがより簡単に挑戦できるようになりました。しかし現状は、一旦「道を作った」段階。今後さらに綺麗に整備していく必要があり、今回の機能についてもまだまだ改善できる余地があると話します。
テクノロジーが進化し、他社もどんどん進化し、そうやって世の中が前に進んでいくなかで、そのフロントランナーに「BASE」がいられるように。
「BASE」が大切にする「誰でも、かんたんに」という魅力を磨き続け、日本のさまざまな価値を世界へ届けられるよう、これからも進化し続けます。

最後に
今回のプロジェクトを取材して感じたことは「境界線が消えていく」ということです。多くの人が当たり前だと思っていた限界のラインを、人の想いや繋がりやテクノロジーの力が溶かす、そんなイメージです。
「かんたん海外販売」プロジェクトは、個人やスモールチームが自分たちの可能性を広げていくため、チャレンジするために踏み出す道を作りました。
世界は、思っているよりもずっと近くにあるのだと、プロジェクトの取材を通じて知ることができたように思います。