レビュー

ウッドコーンのサウンドバーってこんなに聴きやすいんだ。ビクター「TH-WD05」レビュー

ビクター「TH-WD05」

ビクターから、ブランドを象徴するウッドコーンスピーカー採用の一体型サウンドバー「TH-WD05」(実売60,000円前後)が登場した。

ウッドコーン搭載モデルはコンポであれイヤフォンであれ、いずれも優れたボーカルの描写力や自然な響きを持つことで人気だが、サウンドバーにおいてはそれがどのように活かされているのか?

今回は自宅環境でじっくりと確認する機会を得たので、その印象をレポートしたい。

ウッドコーンスピーカーを搭載する3.1ch一体型サウンドバー

TH-WD05のユニットは3.1ch構成で、その内訳は6cm径フルレンジのウッドコーンスピーカー×2基、6cm径センタースピーカー×1基、4.9×15.7cmの楕円形サブウーファー×1基となっている。出力はスピーカーが各20W、サブウーファーが40Wだ。

サウンドバーとして初めてウッドコーンスピーカーを搭載している
6cm径フルレンジのウッドコーンスピーカー

ウッドコーンスピーカーはカバ材の振動板とチェリー材のセンターキャップを組み合わせたもので、センタースピーカーには減衰を抑える平面振動板を使用している。ユニットはすべて前方配置されており、離れた距離でも音が鮮明に聴き取れるよう配慮された仕様といえる。

センタースピーカーには減衰を抑える平面振動板を使用

このコンセプトは、夜間でも使いやすいよう小音量時の聴き取りやすさを向上させる「ナイトモード」や、同じく音量を抑えた状態でも声の帯域を明瞭にする「はっきり音声」機能を搭載する点からも見て取れる。

エンクロージャーは9mm厚のMDFを使用、さらに内部に独自の反射板と補強桟を最適に配置することで剛性を高めた。

この反射板には、スピーカーユニット後方から排出される音を斜め前方と上方に拡散する役割があり、これにより広い音場空間を実現するとしている。

ソースなどの状況はディスプレイに表示。明るさはオフを含む3段階で調整できる

サラウンド再生はDolby Atmosに対応。サウンドモードは「テレビ」「音楽」「映画」を選択でき、接続方式と入力フォーマットにより変わるが、「テレビ」と「映画」はVirtual Surround 3.1ch、もしくはAtmos Height Virtualizer 3.1ch、「音楽」は2.1chもしくはDown Mix 3.1chで再生される。つまり、2ch音源も3Dサウンドにアップミックスできる仕様だ。

モードはワンプッシュで切り替えられるので、どれか1つに固定するよりもコンテンツに合わせて選ぶのがいいだろう。

本機はBluetooth接続に対応しており、入力コーデックはSBCとAAC、そしてLDACをサポート。Bluetooth送信機能(コーデックはSBC)も備え、ワイヤレスヘッドフォンなどに音声を送信できる。

また、USB接続ではメモリに保存されたFLAC/WAVデータ(最大96kHz/24bit)の再生が可能と、スピーカーシステムとしての側面にも力が入っているように思う。

本機には専用アプリは用意されていないので、基本的に操作はリモコンもしくは本体搭載のタッチボタンで行なうことになる

このほか、サウンド関連の機能としては重低音を強めるHBSのオン/オフ、±5段階の低音//高音調整機能を備える。使用にあたりセットアップは不要で、操作はリモコンで完結するため扱いやすい。使い勝手がシンプルなほど、機能を活用するハードルが下がるというものだ。

本体背面に端子部を備える
付属の電源ケーブルが下向きのL字型になっているため、テレビ台との干渉しそうなのは気になるところ

外観はウッド調で、ブラウンとナチュラルの2色を展開。インテリアとしてのまとまりはいいが、テレビ周りに置くサウンドバーとしては存在感があるともいえる。

天面中央にはニッパー(ビクター犬)がそれなりのサイズでプリントされており、コンポを思わせる雰囲気もある。とはいえ、映像鑑賞中に気が散るようなことはなかった。

ブランドのアイコンであニッパーが中央で主張している

明瞭かつナチュラルな音がハッキリと耳に届く

それでは、サウンドを確認していこう。まずはNetflixなどの配信サービスで、映像鑑賞から試してみる。

映像鑑賞や音楽リスニングでサウンドをチェック

とにかく音の一つ一つが粒立ち、まるで耳元で鳴っているかのように明瞭に聴こえてくる。それも、音の輪郭をシャープにして強調している、という感覚ではなく、豊かな響きを伴うナチュラルな質感。特に平面振動板による効果か、センターに割り振られた音が鮮明だ。

中域が盛り上がったピラミッドバランスというべきか、背景音より声がこれほど前に出る調整は、サウンドバーとしては珍しい印象だ。映画だけでなく、テレビ番組やYouTubeなどのコンテンツを広く楽しめるように調整されたチューニングのように感じられる。

Netflixシリーズ「イクサガミ」の冒頭、主人公の嵯峨愁二郎が家の中で妻の志乃と話す場面。日本の作品ではこういった静かな場面で、人物のセリフが小さく聴き取りにくいことが多いが、息遣いまでもがハッキリと耳に届く。

天龍寺での大勢のどよめきや怒号は、混ざり合いながらもぐちゃぐちゃにならず、個々の声が折り重なっての音だとわかる。

サウンドモードやHBSなどの機能切り替えは、リモコンからワンプッシュで行なえる

蠱毒が始まり、参加者が一斉に切り結ぶシーンでも、セリフの聴き取りやすさは変わらない。一方で、アクションシーンとしては少し迫力が足りないように思えた。そんなときは、HBSをオンにすればいい。床につけた足の裏が振動を感じるほどのパワフルな低音が飛び出してくる。

空間表現としては、上下左右の広がり感よりも、前後の奥行き感がしっかりと出ている。これにより、音に包みこまれるような感覚とはまた違った、独特な没入感が得られた。サラウンド音源で配信されていない作品も、アップミックスの効果である程度の立体感で楽しめる。

続いてBluetooth接続して音楽を聴いてみたところ、正直サウンドバーとは思えないクオリティの音が楽しめた。「ついでに音楽鑑賞もできるようにしました」というレベルではなく、映像鑑賞向けと同じくらい力を入れて開発されているのでは、と思うほどだ。

明瞭なボーカル、トゲトゲしさのない艷やかな高音、量感ある低音、いずれも高水準で、その辺のBluetoothスピーカーでは叶いそうにない。サウンドバーならではの筐体サイズも寄与してか、音像もこじんまりとまとまらず、ステレオスピーカーに近しい再現性を実現している。

なお、音楽リスニングにおいてはバランスが狂うので、HBSや低音/高音調整機能には触れない方がいい。

ストレスのない映像鑑賞が楽しめる

サウンドバーの購入目的は、「映画館のような臨場感」を求めるケースだけではない。むしろ「テレビの音を聴き取りやすくしたい」というニーズは根強い。TH-WD05は、どちらかといえば後者に寄り添ったモデルだと感じる。

これはネガティブな意味ではない。前者に向いたモデルだと、映画鑑賞には良いが、なんでもないバラエティ番組でも妙に大迫力で聴こえてしまうこともあるからだ。日常的にテレビを観るのであれば、さまざまなコンテンツで安定して使えるバランスが重要になる。

TH-WD05の明瞭な音は、視聴時のストレスを大きく減らしてくれる。必要な音が無理なく届くことが、視聴体験をどれほど快適にするのか。本機を導入すれば、その価値がよくわかるはずだ。

小岩井 博

カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。