「こんにちはこんにちはこんにちは!!! 1月31日、金曜日~~。明日から2月ですよ!? スゴいですよね!?」
「いや、一体何がスゴいんだよ、タカムラ」
「口を挟まないで、トヨサキくん。タイトルコールもまだなんだからっ」
「……お昼休みの皆さま、『ランチタイムメガミックス』のお時間でございます」
「ああっ!!! トヨサキくんが、勝手にタイトルコールした!!! いけないよくない」
「おまえのテンションが高過ぎるのがダメなんだよっ」
「高過ぎじゃないよっ!! 高いのは認めるけど」
「――先日、おれは、粉粒(こなつぶ)のように小さな雪が空からはらはら、と舞い降りてくるのを眼にしたんですが。おれの姉ちゃんによると、『風花(かざはな)』と呼ばれる現象だそうです」
「なんで『単独フリートークモード』に突入してんの!? あと、『おれの姉ちゃん』って言ったけど、キミの2人のお姉さんの内どちらの……」
「しかしながら『風花』のような風景を見たのはこの前の日曜日、ここ数日は全く雪も降らず、素晴らしい晴れの青空も時折垣間(かいま)見えて」
「す、スルーしないでよ、わたしを置いていかないで」
「おっ」
「……なに?」
「タカムラが、弱みを見せた。珍しい」
「ななっ……!!」
「主導権を握ったついでに、おれの方からオープニングナンバーを紹介したいと思います。今日は、なんと洋楽を流します……!」
× × ×
「マイケル・ジャクソンの曲、わたし高校生になってから初めて聴いたよ」
「おれもだよ。予想以上に名曲だったな」
「うん」
「おれらが物心ついた頃には、マイケル・ジャクソンはもう亡くなっていて」
「うん、歴史上の人物みたいなポジションになってたよね」
「歴史上で一番売れてたミュージシャンの1人だったからこそ、かえって敬遠してしまってた」
「トヨサキくんがマイケル・ジャクソンを流そうと思った理由は?」
「姉ちゃんが昨日の夜にゴリ押ししてきて。近日中の校内放送で是非とも流してほしい、と」
「……また、『姉ちゃん』だ。ねぇ、マイケル・ジャクソンをゴリ押ししたのは、キミの2人のお姉さんの内、どっちの……」
「おれがそれに答えるのは放課後だ、タカムラ。昼休みだから放送に制限時間がある。立ち止まってはいられない!」
「かっ、カッコ付け過ぎじゃない!? なんなの、今日のキミのテンション」
「お便りコーナー行くぞ。おまえにお便り渡すから、読め」
「いっいつから、わたしに命令する立場に……」
「読め。」
「んんんっ……。」
× × ×
「……もう1通、読もうと思います。ラジオネーム、『ブラックレディオジャッカー』さんから」
「おーい、タカムラー、もうちょい元気な声で読んでやれー」
「……」
「なんだよなんだよ、放送事故を起こしたいんか?? 『黙ったらそこで放送事故だよ』って、普段口を酸っぱくして言ってるクセに」
「……うるさいっ!!!
読むからっ。
『タカムラさんトヨサキくん、こんにちは。この手紙が読み上げられる頃には、気温も上昇しているでしょうか……。わたくしがこの手紙で伝えたい、というより『訊きたい』コトは、『2人の好きなスポーツ選手は誰ですか?』というコトです。わたくし、こう思うんです、『きっと、2人とも、大谷翔平以外の選手の名前を言う』って……』」
「へえ。難しい質問が来たな。スポーツニュースとかは見るんだけど、野球やサッカーの試合中継を最初から最後まで観たコトなんて、たぶん今までに2回か3回ぐらいしか無いと思う。タカムラは、どうだ??」
「……」
「なんだよー。『黙ったらそこで放送事故だよ』をもう1度言われたいんか?」
「……だから、うるさいってば!! なんでキミ、スラムダンクのパクリみたいなセリフに固執しまくってんの!? 井上雄彦先生が怒っちゃうよ」
「いのうえ……たけひこ、せんせい??」
「な、なに。まさかまさか、スラムダンクの作者の名前知らないで言ってたの」
「……あとはタカムラに任せた、おまえにはできれば、放送終了時刻までに好きなスポーツ選手を言ってほしい」
「けっきょく丸投げッ!?!?」