採用広報の飯野です。
BASE株式会社(以後、BASEと表記)では、社内の業務効率化を起点に、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を利用するショップオーナーさんへの価値提供の質を高めることを目的に、全職種横断でのAI活用を推進しています。それを牽引しているのが、BASE事業が中心となって立ち上げた社内の有志チーム「BASE AIサポーターズ」です。
今回はそのメンバーに、BASE事業でのAI活用に対する考え方について聞きました。

【Profile】
写真中央:林田 秀平(はやしだ しゅうへい)
BASE Department Manager
新卒でA.T. カーニー株式会社に入社。経営戦略コンサルタントとして、消費財・通信業界を中心に、中期事業戦略、ブランド戦略、BDD支援など幅広いテーマに従事。大手企業のスピンオフベンチャーへの出向も経験し、B2BのIoTプロダクトの新規事業立ち上げに従事。その後、2022年3月にBASE株式会社に入社。経営戦略室を経てBASE事業のブランド、セールス&マーケティング、カスタマーサクセスを中心としたビジネス領域を統括するProduct Marketing Division Manager、COO直下でBASE事業の中長期戦略および事業計画策定を主導するBusiness Management Division Managerを歴任。2025年7月1日付で同社執行役員に就任し、BASE Department ManagerとしてBASE事業の業務全般を統括。
写真左:渡邊 風樹(わたなべ ふうき)
BASE Department Product Management Division UI/UXデザイナー
グラフィックデザインの専門学校卒業後、制作会社のグラフィックデザイナーとして広告・ロゴ・パッケージデザインを経験。その後、ゲームメディア関連のグラフィック/UIデザイナーを経て、2020年5月にBASE株式会社へ入社。現在はネットショップ作成サービス「BASE」のUI/UXデザイナーとして従事し、社内でのFigmaのレクチャーや、AI施策にも関わっている。
写真右:宮坂 友菜(みやさか ゆうな)
BASE Department Product Dev Division Order Section Architecture Design エンジニア
製菓専門学校卒業後、パティシエとして5年間従事。社内でEC運営をしていたことからWebエンジニアに興味を持ちキャリアチェンジ。受託会社でバックエンドエンジニアとして開発を経験後、エンジニア転身のきっかけとなったEC業界で飲食業の手助けをしたいという想いから、2022年1月にBASE株式会社へ入社。現在はネットショップ作成サービス「BASE」のプロダクトエンジニアとして、ショップサポートをAIで行うプロジェクトの開発を担当している。
「BASE AIサポーターズ」プロジェクトとは
まずはBASE AIサポーターズについて教えてください。
林田: BASE AIサポーターズは、BASE事業内でのAI利用を促進し、その活用によってプロダクトの価値向上と社内業務の効率化を実現するために組成した、ビジネス職・PdM・デザイナー・エンジニアの職種横断の有志のチームです。
BASE事業部では、メンバーや「BASE」を利用するショップオーナーさんだからこそできる価値づくりに向き合うための時間を「クリエイティブタイム」と呼んでいます。ショップオーナーさんが自身の商品の価値づくりに時間・クリエイティブタイムを創出できるようにするためには、まずはBASEのメンバーがプロダクトづくりをはじめとした社内業務でクリエイティブタイムを創出する必要があります。BASE AIサポーターズは、そういったメンバーが価値づくりに向き合うクリエイティブタイムの創出を目的に、社内業務へのAI活用の支援や具体的なAI活用事例の創出などをおこなっています。
「BASE」を利用するショップオーナーさんだけでなく、プロダクト開発をしている事業メンバーの業務時間についても「クリエイティブタイム」と名付けているのですね。BASE AIサポーターズのチーム組成の背景と目的はどのようなものなのでしょうか?
林田:「BASE」はリリース以来、個人や少人数のチームでネットショップを運営されているショップオーナーさんを中心に、インターネットやテクノロジーの力を通じてエンパワーメントをすることに注力してきました。これまでも「BASE」は「難しいことを、かんたんに」という思想のもと、ショップを初めて開設する人でもわかりやすく直感的に使えるように、シンプルなユーザー体験にこだわってプロダクトを提供してきました。そのなかで、生成AIの急速な進化を目の当たりにし、これからも「難しいことを、かんたんに」を体現し続けていくためには、もう一段階上のクリエイティブタイムを自分たちBASEメンバーが創出する必要があると考えたことがきっかけです。
「BASE」では2023年4月より、生成AIを活用した商品説明文の作成をはじめ、SNS投稿文の自動生成、問い合わせ返信文の自動提案、ショップデザインの自動提案をおこなう「BASE AI アシスタント」という機能を順次リリースしたのですが(※1)、その後の生成AIの進化は目覚ましく、2025年初頭の大規模アップデート以降、リサーチや画像生成などの精度が急激に上がったことを目の当たりにし、テクノロジーの進化を深く感じました。
そのような変化の激しい現代において、これから先も「BASE」を選び続けていただくためには生成AIというテクノロジーをフル活用し、プロダクトの価値を向上させ続けることが必須だと感じました。そこで、明確に意思をもってAI活用を推進していこうと決め、プロダクトおよび全職種の生成AIを活用を目指すために、2025年3月に職種横断のBASE AIサポーターズを組成しました。
(※1)参考:
https://binc.jp/press-room/news/press-release/pr_20230406
https://binc.jp/press-room/news/press-release/pr_20231206

そうなのですね。ショップオーナーさん、私たちBASEのメンバーそれぞれが自分たちにしかできない価値づくりに向き合うための時間を「クリエイティブタイム」と呼んでいるということですが、社内では具体的にどのような業務が挙げられるのでしょうか?
渡邊: 普段の業務のなかでも特に重要な、「こうしたらもっと良くなりそう」「こうした方がショップオーナーさんに合うのではないか」といったショップオーナーさんに寄り添ったプロダクトにするための仮説検証や議論、意思決定をしていく時間などをそう呼んでいます。
「BASE」の魅力は圧倒的なオーナーファーストです。ショップオーナーさんのリアルな現場実態やお悩みを解決できるようチューニングされたデザインになっているからこそ、多くの方が「BASE」を選んでくださっています。これから先もその魅力を保持し続けるために、なるべくショップオーナーさんのチューニングに時間を使いたいという想いがあります。
たとえば、配送関係の業務の改善をしたいとなったとき、AIはショップオーナーさんが困っている原因や解決策の候補を10個出すことはできます。ただ、この解決策が本当にショップオーナーさんのためになるのかどうか、手を動かして検証できるのは現実世界です。プロダクトを使うのは人間なので、ショップオーナーさんが抱える課題や要望でまだインターネットには落ちていない情報はたくさんあると思っています。アイデアを出すだけだと机上の空論になってしまうので、その先の「ショップオーナーさんにとってどうなのか?」という人間の感情や複雑な環境を踏まえた上で具体的な課題設定やタスクに落としていく部分が非常に重要だと考えています。
「BASE」のオーナーファーストを実現するためには、このクリエイティブタイム以外の業務、たとえば議事録を作成したり、散文をまとめて伝わりやすく整形する時間だったり、情報のキャッチアップ、初期のとにかく数を出すアイデア出し、スケジュール管理などなど...をAIに頼りながら短縮し、ショップオーナーさんの内面部分のチューニングに時間を割いていきたいと考えています。
職種ごとの活用事例。AIを活用するために重要な人間の学び
AIの具体的な使用例について教えてください。
渡邊: BASE AIサポーターズ発足後、まず私がおこなったのは、Figma AIのルール整備でした。チーム発足と同時期くらいにプロダクトデザイナーにとって一番近い存在であるFigmaにAIが搭載されたのですが、高機能すぎてあっという間に画像が生成できてしまい、誤った情報を流し込んで形にすることも簡単にできるようになってしまいました。たとえば、ショップオーナーさんの商品画像が勝手にAIで改変されてしまい、そのまま社外で使用されてしまう恐れも考えられます。そういった生成系のAIの取り扱いに関しては、ブランドデザインチームと協力してしっかりと対応したいと考えています。
私たちがAIを使うのは、ショップオーナーさんに喜んでもらうためなので、「積極的に使う」ためのサポート、一方で「使わないという選択」やルール整備をしっかりおこない、デザイナー・PdMが安心してAIを使えるように環境整備をサポートしました。

宮坂: エンジニア側では、比較的さまざまなAIを自由に取り入れてトライアンドエラーをしながら効率化する方法を模索しています。具体的な活用事例としては、たとえば新機能開発の際にNotebookLMに既存の仕様書を読み込ませ、開発のスピード感を早める目的で活用しています。
AI活用を推進するなかで難しいと感じた場面はありますか?
宮坂: シンプルに活用手法を紹介することはできても、全員がAIの力をしっかりと業務に発揮させるところまで持っていくのは難易度が高いなと改めて思いますね。「こうすれば絶対うまくいきます」という案内ができれば簡単ですが、プロジェクトや課題のケースによって使い方もアプローチの仕方も変わってきます。たとえば、「別のAIを取り入れてみよう」「ここはAIを使ってここからは人間が手動でやったほうがいいのではないか」など、ずっと工夫をし続ける必要はあると思います。
そのために、AIを使う側の人間が学び続けることが大切だと考えています。人間は結局自分の力以上にAIを活用することはできなくて、最大限の力量は自分なんですよ。自分の実力以上の内容が仮に返ってきたとしても、結局よくわからなくて使いこなすのは難しいと思います。なので、自分たちの力を一緒に上げられるようなAIの使い方というのを、エンジニア側のAIサポーターとしては推進していきたいと考えています。

AIに対するリテラシーが高い人ばかりではないと思います。より良いプロダクト作りに活かすという目的のためには、「AIに頼る」のではなく「AIを活用する」ことが重要になってくると思うのですが、BASE AIサポーターズとしては今後どのように推進していきたいと考えていますか?
渡邊:
まず大事なことは、「AIは自分より優れている」という思い込みをやめることです。
AIの回答の質は、入力される情報の量や質、前提条件の設定の仕方など、どのような指示を与えるかによって大きく左右されます。
つまり成果は、情報を設計する人間側の工夫や思考に依存するということです。その人間側の役割と重要性は、今後も繰り返し伝えていく必要があると考えています。
ただこれから先、今もすでにそうだと思いますが、「AIの使い方がわからない」「AIを使うのはなんか怖い」といった危機感のようなものは、時間とともに徐々に薄れていくと思います。誰でも触れるようになりましたし、使い方をシェアしていく必要はなくなるでしょう。しかし、AIに慣れた先で起こりうる問題は、AIに振り回されて自分の本来の実力より下のアウトプットを出してしまうというようなことです。そのようなバッドエンドは避けなければなりません。そのためのAIとの向き合い方については引き続きBASE AIサポーターズがシェアしていきたいと考えています。
スモールチームでの価値提供を「BASE」が実現させる
これからBASE事業としてはどのようにAIを活用していきたいと考えていますか?
林田: 事業としては、生成AIをプロダクトに搭載してショップオーナーさんに価値を提供することが一番重要だと思っています。そのためにも、スモールチームでプロダクト開発をおこなっている自分たちBASEが、小さな力で多くの価値を出していることを示していきたいと考えています。
ショップオーナーさんは個人やスモールチームの方が多く、一人ひとりが膨大なタスクを抱えています。人を無理に雇わず、個人・スモールチームのままでやりたいことが実現できる状態を後押しするためには、冒頭にお話をした通り、生成AIのパワーを使って、「BASE」が作業負担を最大限なくし、ショップオーナーさんだからこそできる創造的な時間・クリエイティブタイムに集中できる体験を提供していきたいと考えています。そのような価値を実現していくためには、プロダクトを提供している自分たちBASEが、「スモールチームでこれだけできるんだ」という体感値や経験値を同時に持つことが重要だと考えています。
生成AIを職種問わず全員で社内活用し、自分たち自身もスモールチームのままでいながら、プロダクトをより良くするためのクリエイティブタイムに集中し、多くの価値を発揮できている状態を目指していきたいと思っています。

渡邊: 私もこれまで、より良いものを作るためには人を増やして強いプロフェッショナルな人材を多く雇って、そのパワーで良いものを作るものだと思っていました。たとえばデザイナーだと徐々に分業制の組織になっていきやすくて、UIデザイナー、UXデザイナーに加えてUXリサーチャーという職種をおいている会社もあったりします。ですが、今回BASE AIサポーターズとしてAIをある程度自由に使わせてもらってから、結構考え方が変わりましたね。
今私が所属しているチームは、デザイナーの私とPdMの方の2名とエンジニアの皆さんというスモールなプロダクトのチームなのですが、自分自身が大きなパワーを持っていなくてもAIの力を借りてアウトプットまで辿り着けるという実感を持つことができました。人の多さが武器ではない、スモールチームでも工夫次第で大きなことができるんだという考え方をプロダクトを通してショップオーナーさんにも伝えたいなと思っています。
普段スモールチームで開発プロジェクトを進めるにあたり、やはり「人」の大切さも感じますか?
渡邊: 強く感じますね。冒頭でも少しお話ししましたが、AIを使う側の人間はブレない芯を持つ必要があります。逆に言うと、その強い信念さえ持っていればAIとBASEの力でどこまでもいけるはずです。いけるように我々も頑張ります!
林田: 生成AI活用を進めれば進めるほど、人間が持つ意志や信念の尊さを感じています。
BASEグループには、「We are All Owners」というFoundationがあります。BASEグループが提供しているのは、楽しみながら主体的に生きていく「人生のオーナー」を増やす社会基盤であり、インターネット・テクノロジーの力を使えば、個人が主役になる時代が来るという根底の思いを言語化しているものです。
生成AIは、この根底の思いを体現するために必要なテクノロジーだと思っています。250万を超えるショップを支える事業として、BASEグループの一員として、それぞれの自分らしい自由な生き方を後押しできる存在になれるように、AI活用を信念を持って進めていきたいと考えています。
最後に
ミッションの実現のためにBASEが大切にしている「We are All Owners」という価値観。
プロダクトを使うショップオーナーさんはもちろん、BASEで働く私たち自身の夢や目標に一歩でも近づくためのAI活用なのだと、小さな個の力を信じているBASEだからこその考え方をお伺いしました。
皆が自分の人生のオーナーである。だからこそBASEは大きな夢を叶えるためにこれからも地道な努力をし続け、より良いプロダクト開発をおこなっていきたいと考えています。