2024年は88本の映画を見て、ドラマは22本くらい見て(地上波でリアルタイムで見ていたものはカウントしていない)、本は漫画を除いて46冊読んだ。どのジャンルも去年よりもハイペースな数字。2024年の棚卸しを兼ねて、超個人的かつ直感的なマイベストエンタメを、各ジャンル3つ以内に絞って選出してみる、という毎年恒例(にしようとしている)試みです。
※わたしが2024年に触れたものなので、新作・旧作含みます。ネタバレも気にせず、好き勝手に書いていますので悪しからず!
映画
ロボット・ドリームズ

やっぱりわたしのなかでの今年No.1は満場一致で『ロボット・ドリームズ』でした。
嫌いあう以外の理由で別れを選んだ人たちの、別れたあとも人生は続き、記憶は薄れ、それでもずっとどこかで思い続けるという話が一番心の琴線に触れるのだと気付いた。2023年に一番傷を受けたドラマ『二十五、二十一』(まだこの話してる)2024年の『海に眠るダイヤモンド』もまったく同じで、ついに共通点に気付いてしまった…。
少なくとも二次元において、どちらかの死亡エンドは辛くて仕方ないけど、お互いの思いが永遠になるという意味ではある意味これ以上ないドラマチックな終わり方だと思う。でも現実は、友情も恋愛もほとんどの別れは好きな気持ちが完全になくなったり憎みあって決別したりする方が稀なわけで。環境が変わったり、なんとなくお互いの軌道に溝が生まれたり、どうしようもなく結果的に訪れた別ればかり。それでも生活は続くし生きていかなきゃなんない。時間が経つほどに記憶も気持ちも薄れていくけど、どこかに燻り続ける一生ものの鈍い痛みがわたしの大サビ〜〜〜!
もちろんそれだけではなくて、アニメーションだからこその魅力や魔法が全編を通して画面の隅々まで詰まっていて、見ている間ずっと楽しくてずっと嬉しかった。すでに語られ尽くしているけれどもちろん音楽も素晴らしい。みんな健気で、泣きたくなるくらい寂しさが温かい大傑作だった。
ごく稀に起こりうる、涙がはらはら止まらないままにスクリーンを見つめる時間こそが映画鑑賞におけるある種のゾーンだと思っていて、『ロボット・ドリームズ』のラストはまさにその真骨頂と言わざるをえないカタルシス。
ルックバック
見た直後は、感想もまとまらないままにほわーーんとした靄に包まれて退場して、そのまま日常生活に戻っていったのですが、思い返すと2024年のエンタメにおいて特別な場所で光り続けているんだよな〜〜。
『ロボット・ドリームズ』同様に、ただ違う角度で、こちらも素晴らしいアニメーションだった。絵を褒められた主人公が田んぼ道をるんるんで帰るシーン、やはりあれがこの作品の極致だったと思う。アニメにしかないパワー。あの後ろ姿が今でも記憶に焼き付いている。割と中盤からみんなズビズビ泣いていて、わたしも訳もなくなんか途中からずっと目から水が流れ続けていた。なんか、まっすぐなものに弱い歳になったのかもしれない。
この映画にあんなに美しい祈りの歌をあてがうのがこのうえなく素晴らしいセンスだ…と惚れ惚れした。あと、河合優実さんはあらためて本当にすごい人だ。
悪は存在しない
直近の日記でも書いた濱口監督の『悪は存在しない』。自分の想像の範疇を簡単に超えてくる、遥か彼方に梯子を放り投げるラストとあまりの衝撃にクラクラしてしまい、好みとかに関わらずマイベストにランクイン。あまりに置いてきぼりすぎて全然現実に戻ってこれず、わかろうとすること事態が無粋なのかもしれないけれど、いくら考えても友達と話し尽くしても何にもわからない。なのにこれだけは言える。めちゃくちゃ面白かった!
〈追記〉
ベスト3本を選ぶためにこの1年で見た映画を振り返りながら気付いたのは、映画のワンシーンや台詞などが自分の思考のスピードや感覚の中で思い出されるのではなく、思い出す作業の外からその作品独自の時間の流れ方や空気感で蘇るように立ち上ってくるのがいい映画なのかもしれないな〜〜ということ。
クロエ・ジャオ監督『ザ・ライダー』はまさにそういう映画だった。見ている間はちょっと退屈ですらあったのだけど、思い返すとなんて豊かな作品だったのだろう。決して簡単な話ではないし、簡単な結末も迎えない。だからこそ肝の座りすぎている骨太な力強さに圧倒される。そして、キャスト全員本人役!凄まじすぎる。広大な草原を駆ける美しいシーンがスローモーションで思い返されるよ。
ウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』。ずっと分かり合えなかったウェス・アンダーソンと『グランドブダペストホテル』で初めて和解した2023。ちょっと毛色の違うのも見てみようかな〜〜と覗いてみたらドンピシャで最後の最後まで夢中だった。すべての涙の表現が素敵すぎる。
ドラマ
ブラッシュアップライフ
日本中の女子が思ったであろう「バカリズムわたしの会話盗み聞きしてる?!?」という衝撃。遅ればせながら2024年にようやく見て、あまりに友達との会話や関係性がばっちり我々すぎて、例に違わず同じ感想を最終話まで持ち続けていた。
こういうドラマって、たとえば女の子が3人いたら大人になって1人は結婚、1人は子持ち、主人公は独身で仕事に打ち込みながらわたしらしく生きていきます!みたいな人口比的な薄っぺらい多様性で終わりがちなイメージなのに、なんか全員そのままおばあちゃんになって!みんなで老人ホームにいる!宇宙船みたいな機械に乗って!でまだおんなじこと話してる!てか来世も一緒に鳩に生まれ変わってる!!という筋金入りの平成ズッ友バイブス(©︎一期一会)にかなり感動するとともに深く感銘を受けた。そしてそれを男性であるバカリズムが描いたということ!
どんな作品・終わり方であっても、ドラマが終わった後も人生は続いて、みんな同じままではいられなくて関係性が変わっちゃったりして、結局あの時だけの切り取られた時間なんだよな〜〜みたいな二次元独特の諦念を抱えてきたわたしにとって、バカリズムがそういうの全部取っ払って「友情」という生き方をど真ん中に提示してくれたのが、個人的になんかめちゃくちゃ新鮮で嬉しくて、晴れやかな読後感だった。
アンメット
これまたすでに語られ尽くしているけれど、本〜〜当に素晴らしいドラマだったねえ。杉咲花ちゃんが出ている作品は素晴らしく、素晴らしい作品には杉咲花ちゃんがいるというありがたい鶏卵問題。インタビューなどから垣間見えるお人柄込みでもうメロメロです。そして若葉竜也さん、あなたって人は…。名作と言われるドラマの必須条件に「演技が下手な人がただの一人もいない」というのがある気がするのですが、それでいうと全員が上手いとか下手の範疇を超えて、そこにその人が息付いている感じ。ストーリーとか演出とかもさることながら、瞳のほんの少しの揺れとか口元を噛み締める仕草とか指先の震えに至るまでひとりひとりの感情の機微と演技に毎話泣いていた。
劇的なことが起こらなくても(まあ起きてもいるのだが)、恋愛だけに止まらず、人と人が心を尽くすって、こんなに美しいんだ、ということを再確認させてくれた。
LUPIN/ルパン
見ている側も騙されるような華麗なる怪盗やスパイものが大好物なので、Netflixオリジナル『LUPIN』はかなりドンピシャで上半期に楽しく見続けていた。シーズンを追うにつれて敵が強大になり、主人公が素でどんどん追い詰められていくというあるある展開に「そういうのが見たいんじゃないんだよ…」と若干狼狽えたが、ずっと面白かった。
Watch Lupin | Netflix Official Site
〈追記〉
民放ドラマで思い出に残っているのは『不適切にもほどがある!』『海に眠るダイヤモンド』『新宿野戦病院』『ライオンの隠れ家』など。その中でも『西園寺さんは家事をしない』にメロメロだったよ〜〜何度牛乳をこぼしてしまったえまちゃんの伝説の他人事シーン「こぼしちゃったよねえ?」をリプレイしたことか…。
ここで供養させていただくと2024年に見たアニメは『葬送のフリーレン』が本当に素晴らしくて、年間ベストどころか人生ベストですらあった。当時書いていた日記↓
何があんなによいのだろうか…説教がましくないのに、心の機微や大切な感情がすとんと心におさまって、黒く渦巻くものが浄化されていった。メインキャラ全員が、その世界観通りにきれいに響く声の人を採用しているのも大きい気がする。
いま思い返しても、なんだか心がきれいに浄化されるようなヒーリング作用があったなあ。もうちょっと仕事が落ち着いたらもう一回見たいし漫画も読みたい。次シーズンも楽しみ!
書籍
戦争広告代理店/バッタを倒しにアフリカへ
今年は個人的に続けていた「未知本チャレンジ」から2冊がランクイン。2冊とも各所で散々感想をしたためたのでもしよろしければ!(戦争広告代理店は5月、バッタは9月)
ハイパーハードボイルドグルメリポート
いまをときめく上出さん。高野秀行さんの辺境突撃系ルポが大好きで、その系譜のニューカマーに出会えて嬉しかった2024。文体もちゃんとハードボイルドなのがいい。残念ながらこの番組や本出版をリアルタイムでは追えていないのでかなり周回遅れなのだが、『MIDNIGHT PIZZA CLUB』(なんて素晴らしいタイトル)も買ったので読むのが楽しみ!
漫画
うみべのストーブ
本屋さんで試し読みしたら一瞬で心奪われてしまった素晴らしい短編集。目の前が光って見えるような「ああわたし、いまこの瞬間のこと一生忘れないだろうな」ってふと思う瞬間って誰にでもあると思うのだけれど、そういう刹那のきらめきが詰まっていた。
SAKAMOTO DAYS
連載当初から「これからジャンプの看板になるから!!」と周囲にゴリ押ししていたSAKAMOTO DAYS(正確には銀魂的なコメディからアクション重視の王道に方向転換してから確信したのだけど)。やっぱりめちゃくちゃ面白いよ〜〜。
勝手ながら、どんな作品も作者の心根が陰か陽か(判断基準は100%わたしの主観)によって鬱展開や闇落ちルートに進む/進まないの信頼度が大きく変わるのだけれど(ex. 進撃の巨人/ワンピース)、SAKAMOTO DAYSの作者さんは絶対陽の人だと思うし、光の道を歩んでいると勝手に信じている。
スーパースターを唄って
最近注目しているHIPHOP漫画。ジワジワ人気が広がってきていると思うのだけど周りに読んでいる人がひとりもいないんだよな…。かわいいタッチながら設定も内容もかなりエグくて読むのに体力がいるけど、底辺から成り上がることがHIPHOPの物語だと勝手に思っているので、今後が非常に楽しみ。
音の聞こえない漫画で音楽を描くってすごく難しいと思うのだけれど、震える手でマイクを持って震える声で歌い出す瞬間、そこから世界が変わる、その息遣いが伝わるようなこのシーンが気に入っている。闇に差し込む一筋の光が似合う漫画だと思う。
〈追記〉
絶対にわたし好きだろうな〜〜と長年思っている『違国日記』は今4巻で止まっている。2025年こそは一気に読み切りたい。
ようやく読んだ『A子さんの恋人』も恋愛にとどまらない滋味に富んでいて読み応えがあった(当時書いていた感想)
恋愛の話だと思っていたけど、同時に自分でもどうしようもできない執着とか才能とかの枷と、長い時間をかけて折り合いをつけて、自分の道を選んでゆく話でもあった。
総括
4ジャンル12作品のうち、人におすすめしてもらったものは5つ。自分で選んだもの以上に好きな作品になったということは、おすすめしてもらえなかったらその感情に出会えなかったというわけで、とてもありがたく嬉しいことだと思う。
毎年思うのだけど、やっぱり後半に触れた作品の方が記憶に残っているのでマイベストに入りやすくなってしまうな〜〜。Filmarksのスコアもそうなのだけど、すべての作品をそれぞれ見終わった直後の気持ちでいま並び替えることができるとしたら、まったく違う並び順になると思う。
悲しいほどに記憶力がなく、マイベストを選ぶ基準も、なんとなく朧げに覚えている見た直後の印象とか心持ちとかで、でもその時思い返すほわ〜〜っとした光こそがエンタメに触れる醍醐味であり、結局順位とか点数とか関係なく、どれもこれもわたしの生活を彩ってくれた。2025年もたくさんのものを見て読んで心を揺らしていくぞ〜〜!
去年の超個人的ベストエンタメはこちら。


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