
(写真)「歓喜の鐘」。
2025年(令和7年)9月、愛知県名古屋市北区にある久国寺を訪れました。岡本太郎作の梵鐘「歓喜の鐘」があります。
1. 久国寺を訪れる
1.1 久国寺の境内
名古屋市北区大杉にある久国寺は曹洞宗の寺院です。慶長年間(1596年 - 1615年)に創建され、名古屋城から見ると鬼門の方角(北東)にあります。鉄筋コンクリート造の本堂は1985年(昭和60年)に竣工したものです。

(写真)山門。


(左)本堂。(右)名称不明の堂。

(写真)鐘楼。
1.2 岡本太郎作「歓喜の鐘」
1965年(昭和40年)には岡本太郎作の梵鐘「歓喜の鐘」(「歓喜」)が完成しました。『久国寺誌』には岡本太郎が行った講演が収録されていますが、久国寺住職が突然岡本の元を訪ねて、どんな形でもよいので鐘を造ってくれと伝えたことで梵鐘を製作する事になったようです。
なお、梵鐘のデザインは岡本ですが、実際の鋳造は三重県桑名市の中川正知(中川鋳造所)が担っています。一般的な梵鐘では線画のような精緻な絵柄を陽鋳するのが特徴。尾張地方には中川鋳造所が鋳造した梵鐘が一定数あり、私が確認した梵鐘についてはCategory:Nakagawa Casting (Kuwana) - Wikimedia Commonsにアップロードしています。
中川さんがこの梵鐘の雛形を一目見て、「これはだめです。鳴らないでしょう」といわれた。そう言われて引っ込んだんじゃ私は意味がないと思ったのです。で鳴らなければ勝手にしろ、鳴らなくてもいいから作ってくれ、と中川さんに敢えて頼んだわけです。(中略)
「雛形が出来上りました。けれど、どうも妙な音がする。今まで聞いたことのない声です」というのです。私にとっては聞いたことのない音とは大変うれしいのです。見たこともない形で、聞いたことがない音がすれば、私にとっては成功なのです。
「百尺竿頭一歩をふみだした作品」『久国寺誌』(久国寺、1985年)

(写真)「歓喜の鐘」。

(写真)「歓喜の鐘」。

(写真)「歓喜の鐘」。