
2025年(令和7年)4月、福島県石川郡石川町を訪れました。「福島県石川町の映画館」に続きます。
1. 石川町の近代建築
石川町には目につく近代建築がいくつかありました。今出川に架かる今出橋を北端、学校法人石川高等学校入口を南端とする約500mの直線がクリスタルロードと呼ばれるメインストリートであり、石川郵便局や東邦銀行石川支店、見学施設の鈴木重謙屋敷跡、多くの商店が集まっています。
鈴木重謙屋敷跡の40m南、石川荒町バス停前には医院建築に見える廣田邸がありますが、昭和初期の建物でしょうか。なお、1925年(大正14年)に松井天山によって描かれた鳥瞰図「福島県石川町真景」にはこの場所の近くに「吉田医院」が描かれています。

(写真)廣田邸。

(地図)松井天山の鳥瞰図「福島県石川町真景」。
磐城石川駅に近い地区として当町・古町があり、古町には旧矢吹医院があります。かなり2階の軒が高い。


(写真)旧矢吹医院。
当町のおおもり洋品店(レディースファッションオオモリ)はパラペット部分の「森」字が目立つ。外壁は鮮やかな赤色ですが、2014年のGoogleストリートビューを見ると外壁は白色で、「森」字は塗られていません。

(写真)おおもり洋品店。
石都々古和気神社の一の鳥居の向かいにはアールを描いた角部分が印象的な坂路酒店があります。建物の南東端部はその他の部分とは異なる作り。

(写真)坂路酒店。
文教福祉複合施設モトガッコの真北にある本宮には、大谷石と思われる凝灰岩の素材感が強く出た町屋があります。蔵造町屋とも違う、なんとも個性的な建物。


(写真)本宮の町家。
2. 石川町の石造物
2.1 小松寅吉「近津神社の石造神馬」(1897年)
石川町は小松寅吉 - Wikipediaと小林和平 - Wikipediaという2人の石工を輩出しており、鈴木重謙屋敷跡では以下の石造物を紹介してもらいました。2024年(令和6年)4月に開館した石川町歴史民俗資料館イシニクルでは、同年11月から2025年(令和7年)1月まで企画展「〝名工〟寅吉・和平は斯く生まれた!」を開催しています。
裏通り沿いの近津神社にあるのが、1897年(明治30年)に小松寅吉が製作した「近津神社の石造神馬」(石川町指定文化財)です。木造の仏像には一木造という概念がありますが、この神馬も1個の巨大な凝灰岩の塊から彫り出しているとのことで驚きました。



(写真)小松寅吉「近津神社の石像神馬」。
2.2 小林和平「石都都古和気神社の狛犬」(1930年)
石都都古和気神社の石段下にあるのが、師の小松寅吉が生み出した飛翔獅子(飛翔狛犬)を受け継いで、1930年(昭和5年)に小林和平が製作した「石都都古和気神社の狛犬」です。胴体がそっけない印象も受けますが、左側の狛犬は顔の左右に子を従えていてます。

(写真)飛翔獅子。右側の狛犬。

(写真)飛翔獅子と石段の参道。

(写真)飛翔獅子。子を従えている左側の狛犬。
2.3 「鉄道水郡線竣成記功碑」(1935年)
JR水郡線磐城石川駅近くには1935年(昭和10年)4月29日建立の石碑「鉄道水郡線竣成記功碑」(最上部の文字は「水郡鉄道」)がありました。題額は立憲政友会第7代総裁の鈴木喜三郎。撰文は貴族院議員の宮田光雄。
水郡線が全通して磐城石川駅が開業したのは1934年(昭和9年)12月4日のことです。隣町の浅川町にも1937年(昭和12年)建立の「鉄道水郡線開通並町制実施記念碑」があり、鉄道の開通が地域に与えた影響を感じさせられます。

(写真)石碑「鉄道水郡線竣成記功碑」。