バルザック「「人間喜劇」総序」(西川祐子訳『「人間喜劇」総序・金色の眼の娘』(岩波文庫、2024年)所収)を読みました。
この「総序」は、約90作品から成るバルザックの小説群「人間喜劇」の構想を、バルザック自らが述べたもの。構想は、人間界と動物界を比較するところから始まり、社会は自然と似ているとして、動物種に多様なバリエーションが存在するように、人間の職業にも同じようなバリエーションが存在すると述べます。次いで、人間の持つ知性や情熱、宗教、政治などに話が広がっていき、人間喜劇を、社会の歴史の記録、社会の批判、諸悪の分析、社会を動かす原理についての議論を行う壮大なプランであると宣言。その語り口が、なんともバルザックらしい、大仰な「バルザック節」になっていて、これを読み進めるのは私の楽しみです。
本書の訳者である西川祐子は藤原書店の『バルザック「人間喜劇」セレクション』第十三巻を担当しており、同書の中篇「金色の眼の娘」を抜き出し、「総序」と組み合わせて本書をまとめたとのことです。なお西川祐子は今年6月に亡くなっており、本書が最後の仕事だったのではないかと推察されます。「総序」の訳文は、私はフランス語はまったくわかりませんが、とても読みやすかったです。