
(写真)湯村温泉。
2026年(令和8年)2月、兵庫県美方郡新温泉町の湯村温泉を訪れました。「湯村温泉の映画館」に続きます。
1. 湯村温泉を訪れる
1.1 荒湯
湯村温泉は平安時代初期の嘉祥元年(848年)に円仁(慈覚大師)が発見したとされる温泉であり、江戸時代中期頃には温泉地に集落が形成されたようです。1981年(昭和56年)にNHKで放送された吉永小百合主演のドラマ『夢千代日記』のロケ地は湯村温泉であり、これを機に観光客が増加して温泉街として発展しました。
温泉街の中心には荒湯があり、98度の熱湯が毎分470リットルも湧出しています。98度という源泉温度は日本屈指の高さであり、観光客向けの足湯は熱すぎて足を入れられませんでした。荒湯の熱を利用した野菜や卵などの「湯がき」が行われているほか、高温の源泉を洗濯物の乾燥などにも用いられているようです。

(写真)荒湯。

(写真)荒湯周辺。
1.2 夢千代館
ドラマ『夢千代日記』を紹介する施設として夢千代館があります。2004年(平成16年)にみなと銀行湯村支店の建物を改修して開業した資料館であり、1階には『夢千代日記』に関する展示のほかに、昭和30-40年代の湯村温泉をモチーフとした実物大スケールの店舗などがあります。2階には湯村温泉の古写真が展示されており、平和に関する資料室もありました。

(写真)夢千代館。

(写真)夢千代館。
「歓迎 湯の里温泉」というアーチがありますが、湯の里温泉というのは『夢千代日記』で舞台となった温泉街の名前です。1981年(昭和56年)のドラマ放送時のセットをそのまま活用したわけではなく、2004年(平成16年)の夢千代館開館時に制作したものと思われますが、往時の湯村温泉のにぎわいが感じられる良い展示です。
「煙草屋旅館」はドラマ中で登場する旅館です。歓迎看板には「早坂様」「深町様」「東映株式会社」とあり、それぞれ『夢千代日記』の原作・脚本の早坂暁、演出の深町幸男、製作の東映京都撮影所を意味していると思われます。こちらもドラマ放送時のセットをそのまま活用したわけではなく、夢千代館開館時に制作したものと思われますが、遊び心が感じられます。

(写真)夢千代館。

(写真)夢千代館。
1.3 朝野屋の琺瑯看板
朝野屋(朝𡌛屋)は68室ある大規模な旅館であり、荒湯からすぐの場所に地上8階建の建物があるため目につきます。本町通り沿いの朝野屋通用門を入った場所には多数の琺瑯看板が並べられており、夢千代館の展示と合わせて昭和30-40年代の湯村温泉のにぎわいを想起させるスポットとなっています。

(写真)朝野屋の琺瑯看板。

(写真)朝野屋の琺瑯看板。

(写真)旭化成の「旭味」など。

(写真)金盃酒造の「金盃」、西山酒造場の「小鼓」、ダルマ焼酎など。



(写真)大日本除虫菊の「キンチョール」。カゴメのトマトジュース。白神酒造の「玉司」。


(写真)松下電器産業の「ナショナル」。

(写真)「YKKファスナー」。