
(写真)金壽堂。
2025年(令和7年)12月、滋賀県東近江市長町(おさちょう)を訪れました。
この集落は中世から続く長村鋳物師(おさむらいもじ)の里であり、近現代には黄地佐平が当主を務める株式会社金壽堂(きんじゅどう)がありました。「長村鋳物師の里を訪れる(2)」「金壽堂を訪れる」に続きます。
1. 東近江市長町を訪れる
1.1 金壽堂本社・第一工場
近江国愛知郡長村は中世から続く鋳物師集団「長村鋳物師」の本拠地であり、1921年(大正10年)には初代黄地佐平が独立して金壽堂を創業しました。戦後の梵鐘再鋳ピーク時には日本屈指の梵鐘メーカーとなり、愛知県にも「黄地佐平」または「金壽堂」の銘が刻まれた梵鐘が多数あります。
近年まで長らく梵鐘鋳造を続けていましたが、2017年(平成29年)には中国の仏師に買収され、2021年(令和3年)には操業を停止しています。その後は工場を地域活性化に利用するイベントも開催されているようです。

(写真)金壽堂。

(写真)金壽堂にある青銅製の門扉。

(写真)金壽堂。
1.2 金壽堂の代替梵鐘
金壽堂本社・第一工場の150m南には第二工場がありますが、滋賀県道221号沿いの敷地内にはコンクリート製の代替梵鐘が置かれています。「龍徳山 浄満寺」という文字が見え、和歌山県有田市の同名の寺院があります。1942年(昭和17年)頃に旧梵鐘が供出された後、1943年(昭和18年)に製造された物のようです。


(写真)金壽堂第二工場にあるコンクリート製代替梵鐘。
1.3 願念寺
長町には真宗大谷派の願念寺があります。願念寺の境内はそれほど大きくなく、本堂と鐘楼が目立つ程度ですが、(青銅製の)梵鐘、青銅製の燈籠、青銅製の天水桶、銅像「蓮如上人御像」はいずれも金壽堂が1995年から1997年にかけて鋳造したものであり、この頃に現本堂の落慶式が行われたようです。

(写真)願念寺。


(写真)願念寺鐘楼と梵鐘。

(写真)願念寺梵鐘。


(写真)願念寺にある青銅製燈籠。1997年に金壽堂が鋳造。

(写真)願念寺にある青銅製天水桶。

(写真)願念寺にある青銅製天水桶。1995年に金壽堂が鋳造。


(写真)願念寺にある「蓮如上人御像」。1997年に金壽堂が鋳造。
この日は東近江市五個荘町と湖東町の計15の寺院を訪れましたが、愛知川の左岸(西澤吉太郎)と右岸(黄地佐平)でおおむね勢力圏が分かれていました。

(写真)各寺院の梵鐘鋳造者。