言語化について……自分が意識してることを書いてみます(言語化の言語化)
言語化するって何
言語化するっていうのは主に「自分の思考や感覚をほかの人に伝わるようにフォーマットする」行為を指すと思っています。 というかここではそう定義します。思考のコンパイルですね。
なんで言語化ってむずいの
一言でいうと「普段やらんから」に尽きると思います。
普段我々は言語を使わずに物事を判断することが非常に多いです。(これを”感覚”とか”直観”と言いますね)
なぜなら、言語を用いて判断を行うと、脳が行わなければいけない処理のスピードに間に合わないためです。
一説によると、脳が一日にやってる判断は3万回を超えているそうで、その一つ一つに言語を介してたら疲れるのも納得の回数だと思います。
だから我々は必要なときだけ言語化を行うのですけれども、そこで2つの問題が生じます。
皆さん一つ目で悩んでいることが多いですが、本当に言語化の壁になっているのは二つ目であることが多いと考えています。
言語化の手法
自分が言語化の手法としてオススメなのは「演繹のフォーマットを利用する」です。
「AだからBだろう」または「AであるときはBだろう」という形で、自分の直観・感覚を変換してみましょう。
当たり前のような話ですが、このフォーマットを見失わないことで、段階を踏んだ言語化ができるようになるはずです。
その1 ~まずは「Bだろう」を探す~(楽しい、嬉しい、などの感情や結論などを自分の中で再定義する。)
この「Bだろう」を言い表せない、という悩みをお持ちの方は多いかと思います。
この悩みの原因は、多くの場合で「無意識に『一言で簡潔に』表そうとしてしまっている」ことです。
(なんか違うんだよなぁ……)と思っても、まずは感情の一つの側面としてそれを言語化する。そしてまた別の感情を表す形容詞を言語化する。
それを繰り返すと「感情や思考の塊」が出来上がります。
例えば
- 嬉しい
- 寂しい
- 悔しい
が混在している感情の塊が出来上がったり、
- Aであるべき
- Bであってはならない
- Cであることは望ましい
といった、複数のイデオロギーの集合体が出来上がったりするでしょう。
それがあなたにとっての「Bだろう」です。
人間の感情は簡素な一言で表せるほど単純なことはまずないです。
その2 ~細分化した「Bだろう」に理由を与えていく~
「Bだろう」が感情や思考の塊として見えてきたら、次にやるべきことは 「なぜそれをそう感じたのか?」を一つずつ掘り下げることです。
ここでは「ムカついた」を例に出します。
例えば「大事な予定に遅刻されてムカついた」としましょう。 この場合のムカついたには、もっと根源的な理由が複数考えられます。
「自分をないがしろにされたと感じた」 「予定を乱されて不安になった」 「自分と価値観が合わない(共感してもらえない)」
どれも納得しうる理由ですよね。
ここで重要なのは、「正しい理由」を探そうとしないことです。
必要なのは「自分にとって自然な理由」です。 また、説明できる理由すら必要ないことだってあります。
「そう感じたから」が十分な理由として成り立つことだってあります。
この「そう感じたから」が非常に大事なポイントとなります
その3 自分の価値観を客観視して体系化する
先ほどまでに述べた「そう感じたから」を見つけることができたなら、それはあなたという人格を作り上げる価値観やイデオロギーを見つけることができたのと同義でしょう。
「○○であれば嬉しい」や『××されたからムカつく』、という感情はその人個人の価値観であって、これ以上説明できないものです。
これはいわば"原子"であり、それ以上に分割できない最小単位になります。
この体系化された自己の価値観は、言語化において非常に重要な役割を持ちます。
その4 ~他人に伝わる形に変換する~
ここにきてようやく「何を言語化したくて、その対象はどこから来ているのか」を整理することが出来ましたね。
ここまで来れば、言語化の作業はすでに8割方終わっています。
なぜなら、
- 自分が何を感じたのか(B)
- なぜそう感じたのか(A)
- それを生んでいる価値観(原子)
が、すでに見えているからです。
残っているのは、それを「他人に伝わる形」に並べ替える作業だけです。
ここで意識すべきなのは、「正確に伝える」より「誤解されにくく伝える」という視点です。
多くの人は、言語化するときに「自分の感情を100%そのまま再現しよう」として失敗します。
しかし、そもそも他人の頭の中に、自分と同じ感情を完全に再現することはできません。
目指すべきなのは「だいたいこういうことか」と理解してもらえる状態です。
そのために有効なのが、ここまで使ってきた演繹フォーマットです。
つまり、
「AだからBだろう」
の形に落とし込むことです。
たとえば、「遅刻されてムカついた」という感情を、そのまま投げても、相手には1/3しか伝わりません。
代わりに、
「時間を大事にしているから、軽く扱われたように感じてムカついた」
と言えば、かなり解像度が上がります。
これは、
- 価値観(時間を大事にしている)
- 出来事(遅刻された)
- 感情(ムカついた)
を、正しい順番で並べているからです。
この順番こそが、「伝わる文章」の正体です。
また、もう一つ重要なのは「前提を補うこと」です。 自分にとって当たり前の価値観は、他人にとっては当たり前ではありません。
たとえば、 「約束は守るべき」 「連絡は早い方がいい」 「努力は報われるべき」 といった価値観・イデオロギーは、人によってかなり差があります。
だからこそ、「自分はこういう価値観を持っている」という部分まで含めて言語化することが大切です。 価値観による理由付けを含めることによって、人間は異なる価値観による思考を理解することが出来るのです。
そして面白いことに、この段階まで来ると、 言語化は「他人のため」だけのものではなくなります。
自分自身に対しても、 「なぜ自分はこう思ったのか」 「なぜこれが許せないのか」 を、かなり正確に説明できるようになります。
結果として、 - 無駄に悩まなくなる - 感情に振り回されにくくなる - 判断が速くなる
といった副作用も出てきます。
つまり、
- 感情を集めて
- 理由を掘って
- 価値観に落として
- 翻訳する
このプロセスこそが、実践的な言語化です。 これは習慣であり、センスではありません。練習を続けることによってできるようになる手続きです。
この文章が、言語化が苦手だなぁ……と思っている人に対しての一助になれば幸いです。