レビュー

流行りのイヤカフ型イヤフォン5種聴き比べ。25年冬のおすすめは?

イヤカフ型イヤフォン5機種を聴き比べてみた

近年、急速に市場が広がっている“ながら聴きイヤフォン”。なかでも耳たぶを挟むように装着するイヤカフ型は、着けているのを忘れてしまいそうになる軽やかな装着感や使い勝手の良さもあり、注目を集めている。筆者もその使い勝手に魅了され、ふだん使いしているひとりだ。

そんなイヤカフ型は、JBLなど有名オーディオブランドだけでなく、アンカーやSOUNDPEATSなども参入し、価格帯も1万円以下で買えるものから3万円以上まで幅広い。今回は、そんなイヤカフ型イヤフォンから注目機種を5つピックアップして、音質の違いを体験してみた。製品選びの参考になれば幸いだ。

今回聴き比べたのは以下の5製品。価格帯は6,000円代から3万円台まで、定番機種から注目の新製品まで幅広くラインナップした。

  • SOUNDPEATS「UUイヤーカフ」 6,180円(直販価格)
  • Anker「Soundcore AeroClip」 17,990円(同上)
  • JBL「Soundgear Clips」 18,700円(同上)
  • Huawei「FreeClip」 27,800円(同上)
  • Bose「Ultra Open Earbuds」 31,680円(同上)

SOUNDPEATS「UUイヤーカフ」

「UUイヤーカフ」

2025年2月に登場したモデル。SOUNDPEATSではLDACやハイレゾに対応したイヤカフ型の上位モデル「Clip1」も用意されているが、今回は、より安価なエントリー機であるUUイヤーカフをチョイスした。

Clip1については、過去に単独でレビュー記事を掲載しているので、そちらも参考にして欲しい。

UUイヤーカフは6,000円台ながら、10.8mm径のダイナミックドライバーを搭載。左右を区別せずに使える左右自動識別機能や、イヤフォン単体で最大8時間、ケース併用で最大30時間使えるロングバッテリーを備えている。

なお、UUイヤーカフの左右自動識別機能は充電ケースの格納位置と取り出し順によって、左右を割り当てる仕組み。

Bluetooth 5.4準拠で、コーデックはSBCとAACをサポートする。イヤフォン操作は物理ボタン。

イヤフォンには物理ボタンを備える

Anker「Soundcore AeroClip」

「Soundcore AeroClip」

こちらも2025年4月に発売されたモデル。アンカーも複数のイヤカフ型イヤフォンを発売しているが、AeroClipは最上位モデルとなる。

最大の特長は、イヤカフ型ながらハイレゾコーデックのLDACに対応し、ハイレゾワイヤレス認証も取得していること。対応スマホと組み合わせることでワイヤレスでもハイレゾサウンドを楽しめる。

搭載ドライバーは12mm径のダイナミック型。タッチ操作やマルチポイント接続にも対応している。バッテリー駆動時間はイヤフォン単体で最大8時間、ケース併用で最大32時間。

Bluetooth 5.4準拠で、LDACのほかSBC、AACもサポートしている。イヤフォン操作はタッチ式。

このAeroClipも以前レビュー記事を掲載しているので、こちらもチェックして欲しい。

JBL「Soundgear Clips」

「Soundgear Clips」

今回取り上げる機種のなかで、もっとも新しい2025年9月発売の最新モデル。これまでJBLではイヤーフック型やインイヤー型のイヤフォンが発売されてきたが、「最後のピース」として投入されたイヤカフ型イヤフォンとなる。

独自の「JBL OpenSoundテクノロジー」により、イヤカフ型ながら音漏れを最小限に軽減。角度をつけたJBL独自設計のアーチ形状「JBL SonicArc」を採用することで、どんな耳の形にもフィット。長時間使用でも快適に装着が可能という。

イヤフォンやケースはスケルトンデザイン

またイヤフォン本体やケースにスケルトンデザインを採用しているのも特長。片耳だけで使えるデュアルコネクト、2台のデバイスに同時接続できるマルチポイント接続にも対応する。

11mm径ダイナミックドライバーを搭載し、バッテリー駆動時間は、イヤフォン単体最大約8時間、ケース併用で最大32時間。Bluetooth 5.4準拠。イヤフォン操作はタッチ式

Huawei「FreeClip」

「FreeClip」

今回取り上げる5機種のなかで、もっとも古い2024年2月発売のモデル。形状記憶合金を使ったファーウェイ独自の「C-bridge」デザインが特長で、現在のイヤカフ型で主流となっている“ふたつの球体をワイヤー/ブリッジでつなぐ”というデザインの先駆け的存在と言える。

イヤフォンは左右対称のデザインで、左右自動識別機能に対応。こちらは耳への装着時に左右が割り当てられる仕組みだが、その精度は装着角度、耳の形、体の姿勢によって若干異なる場合があるという。

約10.8mm径のダイナミックドライバーを搭載し、バッテリー駆動時間はイヤフォン単体最大約8時間、ケース併用で最大36時間。マルチポイント接続に対応するほか、ファームウェアアップデートにより、片方のイヤフォンが脱落した際、もう片方のイヤフォンから音を鳴らして知らせる落下検出機能にも対応した。

BluetoothコーデックはSBC、AAC、ファーウェイ製スマートフォンで使えるL2HCをサポート。イヤフォン操作はタッチ式で、頭を動かして着信応答できるヘッドコントロールも利用できる。

Bose「Ultra Open Earbuds」

「Ultra Open Earbuds」

2024年3月に発売されたモデル。これまでの4モデルとは異なり、ソフトなシリコン製ヒンジで耳たぶを挟むようにして装着する。

ボーズ独自のオープンオーディオ技術により、音質を強化しているほか、独自のデジタル信号処理ソフトウェアとオンボードの「IMU」(慣性計測装置)によるBoseイマーシブオーディオも利用できる。

Bluetooth 5.3に準拠するほか、Qualcommの「Snapdragon Sound」技術にも対応している。バッテリー駆動時間はイヤフォン単体最大約7時間。イヤフォン操作は物理ボタン。

このUltra Open Earbudsと先に紹介したFreeClipは、小寺信良氏による連載「週刊 Electric Zooma!」でも取り上げているので、気になる方はぜひチェックを。

音を聴いてみる

試聴環境はiPhone 16 ProとApple Musicで統一

一部、高音質コーデックに対応したモデルも存在するが、今回の試聴ではiPhone 16 ProとApple Musicで環境を統一。また機種によっては専用アプリからイコライザーなどが設定できるものもあるが、それらは使わずデフォルト設定のまま使っている。試聴楽曲は「米津玄師/IRIS OUT」や「サカナクション/怪獣」、「宇多田ヒカル/Beautiful World(2021 Remmasterd)」、「ダイアナ・クラール/月とてもなく(No Moon at All)」など。

まずはUUイヤーカフから。男性/女性ボーカル問わず、ボーカルがはっきりと描写されるので、歌モノをBGM的に楽しむには十分。一方で「月とてもなく」の冒頭のアコースティックパートなどでは、弦の震える様子など細かい音の表現力はあまり高くない。

イヤカフ型という構造上、仕方ない部分もあるが低音の迫力や沈み込み感はほとんど感じられない。音楽をじっくり聴き込むというよりも、BGM的に、まさしく“ながら聴き”するにはぴったりなバランス感だった。

なによりUUイヤーカフは、今回取り上げた5機種のなかでもっともリーズナブルで、他機種の半額以下で買えるコストパフォーマンスの高さは最大の魅力。この価格なら初めてのイヤカフとして、仕事や勉強のお供としても手が出しやすいだろう。

それでいてケースからの取り出し/収納時に左右を気にせずに済む左右自動識別機能を備えており、使い勝手の良さも光る。

また操作面では数少ない物理ボタン式なのもポイント。タッチ操作は誤タップや、正しく操作できたか不安になる場面もあるが、物理ボタンではそういった心配がないのは嬉しいポイントだろう。

続いてAeroClip。「IRIS OUT」ではイントロからボンッボンッと小気味よい低音が味わえる。開放型であるイヤカフイヤフォンとしては十分な量感だ。ボーカルも解像感が高く、迫力ある低音に埋もれてしまうことはないが、やや線が細い印象で、サ行などに時おりトゲトゲしさを感じる部分もあった。

今回はiPhoneのボリュームを約メモリ半分に固定して試聴したのだが、同じボリュームでもUUイヤーカフより、AeroClipのほうが音圧が高め。試聴は静かな屋内で行なったが、クルマ通りの激しい道路沿いでも十分音楽を楽しめるだろう。

タッチ操作の感度も良く、ダブルタップで簡単に再生/停止が可能。操作すると「ポポッ」と効果音が流れるので誤操作も少なそうな印象だった。ちなみにアプリからは操作をカスタマイズすることもできる。

次はSoundgear Clips。こちらもAeroClipと同じく低音にしっかりと迫力があるが、同じ「IRIS OUT」で聴き比べると、ボーカルやほかの楽器を邪魔しない、よりタイトな低音に仕上げられている。

ボーカルの解像感も、さらに1枚ベールが剥がれたようなクリアさ。「Beautiful World(2021 Remmasterd)」では開放的な音場に、宇多田の歌声が気持ちよく広がっていく。

こちらのタッチ操作も感度は良好で、タップ時に「ポンッ」という効果音が流れる。AeroClipと同様に、アプリから操作のカスタマイズができるが、細かな設定はできず、再生コントロールか音量操作のどちらかのプリセットを割り当てる形。

続いてFreeClip。低音の量感はUUイヤーカフよりは感じられるものの、AeroClipよりは大人しめといった印象。また「IRIS OUT」のイントロでは、シンバルの音が印象的で、全体的にやや高域寄りのチューニングに感じられる。

そのためか、男性ボーカルよりも女性ボーカルのほうに相性が良いイメージで、「Beautiful World(2021 Remmasterd)」ではボーカルに透明感が感じられる。「月とてもなく」でもリップノイズが艷やかだ。

タッチ操作はダブルタップとトリプルタップに対応。操作に合わせて「ポポン」と効果音が流れるので、誤操作もしにくい。アプリからはダブルタップ/トリプルタップそれぞれに任意の操作を割り当てられるほか、試験的な機能として音量調整にも対応。装着時にイヤフォンの前側(ボール部)を長押しすることで音量UP、後ろ側(ビーン部)を長押しすることで音量DOWNができる。

また先にも紹介したが、このFreeClipは左右自動識別機能に対応しており、装着時に自動で左右が認識されるため、いちいち左右を気にせずに使用できる。

最後にUltra Open Earbuds。「IRIS OUT」を聴いてみると、イントロからイヤカフ型とは思えない肉厚で重厚な低音がズンッと響いてくる。ボーカルを邪魔しないタイトさもあるので、ついつい身体を動かして音にノリたくなるほど。

ボーカルも解像感がしっかりとあり、パワフルな低音に負けないクリアさ。ただ女性ボーカルにはほんの少しピーキーさ、耳に刺さるほどではないが金属感のようなものを感じるが、男性ボーカルとの相性は抜群。

イヤカフ型でも、上と下の音域が伸びるボーズらしい“ドンシャリサウンド”は健在と言えるが。開放的という構造の影響か、低音に適度な抜け感があるので結果的にバランスの整ったサウンドに感じられた。

操作は物理ボタン式で、装着時に耳裏に来る円柱部分の上部にボタンを備えている。クリック感があるのでしっかりと操作できる。

唯一気になったのはイヤフォンの装着感。Ultra Open Earbuds以外の4機種は耳を挟み込んでいる感覚は強くなく、どちらかと言うと耳にぶら下がっているような装着感だが、Ultra Open Earbudsは耳たぶをガッチリと挟み込んでくる感覚がある。挟み込む部分はシリコンで覆われているので痛みなどはないが、慣れるまでは独特の圧迫感があった。

ただ、強固に固定される分、激しい運動でも外れない安心感はUltra Open Earbudsがもっとも高かった。

音質はボーズ・JBL。トータルバランスはファーウェイ

音質ではボーズ「Ultra Open Earbuds」が他を圧倒。装着感は好みが分かれるかもしれない

今回聴き比べた5機種のなかで、サウンドだけで言えばボーズのUltra Open Earbudsは圧倒的。31,680円という価格は、完全ワイヤレスイヤフォンのなかでも高価な部類に入るが、その金額に見合うだけのパフォーマンスは備えている。一方で、その価格と特に近年主流のイヤカフ型とは異なる装着感は好みが分かれるポイントかもしれない。

また満を持してイヤカフ型を投入してきたJBLのSoundgear Clipsもサウンド面ではバランスが整っていた。スケルトンデザインも他にない特徴で所有欲をくすぐられるポイントだった。

ただサウンドだけでなく、使い勝手や価格などを総合的に考えると、個人的にはファーウェイのFreeClipがもっともバランスが良いモデルだと感じる。ボーズ・JBLと比べると低音の描写力には少し物足りなさを感じるものの、ボーカルの表現などには不満はない。

また左右を気にせず使える自動識別機能や操作の細かなカスタマイズができる点、さらに片側のイヤフォンが耳から落下した際に、もう片方のイヤフォンから音を鳴らして知らせる落下検出機能など、“かゆいところに手が届く”仕様となっている点ははじめてのイヤカフ型にも最適。これからの季節、自分や家族・友人へのプレゼントにも最適な1台と言えるかもしれない。

酒井隆文