……あれ?
どうしてわたし、こんなところに居るんだろう。
母校にあった会議室みたいな部屋。
わたしは座っていて、男の子がひとり、ホワイトボードのそばに立っていて。
男の子は……よく見たら、
利比古くんだった。
だけど。
利比古くん……とっても、不機嫌そうな顔。
不満を抱きしめていそうな表情……。
しかもその不満が、わたしに向かっての不満であるような……そんな気がして、悪寒が走る。
彼は口を開いた、のだが、
「…もっとちゃんとしてくださいよ。川又さん」
という冷たいことばが……わたしに突き刺さってきた。
悪寒、倍増し。
「失望しました」
残酷なひとこと……!
彼の顔を見ることができず、ホワイトボードに眼を逸らす。
だけども、ホワイトボードには……負(ふ)に満ちたことばが、落書きのように書き殴られていて。
…胸を締め付けられるような感覚があった。
そして……『場面』は移り変わり、我が家の喫茶店みたいな空間が眼に入ってくる。
木造りのテーブル、木造りの椅子。
どう考えたって我が家のカフェだ。
そしてその席には、利比古くんが。
利比古くん……さっきと変わりなく、不機嫌。
不満ありあり、みたいな表情で。
ひとことで言えば、殺伐。
殺伐な利比古くん。
がちゃん!! と叩きつけられるように置かれるコーヒーカップ。
どうして!?
どうして利比古くん、そんな、乱暴なマネを……!?
「ど…どうしたの、コーヒーに、毛虫でも入ってたとか…」
「違いますよ」
「ち、違うのなら…」
「川又さん!! このコーヒー、苦すぎて、美味しくないです!!」
『としひこくん……としひこくん……どうしてそんなヒドいことを……わたしにむかっていってくるの……』
――うわ言(ごと)を、言いながら。
わたしは。
眼を、覚ました。
つまり。
つまりは。
……悪夢だった……。
…こんな悪夢見るなんて、もちろん、初めて。
ふ…不吉すぎるよ。
現実世界では、わたし、あんなに利比古くんとうまく行ってるのに……!
……思い当たるフシが無いわけではなかった。
板東なぎさちゃんに、この前スタバで言われた、警告めいたことば。
その、警告めいたことばを、思い出そうとしたら……、
からだが、冷え冷えとしてきて。
寒気(さむけ)を懸命に拭うように、毛布でからだを包んだ……。