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かなたいむ。奏太さんが本当の気持ちをパートナーと共有できるようになるまで|自分と、誰かと、どう生きていく?

個人の生き方、パートナーとの関わり方、そして家族の在り方において、段々と選択肢が広がってきている現代。一方で、多くの人が切実に制度のアップデートを求めていても、なかなか変化は見られない。また恋愛や結婚、子を持ち育てること、あるいはジェンダーにまつわる「こうすべき」といった世間の風潮に対しても、違和感を抱く人は少なくないだろう。

そんななかで、自分と、誰かと、どう生きていくか。どんなパートナーシップや家族を築くか。それぞれがより自分に合った生き方を目指せる社会のために、さまざまな声を取り上げる連載。

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今回話を聞いたのは、2017年からトランスジェンダーである自身のことを動画で伝え、現在はYouTubeチャンネル・かなたいむで発信をおこなっている映像クリエイターの奏太さん。パートナーで臨床心理士/公認心理師のみたらし加奈さんと一緒に暮らし、2025年6月頃からは共同アカウント・KANAKANAでも発信している。多くのメディアで活躍される二人が、揃ってメディアのインタビューに臨むのは初めてだという。

▼みたらし加奈さんにお話を聞いた記事はこちらから

最初は「ビジネスと友達の間みたいな感覚」

「2022年頃、LGBTQ+ PRIDE SCHOOLの講師としてお互いキャスティングいただいて、そこで初めて顔を合わせました。その場では『よろしくお願いします』など挨拶程度だったと思います。実際にしっかりと話したのはそのスクールの打ち上げでご飯を食べに行ったときです。席が隣だったんですよ。

最初はもう、発信者としての強さがすごい人だなと思っていました。言葉の選び方も印象的で。時代を動かすタイプの人だと一瞬で感じたんです。そのエネルギーが話していてすぐ伝わってきて。恋とかそういうのではなく、人としてすごく気になる存在でした」

加奈さんも頷きながら続ける。

「話しやすいなという気持ちはずっとあったんですけど、恋愛する感じではないというか。ビジネスと友達の間みたいな感覚でした」

2人で会話を重ねるなかで、奏太さんには今までとは少し異なる感覚が芽生えたという。

「僕は、加奈さんとお付き合いする前までパートナーが7年くらいいなくて、最後に付き合ったのが戸籍を変える前だったんです。

当時、あまり『好き』という感情がわからず、好きと言ってもらえたから一緒にいようかなという。いま思えば申し訳ないばかりなんですが、この人以上に自分が一緒にいたい人はきっといるだろうなという温度感でした。

前のパートナーとお別れして7年、恋愛感情もまったく抱いていませんでした。そのなかで加奈さんと出会い、初めての感覚を抱きました。まさになんでも話せて信頼できる、この人と一緒にいたいという気持ちでした」

自身のセクシュアリティを、デミロマンティック(内面的な絆や信頼関係が築かれた相手に対してのみ、恋愛感情を抱くセクシュアリティ)だと考える奏太さん。深い信頼関係を築くためにも、パートナーの過去の恋愛も「知りたい」という感情になるという。

「加奈さんの過去については、知らないことのほうが辛いですね。自分以外の誰かが知っているこの人がいるのに、それを知らない自分がすごく嫌です。

その人より自分のほうが相手について知っていないと『今お付き合いしているのは自分』という感覚も持てないんです。なので過去にお付き合いした相手や、どういった感情を抱いたかなどは細かく聞きたくなりますね」

彼女は「感情がわからない自分」に付き合ってくれた初めての人

奏太さんは加奈さんに出会うまで、激しい感情に蓋をしてしまいがちだったという。

「今まで、人に怒ったことがありませんでした。嫌なことはもちろんありますけど、そういった感情に蓋をするのが得意になってしまったんです。怒りに蓋をして忘れようとするけれど、結局自分のなかで消化できていなくて。

その状態がベストだと思っていたんですけれど、加奈さんとは違和感を覚えるタイミングが一緒でした。あとから加奈さんに『あれ、嫌じゃなかった?』と聞かれた内容が、その場でまさに蓋をして飲み込んだことだったときもありました」

そんな奏太さんを見つめながら、加奈さんも続ける。

「奏太くん、すごいポーカーフェイスなんです。それでも自分たちにとって少しノイジーなできごとがあったとき、無言で目が合ってしまうことがありました。

周囲には気づかれないぐらいのことだし、もちろんその場の話は進めるんですけど。それで聞いても最初は全然大丈夫、と返ってきていたんですが、回数を重ねるごとにこれは奏太くんの性格だなと気づきました」

言語化に時間がかかると自覚しているという奏太さんは、加奈さんからの質問の変化に救われたそうだ。

「『あれ嫌だったでしょ』『嫌じゃなかったらいいんだけど、どう思ったか教えて』と深堀りしてくれたんですが、うまく言語化できなくて。質問の仕方を変えてくれて、『この言葉は嫌だった?』『それは嫌じゃなかった』というように、イエスかノーで答えられるようにしてくれました。自分が嫌だと感じるものは、過去にこういった経験をしてきたからだ、というのを少しずつ紐解いてくれたんです。

そうした経験を重ねるなかで、違和感や怒りをこの人になら話してもいいかも、と考えるようになりました。しんどかったら諦めてもいい、できそうなら続けてもいいと選択肢を提示しながら言語化をずっと手伝ってくれて、信頼が大きくなりましたね」

「関係性をオープンにして、できることがあるんじゃないか」

2人が共同アカウントと関係性の公表に踏み切った背景には、当時の社会に広がる空気があったそうだ。

「お互いとくに隠しているわけではなく、でも、加奈さんが前のパートナーと更新していたYouTubeチャンネルのファンの方がいらっしゃって。加奈さんと前のパートナーの関係性をロールモデル的にみてくださっていた視聴者さんもいるなかで、そういう方々にとっては、加奈さんと僕のパートナーシップの公表が急に思われる可能性があると考えていました。

その後、2023年10月、戸籍上の性別を変更する国民に対して、性別適合手術(生殖能力を失うこと)を義務づけるのは違憲だと判決が出ました。このくらいの頃から、トランスジェンダーという言葉がSNS上で悪い意味で広がってしまった印象があります。

毎年よくしていこうという思いとは裏腹に、だんだんと悪化していく。LGBTQ+の当事者にとって生きづらくなっている雰囲気がありました。僕ら自身もお互い発信していますが、やはりロールモデル的な存在はまだまだ少ないですし、関係性をオープンにしてできることがあるんじゃないかと話して公表に至りました」

公表後には、ちゃんと届けられた実感もあったという。

「『なんとなくわかってたよ』と言ってもらえることが多くて。届いていなかった層にも、ちゃんと届いたんだと思える反応でした。当事者であることも関係性も、言わないと存在しないものにされてしまうことがあるから、ちゃんと示せたのはよかったなと思っています」

きっかけをつくりたい。誰かに届くことを願って

共同アカウントで発信するうえで、奏太さんには気をつけていることがある。

「動画づくりに関しては、色々な人に触れるものだという意識がやはり強いんです。間違った情報は絶対に発信しないようにしているし、どんな人が見ても正しく受け取れる表現になっているかは常に念頭に置いています。

言葉のニュアンスが違ったり、誤解を生んだりする可能性があると思ったら、すぐ謝って修正します。より多くの人が安心して見られる場をつくるのは最低限の責任だと思っていて。

多分、両親がろう者だった影響もあるんですよね。たとえば、動画のテロップ(字幕)は必ずつけるようにしています。情報を伝えるときなるべく多くの人に届くように工夫することが日常にあったから、自然と動画づくりにも反映されていると思います。

やっぱり、コンテンツそのものを多くの人に見てほしいんです。それは僕らの存在を知ってほしいからではなく、僕らの関係性や存在が届くことで、誰かの価値観や社会の見方が少し変わるかもしれないと思うから。

SNSって、そういった近づくきっかけをつくれる場所だと思っていて。僕らの関係性を見て、ちょっと調べてみようかな、実際に会いに行ってみようかなと思ってくれる人が出てくる。そういう広がりが生まれたらいいなと願いながら、コンテンツをつくっています」

加奈さんも続ける。

「お互いが誤解されるようなシーンは出さないようにしていますね。2人の間ではいつも通りのやり取りでも、外から見ると違う意味に受け取られる可能性があるような会話などは、発信に乗せないようにしています。お互いが安心できる形で、関係性の本質がちゃんと伝わるように気をつけていますね」

孤独だと思っていた世界が、対話によって「居場所」へ変わっていった

加奈さんと出会って、奏太さんは新しい視点を得たという。

「昔は『自分さえよければいいんじゃない?』『社会なんてどうせ変わらないでしょ』みたいな、ちょっと尖った見方をしていたところがあったんです。それが加奈さんと話しているうちに、自分の抱えている課題の解決には繋がっていないことに気づかされました。

僕は『トランスジェンダーであること』を背景に生まれた様々な感情に蓋をしていました。それらをひとつずつ丁寧に分けていく作業を、ちゃんとやってこなかったんですよね。加奈さんは僕がカウンセリングに通うまでもサポートしてくれて、自分の人生観や価値観が、本当に大きく変わりました。

そもそも僕は、人と一緒に過ごすこともできなかったんです。誰かと生活を共にしたり、誰かと人生を描いたり、そういう未来を想像すること自体が難しかったので。LGBTQ+コミュニティにいても、どこかで『仲間だ』と思えていない自分がいました。

みんなそれぞれ違う心配事や制度の問題に悩んで、共通点はあれどトランス当事者同士でも抱える苦しさは本当に多様です。表面上はコミュニティに属していても、結局自分の悩みは誰にも分からないんじゃないかという感覚がずっとありました。

それでも加奈さんと出会って、人とつながる経験が増えるなかで、ようやくここは居場所なんだと思える場所が少しずつ増えていったんです」

また、奏太さんは性別にとらわれている自分にも気づいたそうだ。

「話しているなかで、加奈さんが自分の性別にそこまで執着していないと聞いて、驚いたことがあります。別に自分がどう見られているとか、こうありたいとかをそこまで意識していないという話を聞いて、始めは混乱していました。その感覚、わからないなって。こうした感覚が違う部分に関しても、じっくり一緒に言語化していければと思いますね」

そんな奏太さんが、加奈さんとのパートナーシップで大切にしていることを聞いた。

「僕は、非言語のコミュニケーションが本当に大事だと思っていて」

その言葉を受けて、すぐに加奈さんが続ける。

「お互い、逆なんです。私は言語化が得意で、むしろ言語に寄りすぎるところがあります。

だから非言語の部分に関しては、彼に察してもらえると助かるんです。喋っていること全部が本音とは限らないところも含めて」

奏太さんが笑いながら続けた。

「今日なんか違うな、みたいな変化は、すぐわかるんです。自分で言うのもなんですけど、誰よりも加奈さんのことを見て、知っていたいという気持ちが強いんですよね。

誰よりも、彼女を知っている自分でありたい。綺麗にいうとそんな感じです」

 

取材・文:花輪えみ
編集:日比楽那
写真:新家菜々子

 

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