いまに至るまで書籍版しかないため(発行は2010年)、これだけは紙の辞書を使っている――そんな人も多い辞書です*1。
そんなわけで、皆さんもこれは手元にお持ちでしょうから、ぜひ「はしがき」をお読みください。
おわり
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では記事にならないので、少しだけ解説します。
データ
最新版:初版(2010年8月刊)。
発行元:三省堂
媒体:書籍
「はしがき」とこの辞書の前身
この辞書の特長は、使っている人ならもちろんよくご存じのことと思います。
言葉は単独でも使われますが、多くの場合、二つ以上の言葉が結びついて使われます。この結びついた形を、本書では、「結合語」と呼ぶことにします。国語辞書は言葉の意味と文法的な解説を主とするので、紙面の制約上、わずかしか結合語の例を載せられません。(中略)のべ六十万の結合語例を載せています。
ここは大切なところ。通常の国語辞典もちゃんと用例までちゃんと読むのが前提。それでも用例は足りないからこの本を作りました、ということだからです。
きっかけは、文章に関わる仕事(校正)をしながら、この言葉はどうもしっくりしないな、他の言い回しや表現はないのだろうかとさがした時に、参考になる本が見当たらなかったことでした。それならと、自力で結合話を採集し始め、「逆引き頭引き日本語辞典」(講談社+α文庫、97年)にまとめました。助詞「を」をとる結合語十七万例を集めた辞典です。
実は『てにをは辞典』には前身があったのでした。

そして、
読者からは、(中略)発想があちこち飛んで脳が刺激されて面白い、どのような場面でこの言葉を使ったのか情景を思い浮かべながら読んでいくのも楽しい、翻訳の時に役に立つ、言葉さがしに使っている、などの声が届きました。
(赤字は引用者)
こう書かれているので、この前身にあたる辞典の段階から翻訳者の間では評価されていたことがわかります。
しかし、このときは助詞「を」をはさんだコロケーションにとどまったため、『てにをは辞典』ではさらに
「が」「に」「の」などの助詞を介して結びつく結合語や、形容詞や副詞などとの結合語まで収めた
ということです。
それから、以下の点も押さえておきましょう。
本書に取めた結合語は、文庫本を中心に採集したものです(引用書籍は巻末に掲載)。ジャンルは、延現代の大衆小説・時代小説・純文学・評論など幅広く、作家数では二百五十名以上になります。その他、雑誌や新聞などからも採集しました。
『てにをは辞典』は、収録数を優先したため用例ごとには出典が書かれていません。コロケーション辞典として使う場合、実例であることがわかっていれば出典はそれほど重要ではないのかもしれません。いちおう、どんな文献から採用したかは、pp.1790~1797を見るとわかります。赤川次郎とか内田春菊、塩野七生、島田雅彦なども出典になっているところが現代的です。
250名以上で60万例以上。単純計算では作家ひとりあたり2,400個の例文を採集していることになります。途方もない労力です。
その他、日本語のコロケーションなら
いま「現代的」と書いたので思い出しましたが、少し古めの日本語でコロケーションを確認したいのであれば、青空文庫を利用する手もあります。そのために最適なのがこちらです。
ここに、2022年3月時点の青空文庫をEPWING化したデータがあります。このデータをEBWin4などで使えば、由緒正しい日本語をソースとしてコロケーションを確認することができます。
*1:電子化を望む声は当然多いのですが、どうも難しいようです。