レビュー

イヤーカフ型、いいじゃん。SOUNDPEATS「Clip1」の低音にメガネユーザーが満足した

SOUNDPEATS「Clip1」

耳をふさがない“ながら聴きイヤフォン”は便利だが、ひとつ不満がある。それは、低音が抜けてしまうことだ。音楽を聴くにはどうしても物足りなく感じてしまう。まぁ、構造上やむを得ないとは思うが……。

そんな時に出会ったSOUNDPEATS「Clip1」(9,980円)に驚かされたのは、イヤーカフ型で諦めていた低音が、しっかりと鼓膜を震わせたからだ。

使い分けたい3つのサウンド機能

Clip1はイヤーカフデザインを採用した、オープン型の完全ワイヤレスイヤフォンだ。

チタンPDVコーディングされた12mm径デュアルマグネットダイナミックドライバーを搭載

まず音質に関係するスペックを見てみると、12mmの大口径デュアルマグネットダイナミックドライバーを搭載。さらに独自の「Dynamic EQ Pro」アルゴリズムにより、オープン型でありながらメリハリのある低音を実現したとしている。

BluetoothコーデックはAAC、SBCに加えてLDACをサポート。Dolby Audioにも対応しており、モードは「音楽」と「ムービー」の2種類が用意されている。

アプリ「Peats Audio」および「SOUNDPEATS」から、Dynamic EQ Pro、Dolby Audio、LDACのオン/オフが切り替え可能(画面は「Peats Audio」)

それらをてんこ盛りにして使ってみたいところだが、残念ながらDynamic EQ Pro、Dolby Audio、LDACは共存できない。いずれかの機能をオンにすると、それ以外の機能はオフになる。好みに応じてどれを優先するか決めることになるわけだが、個人的にはDynamic EQ Pro>LDAC>Dolby Audioという順番を選びたい。

Dynamic EQ Proは自然な効き具合で低音をブーストしてくれて、iPhoneでも利用可能と、もっとも使い勝手が良い。

LDACは対応デバイスこそ限られるものの、音楽の情報量が格段にアップし、密度感のある音が楽しめるようになる。

Dolby Audioはオンにすると音場がふわっと広がり、空間性を感じられるようになる。面白いが、これがすべての音源にマッチするかというと、そうでもない。ライブ音源や映画など、ハマるコンテンツで強力な効果を発揮する機能なので、そういった意味で先述のような順番にしている。

EQ機能は豊富なプリセットのほか、自由に調整可能なカスタマイズEQ、聴覚テストの結果に合わせて自動調整してくれるアダプティブEQを揃える

基本はDynamic EQ Proをオンにして、コンテンツに応じてLDACとDolby Audioを活用するのが良さそうだが、そのほかのEQ機能も積極的に使っていきたい。用意されるプリセットは、どれも音の変化が極端すぎず扱いやすい。ユーザーの聴覚に合わせて自動調整してくれる「アダプティブEQ」や、自分好みにガッツリいじれるカスタマイズEQも搭載。こちらはLDACと併用できるので、LDAC+低音ブーストなども可能だ。

メガネユーザーも安心のつけ心地

ながら聴きイヤフォンに多い“耳掛け型”は、メガネのツルと干渉するので、耳の上部が痛くなってしまうことがある。筆者もメガネユーザーなので、その悩みを抱える一人だ。

耳を挟むようにして装着するため、メガネやマスクと干渉しない

Clip1は耳を挟むようにして装着するイヤーカフ型なので、メガネの干渉とは無縁。片耳約5gという軽量設計で、長時間の着用でも耳が痛くなりにくいのも嬉しい。

一方で、イヤーカフ型にも「耳を挟まれている圧迫感がある」「着け外しがしにくい」という課題がある。イヤフォンが落下しないよう、挟む力を強くしないといけないが、そうすると常に耳をつままれている感覚になるし、片手で着け外しすることが難しいのだ。実はこれが理由で、筆者はメガネユーザーにもかかわらず、イヤーカフ型ではなく耳掛け型を選んできた。

だが、Clip1はそのあたりが、うまく作られていると感じる。挟む力が強すぎないので圧迫感はなく、かといって弱くもないので落ちそうな不安もないのだ。ここが良い加減なので、耳に押し付けるようにするとそのままスルリと装着できるし、外すときに引っ張っても痛みはない。

0.6mmの超薄型ニッケルチタン合⾦を採用したN-Flex Arch構造で、圧迫感のないクリップを実現

耳に当たる部分は樹脂素材かと思うが、これは好みが分かれそうに思う。このパーツにシリコンなど柔らかな素材を用いたモデルでは吸い付くようなフィット感が得られるが、逆に圧迫感にもつながりやすい。Clip1は装着すると少し硬さを感じるが、軽量さも相まって開放感がある。

左右はロゴの向きも一緒なので、一度外して置いておくと、どちらがどちらかわからなくなる

そのほか、マルチポイント接続や低遅延なゲームモードなど、一通りの便利機能を搭載している。「AutoSense 左右自動識別テクノロジー」は左右の形状が一緒なイヤーカフ型で特に有用で、装着すると自動で左右チャンネルを正しく切り替えてくれる。いちいち小さなL/Rの文字を確認せずに済むのがありがたい。

パワフルな低音でオープン型らしからぬ迫力を実現

それでは、Clip1のサウンドを確認していこう。なお、ここではDynamic EQ Proをオンにした状態で聴いている。

SOUNDPEATS Clip1のサウンドをチェックしていく

改めて、驚くべきはパワフルな低音だ。こう書くとブーミーなバランスと思われてしまうかもしれないが、決してそうではなく、「オープン型なのに低音がしっかり響いている」というニュアンスと受け止めて欲しい。

さすがにカナル型のモデルに比べれば線は細いが、「本来鳴っている低音が聴こえない」なんて“オープン型あるある”を払拭している。高価格帯のイヤーカフ型イヤフォンと比較すると、中域の情報量が控えめに感じられるものの、メリハリのついたバランスで、軽やかな曲調のポップスがより明るく楽しめる。

アイナ・ジ・エンド「革命道中 - On The Way」では、開始3秒の低音がどう表現されるかがポイントとなるが、Clip1はグッと沈む低音描写でスタートダッシュを切ってくれた。これを超えれば、あとはスピード感を持って刻まれるリズムとうねりのあるベースが、最後までノリ良く聴かせてくれる。

高域の微細な表現も良い。アイナ・ジ・エンドのハスキーなボーカルに乗る独特なノイズが、霧散することなく耳に届く。こういったディテール表現が弱いとアーティストの“らしさ”が失われてしまうものだが、Clip1にそんな心配はいらないようだ。

もちろん、オープン型ならではの音の広がり感も健在。高木正勝『Marginalia』シリーズのような穏やかなアンビエント系や、Webラジオといった音声コンテンツとも相性が良いだろう。疲れにくい装着感を存分に活かして、作業用イヤフォンとしても活躍しそうだ。

一方で、パワフルサウンドの代償として、音漏れは覚悟すべきだ。具体的には、50%程度のボリューム位置だと、“ながら聴き”できないほどの音量が出て、5mほど離れた人にも聴こえるレベルで音漏れする。20%程度なら人と会話ができて、かつ歌詞も聞き取れた。電車内などで使用する場合は、10%程度に調整するのが無難だろう。

イヤーカフ式イヤフォンの入門機に

機能、装着感、サウンドと、一定の水準をクリアしたコスパが高いモデルだ

Clip1は、SOUNDPEATSらしい豊富な機能性と、良い意味でオープン型らしからぬサウンドを備えている。

そして、なんといっても高いコストパフォーマンス。これだけの性能で9,980円なら文句はない。長くつけっぱなしにしていても快適な装着感も気に入っている。

個人的にながら聴きイヤフォンはイヤーフック型を使ってきたが、これを機にイヤーカフ型に乗り換えてみようか。

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小岩井 博

カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。