ご案内していた「翻訳フォーラム・シンポジウム2025」が先週無事に終了しました。現在アーカイブ配信中(7/27まで)です。
今年のゲストコーナーには、
- 海野文男さん・海野和子さん
- 玉川美咲(Lakka26)さん
- 堀野修平さん(ネットアドバンス)
をお招きしました。このとき出てきた最新情報も含めて、ここ最近の辞書まわりに関するアップデート情報をまとめておきます。
うんのさんV6.3リリース
これについては、すでに記事にしました。
すでにお使いのみなさんには、今すぐアップデート推奨です(アップデート価格あり)。まだ「うんのさん」を知らない方は、この機会にぜひ手元で使ってみてください。
ジャパンナレッジ更新予定
時期がおおむね決まっている情報も、まだ不確定な情報もありますが、堀野さんのプレゼンから更新予定の情報だけ拾っておくと、ざっとこんな予定です。
- 2025年9月
「マイフォルダ」機能など機能面を変更 - 2026年春
新コンテンツを追加 - 2026年夏
インターフェースを中心にサイトをリニューアル - 2027年
『日本国語大辞典 2.1版』公開予定(第三版の最終公開に向けて段階的に公開していくそうです)
このうち、2026年春に追加されるコンテンツの話は、私も含めて辞書好きには特大のビッグニュースでした。なんと
『日本語新辞典』
が収録されるそうです! 辞書好きのなかでも圧倒的に支持されており、私も国語辞典史上最高の一冊だと思っています。ただ、今ではすっかり入手が困難になってしまって、おすすめしにくくなったタイトルでした。
もう、あれですよ。この辞書が使えるだけでもジャパンナレッジは契約する価値あり! と断言できるくらいです。ちなみに、『ロイヤル英文法』と『実践ロイヤル英文法』も入るということで、これもうれしい情報でした。来年の春が待ち遠しい!
ところで、この発表だけでなく、ゲストコーナーに登壇してくださった堀野さん(ネットアドバンス)の話には、いくつか印象的な言葉がありました。
ひとつは「サービスの永続性」ということ。次項にあげているように、奇しくもgoo辞書がサービス終了となりましたし、英語圏でも無料の辞書サイトが次々と終了しています。有料の(そして優良な)オンラインサービスは、「続いていく」ことにも大きな価値がある。私たちユーザーはそれを利用料という形で支えていく。そういう関係の大切さを改めて感じました。
もうひとつは「頻繁に使うような辞書だけでなく、例えば1年に一度しか開かない辞書も収録する」というジャパンナレッジの運営方針です。言われてみれば、毎日のようにジャパンナレッジを使っていても、たまにしか使わない辞典・事典はたくさんあります。それでも、いつどんなときにどんな情報が必要になるかわからない、というのが私たち翻訳者の仕事です。それを考えると、ジャパンナレッジほど多岐にわたって信頼性の高い情報を集めているサイトというのは、本当に貴重だと思います。
goo辞書がサービスを終了
1999年から、つまりインターネットのかなり早い時期から続いてきたgoo辞書が、去る6月25日をもって、ついにサービス終了となりました。
かつては『ランダムハウス英和大辞典 第2版』も収録されており(2018年秋に終了)、その後も『デジタル大辞泉』や、オンライン版の存在が貴重だった『使い方の分かる 類語例解辞典』なども使えました。翻訳者にとっても利用価値が高かったのですが、AI隆盛のあおりなのかどうか、とうとう終わりを迎えました。
ネット上の無料サービスというのは、こうしてある日突然終了することがあるものです。国内では、辞書ポータルのひとつYahoo辞書(コトバンクを利用)が2019年5月に終了しました。海外の英英サイトでも、OxfordがODE(Oxford Ditionary of English)相当のデータを公開していたLexicoが2022年夏頃に終了し、有料サービスに移行しました。翌2023年6月には、私が愛用していたMacmillanがサービスを終了。こちらは移行先もないままなので、今となってはMacmillan英英は利用困難な辞書になってしまいました。
今のところ、これ以外の英英辞書サイトは存続しているものの、無料である以上、いつどうなるか決して安心はできません。
辞典についての同人誌活動
辞書まわりといっても英語ではなく国語がメインなのですが、辞書好きの皆さんによる同人誌の発行が相次いでいます。
ひとつは、シンポジウム2025にゲストとしてお越しくださった玉川美咲さん(ハンドル名:Lakka26)が所属している同人サークル辞書尚友(と辞書高翔)が3月に刊行した『辞書尚友』*1。
もうひとつは、西練馬さんや"ながさわ"さんたち(このお二人も翻訳フォーラムがイベントにお呼びしたことがあります)辞書オタクが5月に刊行した『ジショカツ彙報』です*2。
ともに、コミティアなどの同人誌イベントで販売されているほか、神保町のPASSAGEさん(オジマさんの棚)でも、また通販でも購入できます。辞書好きの方たちのとんでもない熱量が伝わってくる2冊です。私は、『辞書尚友』を国語辞典ナイト20のときに購入し、『ジショカツ彙報』は先週PASSAGEで買ってきました。

物書堂から『オーレックス 第3版』リリース
昨年の秋に書籍版が敢行されていた旺文社『オーレックス 第3版』。デジタル版はなかなか出てきていませんでしたが、ようやく物書堂版がリリースされました(英和第3版と和英第2版のセット)。例によって、発売キャンペーン割引が実施されています。
英和学習辞典については、ふだんから「ウィズダム」ばかり推していて、「オーレックス」に言及することは少ないのですが、旺文社らしい丁寧なつくりです。語義と補足の細かさは「ウィズダム」と比べても遜色ありませんし、文法・語法の解説がいたって親切です。
『少納言』のデータがアップデート予定
こちらは、昨日参加したこのイベントで仕入れてきた最新情報です。
『少納言』は、国立国語研究所(国研)が運営している日本語のコーパスサイトで、翻訳者の間でも広く利用されています。ただ、収録されているのが2005年くらいまでのデータなので、収録されている日本語が最新ではないという弱点がありました。でも、国研ではそれ以降のデータの整理もちゃんと続いていて、2025年中には最近20年くらいのデータを追加してアップデートされるそうです。
国研さんって、所在地が立川で、ウチから行くとシネマシティよりさらに遠いのですが、この情報だけでも暑いなかを出かけていった甲斐がありました。国研さんは、広報活動の一環として外部向けのイベントをよく実施していますし、図書館は誰でも利用できます。私も機会があればまたぜひ訪れたい施設でした。

現在の立川に移転してから20周年だそうです。立川なんで、ゴジラが来てもひとまず安心の立地ですな。