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【愛の◯◯】結崎さんをイジめてバイト先に赴いて◯◯

 

おねーさんと兄貴のマンションに行ったら、おねーさんと兄貴の両方から、

『利比古くんがわたしの就職活動成功をどんな風に祝福したのか』

について訊かれちゃった。

激しく動揺したから上手く話せなくなっちゃった。憐(あわ)れんだおねーさんがゴハンを作ってくれた。満腹になったら少し落ち着いた。「ごちそうさま」の直後に『レポート』を始めた。レポーターのわたしは「本当のコト」を約8割伝えたけど、残りの約2割はマンションを出るまで隠し通した。

 

利比古くんのコトが気になるのは、おねーさんや兄貴だけじゃないみたいだ。

例えば、アカ子さん。

利比古くんが、来たるべき6月9日のわたしの誕生日をどんな風に祝福するのか。アカ子さんにはそれが気になるらしい。

わたしの誕生日と利比古くんを巧妙にも絡めてくるアカ子さん。利比古くん単体のみならず、利比古くんとわたしの関係までも掘り下げてくる勢いだった。

そうやってアカ子さんが迫ってきたのが6月1日。若干の苛立ちを覚えながら邸(いえ)の自分の部屋を出ようとするわたしの背中に、

『あすかちゃんバースデー前日の6月8日の夜は、わたし、眠れなくなっちゃってるかも』

という「からかい」が突き刺さってきたのだった。

 

× × ×

 

本日は6月4日である。

大学。『PADDLE(パドル)』の編集室。蒸し蒸しするからエアコンの設定温度を下げる。ついでに風力もフルパワーにする。安楽椅子でデスクトップPCに向かっている結崎純二(ゆいざき じゅんじ)さんのコトは一切考慮しない。

今日もいつも通り安楽椅子で編集作業に熱中しているから、結崎さんがわたしに顔を見せてくるコトは無い。

いつも通りのタイピング音が編集室に鳴り響いている。

結崎さんの後方でパイプ椅子座りのわたしは、流し読みしていた文庫本を閉じ、

「結崎さぁん」

と声を掛け、

「もうちょっと、タイピングする音を、抑えていただけないでしょーかー」

と、棒読みに似た口調で要求してみる。

「『抑える』?」

と結崎さん。

「『静かにキーを打ってください』ってコトですよ」

とわたし。

不健康な結崎さんは黄緑色のエナジードリンク缶に手を伸ばし、缶の中身を少し減らす。

気持ち悪い色のエナドリ缶だ。中身の液体はもっと気持ち悪い色なんだろう。

……ただ、エナドリの製造会社を誹謗中傷するキモチなんてあるワケも無いので、

「結崎さんって、記事を書くのにのめり込み出すと、タイピング速度が一気に速くなるし、タイピング強度も一気に強くなりますよね?」

と、結崎さんのタイピングの五月蝿(うるさ)さに関する話を続けていこうとする。

「誰だって、そうなるんじゃないのか?」

結崎さんが言った。

無神経だ。これは無神経だ。

「そんなワケ無いです。断言できます」

わたしは、キッパリ。

沈黙と共に結崎さんがタイピングを再開できなくなった。

悪いわたしは、結崎さんイジりに「やりがい」を見出していく。

ゆえに、

「タイピングの五月蝿(うるさ)さで迷惑かけるだけじゃなくて、7年でも卒業できずに迷惑かけちゃったら、サイアクのサイアクですよね~~」

と、攻撃。

 

× × ×

 

編集室で結崎さんをコテンパンにした後はアルバイトだ。南浦和に向けて鉄道を乗り継いでいく。大学からどんなルートで南浦和までたどり着くのかは諸事情で伏せさせてください。

 

さて、時間を早送りするようではあるけど、午後1時30分。

バイト先のカフェレストランにお客さんが居なくなったトコロだ。50代と思われる最後まで残っていた1人客の男性は、レジで会計を終えたわたしにミルクキャンディーをプレゼントしてくれた。

このカフェレストランのお客さんはみんな優しい。お店の稼ぎはほどほどだけど、店内の雰囲気は最高の中の最高……。理想的なお店に、理想的なご主人。

午後1時30分はラストオーダーの時刻とイコールだ。わたしは、エプロンを装着したままに、新聞類が重ね置かれている小さな丸テーブルへと歩み寄る。

いつもならば新聞類にはノータッチなのだが、今日は敢えて某・地方競馬専門紙を手に取ってみる。

今週の南関東競馬の「当番」は浦和競馬ではない。記者の方々が集まってこなかったから店内の賑わいは「そこそこ」に留まっていた。

今週は浦和開催じゃなくて船橋のナイター開催なんだけど、場所柄ゆえに、専門紙はちゃんと店内に用意してある。

近くの椅子に腰掛けて、専門紙の1面を凝視した。看板予想者の写真とコラム。そしてメインレースの馬柱(うまばしら)。

実は『勉強』も兼ねていた。というのは、わたしが採用されるのは『青春(せいしゅん)スポーツ社』というスポーツ新聞社だからである。

配属はまだ確定していない。本音を言えば、第1希望は野球で、第2希望はサッカーだ。だけど、公営競技担当に回されるような事態になるかもしれない。「備えあれば憂いなし」。お馬さんのコトもモーターボートのコトも自転車のコトもバイクのコトも何にも知らないけど、『予習』をするに越したコトは無い。

ちなみに、埼玉県は、競馬場・ボートレース場・競輪場・オートレース場が全て揃っている都道府県であり、そうであるがゆえに、地元局のテレ玉にて『バッハプラザ』という公営競技専門番組が365日放映されている。

……余計なムダ知識が頭をよぎってしまった。

そういえば。

『バッハプラザ』なる番組の存在、利比古くんが教えてくれたんだっけ……。

ちょっとだけ、不都合な事実だな。

利比古くんが悪いんだ。

ドキドキするぐらいハンサムな顔で、どーしよーもないテレビオタクなんだから……!!

彼に罪をなすりつけてしまうわたし。

必然的に、専門紙の船橋メインレースの予想印に集中できなくなるわたし。

 

 




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