「ハローハローハローハロー!! 金曜日のお昼の皆様、いかがお過ごしでしょうか!? 生徒のみんな、お弁当は美味しい!? 先生方、もしかして皆さんで出前とったりしてますか!?」
「……いや、先生方全員が出前とってるワケ無いじゃないですか。なんで『皆さんで』だなんて……」
「おおっと! ここで、1年生のスーパールーキー豊崎三太(とよさき さんた)くんが、容赦の無いツッコミ!!」
「スーパールーキー? もう3学期なんですけど」
「スーパールーキーって自覚を持てないのなら、パーソナリティやる権利を剥奪(はくだつ)しちゃうよ!?」
「くるみ先輩、早いとこタイトルコールと自己紹介してください」
「冷徹!! トヨサキくん冷徹」
「……テンションが極まり過ぎだな」
「なんか言った!?」
「いいえ」
× × ×
「あらためましてこんにちはー。わたくし本田くるみとトヨサキ三太くんがお送りする『ランチタイムメガミックス』であります。オープニングナンバーのEvery Little Thingの曲、良(い)い曲でしたよね!?」
「生徒は全員産まれてない頃の楽曲でしたけどね。1990年代」
「トヨサキくん余計な発言多いよ。『部長特製特大シール』をお口に貼られたいの」
「いや、幾らくるみ先輩が部長の権力を握ってるからって、特大シールを口に貼るだなんて……」
「冗談に決まってるでしょ。特大シールは喩(たと)えだよ、喩え。あと『権力』とかいうコトバ使うのはやめて」
「分かりましたよ。……ところで、なんでさっきの曲流したんですか?」
「わたしのお父さんが、『あの頃のEvery Little Thingは飛ぶ鳥を落とす勢いだった』って言ってたから」
「『あの頃』ってつまり、1990年代」
「わざわざ『1990年代』って言わなくても良いじゃん。『90年代』って短縮しなよ」
「あの。おれ、思ったんですけど」
「何を?」
「さっきの曲を聴いていて――『初期のEvery Little Thing、意外に『ロック』だったんだなー』、って」
「げげ、トヨサキくんらしくない感受性」
「感受性?」
「感性って言い換えても良いけど。キミの感性を見くびってたみたいだね」
「おれって、見くびられてたんですか……」
「ハイ、お便りコーナー!!!」
「と、唐突にお便りコーナーに移行しないでくださいっ」
「まず、ラジオネーム『若宮大路(わかみやおおじ)』さんから」
「わかみやおおじ? いったい何ですか、それ」
「そんなことも分かんないの!?」
「ぬな」
「もー怒った。お便りの全文、トヨサキくんに読ませる」
「先輩は、最初からそのつもりだったんでは?」
「う・る・さ・い」
「しょうがないなぁ。
……読みますよ。
『始業式の後で、体育倉庫の前で告白されて、つきあうコトになりました。明後日の日曜日に初デートなんですけど、彼が喜びそうなデートスポットを教えてくれませんか? 彼は理系で、生物が得意科目なので、動物園や水族館系がGOODなのかも。『モテキャラ』の本田くるみさんだったら、良いアドバイス、くれますよね!?』
……こんな文面でした。
これは、くるみ先輩に『丸投げ』で良いですよね……」
「まったくもうっ。『丸投げ』だなんて」
「だって、このお便り書いた女子(ヒト)は、くるみ先輩が『経験豊富』だと認識してるはずなんですよ? 『モテキャラ』だってお便りの中で言ってるんだし!」
「――わたし、下駄箱にラブレターを入れられたの、入学してから3回だけだよ?」
「先輩っ!! 感覚、感覚!!」
「はぃ??」
「普通の生徒は、卒業まで1回も、ラブレターなんて下駄箱に入れられないですから!!」
「あーっ」
「現在進行形で、『モテ期』ですよね……」
「え、どーしてトヨサキくんが、淋(さみ)しげなの」
「さみしくありません」