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あいたて博で松千代館を訪れる

(写真)松千代館。2021年。

2025年(令和7年)11月16日(日)、文化財建造物の特別公開イベント「あいたて博」で愛知県瀬戸市松千代館を訪れました。

 

1. 松千代館を訪れる

瀬戸市中心部を流れる瀬戸川を挟んで、せと銀座通り商店街とせと末広町商店街という2本の全蓋式アーケード商店街があります。瀬戸焼の窯屋が建ち並ぶ瀬戸市街地東部と名古屋を結ぶ場所にあるのが末広町であり、明治末期から大正期にかけて商店街が形成されました。1905年(明治38年)に瀬戸電気鉄道瀬戸駅(現・名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅)が開業すると、瀬戸駅や深川神社に近い場所にもせと銀座通り商店街が形成されました。なお、2020年(令和2年)にはせと末広町商店街 - Wikipediaを作成しています。

大正時代の末広町には演芸場の大正館と活動写真館の末広館があったようです。松千代館が開業したのは1915年(大正4年)のことであり、陶磁器の運搬に携わる商人らが利用したとのことです。

(左)松千代館。(右)建物解説を聞く参加者。

 

展示スペースとなっている1階西側には2階に上がる階段があり、2階には6畳から12畳程度の部屋が6室あります。20年以上も空き家になっていたとのことですが、2021年(令和3年)には所有者の鈴木芳枝さんが主導し、愛知工業大学工学部建築学科の益尾孝祐准教授なども関与してシェアハウスが開業しました。

2階には常に建築学科の学生が何人か住んでいるのとこと。愛知工業大学豊田市八草町にある大学であり、松千代館からは約5kmの距離がありますが、学生は車などで移動しているとのことでした。なお、改修の際には老朽化していたガス管を撤去し、台所も風呂場の設備は電気式に更新したとのことです。

今秋に開催中の国際芸術祭「あいち2025」の会場にもなっており、1階には漫画家のpanpanyaの原画を目当てにした参加者が多数いました。

参考:益尾孝祐、鈴木芳枝「尾張瀬戸における空き旅館「松千代館」の再生と学生が参加したエリアリノベーション」『アーバン・アドバンス』名古屋都市センター、2024年3月

(写真)松千代館の部屋。

(写真)松千代館の部屋。

 

せと末広町商店街の西側入口には老朽化したネオンサインのある廃墟があります。1階にはパチンコ店、2階には映画館の瀬戸中央劇場・ロマン中央がありました。1993年(平成5年)に瀬戸中央劇場・ロマン中央は閉館してから30年以上に渡って、瀬戸市には映画館が存在しません。

(写真)松千代館があるせと末広町商店街の入口。瀬戸中央劇場・ロマン中央の建物。

(写真)瀬戸中央劇場・ロマン中央の看板。

 

2. 瀬戸市尾張旭市を訪れる

旧山繁商店(国登録)

瀬戸市街地の登録有形文化財としては瀬戸永泉教会礼拝堂や旧山繁商店などもあります。旧山繁商店は陶磁器の卸問屋であり、主屋こそ残っていないものの、離れ、旧事務所、各倉庫などの建物が残っている点で価値が高いと思われます。

(写真)旧山繁商店。離れと旧事務所。

(写真)旧山繁商店。塀。

 

法雲寺陶製代替梵鐘(市指定)

深川神社の西側には真宗大谷派の法雲寺があります。太平洋戦争中の1942年(昭和17年)には金属供出で梵鐘が供出され、陶製の代替梵鐘が製造されました。戦後の1955年(昭和30年)には梵鐘が再鋳されましたが、境内には代替梵鐘が安置されており、1997年(平成9年)には瀬戸市指定文化財に指定されています。

(写真)法雲寺陶製代替梵鐘。

(写真)参考:貞照院陶製代替梵鐘。

 

説明看板には「(陶製の代替梵鐘は)おそらく全国的にも皆無と言える」と書かれていますが、戦争遺跡研究会の調査によって、碧南市の貞照院陶製代替梵鐘、西尾市の正念寺陶製代替梵鐘(※岡崎市真宗大谷派三河別院宝物庫に寄託)も確認されています。

屋外に置かれているからか、陶器らしい色味がないのが残念です。一方で、貞照院陶製代替梵鐘よりも梵鐘らしい形状であるように見えます。

(写真)法雲寺陶製梵鐘の説明看板。

(写真)法雲寺陶製梵鐘の説明看板。

 

(写真)窯垣。

(写真)窯垣。

 

どうだん亭(国登録)

尾張旭市には登録有形文化財に登録された和風建築のどうだん亭があります。2024年度までは春と秋に特別公開を行っていましたが、2025年度からは貸館のみとのことです。名称の由来にもなっているドウダンツツジの紅葉が見頃でした。

(写真)どうだん亭のドウダンツツジ

(写真)どうだん亭。




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