
(写真)神戸映画資料館の入口。
2024年(令和6年)12月、兵庫県神戸市長田区にある神戸映画資料館を訪れました。
1. 神戸映画資料館を訪れる
1.1 組織の歴史
神戸映画資料館は映画フィルムなどを収集して保存・公開している組織であり、民間の機関としては日本最大の2万本以上の映画フィルムを収蔵しています。このフィルム・アーカイヴとしての機能に加えて、38席のシアターで土日ごとに映画上映を行っており、またロビーは通年でカフェとなっています。
1974年(昭和49年)に安井喜雄さんを中心として大阪市にプラネット映画資料図書館が設立され、1995年(平成7年)には安井さんと富岡邦彦さんによってシアター「プラネットプラスワン」が開館しました。神戸市に神戸映画資料館が開館したのは2007年(平成19年)のことです。プラネットプラスワンには何度か足を運んだことがありますが、意志さえあれば映画の歴史を体系的に学べる革新的な映画館です。
1.2 資料館の館内

(写真)館内。


(写真)館内。

(写真)館内。
2. 展示
2.1 神戸の映画館文化

(写真)神戸市にあった日栄劇場、新日栄、春日東映の上映作品チラシ。

(写真)大阪市にあったシギノ大劇の特別企画のポスター。

(写真)「昭和10~13年頃の神戸・湊川新開地とその周辺復元図 第6回改訂版」三船清、1989年。
2.2 関西の自主上映活動

(写真)関西の自主上映活動に関する展示。シネマ・ルネッサンスとOMSシネデリック。

(写真)関西の自主上映活動に関する展示。京都市のスペース・ベンゲット。
2.3 映画雑誌など

(写真)『キネマ旬報』などの雑誌。
3. 映写機類

(写真)映写機類の展示。
3.1 ニッセー社製35ミリ映写機
1948年(昭和23年)に広島市のニッセー社(ニッセイ社)が製造したK8モデルの35ミリ映写機。大阪府和泉市の和泉セントラル劇場(府中セントラル劇場)で使用された。和泉市立市民会館から神戸映画資料館に寄贈された。

(写真)ニッセー社製35ミリ映写機。

(写真)ニッセー社製35ミリ映写機。
3.2 ローラー社製35ミリ映写機
昭和30年代に大阪市のローラー社(ローラーコムパニー)が製造した後期モデルの35ミリ映写機。池田市教育委員会から神戸映画資料館に寄贈された。

(写真)ローラー社製35ミリ映写機。

(写真)ローラー社製35ミリ映写機。
3.3 アーバン社製35ミリ手回し映写機
イギリスのアーバン社製の35ミリ無声映画用手回し映写機。光源はアセチレンガスを燃やすライムライトであり、アークカーボン以前のランプハウス。

(写真)アーバン社製35ミリ手回し映写機。
3.4 ナトコ映画16ミリ映写機
戦後の1948年(昭和23年)、GHQが都道府県に無償貸与したナトコ映画の16ミリ映写機。映画館のない自治体や学校などで移動上映が行われた。

(写真)ナトコ映画16ミリ映写機。
3.5 ユニバーサル社製35ミリ撮影機
アメリカのユニバーサル社(Universal Camera Corp)が製造した35ミリ撮影機。この撮影機は1923年(大正12年)の関東大震災や1927年(昭和2年)の北丹後地震の記録にも用いられた。

(写真)ユニバーサル社製35ミリ撮影機。
4. 映画館名簿
安井喜雄館長と話していたところ、以下の映画館名簿を見せてくださいました。
4.1 『全国映画館名簿 昭和28年度』全国映画館新聞社、1953年
私が映画館調査に用いているのは時事通信社→時事映画通信社→キネマ旬報社が発行する映画館名簿(『全国映画館総覧』→『映画便覧』→『映画館名簿』)ですが、昭和20~30年代の映画黄金期には全国映画館新聞社が発行する映画館名簿(『全国映画館名簿』)もありました。
個人的には1960年(昭和35年)版の『映画便覧』と1966年(昭和41年)版の『全国映画館名簿』を所蔵しています。『全国映画館総覧』/『映画便覧』/『映画館名簿』は愛知県図書館などで頻繁に閲覧しますが、『全国映画館名簿』は全国の公共図書館に全く所蔵されておらず、見かけることも珍しい。

(写真)『全国映画館名簿 昭和28年度』全国映画館新聞社、1953年。
『全国映画館総覧』/『映画便覧』/『映画館名簿』とは異なる項目として、『全国映画館名簿』には各映画館の経営者と支配人に加えて技師長(映写技師長)という欄があります。緩燃性フィルムが普及するのは1950年代以降のことであり、それ以前はフィルムの取り扱いなどに起因する映画館の火災が頻繁に起こっていたため、映写の責任者は重要な立場だったのでしょう。1962年(昭和37年)まで映写技師は国家資格でした。

(写真)『全国映画館名簿 昭和28年度』全国映画館新聞社、1953年。
各映画館のフィルムの着駅名が示されているのも『全国映画館総覧』/『映画便覧』/『映画館名簿』とは異なる点。着駅名がわかると都合がいいのはどういった業者なのでしょうか。

(写真)『全国映画館名簿 昭和28年度』全国映画館新聞社、1953年。
4.2 『全国映画館総覧 昭和47年版』日本映画製作者連盟、197?年
1950年代初頭から1970年(昭和45年)まで、『全国映画館総覧』/『映画便覧』は時事通信社によって『映画年鑑』の別冊として発行されました。1973年(昭和48年)以降の『映画館名簿』は、時事映画通信社によってやはり『映画年鑑』の別冊として発行されています。
この間の2年間(1971年~1972年)は発行が途切れ、後になってからこの2年間分の『全国映画館総覧』が発行されています。この2年間分の『全国映画館総覧』は国立国会図書館を含めたあらゆる公共図書館に所蔵がなく、国立映画アーカイブ図書室でしか閲覧したことがありませんでした。神戸映画資料館には1972年版がありました。

(写真)館内。