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【愛の◯◯】おとうさんに一方的に甘えて弟に一方的に要求する日曜

 

日曜の早朝。リビングのソファ。

おとうさんの左肩に右肩をぽみゅ、とくっつけて、

「あのね、おとうさん。わたし、利比古(としひこ)を癒やすのにエネルギーを使っちゃったの」

と、甘える。

「おれに肩を預けたら、エネルギー回復するんか?」

おとうさんのそんな問いに、

「……うん。」

と、甘い声を絞り出して答える。

ホントは、そこまで消耗してないんだけどね。

このフロアにおとうさんとわたしだけ。貴重な時間。

甘え過ぎるぐらいが、ちょうどいい。

おとうさんの左手を右手でムギュー、と握り、

「もう23歳だけど、おとうさんの娘であるコトには変わりが無い。だから、甘えに甘えたって許してくれるでしょ?」

おとうさんはあまり間を置かず、

「当然だ」

嬉しくて、テンションがうなぎ登りになって、

「4月から、いちおう、高校で、世界史とか教えるコトになるんだけど――どんな生意気な生徒が、いると思う!?」

「ほほー、ムズい質問だなー」

おとうさんの応答の声に苦笑いが混じる。

幸せ。

 

× × ×

 

日曜の夕方。日本テレビの長寿お笑い番組も始まらない微妙な時間帯。

2階フロアの一室のドアを勢い良く開けたわたしの眼に利比古の姿が映り込む。

カーペットに腰を下ろしてタブレット端末に視線を落としている。おそらく動画を視聴している。おそらくYouTubeの動画を視聴している。

「どのYouTuberのチャンネルの動画を視(み)てるの?」

ベッドに腰を下ろして利比古と向かい合い始めるわたしは訊く。

「……どうしてぼくがYouTube視てるってわかったの?」

不審げな視線を姉に伸ばしてきながら弟が訊き返す。

「『どのYouTuberのチャンネルの動画を視てるの?』って訊いてるんだけど、わたし」

姉の容赦の無さにたじろぎ、弟はうつむく。

厳し過ぎたかー。

――大事な用件は、早く伝えたいから、

「まあいいわ」

と許してあげて、

「利比古。今晩も、この家に泊まるわよ」

寝耳に水だったのか、弟の端正なお顔が一気に上昇し、

「今夜、帰るんじゃなかったの……。ぼく、荷造り、ほとんど終わってるんだけど」

イジワルでイタズラな姉として、一切構ってあげずに、

「明日の日中は、わたしとあんたの2人で、お出かけよ♪」

と、ニッコリニコニコして告げる。

「おでかけ……?」

戸惑いながら、

「どこまで、出ていくつもりで……」

と控えめな声を出す弟。

「吉祥寺」

キッパリハッキリ答えるわたし。

目線を徐々に下げながら、

「吉祥寺で、なにするの」

とゴニョゴニョ訊く弟。

「買い物して、井の頭公園歩いて、それから……」

敢えて言い切らないわたし。

「それから……??」

さらに戸惑う弟。

今の利比古の戸惑いが、ホントにホントにカワイイから、

「――やっぱ、明日のお楽しみにしておくわ。『とっておきのデートスポット』なんだから」

 

 




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