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【愛の◯◯】羽田利比古さんというOBに会った感想

 

「トヨサキくーーん」

「なに」

「ちょっとちょっと!! 土曜日に学校来たからって、そんなダルそうな受け答えしないでよっ!! 投げやり過ぎるよ!?」

「うっせぇなあタカムラ。いつもながらに」

「なっ……!!」

「春休みにもかかわらず『連チャン』でクラブ活動する羽目になっちまってるから、疲れてんだよ」

「ゆ、ゆるせない、キミの発言、ゆるせないっ」

「どこが」

「『連チャン』なんていう、高校生に全く相応(ふさわ)しくない俗語(ぞくご)を使ったトコロ!」

「――じゃあ、誰だったら相応しいんだ?」

「そ、そ、それはっ……」

「答えられるワケもないよな」

「ぐぐぐぐぐ」

「なーなー」

「……なんなの、その軽々しい口調は」

「『連チャン』って俗語を使うトコロが全く想像できない大学生のお方と、おれたちは昨日会ったよな?」

「え、利比古(としひこ)さんのコト!?」

「そーだっ。この学校のOBで、おれたち『KHK(桐原放送協会)』のOBでもあらせられる、羽田利比古(はねだ としひこ)さんのコトだっ」

「たったしかにっ、キミなんかよりも500倍ぐらい爽やかでイケメンで、毎日のようにナンパされたり告白されてそうなのが濃厚な男子大学生だったから、汚い俗語なんか使うワケもないってわたしも思うけどっ」

「……ひとついいか、タカムラ」

「えっ」

「男子がナンパされる場合って、単に『ナンパ』じゃなくて、確か――」

「ちょちょちょっとちょっとやめてよっっ!!! 放送コードに引っかかるような汚いコトバ言おうとしないで!!! キミの口をホンキで塞(ふさ)いじゃうよ!?!?」

「過剰反応」

 

× × ×

 

「――たしかに、これ以上ないほどのイケメンだったし、魅力がいっぱい溢(あふ)れ出してたヒトだったけど」

「『けど』? 利比古さんの揚げ足をとるんか、タカムラ」

「わたしが放送機材の使い方に関して質問した時、一瞬口(くち)ごもってたでしょ? ああいう点とかが、放送系クラブ出身者なのに詰めが甘いって思っちゃった」

「記憶力いいのな、おまえ」

「あら探しじゃないけど、キミも、利比古さんの『残念な点』に気付いたりしなかった?」

「んーっ。……そーだな、彼、テレビ局の話になると、水を得た魚のように、すっげぇ滑らかな口調で語りまくってただろ? タカムラ、そんぐらい記憶力良かったらおまえも憶えてるだろ。ふとした拍子(ひょうし)に、山陰地方の話題が発展して――」

「憶えてる憶えてる。『鳥取県島根県が3つの民放テレビ局を『共有』してるのはナゼですか?』ってわたしが訊いたら――」

「彼は、BSS山陰放送)の成り立ちから解説し始めて、日本海テレビの開局、現在のさんいん中央テレビの開局、鳥取と島根の局の『相互乗り入れ』……と、日が暮れるまで喋り続けるような勢いで、懇切丁寧に答えてくれたワケだ」

「さんいん中央テレビが最初は『テレビしまね』って呼ばれてたとか、国宝級のトリビアまで教えてくれたよね」

「『トリビアの泉』を放送したテレビ局に相応しいトリビアだったよな」

 

 




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