
01 殺戮にいたる病/我孫子武丸
02 バリ山行/松永K三蔵
03 同姓同名/下村敦史
04 明け方の若者たち/カツセマサヒコ
05 天使の囀り/貴志祐介
06 みどりいせき/大田ステファニー歓人
07 月夜のサラサーテ/森博嗣
08 つんつんブラザーズ/森博嗣
09 ブレインメンタル強化大全/樺沢紫苑
10 メモの魔力/前田裕二
上には挙げていませんが、8月はめずらしく文芸誌を読んだ月でした。その一つは小説新潮の7月号で、米澤穂信の短編『名残』が読みたくて買いました。主人公が働く長野県の宿に毎夏宿泊をする男性客・大野。大野が好んで飲んでいた朝食の牛乳を、ある年からなぜか飲まなくなった。それはどうしてか、というお話です。米澤穂信らしい仕上がりの短編ミステリでした。余談で、しかも微ネタバレなのでご注意ですが、先日北海道へ旅行に行き、ホテルのビュッフェで牛乳を飲んだとき、なるほど、と、この小説のことを思い起こしました。
ところで、小説新潮7月号の巻頭記事は、山本周五郎賞の受賞作決定発表でした。受賞作『地雷グリコ』は読んだことがあったので気になって選評を覗いてみたのですが、この選評が意外に(?)おもしろかったです。そもそも選評というか書評をほとんど読まないので、ああ、プロって小説をそんなふうに読んでるのかという発見や、作品を評するときの表現や語彙についての学びなどがあり、読み物としてふつうに楽しんで読みました。
また本誌には島本理生とカツセマサヒコの対談記事が収録されており、その影響でカツセマサヒコのデビュー作『明け方の若者たち』を読んだりもしました。
今月読んだ本のなかでいちばん惹かれたのは芥川賞を受賞した『バリ山行』で、読んでいるときに立ち止まって考えてしまう描写が多い小説でした(←褒めてます)。ということでこの作者のことがもっと知りたくなり、芥川賞受賞者インタビューが掲載されている文藝春秋の9月号、受賞記念エッセイが載っている文學界の9月号も読みました。文學界のほうは芥川賞の新選考委員となった川上未映子のインタビューも掲載されており、作品との向き合い方についての話がおもしろかったです。あとは特集記事「短歌と批評」を読んで、自分も何か詠みたくなり、雑誌ダ・ヴィンチの連載「短歌ください」に投稿してみたり、Twitter(X)上につぶやいてみたりしました。Twitter(X)ではハッシュタグ「#短歌」「#tanka」をつけて投稿すると、そのタグを追っている方たちに見つけてもらえてモチベーションになります。
さて、「短歌と批評」は歌人13人が匿名で短歌を詠み、その歌について座談会形式で批評を加えていくという記事です。自分と短歌はそれほど距離が近くなく、それこそ雑誌ダ・ヴィンチの「短歌ください」に載っているものとか、SNSでバズったものをときどき眺める、くらいしかしたことがありません。SNSで流れてくるものはバズっているだけあって、わかりやすく「良い」と直感的に思えたりするのですが、その読み手のアカウントにとんで他の歌を見てみると「んーーよくわからん!」というものも正直多いんですよね。でも今回の記事を読んで、プロでもよくわからない歌ってあるんだなとか、わからないものをそのまま受け止めてるんだなとか、自分なりに解釈を加えて読みを見つけていってるんだなとか、短歌のおもしろがり方を教えてもらったような気がしました。まあ、「良さ」に対する感度がやっぱり自分とはぜんぜん違うなと思ったので、「読める」というか、ざっくり言えば楽しめる、人間になっていきたいと考えた8月でした。